2019/04/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/劇場」にアルフレーダさんが現れました。
アルフレーダ > 甘ったるい香が焚かれ、狂宴じみた空気の漂う劇場。
観客はこの国の王侯貴族だけでなくシェンヤン関係者を含めて公主の姿も目立つ。
これも彼女たちをもてなす一環で、無能で最低な性格でありながら国外に関わることの多い王女の姿もあった。

劇場と銘打っておきながら現在演じられているのは演劇でも演奏でもなく、ミレーを弄ぶ見世物。
身分は卑しく虐げられる地位にあるにもかかわらず、弄ばれる側は美男美女を揃え、
気に入った者がいれば何時でもお好きに鎖を引っ張って行ってくださいと言わんばかり。
他者を虐げることが趣味の王女も誰ぞ見繕っていきそうなものだが
実際には一番後ろの観客席で葡萄酒を嗜んでは、退屈そうにあくびを噛み殺していた。

『お眼鏡にかなう者はおりませんか?御希望であれば地下から別の者も連れてきますが。』

「……必要ないわ。ミレーが嫌いなだけだから、かまわないで。」

今回主催を任じられた貴族の従者が気を遣うのを尻目に、犬猫でも追い払うように手で仕草する。
追い払った理由に嘘はないが、もう一つ理由がある。
一見性的にも嗜虐に耽っていそうな王女だが、性には疎いのだ。
無遠慮に触られるのはプライドが許さない。だが興味がないわけではない。
いずれにしろ、無知なくせに無知を恥じる彼女が未経験を晒すはずもない。
故に、ただただ退屈な時間は過ぎていく。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/劇場」にイーシャさんが現れました。
イーシャ > 金持ちで、醜い者どもによって執り行われるミレーを用いた見世物。
あるいは非道な拷問劇、凌辱劇とも言えようか。
王都では今更珍しくもない日常の一コマでしかない宴。

舞台上にて鎖に繋がれたミレーたち、そのすべてが希望を失い絶望の淵にいるかのような、暗く死んだような眼をしている。
だがミレーたちの中でただ一人、目に光を失っていない者がいた。
黒き猫耳と尻尾を持つその青年は、しっかりと鎖で繋がれ、奴隷よろしくぼろ布を纏ってこそいるが、その目は明確な抵抗と嫌悪を現すかのように、下衆な金持ちどもに侮蔑の視線を送り続けている。

その青年、イーシャは不運にも兵士に捕まり、こうして金持ちどもの道楽として持ち出された…ということになっている。
実際には、この腹立たしい宴の話を聞き、わざと「出品」される奴隷に混じり、都合の良いタイミングで大立ち回りをして見せ、金持ちどもに恥でも掻かせてやろうという魂胆だ。
彼を繋ぐ鎖は巧妙に細工が施されてあり、いつでも自由になることができる。
あとはその絶好のタイミングを待って、騒ぎを起こしてやればいい…

「…豚どもが…」

それまでの間は大人しく奴隷の身を演じなければならないのだが、生憎奴隷慣れ?していない青年。
肥え太った金持ちどもから向けられる視線には虫唾が走り、ついつい不快感を露わにするような態度を露骨に見せてしまう。
そんな中、青年の向けた視線が、観客席の最も後ろでくつろぐ一人の女性に向けられる。
気に食わぬ目をするその女へ、睨みつけるように視線を向けながら、侮蔑の言葉を吐いた…聞こえはしなかったろうが、口が動いたことくらいは見えただろうか。