2019/09/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にサナさんが現れました。
サナ > 用事を済ませた帰り道、声をかけられて振り返る。
柔らかい声音で告げられた、勧め文句。
煮詰められた鍋からたちのぼる甘い香りにつられて、差し出されるままに受け取るコップ。
対価の硬貨と交換して、短い礼と共に店を後に。

喉を潤しながら歩く足取りが少し乱れ、ふらりと路地裏にもつれ込む。甘い味に紛れた酒精は、空腹に思いのほか強く響いたらしい。ト、ト、と。少し進んで、何処かの家の裏手の階段に、座り込む。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にヴァイスさんが現れました。
ヴァイス > 富裕地区を散歩していると、酒精が鼻を突く。
特にここを散歩している理由はない。あえて挙げるなら地理の把握や流行の把握だが、所詮趣味のような物。ただ当てのない散歩をしているに過ぎない。
そんな中、鼻を突く酒精の匂い。誰かが酔いつぶれいているようだ。いつものお節介を出して、そのにおいのもとへと移動する。
どこの誰だか知らないがひとまず介助してやろうと、屋台で買ったオレンジジュースを片手にのぞき込むと、座り込んでしまった一人の少女を見つける。

「おい、大丈夫か?」

近寄ると酒精の香りが強くなる。弱いのか、大量に飲んだのかは知らないが…… ひとまず手に持っていたジュースを差し出すだろう。

サナ > くらくらと回る視界と、力抜けた指先。
舌触りが良いからと、喉の渇きの儘、間をあけずにのんでしまった。
殆どからになったコップを、ことりと、倒さないよう地面に置く。
立てた膝のほうが、火照る頬より冷たい気がして、小さく丸まるようにしていた、が。

投げかけられた声に、のろりと貌を上げる。目の前に差し出されたコップを不思議そうに見て、

「大丈夫、だいじょーぶ……。……これは、迎え酒?」

甘い酒を飲んだばかりで、オレンジの甘い香りが酒精を帯びているような連想を。
勧めてもらっている、ようなので。問いながらも片手を伸ばしてジュースを受け取る。

「有難う、……くれる、の。」

ヴァイス > 飲みほし、少し顔色がよくなったか。
安心して飲み干しておかれたコップを拾い上げる。

「迎え酒じゃねーよ というかそんなに飲むなよ」

そういいながら魔法でコップに水を注ぐと、2杯目を渡す。
酔っぱらいには水がいいのだ。

「やるから、ガキが遠慮するんじゃない。ほら、ぬるいがもう少し飲んでおけ」

そう言って飲むように促す。

「それで、この辺は治安がいいほうだが、女が一人酔いつぶれているのはあぶねーぞ。家どこだ。送るぞ。」

さすがにここでこのままさようなら、というのは気が引ける。
家まで送る、場合によっては担いで運ぶことを考える。

サナ > 「あ、うん、…ありがと…?」

中身の満たされたコップを受け取り、ゆらりと揺れる水面を見下ろした。

「いいよ、ここで少し休んでいたら、もう少し良くなると思う。

甘くておいしかったんだけど、一息に飲んだら酔っぱらってしまうね」

水を一口含んで、ほっと小さく肩の力を抜く。
気遣いにはゆるゆると頭を振って

ヴァイス > 「いや、さすがにここでそうもいかないだろ。表通りのベンチぐらいまではいくぞ」

移動を促す。治安のいい場所とは言え裏路地でうら若き乙女がうずくまっていたら何をされるかわからない。
家まで、は嫌がるかもしれないが最低でも一目のつく場所までは移動するべきだろう。

「それとも、適当な店に入るか、やばいところにさらわれるか、ほら、どれがいいか選べ」

にやりと少し不謹慎なジョークを言いながら手を差し伸べる。

サナ > 水を少しずつ口に含み、半ばに足りず手を止める。

「……うん」

素直に小さく首を縦に。差し出された手をじ、と見て、そろりと手を伸ばして重ねる。

「やばいところって、どこ。優しそうな声で、危ない人なの」

好奇心を少し擽られてそんな答えを。フードの隙間から蒼眸が見上げ

ヴァイス > 「やばいところ、か。そうだな、休憩する場所、なんてよく言われるやつだ。そんなことを言われたからってひょいひょいついていっちゃだめだぞ」

若干頼りない少女に心配を覚え、しかし不敵な笑みを隠さずにそんなことを言う。手をつなぐと、少女のペースで移動をはじめ、表通りに出る。

「優しくしておいてあとで奴隷として売り飛ばすやつだっているんだ。気をつけないとな」

そう言ってゆっくりと街を見回し……

「ほら、ああいうところだ。ちょっと派手な宿だろう。ああいうところはやばいところだ。覚えておけよ」

連込み宿だろう建物を見つけ、指をさしながらそんな注意喚起をする。
そしてそのまま、その辺にあるベンチに向かうだろう。

サナ > 「家まで送るぞ、も、つれていっちゃだめな奴だと思う」

真顔で告げた。手を借りて立ち上がると、上背の差に、見上げる角度がやや急に変わる。細い喉をそらし、後頭が肩につくくらいに。

「身長、どれくらいあるの。……見分けがつかないよ、良い優しさと、企んでいる怪しさ。………見てわからないほうがやばい気がする」

思いのほか近くにあった「やばいところ」。あれなら見分けがつきそうだ。

木が等間隔に植えられた、隅にあるベンチへと。ゆるりと腰を下ろして、有難う、と。もう一度。繋いだ手をゆらゆらゆらし。

ヴァイス > 「それを言ったら裏路地でつぶれてるのが一番ダメな奴だな」

ベンチまで移動し、腰を下ろしたのを見て手を離す。
そのっま屋台で違う飲み物を買って渡す。タピオカが入ったミルクティーだ。最近このあたりではやっているらしい。

「見えないものはやばいが楽しい。狂気の沙汰ほどなんとやら、だ」

冒険者としてやっている自分は、未知のものというのが大好きだ。ただ、やはりそれは危険なことであり、人に勧められるものではない。

「わからなければ近寄らない、という方法もあるが、そのあたりは人次第だな」

自分の文のタピオカミルクティをチューと飲み始める。すさまじく甘かった。

「そういえば自己紹介してなかったな。ヴァイスという。冒険者だ」

サナ > 「……う」

これ以上ないくらいの反撃に言葉に詰まり、ベンチにぱたりと横伏しになる。屋台に向かう背中をぼんやりと眺めていたが、戻ってきて差し出されるコップをまたも受け取って

「狂気に染まることもあるの。少し見てみたいね」

路地裏で潰れている人間を見て立ち止まり、ジュースを差し出す男が。本能を剥き出しにしている姿、というのは。想像がつかない。冷たいミルクティを指で囲い、

「……逆に私がやばいとか、思わなかったの。
例えば裏にこわいひとがいて、構ったとたんに取り囲みに来るとか、」

ミルクティを飲む男の顔色をじっと窺う。


「おいしい?」

「……ヴァイス。サナ、だよ。腕っぷしが立つの、」

冒険者、に単純な連想

ヴァイス > 「あー、まあやばかったら物理で解決するだけだな」

むん、と筋肉を見せつける。その腕の太さは、サナの腰、まではいかないが太ももぐらいはあるかもしれない。

「まあ、正直その辺は勘が働くんだ。この子はいい子だなーって」

そういいながらサナの頭をなでる。

「ああ、すさまじく甘いがおいしいぞ。ほら、遠慮せずにのめのめ」

ぶっといストローからタピオカを飲み干していく。

「腕っぷしは立つ方だな」

そういいながら目が合う。なんとなく不思議に思われているのを察するだろう。

「街中で狂気に狂ってたらそりゃ変人だろう。衛兵案件だ。だが、冒険している間なんて殺し合いがしょっちゅうだ。正気ではやってられないさ」

弱い相手だろうと、こちらを殺そうと、もしくは逃げようと必死なのが冒険や狩り、戦いというものだ。そんな空間に正気では長くはいられないものだ。
自分の狂気を知り、その狂気とうまく付き合うのが冒険者には必須だと思っている。

「そういうサナは何をしているんだ?」

飲み干し、手持ち無沙汰になってサナの頭をまた撫でてみたり

サナ > 「その解決方法はずるい。私が太刀打ちできないやつじゃない。」

冷え切った指を伸ばし、隆起した筋肉に触れようとする。ぴとり、と。たぶんかなりひやっこいやつ。

腕の太さ、だろうか。それを眺めて、ミルクティをベンチに置き。無造作にぴらと裾を持ち上げる。己の膝上よりはふとさがありそうだった。検分。

「分からないよ?案外狡くて、悪巧みするかもしれないよ。」

言い募ってみる。
大きな掌に撫でられるのは案外心地よい。目を細める。

「甘党なの。意外だね。……頂きます。

……あ、おいしい。……美味しい……?」

横になったままストローから飲んでみる。想像以上の甘さだった、かもしれない。ごく平気そうに飲み干す様子に瞬きの回数が増える。


のろのろと身体を起こして向き直る。

「今は正気のヴァイスなんだね。バランスが取れてるのか、アンバランスなのか、わからないね。」


「………私は旅かな。点々と、適当に。少しだけ、装飾品を売ったりもする。…もっと。」

撫でて。ぐいー、と掌に頭を押し付ける。

ヴァイス > 「よしよし」

撫でてと言われれば調子に乗り、頭をなで続けるだろう。本当は猫を撫でたくて練習したスキルなのだが、少女を撫でるのにしか使ってない気がする。その方がやばい気がして気づかなかったふりをする。

「サナはずるくて悪だくみするのか。例えばどんなことするんだ?」

とても悪だくみができるタイプには思えないが、それなら乗ってみようと思いながらも空いた手でプニプニと頬をつつく。
まあ、今の持ち金ぐらいなら全部はがれてもそこまで困らないし、などと思いながら、ほっぺをプニプニする。

サナ > 猫の喉を持っていれば鳴らしたい所、生憎ひとだったので、鳴らせない。
フードを被ったままだから、相手が触れるのは柔らかい髪…ではなくちょっと草臥れた布。
例えば、と聞かれた首を緩く傾げて瞬間に考える。悪だくみ、とすれば。

ことり、とミルクティーのコップをベンチに置いて、
頬をつつく手に指を絡めとる。とん、と。男に寄り掛かり、空いた手を胸元に滑り込ませ―――――   財布が無いかごそごそ探る。もしそこにあればしっかり抜き取ろうとするだろう。

「例えばこんな?」

取って付けました。

ヴァイス > 「ははは、なかなか悪いことするな、サナは」

胸元をあさると小銭が数枚。さっきのジュースが買える程度の小銭が入っていて、それを抜き取れるだろう。

なかなか器用だが、漁り方が下手でこれではすられている側が気付いてしまうだろう。そんなところがまたかわいらしい。
小銭はまあ、そのかわいらしさの対価だと思って許そう。

どことなく誇らしげなその表情の頬をプニプニと指先でなぞる。

サナ > 「…あった」

何か見つけた手ごたえ。指を引き抜くと、硬貨が数枚。
宝探しを果たしたような満足感にうんうんと数度頷いた。
ちゃり、と。掌で数度転がして。

「驚かないね。貰ってしまって、良いの。」

抜き取ろうとしたけれど、良いよ、と言われると躊躇う。
潰れているところをジュース、水、ミルクティ…と奢ってもらった。なけなしの良心が疼き気味。もぞ、と身を起こして座りなおす。左手にミルクティ、右手に硬貨。

ヴァイス > 「サナはいい子だなぁ」

頭をなでなでとなでる。
盗んでおきながら戸惑うんだから世話が焼けるというか、かわいいというか。

「まあ、どうしても気になるなら貸しにしておこう。そのうち返してくれ」

大したものを渡したわけでもなし、こうやって楽しく話すだけでも満足だが
まあ、貸しにしておくのも楽しいだろう。
少し落ち着かない様子の少女を撫で、ミルクティが飲み終わるまで見守るだろう。

サナ > 「なんで、」

悪巧み度が低すぎたらしい。それ以上のものが咄嗟に浮かばないあたりが反駁しきれず、複雑そうにミルクティを味わう。
甘すぎるところもあるけれど、タピオカの粒は弾力があってとても美味しい。
もうひとつ食べようとして、ず、とすする音を立ててしまった。

「じゃあ、遠慮なくいただくね。返すって、硬貨で返すの」

トイチだろうか。飲み終わるとご馳走様、とコップを置いて。

ヴァイス > 「トイチはたけーな。恩を覚えたら返す、それだけだ。返す量は自分で決めればいいだけさ」

そう言って立ち上がる。人通りの多いココから帰るのは、危なくはないだろう。
おかれたコップを捨てるべく疲労。

「じゃあな、サナ。もしも護衛とか、採取とかあったら依頼してくれよ」

最後に頭を撫でて、立ち去ろうとする。

サナ > 「うん、わかった。考えておく、

……もてそう…

じゃあね。気を付けて、」

コップまでもっていってくれる様子、細やかな気配りに思わずぽつりと零す言葉。

撫でる手にくすぐったそうにして、背中を見送る。

ヴァイス > 「モテねーから困ってるんだよ」

苦笑して手を振る。そうして男は町に消えていくだろう。

サナ > 「気付いてないだけなんじゃ、」

ちょっと笑ってベンチにもたれかかる。背もたれに腕をのせ、少しの間だけ目を伏せる

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」からサナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」からヴァイスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にクロニアさんが現れました。
クロニア > 何時もなら時間的に王城のバルコニーで不貞腐れているか、
若しくは社交界で愛想を振り撒いている真っ最中であるが、
今夜はどちらでもなく富裕地区の大通りを護衛もつけず一人で歩いている。

理由は昨晩メイドに誘われて呼び出された事にあるのだが、
まあ独り事であるので忌憚無く言ってしまえば「巻き込まれた」のである。

誰が上だの誰が下だのという非常にめんどくさい争いにだ。

それを避ける為にただただ愛想を振り撒き、メイドの尻を撫で、酒を浴びるように飲んでいただけなのに、
父上殿が余計なことをしてくださってお陰で、彼らのターゲットは見事自分となり、
判りやすくらいに命を狙われるハメとなったのだ。

「……で?親父殿は騙されて俺の私兵を伴って旅行?オレ留守番?誰も居ない屋敷に?」

地下室の玩具すら開放して、父親は旅行だそうだ。
ふざけるなと此処から叫んで通じるなら叫ぶが、
一先ず今はそれよりも安全な場所を探す方が先で、
王都に幾つか出資している教会に飛び込むか、それとも王都を出るか、
幸い私兵が戻ってくれば屋敷が非常に安全になるのだが、
それまでが……それまでが……。

頭が痛い。
幸い個人の資産が幾らかあるので餓死することはない。
貧民地区に堕ちる事もない、だが……本当にどうするべきか。

思わず頭を抱えてしゃがみ込みたくなるが、それも耐えてただただ歩き続けるのだった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 公主たちが媚を売ったり、その裏で帝国製のうすら暗い刃を王都の王侯貴族たちへ差し向ける宴の日々。
降嫁騒ぎが続くなか、冒険者ギルドもその動向に目を光らせている。
そのギルドに所属している褐色肌の遊牧民はひとり、王城内での密かな監視任務を終えて帰路についている途中であった。

着慣れない装飾華美なメイド服のロング丈を膝上で揺らし、普段履いているブーツとは違ってきちりと詰まったエナメルシューズの靴音を高く歩く。

「ひとまず今日は異常なし、……っと。
メイドのフリして催しの裏方をして、怪しい動きが無いかどうか見張るっていうお仕事も、ちょっと楽しくなってきたかも!
……このカッコも、気に入っちゃったよ」

他にも雇われているギルドの同僚に夜番を任せ、富裕地区から、住処である平民区の宿へと続く大通りを静々と歩く。
王城に出入りするようになって、背を伸ばした女給めいた歩き方も少しずつ様になってきたと思える。そんな自分や、馴染んできたメイド服に口元そっと笑み浮かべ。

……と、気づくと金髪碧眼に仕立ての良い、糊の効いたシルクシャツをまとった人影がどこか項垂れたような様子で歩いているのに気づく。
降嫁騒ぎに巻き込まれたのだろうか。関連して、いつにまして浮き沈みの激しい金ぴか社交界の犠牲になった人だろうか。

ギルド依頼で王城の内情を偵察する身としても、また人としても今にも頭を抱えそうな様子が気になり。そっと横から近づいていき。

「……こんばんは!領主さま。
どうかしましたか?ひどく暗いお顔ですけど……」

そう、にこやかに声をかける。
名前や身分は知らないので、ひとまず粗相のない呼びかけをしてみる褐色肌の小柄なメイド。

クロニア > 趣味で剣を振るうことも私兵を伴って遺跡に潜ることもしない、
普段から屋敷に篭る人形遊びや酒にご禁制の品にと健全から程遠い生活を送っている人間には行き成り横から近づいてくる人物に気がつけるような技量は持ち合わせておらず、
不意をつくように行き成り現れたとしか思えない人影に行う行為は平手打ちだった。

昨晩あれに巻き込まれていなければ驚きながらも穏やかな対応が出来ていたが、今宵はそうもいかない。

元々小心者である。
命を狙われることがあっても自らを守る兵がいた。
だが今は謀略により丸裸であり、気配を探るなど出来ない人間が不意の行動に対処するとすれば攻撃的行動でしかない。

空を切るか否か。
声をかけられた瞬間に相手のほうを振り向き、隠せていない酷く怯えた表情を一瞬だけ浮べて、
その一瞬で相手の頬に向けてその平手打ちを放つ。

狙いをつけて命中させる、と言う意思が皆無の怯えによる反射的行動。

相手がクラシックなメイド服を着ていた所為も有り、
普段からメイドに対しての扱いがわかる行為である。

そして向けるのは完全に警戒色を見せる揺れるエメラルドかアクアマリンか両者の中間とも言える透き通るような眼差し、
それに宿る警戒と疑念の眼差し。

――…そして無言。

タピオカ > まず何より先に手が出る人は冒険者にも居た。
以前知った事のある職人もそういう人は居たし、自分の故郷でも文句を言うより先にナイフを飛ばす人は居る。

反応は人それぞれだし、その人それぞれには本当にそれぞれのバックグラウンドがあるんだと思う。
それが時々自分の予想の斜め上をいっていたとしても、自分はそれを受け止めるだけだ。受け止めて、行動するだけ。
王侯貴族、騎士、商人、農民。そして冒険者。
身分の違いで主従関係は発生するだろうけれど、基本的に自分も相手も、自由に振る舞っていいと思う。

だから、声をかけた一瞬で怯えた表情を浮かべるのなら、さらに優しい言葉をかけようとするし。
その言葉を発する前に、平手が飛んでくるのなら――。

「……どうしましたか?
僕は、この通りに王城に努めているしがないメイドですよ」

ぱちん。それをそのまま頬で受け止めた。
軽く赤らみ腫れた頬のまま、青緑か蒼の宝石か、あるいはその両方の性質を備えているのか、空と海と山の色を混ぜ込んだ神秘的な輝きの瞳で警戒を見せる相手へ、
そのまま無言になる相手へと、にっ、と笑顔を向ける。

「いきなり会ったメイドに心を許せ、なんて言いません。
でも、あまりにあなた様の顔が思い詰めていたから。
……もしかしたら僕が力になれるかもしれません。
何か困っていれば、お話してもらえませんか……?」

相手の平手の腕を払いのける事もせず、笑みを深め。