2019/10/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にラファルさんが現れました。
ラファル > 閑静な街並み、夜半となれば人通りもさらに減っていき、静寂が支配すると言って良いだろう街並み。
 とは言え、眠っているわけではなくて、息をひそめているという見方もできる。
 何故ならば、夜は淫蕩の時間であり、其処彼処で金を持つものが、力の無い物を拐して犯すという光景もよくあるのだから。
 そんな街の中を半裸の幼女は軽快に走っていた。

 年の頃は10位で、金色の髪の毛に、同色の目を持つ子供で、にまにまとした、悪戯が好きそうな、悪ガキとかやんちゃと言う言葉が似合いそうな女の子。
 少女が走るたびに、後頭部の髪の毛、ツインテールに縛られたそれがゆらゆら揺れるのだ。
 とたたた、と勢いよく走っていて、そして。

「ゆーびーんでーす。」

 と、背中のカバンから慣れた手つきで手紙を取り出して、ポストにシュート。
 それは狙い違わずポストの入口にすぽんと入る。

 !えきさいてぃん! と、頭の中で、叫んでみる少女。
 叫んでもいいけど、あまり煩いと怒られてしまうのである。

 と言う感じで、ただいま絶賛、お家のお手伝いをしているのであった。

ラファル > 駆け抜ける少女は風のように、閑静な住宅街の石畳を軽やかに走る。
 見知っている街の中、勝手知ったる何とやらと言うように、右に左に走っては、ポストの中に手紙をポイポイ投函していくのだ。
 そして、カバンの中をもそり、と探ると。

 「―――あー。」

 其れなりに大きな荷物があった、これはどこだったっけ、とズボンのポケットから小さな紙きれを取り出す。
 紙切れに書いて有る住所を確認して、さてどこだったかな、と。
 今の現在地を思い出し、そして、ああ、あそこだ、と。

「よーし。」

 にまぁ、と笑った幼女は、再度走り出す。
 しゅたたたた、と人のいない町の中を、物凄い勢いで。
 一歩、一歩、加速して、まるで、飛んでいるようにも見えるだろうか。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアルファさんが現れました。
アルファ > 闇の帳が落ちても其処彼処に明かりが灯る富裕地区にて足音もなく歩いていた青年は日を当たったこともないような肌に鮮明な朱が射す目元を指で擦っていた。
音が幽かにしか立たぬ歩行も何処か虚ろで危うげ。それでも夜魔の血を引く薄紅の瞳は明かりの合間の暗闇にも全てを見通し、闇に溶けるような衣装にて気配少なく歩いていた。
時折喧嘩をふっかける酔っぱらいの拳も、風に舞う木の葉のようにひらりと避け、路地裏にしけこむ男女にも目も呉れず、昼間の街を歩くように塒を目指して歩んでいた。
でも

「――なんだ?」

季節外れの突風。まるで風を斬るかの音はいつものことじゃない。その方へと見眺めれば、刹那の瞬間に幼気な少女が疾駆する姿が見えた。
そして何かが落ちるのも。何事かと通り過ぎた後を見れば小さな紙切れ。

「おーい、落としたよ……って、もういない!」

既にその姿は視界の先に無く、慌てて駆ける。人よりも丈夫な身だが、少女の俊足には勝てるだろか。
ただ、静かな夜の富裕地区に、割れんばかりの呼び止める音は、彼女の足よりはやく鼓膜に届く。

「待ってくれ!」

ラファル > 人が居れば、幼女はその人間に当たらぬように方向を変えて進む、その動きは人と言うには少しばかり早すぎるだろうか。
 弧を描くような曲がり方ではなく、直角に曲がったり、その場でストップしたり、と慣性と言うものが一切感じられないような動きである。
 故に、何時ものように、漆黒の存在を、するりと避けて動いて見た物の。

「うにゃ?」

 少し後ろの方に居る、黒ずくめの男性。
 そして、其れの手に有るのは、一枚の紙きれで、その紙きれは―――
 先程のメモであることが見えた。

 少女の速度は風の如く、しかして、町の中で全力を出すこともないので。男性の声には反応できたのだ。
 きゅきゅい、と言う音を響かせて、その場で停止しつつ、反転。
 こちらに向かい始める彼の方へとしたた、と戻っていく。

「あいっ、おじちゃん、ありがと!」

 にぱ、と花の咲くような満面の笑顔を浮かべながら。
 少女は彼の元に戻るのだ。
 その金色の竜眼の視線は、彼の手に向けられている。
 んじーぃぃぃっ。と言わんばかりの熱視線。

 むろん、返して欲しいから、でアル。

アルファ > 風に煩くはためく外套より、忙しなく動く足。夜に冷えた石畳をとんとん、とほとんど足で触れぬように疾走して駆けていたが。
自ずから戻ってくるのに、帽子を抑えていた掌で顎先に伝わる汗を拭ってゆく。然程走ってないにも関わらず息が切れるのは
先程から体を蝕むものがあるから。お礼を言うその子にと、疲労と熱で、はんなりと目元が色づく半眼で頷いて。

「どういたしまして。しかし、いい足してるねぇ。君。俺も結構足には自信があったんだけれど
 ――ふぅ。」

大きく息を吐いてポケットに入れ込んだ紙を取り出して渡そうと……

「ん?」

する前からまるで強請るように凝視する金色の眼差しに、クッと喉を震わせてしまう。

「大丈夫だよ。ちゃんと返すから。意地悪なんてしないよ」

そ、と長い指先は摘んだ紙片を、中身も見ずに手渡して。

「こんな夜更けにどうして走ってたんだい?」