2019/07/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 とある屋敷」にエレオノールさんが現れました。
■エレオノール > 「ふぁ……今日のディナーはまずまずでしたわね……。文句があるとしたらパーティーの来客層かしら」
今宵もパーティー会場に潜り込んでは、好き放題に料理を食べてそのまま寝床の屋敷に帰ってきた母狼。『子供たち』とのふれあいも済ませて、今日はもう寝てしまおうかと豪奢な天蓋つきの寝台に腰を落として、しかし、体の奥の火照りは誤魔化せない。このままだと今夜はぐっすり眠れそうもなかった。
「……しかたありませんわね。使いましょうか」
唸り声とも、怪しいまじないともつかない、喉をならすような音は『人寄せの結界』の詠唱。これにひっかかった男は、『用事を思い出して』、あるいは『なんだか気になって』この屋敷を訪れることになる、はずだ。そうすれば子供達の一人が寝室にその獲物(というのはあくまで比喩だが)を招き入れるだろう。
……あるいは、おかしな魔力の流れに気がついた賞金稼ぎが乗り込んでくるか、好奇心旺盛な魔術師辺りが探りを入れてくるかもしれないが、それはそれで構わない。
とにかく、今夜はそれをゆっくり待とう。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 とある屋敷」にフィルさんが現れました。
■フィル > 平民地区に比べれば大分道も整っており、綺麗な家々が立ち並ぶのは流石富裕地区といった所だろう。
夜になっても人々が行き交う中、ローブのフードを目深にかぶった少年は少し軽い足取りで、辺りをうかがうようにして進んでいく。
余り足を運ばないこの地区への配達の仕事が思ったより早く終わったのだろう。
美味しいお店がないか、変わった道具などが置いてあるお店はないか。あまり見かけないような、不思議なお店はないか。
そんなどこか楽しげな様子で、折角なのだから寄り道の一つでも、といった所なのだろう。
戻る道もこの地区であれば、平民地区や貧民地区に比べて危険も少ないのは間違いなく。
どうせなら、来た道とは別の道で寄り道半分で、見てない道をとその姿は地区の奥へと踏み込んでいくことになるが。
「あれ…配達は全部…終わりました、よね。
ここって…予定ありましたっけ…」
そんな風に足を進めていれば、一つ気を惹いたのは、ある豪華な屋敷。
全ての配達が終わったはずなのに、この場所に様があったような、そんな気がして気になり始めたようであり。
空になっているはずのポーチの中を確認しては、その屋敷の方へと足を踏み出しながら、その何かあったはずの用事を思い出そうとしているようである。
もっとも、無いはずの用事を思い出せることはなく。
配達の聞く予定があった、などといった、都合の良く何かしらあったはずというその感覚に答えを出すことになったようであり。
「あの…すみません…。
夜分遅くに申し訳ないんですけど…家主の方おられますか?」
やがて、一歩一歩踏み出すままに屋敷の扉をノックすれば、迎えに出てくる子供へと、慌てて頭を下げ。
丁寧にあいさつを送るままに招かれれば、素直に案内に従って屋敷へと入り込んでいくだろう。
魔力の流れに関してはどうやら全く気付いている様子はなく。
きらびやかな内装に目を奪われるようにキョロキョロしては、自らの衣服のこの場所の釣り合わなさを気にしているのか。
少し落ち着かない様子で、案内のまま後にどこまでもついて行くだろうが。
■エレオノール > 玄関の扉をノックする音、幼い声、扉が開く音……微かにではあるが、それは確かに狼の耳に届いていた。狙い通りに誘い込めたその相手は、きっとここまで通されるだろう。しかし、気になるのはその相手がどんな人物かと言うことだ。声といい、足音といい、小柄なのは間違いない。子供だろうか?しかし、それだけでは説明できない違和感もある……。
「……よく来てくれましたわね。私はエレオノール。この屋敷の主ですわ。どうぞよろしく」
ともあれ、客人がこの部屋まで通されれば、立ち上がってそう挨拶するだろう。それはどうあっても変わらない。
■フィル > 自らの寝泊りに使っている宿の部屋がいくつ入るだろうか。
入口どころか、廊下ですらそう思えるほどの広さなのは、間違いないだろう。
時折目に入る、扉の隙間から見える部屋は隙間からうかがえるだけでも、確実に自らの部屋より広いの確信できるのだから。
「あ…はい!
初めまして…お初にお目に、かかります。フィル=クォーレンスといいます。
宜しくお願い、します」
やがて通されるままに、顔を合わせる家主の女性へと、慌てて頭を下げる少年。
服装や物腰もどこか屋敷に似合うような優雅さを感じられ、少し緊張してしまっているようであり。
自己紹介の言葉も少しだけ、ぎこちない物を感じさせてしまうかもしれないが。
緊張感を感じさせてしまう原因は、思わず視線を逸らし気味にしてしまっている。少年の目を引くスタイルも一因なのは間違いないだろう。
「あの、確か…配達のお伺いを、エレオノールさんは頼まれていました、よね?」
勿論そんなものはないはずである。前触れもなく突然そう思ったから屋敷へと踏み込んだのだから。
けれども、そうだったはずと思うままに、そのまま数歩家主の女性へと足を進めて、少年は訪ねていく様子をみせていく。
今宵は変化ではなく阻害で街を歩いていたのだろう。
彼女が魔に長け、感覚にも優れていれば、少年の本当の姿である、狼の姿が見抜けてしまうかもしれないが。
■エレオノール > 「配達……?まぁ、貴方は配達のお仕事をしてますのね」
不思議そうに首をかしげてから、にっこりと微笑んでみせる。それは社交辞令でもなんでもない、愛らしい少年を目の前にして当然そうすべきという表情だった。
彼の姿を見る前から感じていた違和感は依然として拭えないが、それがかえって好奇心をかきたてて、
「……そうですわね、あなたにひとつ配達を頼んでいましたわ、フィル」
そう言いながら彼に近づいてみて、ようやくわかった。彼が自分と同じように魔術を使って認識を惑わせていること。そして、彼も自分に近しい存在であること。
そのことを彼にも知らせようと、かがんで視線を合わせると、微笑みはそのままに頭頂部から耳を生やして見せた。
金色の毛の、狼の耳。それを見せつけるように首をかしげて見せる。
■フィル > 「え…?
あ、はい…大元は平民地区の、小さな雑貨店ですけど」
尋ねかけられるような言葉に、少しだけ不思議そうに首を傾げたのは、配達を頼まれていたと思い込んでいるからだろう。
相変わらず少し、視線の落ちつけどころが見当たらない様子であるが。
その笑みを受ければ、つられる様に小さく緊張していた表情からは笑みを零し返し。
胸元に視線が向きそうになるなら、とその視線は柔らかな微笑みを向ける、その彼女の表情へとじっと向けられることでおさまり。
「やっぱり、間違いじゃなったですよね。
えっと…それじゃあ、どういう配達内容でしたっけ…荷物はなかったと思うんですけど。
って…え…?狼…の耳?エレオノールさんも…人じゃ、ない?」
やはり間違いではなかった、その言葉にそんな安心をしたのだろう。
それなら何を頼むために呼んだのか、それとも無自覚なだけで荷物を何か預かっていたのか。
そんな様子で、お仕事スタイルで言葉を続けていこうとするだろうが。
不意に視界に入るのは、その頭に生えてくる耳。突然のことに目を丸くして驚いたようであるが。
態々それを見せるという事に、少し感じた物もあるのだろう。
驚かせない様に、自らも阻害魔法を緩め。ピョコンっと薄灰色の毛並みに包まれた狼の耳を、頭頂部に生やして見せ。
狼であるが故の癖か、同族のような物なのかとおもえば、スンスンっと少し視線を合わせてきた彼女へと、鼻先を出すようにして鼻を利かせてしまい。
■エレオノール > 「うふふ、多分、貴方と全く同じというわけではないかもしれませんけれど……」
変わらない微笑みを向けたまま、優しく彼の頭を撫でる。灰色の耳が愛らしい、狼の少年。7番目の息子がまだ幼い頃はこんな耳をしていたな、と思い出しながら、ますます愛しさは募って、
「かわいらしいお仲間の配達、お疲れ様ですわ」
くすりと笑い、耳をピコピコ動かしながら言うと、彼の鼻に自分の鼻をくっつけて、犬や狼が挨拶するような仕草。そのまま、調子に乗って顔を近づけた。まるで自分の子供にそうするように気安く、唇を軽く触れあわせる。
■フィル > 「でも…香りも狼に近い感じですし…。
富裕地区にも…化けてる方いたんですね…」
自分以外にも人に化けて人に紛れて生きている人々はいる。
それは分かっていても、あまりおいそれと出会えるものでなければ、予想外の出会いに驚きながら、嬉しい物はあるのだろう。
近しい様な種族であればそれは、尚更のようである。
自らの生まれの場所には久しく少年は帰っていないのだから仕方ないかもしれず。
「仲間の配達…あれ、配達物って…僕…んっ!」
そう、配達物は自分である。
一瞬だけ戸惑いながらも、配達物が無いのに、配達をここから頼むのではないのだから、自らが配達物として自らを届けに来た。
そう思ってしまえばどこかしっくりきてしまった部分があるのだろう。
魔力の流れに導かれてそう思い込んでしまってきた、というのはあってもそれ以外は特に影響を受けた様子はなく。
不意に触れあわせ、唇を振れ合わされれば、ビクリと身を震わせながらも、頬を朱に染めてしまうことになる少年。
多少は異性になれてきていても、まだまだな部分は多いのだろう。
それでも、嫌がる様子はなく。既に彼女に少し見とれいていたたのもあり、思わずふわりと表情を緩ませて、唇のお返しのように、少年も鼻先を触れあわせ返そうとしてしまい。
■エレオノール > 向こうからも鼻を差し出してくると、こちらもそれを受け入れる。もうすっかり彼のことを気に入って、本当の息子のように思えている自分にようやく気づいて内心少し驚く。
「ええ、私も狼ですもの。ん……ふふ、私も、私達以外にこうして潜んでいるものがいるなんて、知りませんでしたわ。他人の秘密になんて興味ありませんもの。……こんなにかわいらしい秘密なら別ですけれど、ね」
もう我慢できないと言うように、彼の背中に手を回して抱き寄せる。自然、胸の膨らみが押し付けられる形になるが構いはしない。それこそ自分の子供たちにこうして胸を押し付けるのも、母性の表れであり、スキンシップの一環だ。……向こうがどう思うかはともかくとして。
■フィル > 「可愛らしいって…行ってもらえるのは、その…嬉しいですけど。
本当の姿はもっと…獣の狼に近い姿で…」
耳しかまだ出してはいない分、尻尾どころか顔も狼にかなり近い本当の姿はまだ出してないから、可愛いの言葉に気恥ずかしくも複雑な所はあるのだろう。
ちょっとだけ、落ち着かなく耳をピコピコと震わせながらも、不意に抱き寄せられればまた一つ目を少し丸くするが。
次に包まれるのは、そこらでは見かけたことのない大きさを持つ胸の柔らかさであり。
「わ…っふ。
僕も…同種に近い人…は余り町で見かけないから…嬉しいん…ですけど」
女性として豊かな肢体であり、包容力は大人の女性をしっかりと感じさせる雰囲気の彼女である。
その香りに包まれ、その柔らかさに包まれ、優しく好意にも感じられるような感情を向けられれば、心地よいのだろうが。
少し落ち着かない部分があるとすればそれは、少年の同種であり雄であるというところだろう。
スンスンと抱き寄せられるままに、彼女の首筋や胸元に鼻を利かせるように、顔を軽く押し付け返しそうに動いてしまえば。
返すように少年から零れる雄の香りは確実に強くなりつつあるのを、感じられるだろうか。
■エレオノール > 「あら、そうなんですの?それでも、私は構いませんのよ……私なんて、もう狼か人間か、どっちの姿が『本当の姿』かわからなくなりそうになってますもの」
くすくすと笑って自虐していると、彼が落ち着かなさそうに鼻を鳴らしているのに(遅まきながら)気づいた。自分の子供ならこうしてあげればリラックスして甘えてくるところなので、なんだか新鮮に感じる。
しかし、その落ちつかなさがどこからくるのか、ということにも気づくと、優しい笑みはいたずらっぽい笑みに変わった。
「……フィル、私が何故あなたの『配達』を頼んだかわかるかしら。私、今とっても寂しくて……一緒に寝てくれる人を探してましたの」
優しく、しかし艶めいた声で囁くと、ようやく身体を離した。けれど、彼を見つめる瞳には潤みと熱がこもっていて、寝台の方へと誘導するように彼の腰をとんとんと叩いた。
■フィル > 「僕はまだ…ヒトの姿でいる方が短いから、かもですけど…エレオノールさんの狼の姿はやっぱり…綺麗でかっこいい、でしょうか…」
人か狼か、姿自体が気にならなくなるというのは、どちらの姿にも長く慣れていれば間違いなく至る感覚なのだろう。
それでも、少しだけ彼女の狼としての姿にも興味が向いてしまうのは、やはり同族近い人に合えたことからくる興味心かもしれない。
そんな事を零しながらも、緊張は大分緩むように体から無駄な力は大分抜けているというのに、今までの緊張とは少し違った緊張をしたままであれば、少し滑稽にその様子は感じられてしまうかもしれず。
「一緒に…ですか…?
もう今日はこれで仕事ないですし…大丈夫、ですけど…僕で、よければ…はい」
どういう意味での寝る意味か。そんなことに思考を巡らせてしまえば、少々熱に濡れた想像も浮かんでしまうのだろう。
けれども、きっとそういう意味ではないはず、と自分に言い聞かせるような少年の様子は、気づいているのに気付いているふりをしているのにも近いのかもしれないだろう。
その視線に声色にピクリと身を震わせながらも、腰を叩くようにして促されれば一つ頷く少年。
自分でよければ、そんな様子で腰を叩いた彼女の手を軽くきゅっと、自らの手で握る様にして寄り添うようにして寝台の方へと進んでいこうとするだろうが。