2019/04/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「う~ん。賑やかだ」

富裕地区の一角で、男がそう呟く。
男は詳しくは知らないが、なんでも国家間のゴタゴタ、もとい政治的うんぬんに大きな動きがあったらしい。
富裕地区はちょっとしたお祭り騒ぎのような賑やかさがあった。

「ま、オレには今のところ関係ないからな」

もしも金目の話になったら一枚噛むとしよう、くらいに考えつつ。
男は富裕地区をフラフラと歩く。

「……しかし、最近忙しかったからなぁ。
 こぅ、さっぱりしたいもんだ」

そう言いながら、男は大通りから細い路地へと入っていく。
疲れを癒すには、メシ、酒、女、なんて考えつつ。
何か良い店か、面白い店はないかなぁ、と物色。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にシュミーさんが現れました。
シュミー > 「…踊る酒亭、特別席、こちらでーす。…はぁ。」

男が路地に入っていくなら、その反対側で桃色の髪が揺れているのが見えるだろう。
何かのちらしを配っている様子だ。

温かくなってきたとはいえ、身体をほとんど出した踊り子衣装に褐色の肌。
過度な露出のため、眼を向けられることが多いが…無感情な金色の瞳のせいか、配られているものを受け取る人は少ない様子。

「…ん。踊る酒亭、いかがですか?」

お客さんを探しているのか、ふらふらと歩く男にも目をつけ、ひら、と紙を手渡そうとするだろう。
受け取るならそこには

『踊る酒亭特別出張』

と書かれており

魅惑的な踊り子多数、や、祭り価格で安くなった酒や料理の一覧が書かれている。
どうやら彼女も踊り子らしい。
酒場事情に詳しいなら…
酒や料理は普通だが、踊り子を非常に大事にし、雇用条件を良くすることで多数の有名な踊り子を抱えている酒場だとわかるか。

セイン=ディバン > 「う~ん。この辺りも様変わりしてきたな」

比較的経済状況の安定している富裕地区とはいえ、季節の変わり目などにはその表情が変わることが多い。
とある店が潰れ、すぐに新規の店ができる。
まさしく、人の世の営みよなぁ、と考えながら歩いていた男だが。
軽やかでありながら甘すぎぬ声を耳がキャッチ。
ぐいん、と首をそちらに向ければ、踊り子がチラシを配っていた。

「あ、あぁ。いただこうかな」

相手が差し出してきたチラシを受け取り、目を通す。
そこで男はふむ、と思案顔。
踊る酒亭。男も聞いたことがあった。
食事に関しては正直並のレベルだが、踊り子のレベルがとても高い。
いわゆる酒場、バーというよりは、娯楽性の高い店だ。

(……酒場などには酒やメシの質を求めるオレだが。
 新規開拓も面白いかもしれんな)

心の中でそう呟くと、一度うん、と頷き。チラシを渡してきた相手を見る。

「せっかく声をかけてもらったんだし、実は腹も減ってたんだ。
 案内してくれるかい? 踊り子さん」

にこり、と笑いつつ相手にそう頼む男。
この男にしては珍しく、大胆な相手の衣装や、魅惑的な褐色の肌にも興奮をしない様子。
いや、興奮していないわけはないのだが。どこかこの相手の……。
ストレートな性的魅力よりも。もっと奥底に隠された魅力の臭いに興味がある様子。

シュミー > 「……。お客様、ご案内。案内してる途中は、お触り禁止です。触ったら、怖い人が来ますので。」

男がチラシを受け取れば、口元だけは笑みを浮かべるが…器用にも眼は笑っていない
案内するように先を歩き…富裕地区を進んでいく
声は女性らしく高く甘いものでありながらも、これまた少し、感情が読みにくい声で
ひら、と腰付近までスリットが入った踊り子服を揺らして

「お客さんは、この辺の人…?」

面倒そう、というより業務的にそんなことを聞きつつ案内を
たどり着いたのは…以前、別の酒場が立っていた場所。
看板が書き換わり、踊る酒亭 富裕地区 と書かれており
本来は平民地区と貧民地区の境にあるそこが、手を広げたらしい。

そのまま、その建物の中へと案内するだろう
中は…

『おーい、こっちこっちー。酒くれー。あ、あと3番の子!』

『焼き物は俺だー。あと5番まだか?』

貴族、平民等合わせてごった返した酒場だ。
口々に客が叫んでいるのは踊り子の番号らしい。忙しいため、番号で管理され、もてなしをうけれるようだ。

男が酒場をくぐれば、ざわ、と…主に平民や傭兵からざわめきが起こる

『おい、シュミーだ。あいつ……』

『ち、どこにいたんだ…見つけたら絶対誘ったのに…』

男にとっては迷惑かもしれないが、やっかみや嫉妬の視線が突き刺さり
だが、連れてきた踊り子は気にすることなく手を引いて

「…こっち。…お酒は、何、呑む?…あと、料理…と、こっちの、メニュー。」

男を少し喧騒から離れた席に案内し、メニューを持ってくる。
どれもこれも普通のメニューだが、気になるのは…踊り子メニューと言うのがある点だ。
値段はピンキリであり…
一緒に酒を呑み愚痴を聞くコース
個室で踊りを堪能するコース
踊り子が承諾した場合のみ、一晩踊り子を貸し切れるコース…などなど。

勿論組み合わせもできるようで。下にまだ色々と踊り子がもてなすコースの文字が羅列されている

セイン=ディバン > 「……えっと。いきなりそんなこと言われるとは。
 もしかしてオレ、そういうタイプだと思われてる?」

相手の言葉に、男はタハハ、と苦笑を漏らすが。
よくよく考えれば自分の女癖の悪さは結構な範囲に広まっている。
人相書きでも出回っていて『この男には要注意』とか情報が回っていてもおかしくはないか、と。悲しくも納得。

「あぁ、まぁね。一応、富裕地区に家を持ってるよ。
 今日は、ちょっと日頃の疲れを癒したくてね」

相手のあまり興味が無さそうな質問にも、普通に答える男。
どうにも、感情の読めない相手ではあるが。
こうして案内してくれているのだから悪い子ではないのだろうと思う。
そうしてたどり着いた店に入れば、なかなかの盛況。
なるほど、噂に聞こえる程度には繁盛しているのだな、と考えていたが。

(……何だ? この子が入ってきた途端、店の雰囲気が変わったな)

敵対感情むき出しの視線に突き刺されながらも、男はまったく動じない。
恨まれたり嫉まれたりは慣れている。しかし、耳ざとく相手の名前がシュミーという名前なのだという情報を手に入れるが。

「案内途中のおさわりとか、禁止なんじゃなかったっけ?
 それとも、キミから触れるのは良いのかい? シュミーちゃん」

手を引かれれば、楽しそうに笑いながらそう問いかけるが。
相手の差し出したメニューを見て、ふむ? と首を傾げる。
なるほど、周りの客達が踊り子のことを呼んでいるのはこのメニューが関わっているのか、と推理。

「そうさな。黒麦酒と、タルキィ鳥のフライ。
 あと質問なんだが。例えば、最初にお酒を飲みながら語り合うコースを選んで。
 そこから、延長みたいにして、個室で踊りを見せてもらったり、とかもできるのか?」

一応、初見の店なのでしっかりとシステムを把握しようとする男。
踊り子を貸しきれるコース、というのも目には留まったが。
いきなりがっついてもロクなことにはなるまい、と計算中。

シュミー > 「別に。お客さんには、全員言ってるだけ。」

男とは初対面のため、これは本当に全員に言っているのだろう。
そのまま、世間話を振れば応えるだろうし、振らなければ何事もなく酒場へ

酒場の席に着いた相手の斜め前に立って

「そ。…名前、聞こえたんだ。…ここでは、踊り子の意思が優先。
踊り子の意思を無理矢理曲げようとした時は……、あ。」

タイミングよく、というべきか。この店の流儀をわかっていない客が、踊り子が嫌がっているにも関わらず…外に連れ出そうとしていて
だが、それは…

『おい。うちの踊り子に何やってんだ。あァ?』

いつの間にそこにいたのか、明らかにカタギではないガタイと風体のエプロンを付けたオヤジがそこに立っていて。
客の襟首をつかみ、全力投球。タイミングを見て料理を運んでいた踊り子が扉を開けて。
哀れ、不届き者は、店の外まで吹き飛ばされる。
歴戦の冒険者である客にとっても、そのオヤジが只者ではないことはわかるだろう。

「…あんな、風になる。けど、踊り子が望めば、マスターは…関知しない。」

安心して、と言いつつ。
それでも客が来るのは…自分の手で踊り子を落とせる、という沽券に関わる部分を刺激されるところもあるのだろうか。
手際よく、注文を聞けば

「タルキィ鳥はちょっと時間がかかる。黒麦酒は、すぐ。…コースは、組み合わせても構わない。
踊り子が連れてきた以上、お客さんが満足するまで…踊り子が許容する範囲で、もてなすのが、ここ。」

要するにすべては踊り子次第。
男がどれだけ気に入られるか、というところらしい。

セイン=ディバン > 「あ、そぅ……。あぁでもまぁ。
 キミみたいな子に案内されてたら、勘違いする阿呆も多そうだなぁ」

なにせ、相手は本当にプロとしての踊り子の格好なのであるが。
男の様に、夜遊び女遊びに慣れていなかったのなら。
『そ~いうお店』の店員さんだと勘違いするかもしれない。
たまたま男が店の名前を記憶していたから良かったが……。
ともあれ、男は相手の言葉に従い、見事お触りなどしないまま店にたどり着いたわけで。

「まぁ、仕事柄耳が良くてね。
 ……ははは。踊り子の意思、ね。そりゃあ……。
 ……そりゃあ、とってもいいことですこと……」

目の前で見事につまみ出され、いや。放り投げられた客の姿を見て、男は笑顔を引きつらせる。
なるほど、無茶無体はできんなぁ、と思うが。
内心、あのオッサン、元冒険者なんじゃないのか? とか考えてしまう。
なにせオーラが違う。ちょっとした荒くれとか、昔悪かったとかそういうレベルでは無い気がする。

「あぁ、構わないよ。まずは酒があれば……。
 ようやっと暖かくなってきたし、冷えた黒麦酒さえあれば極楽さ。
 ……そっかそっか。じゃあ、まずは一緒に食事でもどう?
 シュミーちゃんのこと、もっと良く知りたいしさ」

正直、相手の言葉を聞いて勇み足しそうになるが。
男の勘が告げていた。この子はそんな軽い子ではないぞ、と。
ならば、腰を据えて口説き落とす覚悟。
こうなりゃ出費など大した問題ではない、と男は気合を入れる。

シュミー > ちなみにオヤジのエプロンは花柄で無駄に可愛らしい。
ふん、と鼻を鳴らした後、調理場にオヤジが戻っていく。

踊り子は、といえば、相手の言葉にこく、と頷いた後…少しして、黒麦酒2つを持ってくるだろう。配膳係も兼ねているらしい。
待っている間…なぜかまた、やっかみの視線が向けられることになるが。まだ理由はわからないか。
ちなみに、一緒に飲むコースは…簡単な依頼で十分お釣りがくる程度の値段だ。

「タルキィ鳥は、後でマスターが持ってくる。はい」

黒麦酒を相手の前に丁寧に置いて。
いい冷気の触媒を使っているのか、キンキンに冷えている。
1つは自分で持ったまま相手の前に座る
正面に座れば、褐色の豊満な肢体が男の目を焼いてしまうか。

「じゃあ、まずは…乾杯?…大丈夫。私は、そんなに潔癖じゃないから…多少、触られたぐらいじゃ、呼ばない。」

小さいものの、よく通る甘い声。緊張をほぐすためかそんなことをいいながら
軽く杯を掲げ、首を傾げる

「……良く知りたい、って言われても…あんまり、わからないけど。」

自分の事を話せばいいのかな、と。
ただ相手が望む自分の情報を教えようと

セイン=ディバン > オヤジさんの見事な手腕に、一瞬周りが静まり返ったのを男は見逃さない。
なるほど、この店ではどんな客もあのオヤジさんには逆らわない訳だ、と苦笑。
自分なら勝てるか、と考えるが。そんなことをしても得がないことに思い至る。

そうして、相手が酒を盛ってくれば、男は軽く頭を下げ、感謝の気持ちを伝える。
そのまま、差し向かいの形となり、酒を手に取り。

「いいね。ある程度飲んでから油っこいフライってのがサイコーなんだよな。
 そうだね。じゃあまずは乾杯、っと。
 ……ははは。多少、ね? 安心してよ。オレもその辺はわきまえてるつもり」

杯を掲げ、ぐい、と黒麦酒を喉へと流し込む男。
目の前の相手の肉体といえば、そりゃあもう見事の一言。
正直男の女癖の悪さなら、すぐにでもむしゃぶりつきたいくらいなのだが。
ここはむしろ、そうしないでまったり楽しむのこそ面白みがある、と考える。

「じゃあ、オレから質問するからそれに答えてよ。
 あ、そうだ。オレはセイン=ディバン。見たとおりの冴えない冒険者。よろしくね。
 ……でさ。シュミーちゃん、なんでこんな店で働いてるの?
 なんていうか……正直雰囲気が、お抱え踊り子とか、どっかの劇場のトップスターでも通用する感じだから。
 酒場の踊り子、ってのがイメージと違うんだよな」

名乗りつつ、ぐいぐいと酒を呷る男。
そう。男の疑問。相手から感じる雰囲気は、正直酒場の踊り子などという器のそれではないのだ。
どこか、その道のプロ。一芸に秀でたスキルの持ち主である、と。男の冒険者としての、女遊びのプロとしての勘が告げているのである。

シュミー > 「それには、同意。乾杯。」

くす、と相手の言葉に同意と嗤いを返しつつ杯を合わせる
意外に飲みっぷりはよく、ぐ、ぐ、と中々いい杯の傾き具合
背を反らせばそれだけ、肢体が露になる

それが無自覚なのか、わざとなのかはわからないが。

「いいよ。…ええと。」

ふぅ、と息を吐いた後少し返答を考えて

「…じゃあ、よろしく、セイン。…冴えないって言う割には、稼ぎとか良さそうだけど。躊躇い、なかったし。」

客引きの際に見るのは相手の表情。
この相手には…得体のしれない酒場に対する…金銭的な恐怖がなかったように思い。
酒が入ったためか、少し口調が砕けて

「お抱えっていうのは、間違ってないよ。この踊る酒亭の専属の踊り子。…ふらふらしてたところを、マスターに気に入られて。
なんで、っていうと…難しいけど。…他に得意なことがなかったから?」

要するにたまたま、踊り子好きのマスターに拾われたらしい
細いながらも出るところは出て、薄く筋肉のついた体は、非常にしなやかであることがわかるだろう。

「思ったより、守ってくれるし。お給料も、いいし。…満足、してる。」

目は変わらないが、どこか緩い表情になって。
余程、この酒場に対して愛着があることが伝わるか。

セイン=ディバン > とある方から料理修行を受けて以来、男は様々な国や土地の料理を学んでいるが。
中でも、東の地で食べられている『コメ』というものを知って以来こってりとした味の物が大好物になってしまった。
酒にも合うしコメにも合うし、物によっては精力も増すのである。

「おぉ、良い飲みっぷり。
 さささ、じゃんじゃん飲んじゃって」

相手の気持ちいい飲み姿に上機嫌の男。
酒を飲む姿が絵になる美女とトークできるのだ。
これで上機嫌にならない男などいるだろうか。

「いやぁ、万年中堅所さ。デカい仕事なんて回ってこないしね。
 その代わり、ガンガン仕事して稼いでるの」

金には困らない程度には仕事をしている男だが、実際実力はそこそこ。
条件が整えばドラゴン相手でも負けないが、かといって英傑というレベルでもないのである。

「専属なのか。ますます意外だ……。
 ……なるほどね。自分のスキルと、仕事が一致してる感じなのかな?」

どうにも、本当に相手から感じる印象はトップランクの踊り子のそれだというのに。
酒場の専属とは、いやはやわからんものだな、と思いつつ。
しかして、相手の言葉を聞いていれば、男は微笑を浮かべる。

「なるほどね。そりゃあいいことだ。
 やってて楽しい仕事で、稼ぎも良くて安全で。
 何より、自分のスキルが活かせるなら文句なしだよな」

うんうん、と頷く男であったが。そこで丁度、タルキィ鳥のフライが届く。
男はそれに豪快にかぶりつきつつ、天井を見上げ、ふ~む、と考え込むようにするが。

「なぁシュミーちゃん。もしも踊りに自信があるならさ。
 個室でキミの踊りを見せてくれないか?」

ずい、と微かに身を乗り出しながらそう言う男。
瞬間、周りの客が男に殺意こもった視線を向けるが。男はそれを完全に無視。
正直、この美貌、スタイルの持ち主である相手の踊りには興味があった。
それは、技術や表現力もそうだし。当然、下心もあるにはあるが。
なにはともあれ、男はこの相手ともっと親しくなりたいと思ってしまったのだ。

シュミー > 酒も料理も普通、と言うのはある意味偽りなく
運ばれてきた麦酒はいいとも悪いとも言い難いものだ。
それでも、乾いた喉には良く染みるだろうか。


「…ふぅん、いっぱい、働いてるんだ。私と同じだね。…特に今は、警備とかで忙しい、だろうし。」

中堅と言う相手の言葉に素直に頷き。
お代わりも取ってきてまた乾杯をし、こくこく、と
いい飲みっぷりではあるが乱れる様子はなく、ただ芯が通った目で相手を見つめていて

「そう?…信用できないところで働くよりはいいと思うけど。…劇場とかは、ちょっと…苦手だし。」

それは、彼女の性質によるものだが…劇場では少し欲望が弱い
酒が入り、女が踊るその様を見てくれる酒場は…自分の欲求にとても合っていた

「うん、そう…お気に入り。…離れるつもりは、ないかな。」

というところで揚げ立てのタルキィ鳥が運ばれてきて
丁度、男が誘い文句を投げたところで

『おう。周りは気にすんなよ。そいつァ、自慢じゃねえが酒場の稼ぎ頭だ。
やっかみも集まるのは、自然ってなァ。…って邪魔だったか。はは…』

マスターが口を挟んでくるがシュミーが視線をやるとそそくさと調理場に戻っていく
どうやら本当に踊り子には逆らわないらしい

「…へぇ。……いいよ。踊りなら、いくらでも。
でも…個室にも…私たちしかしらない、マスターを呼ぶ方法があるから。それだけは覚えておいてね。」

タルキィ鳥の手羽を一本、控えめに食べ終わり…
とん、と杯を置いて立ち上がって

「…まあ、あなたなら心配、要らなさそう。…えっちだけど、どっちかっていうと合意が好きなタイプでしょ。」

くす、と笑い…手を引いて、2階の個室へと案内しよう。
付け加えて。踊りを個室で愉しむコースは…少し難しい依頼ぐらいの値段だ。

セイン=ディバン > 事前の噂どおり。確かに食事も酒も、取り立てて美味いものではない。
だが、だからこそ男はこの店を気に入り始めていた。
仕事の終った後に、良く冷えた酒に、外さない料理。
そこに予算を割かず、女の子達に予算を割いているのであろうことも読み取れる。
いわゆる、店の本気を捉えたのである。

「ま、そうしないと食っていけないんでねー。
 ……なるほど。警備か。そっちの仕事が増えそうだな」

相手の更なる飲みっぷりに男は拍手をするが。
ふと漏らした言葉に、なるほど、と頷く。
相手の読みは良いところを突いているかもしれないな、と。
男はその情報を頭にしっかりと入れておいた。

「なるほどな……そういう考えもあるか。
 オレは逆に、稼げれば多少は目を瞑るからなぁ」

そもそも冒険者などリスクを好んでナンボ、である。
しかして、相手が劇場が苦手と言えば、首を傾げる。
劇場の方が、ガラの悪い客がいなさそうなのに、なぜ? と疑問を膨らませる男であったが。

「……いいね。そういう風な職場を見つけられるのはいいことだ。
 オレぁそういうのが無理で冒険者になったみたいなところあるからなぁ」

ハッキリとした言葉に、男は満面の笑顔で答える。
なるほど。この子は職場や仲間に恵まれているのだな、と。
それは男自身のことでもないのに、なぜかとても嬉しく思えたが。

「うぉ、マスターさん、いきなり話しかけないでくれよ。
 ……あの人、明らかにソッチ系の玄人っぽいんだけど、何者なんだ……」

しっかりと自分に向けられた声を聞けば、やはり圧がすごいなぁ、と思うが。
そこで相手に視線を戻せば、なんと意外にもすんなりと提案が受け入れられ。コレには男もびっくりした。

「よし、決まりだな。……大丈夫だって。
 もしもそういうことしたくなったら、ハッキリ言うからさ。
 ……ま、ね。昔は無理矢理が多かったけど。オレも歳だから。
 もうそんなガキみたいなことしてられないのさ」

相手に案内され、2階の個室への移動中、そう語る男。
ある程度の歳になると、合意での行為、というものの良さに気付くものである。
それに、どうにも男には、この相手を無理矢理犯す気にはなれなかった。
ある意味、既に相手の魅力に堕ちているのかもしれない。
男は個室に入った時、料金について考え、計算する。
払えなくは無い。なんなら、明日から仕事を頑張れば良いのである。そんなお気楽な思考。

シュミー > 『うおー、くっそー、アイツ、お楽しみだぜー!』

『うまくやれよ、セインこらァ!今度奢れェ!』

2階に上がる階段の途中、そういった声が聞こえるが
追いかけてくる者は当然いないだろう。

「ふぅん。……冒険者って、セインみたいな人もいるんだね。
マスターは…本当か、知らないけど、元凄腕の傭兵だったって。そのころのたくわえで、店を始めたらしいよ。」

踊り子服を揺らしながらぽつり、と
彼女としても無理矢理されないことはわかっているため呼ぶのだが。
それはそれとして…落ち着いた冒険者、と言うのも彼女にとっては不思議だった。

案内されるまま進めば…広さの割に、部屋数が少ない2階の廊下。
その中の一つの部屋に案内され

中は…
何部屋かをぶち抜いて作ったのか非常に広い一室。
奥には…大の男が転がり回れるほどの寝具。
手前には、踊り子用であろう少し高くなった舞台と、それを見るための特等席となるふかふかの椅子まで用意されていて


「…踊り子が気に入った人を、落胆させないように、だって。ほんと、いいマスター。」

ぽつり、と呟いてから舞台へと昇ろうとするが、はた、と立ち止まって
このような部屋を用意する辺り…先ほど男が感じた通り、この酒場の踊り子に対する熱が感じられるだろう。

「あ。お酒…冷えたのじゃないけど、あるから。よかったら…踊る前に、注ごうか?」

見れば、いくつか酒の瓶が部屋の隅の台にグラスと共に置いてあり。
自分の踊りを酒の肴にしつつ呑むか、首を傾げて聞いてみよう。 

セイン=ディバン > 「バァカ。テメー等じゃねぇんだから、即お楽しみなんてするかっつー。
 あー、そっちのお前には今度奢ってやっから黙れ」

罵声じみた声にもしれっと答えつつも。店内にいた男の馴染みの客には、ひらひらと手を振って答える。
素直に応援してくれるヤツには、ある程度お礼も辞さない男なのである。

「ま、その辺はホント人によるわな。
 ……やっぱソッチ系っぽいよなぁ。明らかに荒事慣れしすぎだもんさ」

相手の言葉に肩を竦める男。実際、今の男はかなり見得を張っている。
本当ならすぐにでも相手を口説き落としたいくらいなのだから。男の鋼の意思たるや、である。
そのまま、マスターの経歴について考えつつ、男はこっそりと相手の体へと視線を向ける。
色気のある褐色の肌。まるで芸術作品の如きスタイル。
正直、興奮しないわけが無いのだが、まだまだ我慢のとき、であった。

「ほえぇ……こりゃあ凄い。
 ちょっとした店のVIPルームみたいだ」

ここでいうちょっとした店、というのはもちろん娼館のことなのだが。
それは隠しつつ、相手の言葉に頷く。
本当に、マスターも踊り子達も店が好きなのだな、ということが、この部屋に入ってからより強く感じられた。

「いいのかい? じゃあお願いしようかな。
 ははは、なんかちょっとした貴族にでもなった気分」

酒、と聞けばにやけてしまう男。
そのまま男はイスのふかふか具合を堪能しつつ、杯を手に、酌をしてもらおうと。
個室に入ってから、男の心臓はペースアップしっぱなしだ。
どんな踊りが見れるのか。その踊りを踊る相手は、どれほど魅力的なことか。
そう考えるだけで男の中で複雑な興奮が渦を巻いた。

シュミー > 男の劣情を煽っているとも知らず、ただ案内するが。明らかに下着を付けていない踊り子服の内は決して見えず
よくよく見れば、歩き方や重心の変え方が…下から見られた時の男の視線まで計算されたものだと気づくか
当の踊り子は、なんでもないことのように、「仲いいんだね」とかつぶやいて

「…素直に言っていいよ。別に、えっちなことだけに使うわけじゃないし。」

くす、と笑いながら。
調度品も…無理のない程度にいいものが揃えられており。
酒場に来る人物なら、これで満足しない、ということはほぼないだろう。

「もてなし、だからね。…んしょ、はい、持って。」

栓を開けていない酒瓶を持ってきて
グラスを渡し…、下で呑んだものとは違う少々グレードの高い果実酒を丁寧にひざを折り、視点を下げてから、注ぐ。
そうして、瓶を戻した後、舞台へ登って

「じゃあ…いっぱい、『見て』ね。…ふふ…」

最初の待機姿勢に姿勢が変われば…す、と雰囲気も変わる。
それは言うなれば歴戦の戦士が戦いに向けて気を引き締めた時のような、ぴり、とした空気
そこから始まるのは

ダン!

まずは、意識をこちらに向けさせるための強いステップから。
伴奏もなく、並の踊り子なら戸惑うところだが。そんなことはどこ吹く風、力強く肢体を躍らせていく。
揺れる腰布と双丘。それらが冒険者を魅了するが、おかしなことに、どれだけ視点を変えても…その内が見えない。
魔術の気配は全くしない。単純に、揺れる布や踊り子自身の視線、ステップで、男の視線を誘導しているのだ。

「――――…♪」

しばらく待った後、続くのは、緩やかな…自慢であろう脚をよく見れる踊り。
脚を特等席の男へと差し出し、そのままゆっくりと上げて。彼女の秘めた場所が見えそうで見えない、絶妙なポイントで脚が下げられる
次は、見せつけるように後ろを向いて。柔らかい体を活かし、先ほどとは反対の足をあげる。
腰布もまためくれ上がるが…その奥は、やはり見えない。
それは、胸を高鳴らせている相手からすれば焦らされているに等しいだろうか。
しかし踊りは、何の音楽もないまま、確かな芸術を、男に見せつける

セイン=ディバン > 案内する相手の後ろで、ちょっとしたやりとりをしていれば仲がいいなどと揶揄され。
男は、うへぇ、とわざとらしく声を漏らす。
そこで男は、相手の振る舞いが、見事に体を隠すようにしていることに気付く。
つくづくプロだなぁ、と。そんなポイントでも関心する男。

「……いやまぁ。そうね。
 でも実際マジですごいぜ」

ここまでの熱量を持って店を営業していくなど。
どれだけの覚悟と苦労があったのか、と想いを馳せてしまう。
しかして、相手からのもてなしが始まれば、男は現実に意識を戻し。

「ん。頂戴しよう。
 ……う~ん。この果実酒……割といいやつだな……」

相手が丁寧に酒を注いでくれるのにご満悦の男だったが。
ちらと見えた瓶から、その酒のグレードを把握する。
しかし次の瞬間、相手が舞台に上り、なにやら自信ある風に言えば……。

「……っ」

そのステップ一発で、男の脳に微かに浮かんでいた酔いが消失した。
力強く、激しく踊る相手。その情熱的な肉体の躍動たるや。
男は一発で相手の踊りに目を奪われてしまう。
相手の動きを、冒険者稼業で身につけた目の良さで追うものの。
そこで男は若干の混乱をきたす。踊りに集中しているはずなのに、揺れるバストや、魅惑的な、そして決して見えぬ相手の秘密の花園について考えてしまうのだ。
だが、そういった興奮があるにも関わらず、男の股間に熱がこもることはない。

(……なんとも、不思議な感覚だ)

踊りへの興奮。相手の色香への興奮。それらが渾然一体となり、男の中を荒れ狂う。
秘所を見たいと思う男がいる反面。見事なボディバランス、そして振り付けに心奪われる男もいる。
この女性を抱き、組み伏せ、犯したいと思いもするが、ずっとこの踊りを見ていたいとも思ってしまうのだ。
いつしか、男の表情からは笑顔が消え。真剣な……いや、いっそ見るものが恐怖すら覚えるような。
冒険者モードの顔つきとなり、相手の踊りを見つめている。
口元に当てた手は、にやけを隠すものか。それとも、集中し、相手を値踏みするがためのものか。
ともあれ、見事男は相手の踊りと肉体の虜という訳で。

シュミー > 「――――……♪」

ゆっくりとした踊りが徐々に、徐々に速度を増し
力強さとは違う、軽やかなステップが始まる。
踊っている間も、吸い込まれそうなほどの眼は動かず、行ってしまえば魔道機のようで
しかし踊りは人間でしか出せない柔らかさとしなやかさに溢れ
舞台の端から端まで使い、更に全身の筋肉を余すところなく使い…肢体を見せつける。

踊り子もまた、欲情と、真剣さが入り混じった冒険者の視線にぞく、とした喜悦を覚え
ただ、それで踊りを乱す彼女ではない。外から見る限りでは、そういった考えは全く読み取れないだろう。

踊りはクライマックスに差し掛かり、舞台から、踊り子が降りる。
滑らかな動作のまま、舞いながら、距離を詰め…
それによって、より近くで…覗き込もうと思えば、可能だろうが…それでもなお、布地の奥は見えず。
相かと思えば…男にとっては間隙を突かれたように、懐まで踊り子の体が滑り込み

「――――…」

演劇のラストのような。男に手を差し出すポーズでぴたり、と止まってフィニッシュ。
相当にテンポの差が激しい踊りだったが息が乱れておらず。
精々、少し褐色の肌が紅みを増した程度だ。

「……本当は、降りないんだけど。こういう部屋だから、特別。」

相変わらず、感情を感じさせない瞳だが、少しの達成感がにじみ出ていて。
男が果実酒に口をつけていないなら、自慢げに

「…飲めなかった?…ふふ、嬉し。」

口元を歪ませ、立ち上がり、感想を求めるように相手の言葉を待つ。

セイン=ディバン > 「……」

相手が踊っている間、男は瞬きもせず、一言も喋らない。
それこそ、男が平時、仕事の時に見せる様子。
罠を仕掛け、敵を待つ。シーフ・レンジャーの面目躍如。
その為なら数時間でも、数日でも身じろぎせず待機できる男。
その片鱗が、酒場の中で発露するとは男自身思ってもおらず、気付いてもいない。

相手が舞台を降り、近づいてくれば。いつしか前のめりになっていた男はそこでようやく集中しすぎていることに気付き、背筋を伸ばす。
近くにきたというのに、未だに布地の奥が見えぬことに、さらに驚嘆。
どこまでも、客の視線を知り、コントロールすることに長けており。
さらにそれを意識させぬような踊り。正しく超一流のスキルであったが。

「……ふぅっ」

最後に、相手が自身へ手を差し出すようなポーズを見せ。
見事な完全静止を成し遂げたのを確認すれば。男は呼吸すら忘れていたかのように、息を大きく吐いた。

「へぇ、そうなのか? シュミーちゃんの特別の恩恵に与れるなんて。
 こりゃあ光栄だ」

呼吸乱れていない相手に男は内心驚嘆し尽くすが。
そこで果実酒を飲んでいないことに気付き、杯に口をつけようとするのだが。
そこに相手も気付いたのなら、男は苦笑し、一気に酒を流し込む。

「……あぁ、美味ぇ。
 ……いや、まいったなぁ。実際やられた、って感じ?
 ……凄ぇよ、シュミーちゃん。凄ぇ。
 オレも踊り子の踊りは結構見てきたけどさ。ここまでのは初めてだ。
 ……まるで、オレに挑戦してきてるみたいな気迫だったな」

踊りを見ている間、言葉を発さなかったからだろう。
男は饒舌に、相手の踊りを賞賛する。空の杯を置き、ぱちぱちと拍手をし。表情も、満面の笑顔である。

「……いやぁ、まいったまいった。本当にまいったよ。
 ……キミの踊りを見てたらさ。キミみたいな魅力的な女の子を抱きたいと思ってたのに。
 どうしてか、そんな考えが吹っ飛んじまった。まぁ、あれだけ見事な踊りを見せられちまったからなぁ」

やれやれ、と天井を見上げる男だが。相手の肌が微かに色付いていることに気付けば。
やはり、女癖の悪い男。股間が、徐々に徐々に膨らみ始めていく。

シュミー > 「…………。」

全ての相手の言葉を聞いて
しばし、相手の眼を見つめる。
何か、考え込んでいるようで。やがて…

「ふぅん。…初めて。」

ぽつり、と言葉を零す。
男の横に座って…何とも言えない表情を浮かべて
少しの汗の匂いが、男の鼻孔をくすぐるか。

「…気づいてると思うけど、私の踊りは…誘惑するためのもの。…誘惑に駆られて、欲望にまみれた視線が、欲しいんだ。私。」

くす、と笑ってから自分で果実酒を注いで一口。

「んく。…でも、貴方みたいなのは初めて…かもしれない。欲望3、尊敬…7くらい。…ここは、正直だけど。」

細い指で相手の膨らんだ股間を指しながら。けれど、嫌がっている様子は見えず

「踊りは、私の全てだから。それでそんなに喜んでもらえるなら、嬉しい。だから、秘密を一つ、教えちゃうね。」

実は、と悪戯っ子のような表情で

「あのメニュー。最初から、一晩貸し出しを選んだお客さんは…何もしてもらえないの。本当に貸し出すだけ。
何かえっちなことをしようとしたら、すぐマスターが飛んでくる。…でもね」

ぼう、と魔力がシュミーの体から流れる。それは、彼女の踊り子服の内、丁度子宮の真上に集まっているようで

「誠実に、段階を踏んだお客さんなら、別。気づいてないかもしれないけど、私…相当遊んでるよ?
…今、セインは…嘘はついてないけど、欲望をちょっと抑え込んでる。踊りを楽しんでくれたのは踊り子として、嬉しいけど。
…女としては、つまらない。
……全部、欲望を見せてくれるなら。そのまま、…貴方の上で、踊ってあげてもいいよ?」

少女とは違う、明らかな雌の香り
相手にしなだれかかり、囁くように、どうする?と選択を委ねる。

セイン=ディバン > 胸の中の言葉を吐き出し、体の奥に溜まっていた熱を息と一緒に外に出す男。
そこで、相手が自身を見ていることに気付き、見つめ返すのだが。
不意に訪れた沈黙に、男が首を傾げるのと、相手が言葉を紡ぐのは同時だった。

「初めて、って何が?」

自身の横に座ってくる相手にそう尋ねる男。
微かに香る汗の香りに、男は目を細める。
息こそ切らしていないが。やはり、相応に体力を使う踊りだったのだな、と思う。

「……そっか。いや、それっぽいなぁとは思っていたけど。まさかそのものズバリだとはな。
 ……欲望にまみれた視線? そんなのが欲しいって、どういう意味だ?」

もしかして、魔術、魔力的な話か? と首を逆サイドに傾げる男。
元来、魔術、魔法と踊りは縁が深い。正確に言えば、儀式と踊りの関係が、だが。
相手の言葉に、何か深い意味があるのだろう、と男はいろいろと考えを巡らせるが。

「……あぁ、初めてってそういう。
 ……いやぁ、だってあんな踊り見せられちゃな。
 オレだって、冒険者っていう一芸を武器にする仕事してるんだぜ?
 シュミーちゃんの踊りの凄さは、ばっちり理解できるさ。だから尊敬もする。
 ……い、いや。そりゃあ、シュミーちゃんが魅力的だし格好も扇情的だからでだな」

相手を再度褒める男だったが、股間を指差され、状況を指摘されてしまえば、慌てて言い訳じみたことを口走っていくが。

「……凄ぇなぁ。踊りが全て、って言い切れるなんて。
 オレぁそういう誇りみたいなのないからな」

真っ直ぐな相手の言葉。それを羨ましいと思ってしまうが。
相手が秘密を語れば、男は大笑し、盛大に吹き出す。

「なるほど、よくできてるシステムだ。
 阿呆な男どもはそれでつまみ出される、ってことだな?」

ゲタゲタと笑い、膝を叩く男であったが。
相手が大胆にも、魅力的な提案をすれば。
男は再度天上を見上げるようにし、う~ん、と唸る。
そのまま二呼吸分ほどの時間、思案していた男だが。

「……そう誘われて応えないのは男の名折れだなぁ。
 ……シュミーちゃんみたいな子になら、ぜひとも一発お願いしたいね。
 ……しかし、欲望を見せる、って。具体的にはどうすればいいんだ?」

触れ合う相手の体。その腰に、ゆるり、と腕を回し、抱き寄せるようにしつつ尋ねる男。
そもそもが、相手が視線を欲しがるだの、欲望を見せろだの。
そういったことを口にしている意図がイマイチ理解できていない。

シュミー > 「…ふふ…あはは……。あ、ごめん。…あまりにも、真面目に考えてくれるから。」

意味を問われれば、少し背を曲げて笑い
初めて、金の瞳が細められ、笑みの形にゆがむ

「…言ったでしょ、私結構遊んでる、って。…視線でよく感じるみたいなの、私。
普通に見られるのは何にも感じないみたいなんだけど…ええと、私に対しての、欲望?が詰まってるほど、気持ちいいみたい。
だから、ただ単に私の好みっていうだけだよ。セイン。深く考えないで。」

桃色の髪を揺らしながら姿勢を戻し
ただそれでも…腹に刻まれた炎紋がちらちら、と視界に入るだろうか。そこには明らかに魔力が集まっていて

「セインは、阿呆じゃないから。お酒を忘れるほど、私の踊りを楽しんで…今だって、私のことを気にしてくれてる。
遊んでるって言っても誰でもいいわけじゃなくて…、そんな相手なら、私もいいかな、って思うよ。」

抱き寄せられながら、くすくす、と。
服の上からゆっくり、相手の怒張を撫でる。

「難しく、考えなくていいの。…ほら、男の人って…ヤってる時は相手が可愛いとか、無茶苦茶にしたいとか、そういうこと、思うんじゃないの?
…それで、いいんだよ。セイン。要するに、我慢しないで、ってこと。…この部屋、誰も入らないし。」

それが、条件だと笑って少しの酒精の匂いと汗の匂いが混じり
抱き寄せた身体は、細いながらもしっかりと筋肉が感じられ。ただ女性の柔らかさは損なわれておらず。

セイン=ディバン > 「……え? その、真面目な話じゃなかったのか?」

相手がはっきりと分かる笑みを零せば。男は呆気に取られたように。
しまった、そういう意味じゃなかったのか? と反省しつつ赤面。

「……ふ、む。なるほどね。
 そいつぁ面白いなぁ。先天的なスキルなのか、後天的なスキルなのか……。
 使いようによっちゃ、色々と便利そうだなぁ」

深く考えるな、と言われても、そこは冒険者の男。
相手のその視線に対する反応の仕組みなどについてついつい考え込んでしまうが。
ちらと見えたその紋から、確かに魔力を感じ、男は僅かに眉を吊り上げるが。

「そりゃあねぇ。酒と女での失敗は豊富だぜ、オレは。
 ……嬉しいねぇ。そう言われると男冥利に尽きるぜ」

心地いいほどに真っ直ぐな言葉と気持ちに、男は頭をかきつつ、視線をそらす。
流石にこういった嘘偽りない言葉には、中年となった男はどうにも照れがくるが。
相手が、服の上からとはいえ股間を撫でてくれば、微かに男は仰け反ってしまう。

「……あ~、まぁね~。確かに、男ってのはそういうところあるからなぁ……。
 ……ま、そういうことなら。お言葉に甘えましょう。
 なにせ願っても無いラッキーだ。遠慮なんてしたらバチが当たる」

相手の言葉と笑み。そして、酒と汗の臭いに酔ったかのように。
男は覚悟を決め、相手の体を両手で抱きしめると、そのまま床へと優しく押し倒してしまう。
触れるだけという力加減で唇を奪いつつ、相手の豊満なバストへ手を伸ばし、これもまた、優しくもみ始めていく。
そういったことを始めれば、男の股間は急速に血が集まり、膨張していく。

シュミー > 「もう…また、考えてる…。あ、ん……。痛いのは、好きじゃないから…優しくしてね?…ん、ちゅ…」

少し膨れつつ、抵抗なく押し倒され、身体を相手に晒す。
からかうように言葉を紡いだ後、軽いキスを交わして

「でも心配、いらないかな。…優しい、キスだね。んっ…あ…」

床に桃色の長い髪が広がり。身を差し出して
バストへ手を伸ばすなら、ハリのある感触と共に少し指が沈み込む
男の望むまま、形を変えていく。触れる度、ぴく、ぴく、と感度よく身体を震わせる。


「…まだ、もてなしは、続いてるから…してほしいこと、あるなら…言ってね…」

だが余裕は崩れない。口元に微かな笑みを浮かべ相手を見つめ。

「要するに、私を乱れさせたいなら…いっぱい…獣みたいに見てってこと。……これ、気になる?」

愛撫を受けながら細い指で示すのは炎をかたどった紋章。
特に悪いものではなさそうだが…彼女を見る度、ぼう、と光を宿していて

「これはね、私の家族に代々受け継がれていくものなんだけど…。私を守ってくれるものだよ。
詳しい人なら、もっとわかるらしいけど…」

没頭してもらうために睦言の途中でも、もやもやははっきりさせておこう、と。
魔術について造詣があるなら…それは、彼女が昂れば昂るほど身体を熱くさせ…その熱を持って、彼女が孕みにくいようにしてくれるものだとわかるか。