2019/03/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」に竜胆さんが現れました。
■竜胆 > 富裕地区の閑静な公園に、静々と歩いてくるは和装の少女、この地域にて珍しい服装をしている彼女は、とある商会の令嬢といって良いだろう。
彼女一人、というわけではなかった。
彼女の脇に、3m程の大きな犬……狼犬のグリムが歩いている。首には大きな首輪でその手には轡。
犬の大きさを鑑みなければ、それは散歩の途中と言える様子であった。
一家の中で唯一仕事も何もしていないから、彼女が狼犬の世話を司ることになったのだ。
狼犬自体は嫌いではないし、外出の理由にもなるから、犬の散歩をするようになっていた。
ついでに言えば、歩くのが面倒になれば彼の背中に乗ればいいのだ、グリム便利。
そして、公園に到着すればベンチに腰をかけて、轡を首輪から外すのだ。
「グリム、行ってらっしゃい、迷惑かけちゃダメよ」
公園はそれなりの広さであり、彼が走り回っても大丈夫なぐらいの大きさはある。
なので、彼が満足するまで走り回らせるために公園に来るのである。
彼も慣れたものか鼻先を軽く擦り付けてからあそびにいく。
―――その間は、暇なので本を読むことにする。
家の中だと煩いし。
■竜胆 > 外の気温は、まだ高いとは言えないが、少女は気にした様子はない。
なぜならば、少女は自分から半径5m程の空間を自分の過ごしやすい気温にしているからである。
魔術というわけではなくて、竜としての能力であるので、魔力の流れもないから、魔術師だろうが、それを見て見抜くことは実質不可能であろう。
近寄ればポカポカしてるからわかるだろうけど。
なので、風も冷気もなんのその、と言わんばかりに、少女はぱらり、ぱらり、と本をめくる。
たまに視線を本から外せば、狼犬がその辺を走りまわり、転がってるのが見える。
迷惑行為とかしてないとわかればまた視線を本に落とすのだ。
■竜胆 > 暫しして、狼犬は思う存分走り回ったのであろう、少女のもとに戻ってくる。
太陽の光が陰るのと、ハッハッハッというワンコ特有の息遣いに、視線を上げれば少女視界いっぱいにあるワンコの顔。
充分遊んだという雰囲気のワンコ、その頭に手を伸ばして軽くなでる。
「もう、大丈夫なのかしら?」
少女の問い掛けに、グリムはぅぉん!と、吠えるように返答する。
やはり、彼は犬とかそんなレベルではなく賢いみたいである。
さて、どうしようかと、少女は考える。
まだ帰りたくはない、視線を向けてみれば……人の気配はいくつかある。
もう少しだけ、と考える。
「グリム。」
彼の名前を呼べば、ベンチの横に寝そべるワンコ。
意思疎通もできる模様、もう少しだけいると言わなくても、彼は待機の様子を見せるのだ。
ただ、甘えているのかその頭は少女のひざに乗せるのだ。
よしよし、と頭を撫でてから、もう少しだけ、と本に視線を落とす。
■竜胆 > 「――――んー……っ。」
長時間本を読んでいたからか、背中がちょっとごきばきする。
集中力が切れた、とも言えるし、少女は本から視線を外すことにする。
きょろり、と周囲を見回して、ふむ、と小さく唸った。
人の気配がかなり薄くなっているのだ。
場所も場所だ、おそらく家に帰ってしまっているのであろう。
そろそろ、自分も家に帰りどきなのであろう。
本は切りの良いところまで読んだし、と、閉じることにする。
「帰りましょう、グリム。」
少女は、狼犬に軽く言葉を紡ぐ。
狼犬は休んでいた頭を持ち上げて、しっぽを振っている。
帰ることに異存はないようなので首輪に轡を取り付けて、立ち上がる。
それから、狼犬も立ち上がれば紐は上の方に伸びていくのは、体格が大きいからだろう。
少女が歩き出せばその歩調に会わせて狼犬が歩き出して。
そのまま一人と一匹は公園を去っていった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」から竜胆さんが去りました。