2020/11/19 のログ
サンチョ > 人間でも竜でも
どちらでも整え終わった愛用の武具を確かめたいと思うもの
しかし規格外といえるそれを相手に振るえる木偶もおらず、富裕地区を歩いていくと外れまできた。

言ってみればそこは土地だけが遺された何もない場所だ
立て直される為に存在する土地と言うべきか広い
この土地の坪だけがまるで存在しないかのように。

丁度いい場所を見つけたと、王城へ帰る前に布地を解いた
ズシリとくる重量感と、鎖を短く持ち、宙に浮かせた鉄球が揺り上げられる。
頭上で回すたびに、鎖を緩め、伸ばしていく。
その射程、奮う音が風を潰すように回り続けながら、何もない空中の誰かに見立てて振るう。
ぶつかった瞬間に、鎖を引き戻しながら片方の竜腕が受け止める鉄球の音。

特別な力や切れ味のない、重さと大きさだけのそれ。
竜人にとってはわかりやすくていい。

「ん、良い仕事ダ。
あの翁に頼んで正解だったカ。」

両手で鉄球を持ち上げ、整え終わっている鉄球の丸みを見ながら爪が撫で上げる。
巨大な肉でも狩ってこようか?と思うほどには使い心地がよかった。
王城の方向を見上げながら、鉄球を再び布でくるみ。

サンチョ > 布で包み終われば、戻るのは王城
足音一つが既に爪先が、その重量で路に切っ先をめり込ませる
サンチョの爪痕が、王城まで残りながらも戻るのならば、装備を所定の場所に置きつつも、主に帰宅を告げ、その日は主が一人の時間を欲しがるまでは、傍を離れなかっただろうか。

唯一惚れた弱みで仕えてしまうことになった主と恋した竜はその日も穏やかに互いに最後は眠りにつくだろうか。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 大通り」からサンチョさんが去りました。