2018/11/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区裏路地」にディールさんが現れました。
■ディール > ―――追われているのか、追わせているのか。
誘っているのか、誘われているのか。ふとした視線を感じて表通りから足を踏み入れるた裏路地。
高い壁が、塀が思っている以上に自分の視界を、行動幅を制限している。
数歩前に居た筈の相手の気配が前方にもなく、後方にもない。立ち止まるのは――
「さて命を狙われる覚えは有るが、こうもうまくしてやられる相手がいたかどうか。」
唸るように低い声。壁に背中を預けようとも思わない。
壁や床等と同一化する魔法は珍しくもなく、さりとて素直に大通りに戻る為に背中を軽々に向ける事も好ましくない。
舌打ちをしつつ、錫杖にて石畳を数度突く――音に魔力を這わせる索敵のための手段。
それさえも何も検知できない。空でも飛んでいるのかと上空に目をやるも飛び回るは羽虫に小鳥。
舞い散る落葉といった手掛かりのないモノだ。
ならば、と。足を更に裏路地に進める。一つ壁を曲がり、自らの体――白衣の内側。衣服の内側に纏うのは高純度の魔力保護。
会話するような相手か、直接命を狙う相手か。
それとは判らずに、どうせならばと興味心が己を奥へ足を進ませる
■ディール > 往診鞄には合法・非合法の薬は入っている。
ただ、吸入や摂取させるのが必要な薬物ばかり。――空中散布では効果をなし得ないものが多いのは失敗ともいえた。
定期的に。不意を突くように杖で石畳を打ち、索敵を行なうが反応はない。
富裕地区でも買い手の付かない幽霊屋敷と称される廃屋に近い家が並ぶ一角。
嘗ては有力貴族とされた1人の貴族の別荘の前まで辿り着く。
白き大理石にて覆われていた城壁のような壁も、今は崩れ、荒れ放題。
花園を自由に宮中画家に描かせたとされた庭園も今では雑草が生い茂る。
鉄柵は魔法の加護を喪ったのかさび付き、窓ガラスもまた乱雑に割られている。
足を踏み入れるなら相応の危険は有るかも知れない。
――もっとも、だが。確かこの屋敷については曰くが付いている事もあり、厳重に封鎖をされていたはずだが。
封印符は切り捨てられ、扉を閉ざす鎖に南京錠もまた斬り捨てられている。
来い、と言う事なのか。足をとめて悩ましく目前の別荘―ーと呼ぶには豪奢な面影の残る豪邸を見つめていた
■ディール > 「ま、退屈しのぎにはなるか」
力を得た代償とも言える危険意識の薄さ。
懐から取り出すのは毒々しい紫色の魔力を帯びたチョーク。
それが石畳に帰還の魔法陣を勝手に描き出す。紫色は赤みを帯び次第に蒼を。
やがて石畳に壁画のように門と封の紋を描くと陣が消えていく。
短い距離では有るが入り口と出口の空間のパスを繋ぐ紋。屋敷の中を歩き回る分には不自由しない距離で、何時でも己はこの紋の場所に戻れる
安全策を取るならば誘いを拒むようにしてこの場を後にすべきだろう。
そうしないのは。奢り、慢心と言った類の物が強く精神状態、思考状態に影響を及ぼしている。
こつん、と革靴が入り口を潜り、庭園を抜け。屋敷の扉に近付き――
■ディール > 半魔の男が屋敷に足を踏み入れると――その屋敷の周囲が濃密な霧に覆われていく。
魔力による精査も、音でさえも。
あらゆる情報を吸い込んでしまう魔霧。
何故、この屋敷が荒れ放題となっているのか――何故誰も手出しが出来ないのか。
それを身を持って知る事になるのは又何れの話。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区裏路地」からディールさんが去りました。