2018/12/03 のログ
ジナイア > 夜の富裕地区、学術施設などもほど近い、閑静な一角にある酒場。

天井のシャンデリアの明りはごく弱く、カーテンで仕切られた同席の客同士の顔もしかとは見えないほど。それに合わせるように、話し声もひっそりとして、中央のステージでピアニストが奏でる音が、何とも申し訳なさそうでもある。

扉を押し開けて入って来たすらりとした白い人影は、一度そんな店内を見回した後、奥のバーカウンターへ滑るように歩いていく。
―――歩くたびに、かしゃ、と腰のあたりから小さく柔らかな金属音をさせながら。

ジナイア > カウンターへ辿り着くと、滑るような動きのままスツールへと腰かける。バーテンダーへとその翠の瞳を向けて、やあ、と微笑えば吊り上った眦が少し和らぐ。

「ホットワインを。…あと、ナッツを、つまみに」

女としては少し低めの声で注文した後、ストールを頭から降ろす。黒髪と赤銅色の肌は薄闇に溶け込むようでもあって、翠の瞳が殊更に印象的になる。

ジナイア > 注文が届くまで、手の甲に頬を載せて店内を眺める。大き目の瞳は好奇心旺盛そうで、紅い唇も楽しげに口角が上がっている。

目の前にグラスが滑り出て、バーテンダーへ視線を戻す。続けてナッツの皿を出す彼にありがとう、と呟いて

ジナイア > 「…寒くなったね、随分と」
言いながら、ホットワインのグラスを両手で覆って、指先に温もりをとる。
「この先、この国はどの位寒くなるのかな?」
あまり、つらくないといいんだけど…と呟きながらホットワインを一口。

ジナイア > 「ああ…見ての通り、南国の出身でね…雪は見てみたいけど、あんまり寒いのは困るなあ」
口調は飄々として、本気なのか冗談なのか。
ナッツを口に放り込むと、奥歯で噛む。それをまた、少しのワインで流し込む。

ジナイア > ―――ひとしきり、バーテンダーと故郷の話をした後、空になったグラスを押しやる。続けて、代金をカウンターの奥へ置き、スツールから滑り降りる。

「ごちそうさま。―――いい、ピアニストだね。特に、選曲がいい…」
ちら、とピアニストに視線を投げてから、バーテンダーへ再び微笑いかける。また来るよ、と言いながらストールを巻き直し、来たときと同じように滑るような足取りで店を出てゆく…

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/酒場」からジナイアさんが去りました。