2019/02/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にシュバルトさんが現れました。
シュバルト > 今日も今夜も今宵も媚を……ではなくて、香水を貴族の家に納めて、其処の娘さんの調律を終えた帰り道の事である。

もちのろん、貴族の娘さんに卑猥な事をしていないと断言するが問題は其処ではなく、貴族の方に収めた香水の材料の値上がりに合わせた香水自体の値上がりである。

その分代金に上乗せをして請求するが途端にそれが値上がりする事に良い顔をされる事などなく、奥方様のフォローが無ければ厄介ごとになりかけたくらいの出来事で、何度も頭を下げて説明をして、値上がりに合わせて代金の割り増しを……もう思い出したくないので此処までにする。

そんな訳で、今夜は眉間に深く皺を刻み込み、平民地区へ戻る為にお高そうなお店の立ち並ぶ大通りを1人で歩いている。

寒そうな薄手の白衣姿、簡素な革のズボンにシャツにと矢張り寒そうなだけども動きやすそうな衣服に身を包み、腰のベルトには幾つか護身用の香水瓶をつけて、と言う格好で歩いていればすれ違う人々から奇異の眼で見られようか、中には顔見知りがいて笑顔で会釈を交わすこともあるが、大抵は奇異の視線を送る方々が多い、悲しい事に知名度はいまだ低く、冒険者には顔は広い……と思いたいがパトロンになりそうなお歴々には今しばらく努力が必要っぽい

シュバルト > 平民地区で借り上げている安宿の一室。

今夜は予約はなし、昨晩から頭を捻って考えた空き部屋求むの張り紙もきっと空振りだろう、たぶん、もしや……万が一も……ないか、実際に痛いわけではないが比ゆ的に頭が痛い。

小さくともお店をもてれば少しは仕事も取り易くなると思う、もう何時帰ってくるかわからない冒険者の相手とか大変すぎるし、貴族や商人に頭を下げてゴマ擦るのも疲れるので、何とか今の生活を脱したいのだが……。

上手く行くわけがない、そもそも切欠も縁も無い、とネガティブの螺旋に囚われるといかん、と自分の頬をピシャッチ掌で叩くと、懐から鈍い鉛色のスキットルを取り出し、蓋を捻り開けてから、軽く煽って中身の林檎のリキュールを喉へと流し込む。

のどが焼けるような感覚と身体に染み込んで行く甘いリキュールの香り、鼻から息を抜けば余計に芳醇な香りを味わえるが、ケホッケホッっと息を抜いた後に咽るのだった。

「いい加減酒も飲めないとお付き合いがなぁ?」

な?と誰に向けた言葉でもなくて、まだ一口しか飲んでいたのに言葉に混じり林檎の甘い香りがした。

シュバルト > 暫くは愚痴を零したり、溜息を吐きながら歩き続ける事になるのだが、無事平民地区の安宿に帰れたかはまた別の話で。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシュバルトさんが去りました。