2020/07/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 街路」にナランさんが現れました。
■ナラン > 夜の帳が下りて久しい王都。
漆黒の夜空には月が薄雲の向こうにぼやけて、星々はその瞬きで互いに言葉を贈り合っている様。
富裕地区となればどの界隈も深夜のこととても騒がしい場所もなく、時折聞こえてくるのは深夜の晩餐会から漏れ聞こえて来るのか優雅な音曲。
時折街灯に照らされ通りを行くのは馬車くらいで、その馬車も急ぐでもなく石畳の通りをのんびりとしたリズムを刻んで行き過ぎていく。
その馬車が通り過ぎた路地から、街灯に照らされる場所へと踏み出す女がひとり。
特徴的な民族着を纏った長い黒髪の女は、過ぎて行った馬車を見送るように暫く佇んでから、迷うように左右を見て…
馬車が去って行った方向とは反対方向へ、すこし灯りを避けるように歩み出した。
(――――…すごい、建物…)
迷子ではない。
夜警の仕事にありついて、見廻っている…筈。
―――見慣れない建物ばかりで多少、同じ道を廻ってしまっている気もするけれど……
■ナラン > 兎に角街に慣れなくて、どの建物も違って見えてまるで道を覚えられない。
たまに通り過ぎる広場や遠くに見える王城を頼りに廻っているけれど、果たして役に立てているのか……
(人出不足、という事…なのか、な…)
色々な場所で厄介ごとが起きているせいで、正規の者たちもそちらに駆り出されているんだろう。
女に渡された夜警だという証は左腕に付けた腕章だけ。
恐らくこんなものは容易く偽造も出来るだろうし…
「―――…」
溜息。
深く考えるのは止めよう、と心に決めて、街灯がぽつぽつと灯る大通りの暗闇を選んで足を運んでいく。
その内適当に路地へ入って、迷って…探索してるうちに、交代の時間になるだろう。
■ナラン > 女は石畳に靴音を響かせながら、左右の建物を見上げつつ歩みを進める。
―――そうしてふと、珍しい看板のある店屋らしき建物の前で一瞬足を止めて。
まじまじとその店屋とその脇の辻の暗闇へ視線を注いでから
半ば好奇心に鳶色の瞳を煌めかせ、その路地の暗闇へと……
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 街路」からナランさんが去りました。