2019/09/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にフレアさんが現れました。
フレア > 富裕地区の通り。
夜会の帰り、という風情でゆっくりと歩く。
周囲にはそれなりに人通りがある。
貴族達に混じってチラチラと異国風の姿が混じるのは噂の公主達の関係者か。

(まぁ、私にはあまり関係のない事ね。楽しめるなら別だけど。)

そう思いながら周囲には視線を配る。
今の所誰かに咎められる事も、呼び止められる事もない。
本来なら誰かに送ってもらうのが自然な所であったが…。
今日の夜会はすこぶる退屈であったので、こっそり抜けてきたという話。
ドレス姿の婦人一人では少々浮いているかしら、と思うものの。

それはそれで、楽しめる相手と遭遇する事があるかもしれない。

と、あまり期待はせずに帰路を緩やかに歩いていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」に紫霞妖仙さんが現れました。
紫霞妖仙 > その通りに、一台の牛車がゆっくりと入ってくる。

時間から察するに貴方と同じくどこぞの夜会帰りであろうが、目を引くのはあまりにも豪奢な造り。水にぬれたような黒い車体には金襴の如く惜しげもなく金細工や装飾が施され、少し離れているのに惜しげもなく炊かれた香の香りがあなたの元にも風に乗って漂ってくるし、その周囲には護衛の武官すら美女で統一された侍従たちが静かに付き従ってすらいる。

一種、滑稽なまでに贅を尽くした列は通りの注目の的だ。例の公主、というやつであろうか。

「今宵の夜会は退屈であった。この国の連中は贅沢の尽くし方というものを知らん。これ、なんぞ面白きことはなかろうか。」

と、あなたのそばをその車が通りすぎる時、かすかに女官と中にいる貴人のやり取りが聞こえた。女性の声だ。それに対して、女官は困ったように今宵はもう屋敷にお戻りになりませんと、などと貴人をいさめているが……。

「夢幻窟とかいう出し物ならちと楽しめるかもしれぬ。それともほかを当たるか……。」

貴人はどこ吹く風という風にそれを受け流しているあたり、まさしくわがまま放題のなかなか手がかかりそうな人柄を感じられる。

フレア > がたごと、という派手な音。
通り過ぎるのは牛に引かせた車。
この国では牛は農耕用の家畜であり、移動に使われるのは馬だ。
派手な装飾といい漂う香りといい、十中八九中にいる人物は公主だろう。

(暇しているようね。)

聴こえてくる声に、ひょっとすると同じ夜会に出ていた人物かもしれないわね、と苦笑する。
公主という人物たちと面会する機会はなかった。
少し絡んでみるのも面白いかもしれないが…。

ぽ、と一瞬だけ指先に焔を灯す。
ふうっと揺らしてあげれば、侍従の一人が視線をとられるだろう。
幻を見せる炎。その侍従の視線に自分しか映らないようにしてあげる。
もし主がそれに気づいても、その頃には焔は消えているだろう。
あくまでも侍従を介し、普通の貴族の女性に対する興味を向ける為のもの。

紫霞妖仙 > ちょうど、牛車の横に馬を付け、貴人とやり取りをしていた武装した侍従がその焔に反応した。
マグメールの人間のようだが、シェンヤン風の鎧装束を付けており、王国が用意した警備要員だろう。
話している間にもぬかりなく、周囲を警戒していたと見えて、故に灯火に視線を奪われた。

「……妾以外に興味を示す事、まかりならぬ。」

しかし次の瞬間、まるで最初からそこにいなかったかのようにその侍従は消え失せてしまった。
主を失った衣服と鎧武具が馬の背からガシャンと地面に落ち、それを合図とするように牛舎は止まり。

「そなたか。不快よの。」

牛車の簾の奥から、明確にあなたに向けた声が響く。

武装した警備の侍従たちが殺気立って集まってくるそぶり。
しかし、鈴の音が1度響くと、指示を待つように怪訝な顔でぴたりと動きを止め、
もう一度の鈴の音で、どこからか牛車から降りるための階段を取り付け始め。

「いや、面白きことに出おうた、というべきか……。」

ようやく、簾の奥から現れたのはおしろいで顔を白く塗った女。
しゃなり、しゃなりと芝居めかして取り付けさせた階段を降りれば、
赤い隈取めいたメイクの施された鋭い瞳で貴方を見据えて。

「なるほど、術師か。わらわも仙法を修めたが、
 そなた、なかなかの手合いに見えるの。もちろん、わらわには及ばぬがな。」

くふ、と喉の奥を鳴らすようにして女は笑う。
あなたほどの魔女であれば、この女が危険な存在であることが分かるだろう。
実力だとか、そう言う類ではなく、修めている術の方向性、とでもいおうか。
毒虫がよりよわい毒虫をいびり殺すための性悪の術をこの女は使うのだ、ということを
理屈ではなく、感覚で理解できよう。

フレア > 声とともに消え失せる侍従。
あら、少し悪い事をしたかしら、と悪びれのない表情で考える。
聴こえてくる声にふぅんという視線を向け、大仰に表れる姿にくすりと笑みを零した。
どこか遊女のような衣服に、白く塗られた肌、赤いアイライン。
見目に妖美な女性を前にしても、銀髪の魔女は然して怯んだ様子もなく…。

「しがない魔女ですわ。えぇ、貴女に及ぶ事など無いでしょう。」

控えめに発せられた声は甘い。囁きのような言葉。
目の前の女性からどことなく感じる力。
自身とは違うものの、よく知る感覚。

(薬物かしらね?)

と当たりをつける。薬品の作製もウィッチクラフトの一つ。
調合している時とよく似た感覚を受ける。

さて、自身の使う術をこの目の前の女性は見抜けるだろうか。
先程声を発した際に少しだけ誘引の魔力を忍ばせてはみたが…?

紫霞妖仙 > 「ほう、身の程はわきまえておるようじゃな。」

目の前の女は控えめなあなたの言葉に、一瞬気をよくした風にも見えた。
最初におもしろい、といいながらも女の視線には、どちらかと言えば敵意めいたものが、
もっと言えば、子供がなんのきもなしにひねりつぶすための蟻の巣を見つけたようなところがあった。

しかし今は、もっと邪な欲望めいたものがあなたに対して注がれているようにも感じられ――。

「しかしながら異国の仙……こちらでは魔女だとか魔導士だとか言うと聞くが。
 それをわらわの女官の一端にいれておくのもおもしろかろう。それに少々――。」

次の瞬間だった。

「その小奇麗な顔と態度が苦痛に歪む様も見てみたい。」

マグメール近辺で使われるものとは違う、何らかの術式が周囲を満たし始める。

あなたの放った誘引の魔力。本来ならば文字通り灯火に蛾を寄せるような物であろう。
しかし、今回に限って、飛び込んできたのは毒蛾も毒蛾であった。

紫霞妖仙 > 街角でふいに二人の女によって開かれた戦端。それがいかなる末路を迎えたかは誰にもわからない。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」から紫霞妖仙さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」からフレアさんが去りました。