2020/08/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 落ち着いた酒場」にさんが現れました。
> 今日鐵が富裕層が多い地区にいたのは理由がある。
とある貴婦人の浮気の手伝いだ。
といっても道中の護衛用なだけであり、なぜかと言えば夫の報復を含めたもしもの時の何かの為。

鐵は身なりも個人的な趣味でありながら整えていたし、無手による技を収めているためか貴婦人の印象はいい。
今回も仕事を終えたものの、なんだか手ごたえの無い仕事だった。
それが鐵の中で燃え尽きない何かを残していて、こうしてちょっと味に品のある、度数の高い古酒で晴らそうとしていた。

高そうな切り出しギヤマンのボトルに薄い燻し色の古酒。
グラスも透明度も凝られたもので、どうやっているのか髑髏の形のグラスだ。
トクトクトクと注ぐときれいに満ちた中で目が合う、酒で浮かび上がった髑髏。
クッともったいぶらずに飲み干せば、コトンと置いた酒に濡れた髑髏のシルエット。

一人で静かに酒に浸るのも悪くない。
けれどもくすぶっている熱が性欲か闘争かもわからない。
金だけ稼ぐだけでは、鬼は物足りない。

> 古酒は一本一本の量は少ない。
数を作り、値を張らせ、且つ量は控え目だ。

「無くなっちゃった。
 マスター、次は澄まし酒頂戴。上物の一升ボトル。
 器は升でいいよー。」

一緒に出されていた瑞々しい野菜の切り出し。
傍のディップは卵と木の実油に、香味を加えたもの。
しゃねっと掠ったらカリッと小気味よい音と共に、出てきた冷やのままのボトルから酒を注ぐ。
音は清涼なものではなく、流れ続けるかのような音。
じゃぶじゃぶじゃぶ と注がれたそれを、升の角から唇に当て、酒がまっすぐ上に傾くまで、喉は止まない。
唇が外れる頃には、一合升が空になる。
これを立てつづけに3度続けた。

「はふぅ……。
 ん、元気でてきたかも。」

酒は鬼には水のよう。
しかし妙薬であることには変わりない。