2020/04/09 のログ
■アルマ > お嬢様、一応どの年齢の女性にもお嬢様で統一するように店長にじっくりと仕込まれているが故に、其処に反応をされると少しだけ表情を曇らせるが、確かにお嬢様は相手によって失礼かと思わなくも……と悩む間数秒くらい固まった。
しかしてまずそれに返答するよりも声をかけた際に相手が酷く驚いた様子をお詫びするために、言葉続けて挨拶するよりもスッと頭を下げてから、すぐに顔を上げてまたあまり嫌悪を持たれないようにする為の笑顔を続けて、こちらに歩み寄る年上の異性に対して、まずは改めてご挨拶を。
「行き成りのお声かけをお詫びしつつ。始めまして花屋のアルマと申します。お嬢様にある貴族の方から花束の贈り物です。受け取っていただけると送り主も大変喜びます。ますが……。」
仕事としてあるまじき、普段であれば止めるべく場所で言葉を続け、その上言葉を濁らせてしまうも女性の柔らかな笑みに負けぬ人懐っこい笑みを浮べたまま、両腕に抱きかかえた白い紙に包まれた様々な白い花が束ねられた花束をそっと挿し出す。
差し出しながら、失礼とは思うけども今宵のお客様の姿を白色の瞳で眺めてみる、その手に持つグラスの中身で濡れた艶やかな唇に紺色のドレスに包まれた肢体に、そしてまた唇に最後には柔らかな笑み浮べる相貌全てを見つめて、少しだけ申し訳ない、という言葉にしきれぬ感情を瞳の色に宿すのだった。
それと同時に年上の美しい女性に対して興味もまた瞳に輝きとして宿すことに……様々複雑な瞳の輝きではあるが、女性の一挙手一投足を逃さぬようにじぃと見つめていて。
――…そして花束。
上手に受け取れば毒をもつ棘が刺さらぬような角度で差し出している。
しかし、無造作に取れば毒棘が刺さり、その毒はゆるやかで微弱ながらに血流にのり、その熱を酒気に似た甘い熱を毒を受けた者へと注ぐ事となる。
■マルカ > 此方の返事に僅かに表情を曇らせ固まってしまう少年の姿に、ん?と首を傾げる
しかし、それも数瞬の事、少年が口上を述べれば脚を止めてしっかりとその挨拶を聞き遂げる
「ご丁寧にありがとう、アルマくん…貴族の方、ですか…さて私には覚えがないのですが…
失礼を承知でお伺いしますが、本当に受け取りは私で合っていますか…?」
少年の口から聞こえた貴族の名前は覚えのないものであった
軽く頭を左右に揺らすようにして思い出そうとしてみたが、それでもやはり覚えがない
しかし、自分の出自の事を思えば自分の知らぬ誰かが花を送ってきてもおかしくはないし、
確かに自分に対して送られてきたものであるのなら、受け取らないのは失礼に当たる
―――そう思い少年の差し出した花束に手を伸ばしかけたが、受け取る寸前の所でぴたり、と手が止まる
少年の揺れる瞳に思う所があったようで
「―――何か思い悩んでおられるようですが、大丈夫ですか、アルマくん?
私でよろしければ話を聞く位のことはして差し上げますけれど…」
気疲れする商人たちの相手をするよりは少年の悩みを聞いている方が余程、気楽である
逃げ出す口実ができた、とまでは行かない屋敷にまで態々届けた少年の労を労う、と言う事にすれば言い訳もたつ
そうして、ひとまずは少年の差し出した花束を受け取ってしまおう、と手を伸ばせば、
送り主の思惑通りか細い指先を棘の先が僅かに掠めて切った
■アルマ > ……もっともである。
見に覚えがないであろう事は想像できていた。
更に言えば店長の指示通り貴族対応と言うことで送り主の名前を二度くり返すことは出来ない、そのあまり好ましくない花を選んで、その後を楽しみにしているであろう貴族が近くで待機しているかもしれない、くらいは予想はつくが。
「えぇ、マルカ……様でしょう?間違いなく貴女宛の花束で、……っと……ハイ。」
白色の薄い灰色を更に白で薄めた瞳で、送り主から店長を通じて間接的に聞いていた名前を口にしながらも、その細い女性の指先が棘に触れて掠め切ったのを見届けてしまえば、此処で仕事は終り……後は帰宅するだけ、なのだが、女性が見せた優しさ、若しかしたらこの夜会から抜け出す為に見せた偽りかもしれない優しさに、少しだけふらりと心が寄りかかってしまう。
ああ、仕事としては駄目なんだろうな、って思いはスルのだけども。
「……ハイ、その宜しければ何処かゆっくりできる場所などありましたら、若しくはテラスの隅でも……その恥ずかしながら少しだけ悩みを聞いてもらいたく……。」
嘘ではない。
そして送り主の邪魔をするような発言はしていない。
女性から何か話を聞きたいと言ってくれたのだから無碍にして帰宅したら怪しまれるだろう、と自分に言い聞かせ店長への言い訳を考えながら、少々憂いを帯びた表情で淡い笑みを口元に浮べる。
そして白い花束を渡し手持ち無沙汰になった両手は自分の腰下辺りで後ろ手を組みつつ、ジィと改めて冷たくも透き通って見える女性の瞳を覗きこみ、通じるか否かはわからないが、一目のないところへ行きたいと、貴女に話があると、そんな意味を込めて覗き込み、瞳と瞳を重ねて視線を交えあって。
毒。
媚薬成分のある毒。
遅効性、酒気と同様に体温を上げて肌を敏感にする毒。
送り主は相当気弱か狡猾か、毒だとわかりにくい毒をもつ花を選び、棘で避けた傷口からそんな毒はジワジワと浸み込んでいくことになるだろう。
だから、早く女性から毒を吸い出すか、何かしないと。
――…別にそんな義理は初対面の女性にはない筈なのに、何となくこのままにしておけなくて、つい、仕事外の余計なことをしている自覚はあるけども、何とかしたくて、そして女性の興味を惹きたくて。
■マルカ > 少年の口から自分の名前が出たからには確かに自分に送られた花なのであろう
差し出した相手に心当たりは全く無いけれど。確かに自分に対して送られたものであれば受け取る他ない
そうして、花束を受け取れば僅かに指先を切ってしまい、普段の癖なのか、咄嗟に切れた部分を口元に運んでしまった
「ん……あ、すみません…はしたないですよね、こんな事では父と母に叱られてしまいます
そうですか…では、開放されているゲストルームにでも参りましょうか?
そこでしたら、他の皆様の視線もありませんし…」
指先に滲んだ血液を咄嗟に舐め取ってしまった事を誤魔化すようにちろりと舌を出して誤魔化して
思わぬトラブルに少年に自分の本性を見られてしまったようで恥ずかしい
少年の送った視線の意図に気がついているのか、怪しいが花束を手に少年を伴ってゲストルームへ向かおうと促す
「―――申し訳ありません、少し酔ってしまったようで…
いえ、おじさま、大丈夫です。小さな騎士様が守ってくださる、と言うので……ね?」
夜会の会場を後にしようとすると賓客に声を掛けられるが笑みを浮かべたまま返事をし、
隣を歩く少年にちら、と視線を向けて微笑みを浮かべた
■アルマ > 時間が経てばたつ程に不安も重なり積もっていく。
だが幸いなことに女性は人気のない場所へ、或いは他者の眼が届かぬ場所へと自分を供に向ってくれそうだと、そっと胸を撫で下ろした。
――…でもだ。
女性のその艶やかな濡れた唇にその細くしなやかな指が触れて、甘い毒の混じる傷痕に血液に触れて、舐めてしまうのを見逃してはいない、その仕草に少し……いやドクンッと胸が高鳴るのを憶え、女性を心配する気持ちの中に下心も湧き上がって来るのが抑えられない。
「……騎士、は憧れますが、是でも花屋の副業に冒険者やってますから、多少は……ね?」
ちらと向けられた視線と微笑みに、にこ、と先程まであった微量の憂いを覆い尽くす笑みを浮べると、歩く速度は間違いなく隣を歩く女性とあわせ、離れず小さな騎士の役割を全うするために行動するだろう。
浮べるその笑みは何処か悪戯めいたモノを交えて、瞳はまた意味ありげにチラチラと隣の女性を見つめるだろう。
毒を何とかしたい。
送り主の薄汚く狡猾なる手よりも……。
故に少年は歩く。
ゲストルームの場所はテラスに来る前に有る程度把握している。
だから、きっと迷わずに女性のいざないに送れず辿り着ける。
■マルカ > そうして少年を伴い会場を後にする
花の送り主のことは判らないけれど、それよりも今は気を使う場所を離れられるという安堵が勝る
やっと肩の力が抜けました…と隣の少年に苦笑交じりに伝え、屋敷の廊下をゲストルームへ向かって歩いていく
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 屋敷」からアルマさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 屋敷」からマルカさんが去りました。