2019/11/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 貴族の屋敷敷地内」にエリさんが現れました。
エリ > 今夜パーティが行われている某貴族の屋敷、敷地内でのこと。
華やかなフロア――――を窓越しに。つまり外から見つめる存在があった。
そこは二階で、見つめる存在ならぬエリという名のサキュバスは、蝙蝠羽をパタパタさせて尻尾をふよふよさせて。
主催者や招待客が気づかない距離はとっているものの、外から見れば不審者そのものな様子で熱心に観察している。
視線の先には細面で金髪が美しい貴族の美男がいて、彼はサキュバスの最近のお気に入りだった。
お気に入りと言っても向こうはこっちの存在を知らないため、一方的なストーカーである。
サキュバスにしては無害な少女であったが、元来ストーカー気質で、どこかで好みの男を見かけてはストーキングするというのが日課になっていた。
運がよければ偶然を装って顔見知りくらいになれるケースもあるけれど、ほとんどは気づかれないで終わる。
次のターゲットに目が移ると表現するべきだろうか。
そんなサキュバスとしては無益な日々を送るのが彼女だった。

「かっこいい♡金髪もいいけど、あの澄んだ青い目もいい♡一度精液を飲んでみたい♡」

完全にアウトな感想を呟きながら飛んでいる魔族の少女。
飽きるまではもう少し時間がかかりそうで。

エリ > 「こっち向いて♡こっち!」

気づかれたら困るというのに声援を送る騒がしさがいけなかったのだろうか。
こんなに立派な屋敷なら当然各所に控えている警備の一人が、ついに不審者を見つけた。
警笛が鳴り、人が集まってくる。

「わっ!?まっ、まずい……っ!」

驚いたサキュバスが必死に羽をパタパタさせて、夜空に溶け込んでいく。
結局怪しいピンク髪を捕らえたという報告は上がらなかったという。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 貴族の屋敷敷地内」からエリさんが去りました。