2020/04/05 のログ
タマモ > まぁ…それであっさりと引くなら、冒険者なんてやってないだろう。
各々の獲物、大体は剣か杖、時に槍や斧、と言った感じか、それらを油断無く構え始めていた。
それを確かめれば、はふん、と軽く溜息。
次いで、少女の視線が、前に立つ冒険者達へと向けられる。

「ふむ…ここ最近と違い、もう耳も尾も隠すは不要。
違和感の残るあれで、あれだけ負けておったのに…今、この時、妾に適うとでも思うておるか…」

そこまで言ったところで、一旦、その言葉を止める。
瞳を閉じ、ゆっくりと、息を吸い、吐く。

「………妾を討つには、何もさせぬ即効性が、まずは必須。
その手、今止めておる時点で、お主等の敗北じゃ」

と、止めた言葉、その続きを紡ぐ。
それに合わせ、少女の瞳が開かれる。
その途端、冒険者達の足元に浮かぶのは魔法陣。
そこから流し込まれる力に、びくんっ、と体を跳ねさせれば、ばたばたと冒険者達全員が地面へと倒れ伏す。

「………さぁて、敗者の辿る道は…分かっておるかのぅ?」

ゆらり、身を揺らし、倒れた冒険者達へと改めて視線を向ける。
よく見れば、倒れているだけで、各々意識は保っているようで。
そんな姿を見詰めながら、くすくすと笑い、一歩、また一歩と、少女は歩み近付いて行く。

タマモ > 「武器を見せれば、その武器に見合った技を使う。
杖を見せれば、何らかの術を使う。
手にした獲物と言うのは、よく伝えてくれるものよのぅ?
それと同じくして、己が何であるかを口にするのもまた、手の内をばらすもの。
………正々堂々なのか、単に愚かであるのか。
この地の者と言うのは、そうした者達が多い…まぁ、妾としては、大助かりじゃがな?」

歩みながら、わざとらしく、肩を竦めるような仕草。
すぐ側まで歩み寄れば、くるりくるりと指を振る。
こうして、倒れ伏せる相手を前にする、と言うのは、多少気が晴れるものかもしれない。
が、それとこれとは、別の話。

「とりあえず、後はお主達で、どうにかするが良い。
運が良いのか悪いのか、ここはそう人通りも無いようじゃ。
ふふ…何をしても、しばらくは、誰ぞに知られる事もあるまいて。
………妾は、すべて見ておるがのぅ?」

すっ、と指を立てれば、何かを宙に描くように動かす。
指の動いた後に、そこにはうっすらとした輝きが、その形をなす。
そして、それを払うように手を振れば、それが移ったかのように、地面に浮かんだままの魔法陣が輝いた。
ゆっくりと、その輝きが消えてゆけば…特に変わった様子を見せぬ、残された冒険者達。

にんまりと、意地悪な笑みを浮かべれば、その場を後にする少女だった。

後日、富裕地区のどこかの通りで、数人の冒険者達が乱交騒ぎをしていたとか何とか。
そんな噂が、流れたとか、流れなかったとか。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からタマモさんが去りました。