2020/07/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にビョルンさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアイリースさんが現れました。
ビョルン > 一日の仕事が終わり、そろそろ日も落ちようかという頃。
富裕地区の中ではそれほど敷居の高くない洋品店で見立てて貰った品々を受け取りに来てみれば、なかなか嵩張るの荷物になりそうであった。
身近の誰かに運ばせても良かったが、それよりもと寝起きを共にしている女を呼びに走らせて当人の到着を商談用のソファの上で待っている次第である。

アイリース > 「……はぁ」

仕事が終わったタイミングで、呼び出された。
思わず出た一言目の言葉が、それだった。

「……はぁ?」

呼び出された先に到着した時。
思わず漏れた二言目がそれだった。

「……えっと。どういう状況なんです?」

そうして、店内に案内され。
自身を呼びつけた男に、そう尋ねつつ。
私自身、どんな表情をしていいのやら、という感じ。
富裕地区などそもそもあんまり来ないので。
すごく、場違いな感じがする。
とりあえず、私は相手の傍に立ったままで。相手の顔を、じぃ、と見たり。

ビョルン > 己の女が、店へ到着すれば珍しく刹那の笑み顔を見せる。
そうして傍らに置かれた大きな紙袋を3つ指差して宣うて曰く、

「全部、お前のものだよ。
 ──好みに合うだろうとは思うけど、『これは着ないなぁ』てな物があったら別のものを選んでもらおうかと思って」
と。

袋の中身は春から夏にかけての女性物の洋服。
和服からの衣装替えでも馴染み易いよう、ワンピースやスカートは丈が膝より長いものがほとんど。主にミモレ丈からマキシ丈といったところか。
トップスも様々入っているがブラウスやサマーニットなど、ふんわりと体の線を隠すものが多い。
既製品ではあるものの、上品な貴婦人向けの普段着といった印象だろうか。

アイリース > 「……はぁ」

三度目の、その言葉。
いや、はぁ、という言葉も出ようというものである。
確かに、普段使いする服を、という話はしていたけど。
まさか、こんな急に来るとは思って居なかったので。

「……とりあえず、拝見させていただきます」

私は、そう言いつつ袋の中身を確認する。
……なるほど。確かに、こういう服なら。
私も街を歩いても奇異の目を向けられることも無いだろう。
……とはいえ。気になることも少し。

「……これ、予算のほうは大丈夫なんですか?」

なにせ、富裕地区のお店なので。
私としては、まずそこが気になった。
思わず、相手の顔を見ながら、首を傾げてしまう。

ビョルン > 「気に入ったかい」

流行には疎い。殊更、異性の衣服など。
無難で妥当で普遍的な、品の良い洋服を見た相手へ言葉を投げて。

「金の事なら。
 こんなことでもしなきゃ、俺は金が徒に貯まっていく一方でね」

会計済みだが、一山幾らで服を買ったのは初めてで、そして恐らく次はない経験だっただろう。

アイリース > 「気に入るも何も」

過不足云々の話ではない。
これだけあれば、普段の服装には困らないし。
なにより、私だって女なので。
多少なりとも、おしゃれが出来るのは……。
いや、正直言ってうれしい。

「……あまり、そういう発言は。
 控えておいたほうが無難かと……」

場所やらタイミングやらによっては、敵を作りかねない発言だと思う。
それはさておき、私は一通り服を確認すると、袋を閉じ。

「……率直に言って。私も、こちらの国の服装には疎いので。
 判断しかねます。……なので。
 とりあえず、こちらの服はいただいて。
 また後々、服の好みについては学んでいく、ということでいかがでしょうか?」

着ないなぁ、という。そもそもその感覚が、あまり無いので。
まずは、いろいろと普段着てみるのが一番いいのではないか、と判断する。
もちろん、それを相手が許してくれれば、なのだけれども。

ビョルン > 「なら、今日明日にでも着たい服だけ持って帰ろう。
 ──あとは、都合で届けて貰ってもいいし」

貧民地区の娼館に配達するのを店が潔しとするかどうかは知らないが、今の己たちの荷物は少ないに越したことがない。

諫めるような女の声にうんうんと頷きながら商談用の席を立つ。
店主らしき人物に短い挨拶の声をかけたら洋品店を出ようか。

「今日はもう1軒、寄る所がある」

女が己を追うか並ぶかできるようになれば店の前から歩き出して通りを横切り、いかにも高級そうな宝飾店へ足を向ける。

アイリース > 「……なんというか。
 すごい買い物ですね」

服を大量に買って、届けてもらう。
私はそんなことしたことないので、まさに未知の経験であった。
ただ、相手のその選択にメリットがあるのは理解できるので。
そこには口を挟まず。

「……はぁ。もう一軒、ですか?」

今日はとにかく、はぁ、という言葉が多い日だが。
私は、相手の横に並びつつ、とりあえず同行する。
目の前に現れた店に、思わず顔が引きつるのが自覚できたので。

「……もしかして、ここ、とか言いますか?」

思わず、ちょっと地が出かかったが。
ぎりぎりのところで、そんな風に言い、店を指差して確認。

ビョルン > 「親父なんかは採寸やら生地選びまで本家にテーラーを呼びつけるくらいだしな」

見立てと配送の手間賃は上乗せした筈。
スマートさはサービス料という形で買うものだった。
相手と並んで宝飾店のドアを潜れば、

「奥で物を誂えてくるから、見て回ってな」

と、声をかけて店奥のカウンターへ向かう。
高級店が並ぶこの辺りは富裕地区の中でもとりわけ治安には定評がある。要は、店内では護衛は不要と。

店内には、様々なアクセサリーの現物やデザイン画が並べられている。
一般的に女はこういった物を見るのが好きなのだろうと、深く考えず同行させた次第。

己は、奥で加工職人と相談している。
時折、自分の手を見せたりする仕草があるだろう。

アイリース > 「……どうにも。
 想像の及ばぬ世界の話ですね……」

私は、せいぜいそこまでしたのは忍装束の時だけだ。
それ以外の服は、里に有ったものを適当に着ていただけだし。

「……えぇっと。わかりました」

私としては、こういった店はハッキリ言って慣れないどころか。
居心地が若干悪いくらいなのだが。
この店に用事がある、という話であれば。
私としても、店にいる必要があるわけで。

「……見て回れ、と言われても」

なるほど。確かに、並ぶ商品などは。
女心をくすぐるようなものなのだろう。
だが、私にとっては、なんとも。
綺麗だなぁ、と思うことはあれど。
自分が身に着けよう、とは思えないわけである。

「……」

なにやら、話をしている相手を横目に。色々と見て回るが。
やはり、しっくりとはこない。

ビョルン > もし女が見入るような商品があれば、接客担当の店員が付き従ってせっせとセールストークをしただろう。

けれどそんな気配もないままならば誂えの相談も要点を伝えて早く切り上げた。
マネークリップに挟んだ裸紙幣を幾らか数えて前金として払い、店の奥から離れる。

「なんだ、欲しいものはないのか──…」

女にはじゃあ帰るか、と軽く声を掛けて奥向きへぴらっと手を振ってドアを潜り。

アイリース > 「……ん~」

正直に言えば、服や、こういった装飾品で着飾り、なんて。
いわゆる『普通の女』としての人生を想わないでもない。
だが、今や私は闇の世界の住人なわけで。

「……ん、いや。
 だからこそ、こういうのに慣れる必要がある、とか?」

いざ、こういうものを身につけての潜入などの時。
不自然でないように、慣れておいたほうがいいのだろうか。
そう思っていれば、相手に声をかけられ。

「……そう、ですね。欲しいもの、となると。
 あまり、実感が湧きません」

相手の言葉に返答し、すぐさま相手に同行する。
そこで、私は唇に触れながら。

「ただ、ああいったものに慣れておくと。
 色々と、便利なのだろうか、とは。
 少し考えました」

そこで、素直に思ったことを口にしておく。
……ところで、あの店には何をしにいったのか。
そこが不明であるが。まぁ、気にはしない。
きっと、私には考え及ばぬことをしにいったのだろうから。

ビョルン > ドアを潜りかけて、の声。
店の戸口で立ち止まって、思案顔。
指輪を二本嵌めた手を顎に添えてぐりんと首を傾けた。

「慣れる、慣れない──…とは、よくわからない。
 だが、普段街中で『あからさまに宝飾品に慣れていない』ような振舞の人間など見たことはないが」

じい、と相手の目を見詰めてぽつりと問いかける。

「買って欲しい?」

アイリース > 「そこなのです。
 もしも……たとえば、もしもですけれども」

相手の言葉、そして傾いた首に、少し息を飲む事になるが。
相手をまっすぐに見つめて、更に説明を。

「私は、あまり装飾品を身に着けたことがありません。
 簪くらいはまぁ、ですが。
 ……もしも、着飾り、宴の場などに潜入する必要があった場合。
 その慣れぬ装飾品のせいで、正体がバレたり。
 あるいは、任務をしくじってしまう可能性もあります」

説明は、あくまでも小声。
周囲に聞かれぬよう。相手にだけ声を向けるのだが。

「……え、っと。欲しい、といいますか。
 ……えぇ、多分。
 私は、こういったものが。欲しいのかもしれません」

それが、任務のためなのか。女としてなのか。
そこは、自分でもよくわからなかったけれども。
私は、素直に。相手のことを見ながら、そういった。

ビョルン > だから、慣れないことを見透かされて笑われることなどないと伝えたかったが女としては仕事の心配の言葉だったようだ。
そのように受け取れば、頷いて。

「──そんな仕事をさせる心算は、」

言いかけるも、続いて欲しいとの言葉があればなんだか妙に女の頭をくしゃりと撫でたくなって実行した。

「でもいきなり高いの買ったら、無くすのが心配になって使えないんだろ。
 少し外れたところに硝子工房付属の店がある。
 ──それに、ここで揃えちゃさすがに赤字だ」

最後の一声は密やかに、告げては当初の予定通り店を出ようと。

アイリース > 「それはわからないでしょう。
 ……貴方は、敵が多そうですから」

それは、何も外だけじゃなくて。
というより、むしろ内側のほうが。
そこまで言おうとして。頭を撫でられてしまう。

「……それはありますね。
 ……わかりました。では、そのように」

……少し癪ではあるが。確かに。
慣れぬ装飾品。しかも、高価だとくれば。
私のことだ。おそらく、どこかにしまいこんで、そのままにしかねない。
なので、私はうなずくと、相手のことを追いかける。
……というか。なぜ撫でられたのか。
なんだか悔しいので。後ろから手を伸ばし。
逆に、相手の頭を撫で返してみたり。

ビョルン > 「確かにね」

気楽な商売じゃないが、なればこそ女を敵前に投げ込む心算は余計にない。
それは己だけの肚へ飲み込んで。

「けれど、硝子玉でもきっと綺麗だ」

歩きながら頭を撫でられれば、困ったような色の混じる表情で少し笑う。

そうして向かったガラス工房の店は、蜻蛉玉という大ぶりな硝子玉の玉かんざしから宝石の代わりにカットした水晶様硝子を配したイミテーションアクセサリーまで様々なものを扱っている。

値段は庶民的だが、だからこそ客も多く己は面映ゆい。

「自分の好きなやつ、買ってくるかい?」

店内に同行する代わりに、紙幣を差し出して問いかける。

アイリース > 「……まぁ、それもわからないですけど」

結局のところ、状況がどうなるか、などというのはわからない。
そういった任務がないのであれば。
それはそれで、別段、文句などがあるわけでもないのだ。

「それは楽しみです」

相手の言葉に、思わず私もほほ笑みながら。
数度、相手の頭を撫でた後に、手を引っ込める。
次に到着した店の商品を見ながら。
その細工に、ほぅ、と息を漏らしてしまうが。

「……こういうときは、男性が選ぶほうが。
 自然ではないでしょうか」

相手の耳元に口を近づけ、そう言う。
私には、よくわからないが。
こういう場所に来た男女であれば。
そうしたほうが、変に怪しまれたり、疑われたりしないと思う。
……あとは、少しだけ。
相手からの贈り物、という体で欲しい、というのもあるけれども。

ビョルン > 今度の店は値札がつけられた商品が種類ごとに行儀よく並べられている。
そのオープンさは、お強請りがしやすい雰囲気だろう。

相手の言葉に誘われたように、一緒にアクセサリーを見ている。

「この色で揃えてみてはどうだろう、もしかしたら地味だろうか」

女の瞳に似た紫のカット硝子の連なったブレスレットとネックレスを指差した。

「好きな色とか──特別なければ、だけど」

廉価な硝子のアクセサリーならばいくつ求めても懐は痛まなそうだ。
いくつでも、と促して。

アイリース > 「……いえ、いいと思います。
 あまり派手なのは、ちょっと、ですし。
 それに……」

相手の指差した商品を見て、私はうなずく。
地味、といえば印象は悪いかもしれないが。
逆に言えば、落ち着いている、とも言える。

「……私の瞳の色に、合わせてくださったのでしょう?」

よくわからないなりに、その中途半端な知識でも。
少しくらい、わかることもある。
色味を多くしすぎない、とかなんとか。
そういうのが、お洒落には、あったような。
なので、相手のそういった気遣いがうれしいので。

「私、これがいいです」

私は、そう言いながら。
相手に向かって、笑顔を見せる。
……ちょっと、わざとらしいだろうか。
いや、でも。変にドライすぎても、周りの客におかしく思われると思うし。

ビョルン > 「じゃあ、こうしよう」

華奢なブレスレットは重ね付けができるデザインのようだ。
相手へと選んだ紫水晶硝子のものへと、重ねてもう1本は深い緑の色のものを選んで。

結果的に色数は増えることとなる。

女の瞳の色をしたブレスレットとネックレス、それから勧められた髪飾りを揃えて箱に入れてもらい、翠のものは会計後にその場で女の手首へと嵌めた。

アイリース > 「はい?」

相手が何をするのか。観察してみれば。
もう一種類、緑の色のブレスレットが選ばれ。

「……よろしいのですか?
 ちょっと、買うものが増えましたが」

もしかして、負担を増やしてしまったのではないか。
そう思いつつ、たずねるのだが。
相手に、手首にそれをつけられれば。
思わず、顔がにやけてしまい。慌てて表情を引き締める。

ビョルン > 「それでも、さっきの店では何も買えないような値段だ」

アクセサリーの入った箱を仕舞った紙袋を女へと差し出せば

「帰るか」

と店を出る。
女の表情の一瞬の崩れに己もほっこりと口元上げては戻し、帰路。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアイリースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からビョルンさんが去りました。