2020/11/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にロブームさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からロブームさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 深夜の十字路」にロブームさんが現れました。
ロブーム > ――曰く。夜の十字路には悪魔が現れる。
その伝承を半ば揶揄する様に、男は夜の十字路に立つ事にしていた。
時折、人が現れるが、彼らは怪訝そうな顔をして通り過ぎていく。

「(まあ、特に意味のある行為ではない――が)」

こういう遊びも、時には良いものだ。
例えば、偶然に通りかかった女を攫って可愛がったりとか――そういう遊びも出来るのだから。

「(仮になんの収穫もなくとも、暇が潰せると言うだけで、十分だしな)」

ロブーム > ――男はその場から去っていった
ご案内:「王都マグメール 深夜の十字路」からロブームさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にヴァレリー=D=ツインテイルさんが現れました。
ヴァレリー=D=ツインテイル > 「……」

富裕地区、大通り。
そこで一人の少女が、商店の商品を見ていた。
並ぶ商品の質、価格、それらを確認してはメモ。
そしてまた次の店に行き、同じように商品を見る。

「なるほどね……」

一通り、それを繰り返せば。
小さくため息を吐き、そう呟く少女。
貴族である少女だが、もともとは商家の娘。
どうやら、現在の市場の状況の確認に来たらしい。

「……ん~……」

手にしたメモを見ながら、なんとも微妙そうな表情。
その表情は、少し、貴族らしくはない。
なんとも、歳相応な百面相だったかもしれない。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にケイリー・オーウェルさんが現れました。
ケイリー・オーウェル > 女が建物のドアを出て愛想笑いを顔面からはらりと剥がす。
それから大通りへ向けて路地を抜ければ、

「あら、」

と一声、商品を見ている少女が目に留まり声が上がる。
今は何と呼べば良いのだろう、と。
声を掛けあぐねているような表情で小首を傾げては、小さく咳払いをした。

ヴァレリー=D=ツインテイル > 「……げぇっ」

メモから顔を上げ、そろそろ帰ろうか、と視線を動かした少女。
そこで、見知った顔を見れば、口からはそんな声が出た。
正直、貴族が出す声ではなかったかもしれない。

「……お久しぶりですわね。ケイリーさん。
 今は、どちらで何を?」

少女もまた、一度咳払いをし。そうたずねる。
表情は笑顔であるものの。
気配は『面倒なヤツに出会った』という感じのオーラが出てしまっているが。

ケイリー・オーウェル > 相手が己へと目を止めればぱちんと瞬きして。

「ごきげんよう、三課──の、お嬢様?」

元来、秘密結社の幹部同士で己は彼女の確たる姓名すら覚えて居らぬ。
故に、そのように言葉を濁して。

「わたくし?
 相も変わらず勤め人でしてよ。
 そう、相も変わらず算盤と帳簿の数字に埋もれる毎日よ──。
 あなたは? 結局はお嬢様暮らしが性に合いまして?」

言葉は柔らかなれど、どことなしに冷笑するような声音で問う。
少女は今度、どのように表情を変えるのだろうか。
それを楽しむような視線を向け。

ヴァレリー=D=ツインテイル > 「……元。三課、ですわね」

相手の言葉に、少女はそう小さく言い返す。
いまや懐かしき秘密結社の日々。
それももはや昔の話なのだから、と。
殊更に強調する。

「へぇ、そうですの。
 まぁ、貴女ほどの人なら。
 どんな場所からでも引く手数多でしょうけれども」

少女の知る相手は、とにかく有能の塊。
有能という言葉が服を着ているイメージだった。
恐らくは、上手いことどこかに転がり込んだのだろう、と思いつつ。
相手の最後の一言に、やや苛立ったような表情。

「性に合っているか、という話でしたら。
 性には合いませんわね。
 だからこそ、あの組織に属していたわけですし」

ふんっ、と鼻を鳴らしつつ。相手にそう言う少女。
あまり私を侮るな、という意味合いも込め、視線を鋭いものにして叩きつけるのだが。
相手には、あまり効果はないかもしれない。

ケイリー・オーウェル > 「そう、でしたわね──ヴァレリーお嬢様」

ここへきて漸く相手の名前を思い出す。
以前は手紙など渡したこともあったのに、数字以外は忘れっぽくて弱る。
相手が強調する言葉には、ええと頷く仕草を見せて。

「そう、案外と世俗の採用試験などザルなものです。
 お気をつけ遊ばせ?
 ──気が付いたらお嬢様のお父君の秘書として使われているかもしれなくてよ?」

口元へ手をやっておほほ、と品の良い仕草を作って笑う。
ほんの少し前まで男装で結社の幹部を張っていたとは誰も思いもするまいか。

少女の鋭い視線を受けるとくっつりと口角を上げて笑む。

「あら? お気を悪くなさいまして?
 一緒に頑張った仲じゃありませんの、仲良くしましょう?
 ……というか、わたくし達ってもう既に仲良しの筈。
 それで──これから何を為すおつもり?」

ころころと笑う声を混ぜながら問う。
そうしながらも上から下までつぶさに、相手の姿を観察し。

ヴァレリー=D=ツインテイル > 「貴女にお嬢様と呼ばれる筋合いなどありませんわ」

そう強気に言って胸を張る少女。
思えば、相手とは別段、今は関係がないのだから。
いちいち怯える必要も無い、と。ようやっと気づいたようで。

「そうですか。
 ……それは、あまりオススメはしませんが。
 あの男のそばになんていれば、即日処女を失うハメになりますわよ」

相手の冗談には、憂鬱そうな表情でそう言う少女。
どうやら、それが本気だったらしく。
やや顔色が悪いようにも見えるかもしれない。
少女の父は、いまや貴族ではあるが。
成金貴族ゆえか、そういう俗悪な振る舞い、趣味があるらしい。

「別に。ただ、貴女からは……。
 私を軽んじているような気配を感じますので。
 なにが仲良しですか。ただの同僚、というような関係だったでしょうに。
 為すも成すも何も。今はツインテイルの家の人間として。
 力を蓄えているところですわよ」

やれやれ、と首を振る少女であったが。
そこで、相手に向かいにやり、と笑い。

「どうせなら、私の下でなら雇って差し上げてもよろしくてよ。
 今、私の屋敷でリズも保護していますし」

そうだ、と思い出し。その事実を口にする。
それは、ある意味で非難のようなものでもあった。
自分の課の人間を保護していないとはなにごとか、と。
そう、暗に言っているのだ。

ケイリー・オーウェル > 「あらそう、じゃあ唯のヴァレリーで宜しくて?」

持ち上げておいた相手を今度は落としてみる。
そうして反応を見るのが楽しくて口元が意地悪く笑む。

「処女?
 そんなものはとうにどこかの男に呉れてやりましたわ。
 失う物なんてもうあとは──気位だけ、これは手放さずに居れば済むという話ですしね」

前半は若干声を潜め、それからは毅然と言い放つ。
決して相性が良いとは言えなさそうな相手の言質にはまた笑顔が浮かぶ。

「つればいこと。
 ……でも、謀や悪事を為すのは楽しかった筈よ──そこは、同じね。
 あなたの下? 今居る商会を少しずつ崩して、代表に成り変われたら考えて差し上げてもよくってよ」

それから少しは覚えのある不思議な能力の少女の呼び名が出れば、目を見開き。

「そう、一緒に居るの。
 なら任せておきましょうかね──ええ、拠点が潰されたからの事後処理は最近終わったところで……資金面ではそこいらの職業婦人くらいの貯えしかないの」

横を向いて、ふぅ、と吐息を吐いてぽつり。

「全く、三課は蜘蛛の子を散らしたように逃げて行って役に立たなかったこと」

ギリギリまぁまぁ相手に聞こえるくらいの声量であった。

ヴァレリー=D=ツインテイル > 「……はぁ。
 まぁ、それでいいですわよ」

逆に、それ以外の呼び方だと不自然か。
場所のことも含め、少女はそう考えて、返答をする。

「あら、これは意外。
 ケイリーさんはそういう所、お堅いかと思っていましたわ」

ほほほ、と。少女も相手に対し、口元押さえて笑う。
なんというか、互いに牽制し合っているような会話になっていた。

「ふん。もともと、仲間意識やらなんやらの無い組織だったでしょうに。
 ……そこは否定しませんわ。退屈な日々と比べて、ずいぶん刺激的でしたし。
 ……代表になるつもりはねぇんですけれどもね」

要するに、家を継ぐ気とか、乗っ取るつもりはない、と。
そう宣言する少女であった。
そもそも、そういうつもりがあるなら、悪の組織に入ってたりしない。

「ま、私としては。
 リズは可愛いですから。面倒なんていくらでも見ますけれども。
 それはご愁傷様ですわ。少し恵んであげましょうか?」

ふふ~ん、と。得意げになる少女だったが。
次の一言には、怒りをあらわにし。

「リズみたいなのがいて、大規模な行動を起こせなかった一課には言われたくねぇですわね。
 それに、二課よりはマシでしょう! 二課よりは!」

売り言葉に買い言葉、という様子で文句を言う少女。
問題点として、組織は現在、事実上は解体・消滅になったようなものなので。
この言い合い自体、全くの無意味だということなのだが。

ケイリー・オーウェル > 鷹揚な許しを頂いて機嫌良さそうに頷いた。
それから続いた話題には緩く首を振って。

「この国では男女の貞操とは野ざらしの裸銭と等しく失われやすいものよ。
 わたくしのこと、幾つだと思ってらっしゃるかしら。
 覚えたてで致したい盛りのご自分と同一視しないで下さいませね?」

辛辣な言葉を一言一句丁寧に吐いて、淑女の様に笑う。

「ヴァレリーったら生まれついてのパーティピープルの如くに目覚ましい活躍でしたものね。
 ──転んだ時の後ろ盾には金庫や財布は必要なのよ、立派な家もない女が夢を見るにはね?」

悪事への野望、それこそ女にとっての夢でありまだ諦めず足掻いている所以である。

「あの子は、三課を追って逃げたと聞いているわ──。
 わたくしへの施しは要らないから、あの子に食べさせてあげて頂戴な」

それから厳しい言葉には心外そうに眼を丸める。

「草の根運動大好きパリピに言われる筋合いも御座いませんわ。
 事後処理にリズがいないから、街道でわたくし御自らカタパルトを組んだりしてね? 爪が剥げたり指が罅いったりそれは無残でしたのよ?
 ──二課? 二課……ね、二課のことはそっとしておきましょう。我々は見事に掛けた梯子を外されたわけだし、その意味では三課を讃えてあげてもよくってよ?」

やれやれ、と言いたげな仕草で肩を竦めて首を振る、

ヴァレリー=D=ツインテイル > 「それは知ってますけれどもね。
 ヘタに捨てたりしないタイプだと思っていたので。
 ……別に、私はそういう風ではないですけれどもぉぉぉぉ?」

相手の言葉には、真っ向から噛み付くように。
少女とて、別段セックスがしたくてしたくてたまらない訳でもない。
実際、気持ちのいいことだとは思ってはいるが。

「ふん。正直、社交の場での活動は反吐が出そうな気分でしたけれども。
 夢を見なければよろしいのでは? 結婚して、家庭を持って。
 それで十分でしょうに」

呆れた、とばかりに言う少女。
もちろん、これは相手が色恋に興味がないだろうと思っての皮肉だ。

「当然。そうするつもりですわよ。
 リズは貴女と違って可愛らしいですから」

べー、と舌を出してみせる少女。
この辺は、まだまだ子供である。

「こちらには戦闘要員を回していただけませんでしたので。
 ふん。それこそ、リズの信を勝ち得られなかった自分たちの不徳を恥じるべきですわ。
 ……えぇ、そうですわね。ですが……。
 我々は梯子を外されても、生きている。
 生きていれば再起もありえる。でしょう?」

そこで、少女は相手に笑顔を見せる。
自分もまだ、大人しく貴族令嬢に戻る気もない、と。
そう告げるような、不敵な笑みだ。

ケイリー・オーウェル > 「だからって別に下手に捨てた訳でも売り払った訳でもありませんのよ?」

噛みつかんばかりの反論には微笑ましそうに笑って。

「──ですが結果、パーティーでばらまくのでは効果が薄いかな、とね。それが分かっただけで十分です。次はもっと上手くやりましょう。
 ……家庭と、結婚ね。どうにも食指が動きませんわ。
 ──一度、夢見てしまえばどんなことにも夢を求めてしまう。いけないことかしら? 違うでしょう」

皮肉に本心で返してから、くすりと笑う。
まるで子供相手に本気になったことを恥じるように。

「それをいうなら、一課も物流やら事務経理の裏方だったはずなのですけれどね。
 ──そもそも、リズがうちに来たのも幹部の中で爆破耐性が高いのがわたくし、だったとかいう理由でしてよ」

ひゅるり、と夜風が頬を撫でて女はカーディガンの前を閉じる。
そうして、少女が続けた言葉には深く頷いた。

「ええ、勿論。生きている限り、見果てぬ限り続くのよ。
 ……また生きて逢いましょう、──企みは、千代に八千代に」

再会を祝し、またの再会を願いように掌差し出したその手を取るならやんわりと握り返して宵闇に紛れるだろう。
少女が拒むなら、含み笑いを遺してどこかへ消えようか。

ヴァレリー=D=ツインテイル > 「は、そうでございますか」

どうだか、と言わんばかりの言葉。
どうにもこの少女は、この相手とは反りが合わないらしい。

「ぬ……。まぁ、否定はしませんが。
 とりあえずは、そっちのほうが幸せですわよ?
 ま、退屈ではあるかもしれませんが」

安定、とか。
そういったものは手に入るだろうなぁ、と考える少女。
もちろん少女も結婚だのには興味が無い。

「あら、そうだったんですのね。
 つくづく。我々は優遇されてなかったようですわね」

お互いの境遇について考えつつ。
それもまた、過ぎ去ったことだ、と。
少女は思考を切り替え。

「……別に、そこまでではないですけれども。
 えぇ。お互い、死んではなんにもなりませんもの」

少女は、相手と握手をし。
みすみす死ぬつもりもない、と言う。
今後どのような人生になるかは不明だが。
すくなくとも、悪の華咲くこともあるだろう、と。
そう夢見つつ。少女もまた、大通りを後にした……。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からケイリー・オーウェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からヴァレリー=D=ツインテイルさんが去りました。