2019/05/26 のログ
ホアジャオ > 時折犬の遠吠えが響き渡るだけの、静かな夜の富裕地区。
街中に所々設けられている広場のひとつに、見るからにシェンヤン出身の女が一人、その中心にある噴水の縁に腰かけて足を組み、退屈そうに爪先を揺らしている。
周囲を木立で囲まれた広場は、その外側から内へはあまり見通しが良くない。
つまり、内側から外側も眺めづらい。
広場の中は他に、その木立の木陰にベンチがあるくらいで、眺めるものもあまり無いせいなのか…
兎に角その細い目の瞼を半分に下ろして、ぼんやりと噴水の音を聞いている。

「…嗯(はあ)……」

今日も今日とて、喧嘩にありつけない。
用心棒の仕事をしているというのに、喧嘩を売りに出歩かねばならないとは一体どういう事なのか…

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】 夜の広場」にダグラスさんが現れました。
ダグラス > 王都の中ではまだ治安が良いと言われる富裕地区。
だがそんな場所だからこそ暗躍する人間や魔族もおり。
今日はそんな人間の一人である貴族の元へ禁制品を届けた帰り。
部下と合流するために明かりも少ない夜道を歩き、近道として人気の少ない公園を抜けていく。
その服装や装備から堅気の人間でないことは誰が見てもわかるだろう。

ホアジャオ > とんと人影を見ずにいた所、通り過ぎる人影にはたと目を瞬く。
しかも…何となく、富裕地区には似合わない、明らかに後ろ暗いことがありそうな男。

「――…哎(ねえ)」

考える前に、男へと声を掛けてしまう。
そうしてしまってから、次ぐ言葉が見つからなかったので―――

「アンタ、ひまだったら喧嘩してかない?」

欲求そのままを言葉に乗せる。
どう見ても良家のお坊ちゃんとかではなさそうなので、ぶちのめした所で問題はないはずだ…
くらいは、後から思った。

ダグラス > 「あ?」

仕事だから来るのであってこういう高級地区の空気は何となく自分には合わない。
早く戻って酒でも飲もうと考えていたところに声をかけられれば眉を上げて声の主に視線を向ける。
服装を見た限りシェンヤン出身の女のようだ、最近特使が来ているというしその人間だろうかと勘案し。

「この俺と喧嘩だと?
 悪いことはいわねぇ、怪我する前にさっさとパパのところに帰んな」

喧嘩を誘ってくる相手の言葉に小さくため息をつき。
こんな子供に喧嘩売られるくらい弱く見えるのだろうかと自己嫌悪を感じながら。
追い払うように手を振り。

ホアジャオ > パパ?
言葉自体が聞きなれなくて首を傾げてから、ああ親父のことか、と一人頷く。

「つい最近家出したばッかだから当分ヤだよ…
そう邪険にしないでよ。
どっちが怪我するか、やってみても損はないと思うケド?」

どうやら言いぐさからして、腕に覚えがあるのは間違いが無いようだ。
紅い唇をにんまりと三日月にして、すうと立ち上がる。
怪我したら損に決まっているのだが、けらっと笑って。

「あンま、ヤだッてえなら…アタシが不戦勝ってことで」

ダグラス > 「あん?なんだ不良娘なのか?」

好戦的な笑みを浮かべる相手を怪訝な目で見ながら言葉を返し。
立ち上がった相手の身体をまるで品定めするように眺めてから頭を振り。

「わかった、相手をしてやるよ。
 ただし、負けたら怪我だけじゃすまねぇぜ?」

小娘相手に逃げたなどと後ろ指をさされても面倒だしと。
盾と斧を外して公園の茂みに投げて相手に向き直れば腕を組み。

「この地区で武器をぶん回すと仕事に支障がでるから素手だ。
 お前は好きにすればいい……いつでもかかってこい」

ホアジャオ > 「まあ、そンなとこ」

詳しく言えば家族全員不良だが、まあそれはこの際どうでもいい。
了承の言葉を得られれば更に嬉しそうに眼を細め、その目の端も桜色に染まってくる。
『待ち』の姿勢の男に、く、と一瞬顎を引いて。

「アタシも素手のが得意…
じゃァ、遠慮なくッ!」

言うが早いか
溜めの姿勢を取ることもなく石畳を蹴るたん、と言う音。
次の瞬きの間には、男すぐ傍をひゅん、と過ぎる女の三つ編み。
駆け抜け様の拳、脾臓への一撃を男は躱せたか――

ダグラス > 「っ……!」

相手が地面を蹴った瞬間姿が消えた瞬間に聞こえる風切り音。
人間の動体視力では見るのも困難であろう速度で飛び出してきた相手の攻撃を本能で半身を切って躱す。
そして相手が横を走り抜ける瞬間、自分を攻撃していった拳の手首を掴もうとする。
相手がそれに反応できないか抜け出せなければ一呼吸付く前にそこから相手の肩関節を外す様に力任せに引き寄せ。

完全にかわし切れなかったのか脇腹を血がにじむのを感じ。

ホアジャオ > 「!哇(わあ)!?」

駆け抜けようとした、その拳こそ捉えられなかったが、肘が強く男に掴まれ、そのまま肩が逆関節へと引き寄せられる。

「――ッとぉっ」

勢い、そのまま駆けようとしていた足をだん!と踏みこんで女の身体が宙を返るように飛ぶ。
肩は外されずに済んだが着地地点は相手の目の前、腕は捉えられたまま――

「ィヤァっ!!」

その捉えた腕に向け、自分からも下に引きながらの膝蹴りを繰り出す!
相手が手を離せば、そのまま後転して背後へ距離を取るつもり――

ダグラス > 引き寄せた力をそのままに宙を舞う相手が着地した瞬間。
相手の肘を掴んだ手は離さず、相手が反撃に出てくればさらに腕を引いて身体を引き寄せ。

「つ!っく!」

相手の膝蹴りが腕に当たれば骨が軋む痛みに眉を寄せつつも腕を離すことは無く。

「おらぁ!」

引き寄せた勢いを合わせてカウンター気味に相手の頬に向けて大きな拳を放ってみせ。

ホアジャオ > 「――ッ!」

引き寄せられたタイミングに合わせられた拳は躱しきれない。
直撃を避けるようにに首を傾げるのが精一杯で、それでもがん!という衝撃が頭を揺らす。

一瞬、たたらを踏むようにふら、と足を半歩下げた、次の瞬間に

「こ…――ンのォっ!」

掴まれた腕をこちらも引き寄せるようにしながら、弧を描く蹴りが女の体重を乗せ、男の頭目掛けて放たれる!

ダグラス > 「諦めの悪い女だ」

確かに拳には相手の顔面をとらえた感触を感じた。
相手が女であるからと遠慮をするような人種ではない。
ゆえにいまだ立ち向かおうとしてくる相手の闘争心に感嘆するように小さくつぶやく。

「甘いわぁ!」

体格差がありながらも腕にしびれを残すほどの重い蹴り。
ガードしても意味が薄いと判断すればその威力を十分に知ったうえで放たれる相手の蹴りに対し武骨な頭突きをかます。
武術のように整った相手の攻撃に反して力任せ、ゆえに威力にすべてを振った攻撃が相手のすねに当たればそれなりのダメージを与えるだろう。
だが、逆に石頭と言えど額からは血を流すことになるだろうが。

ホアジャオ > 「!痛ッた…」

ばん!と音を立てて脚と男の額とが打ち合う。
女の顔が歪むが、間髪置かずそのまま少し、足を上げて―――


「イヤァアッ!」

ひゅ、と風切る勢いの踵落としを、腕をつかむ男の肩へと落とす!
同時に、もう片方の手はその掴む肘を逆側からへし折るように放って――

ダグラス > 「クク!娘の癖にやるじゃないか!」

蹴りを受けて額から血を流しながら獰猛に笑みを浮かべる。
相手の脚が上がるのを見れば掴んでいた腕を離して肘を狙った攻撃はかわし。

「そりゃぁ!」

地面を強く蹴って相手に体重を乗せたタックルを放ち。
踵墜としの勢いが乗る前に相手の懐に潜り込めば踵ではなく太もも当りが肩にあたり。
そのまま抱きしめるように相手の背中に両手を回して締め上げようとし。

ホアジャオ > 「アンタも、良い石頭してンね!」

減らず口を叩きながら、頬を腫らした顔でこちらも笑みを浮かべる
相手が呆気なく離れ、打ち下ろす踵が着地する前に向かってくるのを視界に捉えた。

「!お、ッとっとぉ!」

肘が離れればこっちのもの、というように
男の腕がこちらを締め上げる前に、地に残した足で地面を蹴ると同時、肩に当たった太腿に力を入れてするりと男の背面へと抜け出した。

掴まれる危険は身に染みた。
後ろ蹴りを放ちながらくるりと身を宙に翻して距離を取って。

ダグラス > 「俺の頭を割ろうとしてくるやつがたくさんいたおかげだな」

身軽に自分の身体を乗り越え、背後に回る相手に向き直り。
額から流れる血を軽く服の袖で拭いながら相手に呼応するように笑みを浮かべ。

「おらどうした?顔がはれて親でもわからないようになる前にしっぽを巻いて逃げるか?
 裸で土下座するなら許してやるぜ?」

挑発的に言いながら軽く中指を立ててみせ。

ホアジャオ > 「哎――…アンタ、アタシんちの出来損ないみたいな事すンね…」

男の言葉には思わず眉を怒らせたが、仕草を見止めるとそんな言葉を漏らす。
ぽりぽり、と後頭部を掻いて。

「どォしよっか――」

言葉の途中でまたたん、と地を蹴る。
またしても掻き消えた女の姿は男の横をすり抜けると同時

「なっ!」

ぐ、と足を踏みしめ、それを軸に膝裏目掛けた空を切る鋭い蹴りを放つ!

ダグラス > 相変わらず動きは速かった。
まさに電光石火の如く走り抜ける相手の動きを止めることはできないだろう。
だが攻撃の瞬間には動きを止めざる得ない人間の限界は越えられないようだ。

「どぅりゃ!」

後ろで相手が止まった音が聞こえると同時に身体を回転させ。
放たれた相手の蹴り脚に対し、攻撃力に極振りし海の化け物すら殴り倒す拳を放つ。

ホアジャオ > 「!ッ」


カウンターの様に放たれた拳
自分の放った蹴りに身体を引きずらせるようにして半身を横にして躱す。
風切る音が耳元でして、三つ編みが拳に弾かれる音が聞こえた。
屈んだ姿勢、その自分の上でいっぱいに伸びた男の腕の肘。

(嗯(ああ)惜しい!)

もうちょっと体制が良かったらへし折れるのに!
こちらの肘を打ち付けるような素早い――だが軽い一撃を繰り出しながら、軸足をまた踏み切って男の横をすり抜けていく。

打って、離れる。
基本だけれども。

―――ううん、我ながらもどかしい。

紅い唇が、むずむずと動く……。

ダグラス > 攻撃もさることながら回避もかなりできるようだ。
不安定な体勢からこちらの拳を交わし、離れ際に一撃を放っていく相手を見送れば軽く手を振って具合を確かめる。
やはり体格差はあるのだろう、速度の乗った一撃は重いが咄嗟の攻撃はさほどのダメージはない。

「終わりか?ではこちらから行くぞ!」

ここまでの受け身からの攻撃から一転し、地面を強く蹴れば土埃とともに相手に突撃する。
船から乗り移る際に使われる脚力から放たれる突撃はまさに闘牛のような圧力を誇り。
相手の射程内に入り込めば鉄の防具も砕く肘うちを相手に放ち。

ホアジャオ > 「!哎呀(わあ)!!」

そもそも戦略を考える性質ではない。
突進してきた男に瞬くと、考える間もなくぽんと飛び上がって相手の頭上を飛び越える。
飛び越え様頭をふんずける欲求を我慢してそのまま着地すると、男に向き直った。

「明白了(わかッた)!―アタシの負け。
……いい勉強ンなったよ。ありがと」

まだむずむずとした表情でぽりぽり、と腫れていない方の頬を掻いて。
ごめんよ、と付け足す。
喧嘩を一方的に売っておいて、悪かったなあとは思っているらしい…

ダグラス > 「……ふん。」

肘うちを華麗に躱した相手が一転。
降参を宣言すればいぶかしむように目を細めながら鼻を鳴らし。

「つまらんことを言うな。
 小娘一人倒せないようでは俺が負けたも同然だ。」

海では海賊として恐れられている男が何たる醜態だろうかと頭を振りつつ。
捨てた武器や盾を拾いにいき、血で汚れた顔をポケットから出した布で軽く拭いて。

ホアジャオ > 「……じゃァ、アタシの勝ちでいい、てェこと?」

しれっと言ってから、冗談冗談、とけらっと笑う。
そうして腰に手を当て、額を拭く男に首を傾げて

「アンタ、頑丈だし強いねえ?
普段何してンの?…あンま、まともな感じじゃァないのは解るケド」

頑丈さも力強さも到底己には手に入らないものだが…だから興味もある。

ダグラス > 「別に構わねぇよ」

どうせ誰が見ているわけでもない。
相手が言いふらすタイプで無ければ名前に傷つくこともないだろう。
文句を言うやつがいれば潰すだけだが。

「まぁ、ちょっと海で暴れてるしがない船乗りってところだ」

相手の正体もわからないなか富裕地区で海賊だと大きく名乗るわけにもいかず。
少し誤魔化したように語る、どちらにせよ少し港で調べればすぐにわかることだろうが。

ホアジャオ > 鷹揚な男の様子に、へええと細い目が瞬く。
女の方も、実際自分が負けたと言う勝負を、言いふらすつもりどころか誤魔化すつもりもない…
問いの返答には反対へと首を傾げて、少し眉を寄せた。

「啊哈(ふーん)…
アタシ今までダイラスの港で喧嘩売りまくってたケド、アンタくらいの骨のあるやつに会ったことないよ…」

まあでも、矢張り船乗りを狙えば骨のあるやつに辿りつきやすいんだろう。
そう、解った(?)だけでも大変満足そうにうんうんと頷いて。

「アタシ、『ホアジャオ』ッてェの。
今は王都で用心棒のアルバイトしてンだケド、普段は大体ダイラスに居るンだ。」

男の言いよどんでいる雰囲気を全く鑑みず
また会えるかなァ?
なんて懲りない事を。

ダグラス > 「俺はダグラスだ。
 俺もダイラスによく寄港してるから、そこにいるならまた会えるかもな」

小さな港ではないが、相手くらい血の気が多ければ自分が行くような店で喧嘩しているところを見ることもあるだろう。

「その時までにはもっと鍛えておくことにしよう」

いつまでも部下を待たせるわけにいかない。
血が止まったのを確認すれば踵を返し。

「頬は氷できっちり冷やすといい。
 美人の顔が台無しになるのは損失になる」

言葉を言い残した後、夜の街に消えていき。

ホアジャオ > 「太好了(やったあ)!楽しみにしてるよ!
…アンタにもっと鍛えられたら、アタシもっともっと頑張んなきゃいけないじゃないのさ…」

不服そうに紅い口を尖らすが、吊り上った目尻が少し下がるくらいに眼は楽しそうだ。
お世辞を残して去っていく相手を、またねえ!と夜の広場に声を響かせて見送って。
一人広場に残ると、うーんと両手を上げて身体に伸びをくれる。

「哎呀(あーあ)……ホント、楽しかッた!」

腫れた頬も何のその。
上機嫌に、跳ねる足取りで広場を去っていく…

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】 夜の広場」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】 夜の広場」からダグラスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 小雨煙る宿【イベント開催中】」にナインさんが現れました。
ナイン >  ――――たく、酷い目に遭った…

(薄く濡れた髪を梳いて。息を吐く。
昼から続いた祝宴が終わり、屋敷への帰路に就いた途上。
退屈しのぎに、祭で浮かれた町並の中を、一度歩いて見聞してみようかと。考えたのが運の尽き。
途中からやにわに空が臍を曲げ…つい先程、ぽつぽつと雨滴が降り出した。
常と違い、帝国風情を装うこの格好では、晴雨の傘も持ち合わせて居らず。やむにやまれず、目に付いた宿の楼へと飛び込んだ。

…タオルを借り、無造作にロビーの一角、ソファに陣取って。頭を乾かしつつ見回してみれば。
ちらほらと、同じく雨を避けてだろうか。…或いは、誰かと連れ添ってか。行き交う客足は、雨声に比例して増えつつあった。)

ナイン > (人の欲に貴賤など関係無いか。…否、寧ろ財なり力なり有る方が。より実践的で貪欲だ。
見るともなしの瞳を、客達へと向けていれば。男と女。女と女、男と男。はたまたそれ以外。
睦まじく腕を組む者達も居れば、あからさまに一方が一方を引き回す者達。
人目を忍び、遅れて一人ずつで扉を潜り。このロビーで合流出来た事に、安堵の貌を見せる者達。
実に様々な密通が此処には有った。)

 羨ましい事だ。…本当に。この為に、来ているのだろうし。

(城の宴とは真逆。…彼方は、あからさまな肉欲の裏側に。異なる、どす黒い思惑が見え透いてしまう。
お陰で酷く気疲れするし…だからこうして。一人で出歩いての気分転換も求めてしまう。

己も。今宵誰かが連れ合いとなってくれるなら。
多少は、気も紛らわせるのだろうにと。悪く言えば、人恋しさに。唇を歪めたか。)

ナイン > (――そんな、物寂しさ。或いは単なる欲望を。
ぶつける、晴らす相手を。その後見付けられたか否か。
よしんば都合の良さ気な誰ぞを、捕まえる事が出来たなら。

喰らう側、喰らわれる側、どちらだとしても構わない。己は双方愉しめる。
早速、この宿の本分を果たして貰う事として。少なくとも明日の朝迄は、客として部屋を取る事になったのだろう。)

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 小雨煙る宿【イベント開催中】」からナインさんが去りました。