2020/11/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 パーティ会場」にロブームさんが現れました。
ロブーム > とある貴族の持つ邸宅では、大規模な宴が開かれていた。
この宴の一週間前には、王都のあちらこちらに、この様な張り紙がしてあった。【王都の富裕地区にて、飛び入り参加可能な宴を催します。貴族、平民、奴隷、勿論王族であろうと大歓迎。是非、飲み食いしに来てください】

人が気の合う人を探すには、結局の所飲み食いしかない。
そして、食うものを与える者を、どうして悪者扱いできようか?

そんな理屈で、ロブームは――厳密には、ロブームの指示を受けた傀儡が主催であり、ロブームはその共同出資者という立ち位置だが――は、この宴を開催した。
でっぷりとした頬を歪ませ、男女問わず交歓する。
まだ三十そこらだというのに、何処か老獪さすら感じるその立ち振舞は、それ故に多くの者達の注目を浴びているが――

「(つまらん……)」

その中心にいる男の目は、良く見れば笑っていない。
かといって、怒ってもいない。
冷めている。

「(私の本性を見破れぬのはまあ仕方ないとしても、言葉が軽い――何かを成そうという気概も、何かを守ろうという意地もない)」

ただただ、その日を生きる為に生きるという点では、奴隷と貴族に何の大差があろうか。
彼らが語る文学にしろ劇にしろ、それ自体は決してつまらぬものではなかろうに、それを語った瞬間に陳腐に成り下がる。
不思議なものだが、彼らは一種のろ過装置であるらしい。美しきものを濾し取り、真水のみを取り出して口から吐き出すのだ。
その退屈さにいい加減うんざりしてきて、

「失礼。お話の途中恐縮ですが、他の御方への挨拶もありますれば――」

と、うやうやしく一礼し、男はその場から立ち去る。
そして、くるりと踵を返せば、

「(さて、口直し――誰か、見どころのある者はおらんものか)」

と、辺りを見渡してみるのだった。