2018/11/14 のログ
セイン=ディバン > まさかうっかり人に出会ってしまうとは、男も思っていなかった。
楽勝な仕事だと、警戒をしていなかったのが悪かったか。

「そ。お仕事で、盗み」

イコール、私悪人です、という自己紹介に他ならないが。
男は、だからどうした、とばかりに相手に詰め寄るも。

「……ふ、む。まぁ、それもそうか。
 もしもこの屋敷の人間なら、とっくに助けを呼んでるだろうしな」

相手の主張に頷き、顎をさする男。
相手が屋敷の住人でないというのは理解できた。
だが、だからといって相手を見逃すつもりもない。
というか、そんなことしたら自分の立場が危ないのである。

「……ん~? ……なんだろ。キミ、どっかで見たような……?
 あぁ、すまんね。オレ、臆病者だからさ。
 で? もしかして同業者? だったら、手助けしてやってもいいぜ?」

相手の素顔を見れば、首をかしげる男だったが。
相手のおびえたような様子に、ケラケラと笑いつつ銃をしまう。
男自身、実力に自信があるタイプでもないが。
あまり相手をおびえさせても良くないと判断してのことだった。

リュシー > (なるほど、泥棒はふつう、悪い人のすることだろう。
しかし、いま、ここでそれを責めた場合、洩れなく己にブーメランとなって返ってくるはず。
更に言えば、そもそも己だって、決して善人ではなかった。
ここの家から何か盗まれたとして、己には痛くも痒くもないのだし―――。)

……そ、そうでしょ、そうでしょ?
まあ、ソレで撃たれちゃったらやだから叫ばない、って考えかたもできるけども。

(せっかく納得してくれそうなのに、掘らなくてもいい墓穴を全力で掘る己である。
えへへ、とあからさまな誤魔化し笑いを浮かべながら、とにかくしまってしまって、と、
相手の手の中の武器をちょいちょい指し示していたのだが。)

――――― へ?
……あ、や、いや、あ……たぶん、ひと違い、だと思う、よぉ……?

(相手の記憶に引っかかっているのは、男のころの顔だろうか。
だとすれば自動的に名前も、身分も、ことによれば悪評の数々も、
あっさり露見するのかもしれない。
あんまりバレたくないことには違いなく、更にぎこちなく笑って誤魔化そうと。
それでも、銃をしまってくれればはっきりと、肩から力が抜けてゆく。
手助け、という言葉に、すかさず食いつく程度には警戒も解けて)

え、ほんとに?
あんた、夜目、ききそうだよね……探しもの手伝ってくれたら、
めちゃくちゃ嬉しいけど。

(きらきらと、まるで子供のように目を輝かせてみたりする。)

セイン=ディバン > そもそも善人ならこんな風にはならない。
男の生き方ときたら、外道も外道、外道味なのだから。

「あぁ、まぁそれもあるだろうけどな。
 ……大丈夫だって。こんな小口径の銃なら、一発二発撃ち込まれても死にはしないから」

相手のごまかし笑いに、男もニヤニヤと笑い応える。
もちろん。相手から敵対行動をしない以上、撃つ気はない。
まぁ、それもこの後の展開次第だが。

「……そうかぁ? いや、ならいいんだがな……」

明らかに怪しい振る舞いの相手だが、男は深くは追求しない。
人間誰しも、隠し事の一つや二つはある。
痛かろうが痛くなかろうが。腹を探られれば不快にもなろう。
それよりも、まずはお仕事、である。好奇心は後で満たせばいいのだ。

「……キミ、シーフじゃないだろ。
 もしもオレと同業者なら、手伝って、なんて絶対言わないからな。
 分け前が減っちまうわけだし……。
 ま、いいぜ。手伝ってやるよ。何探してんだ?
 つっても、オレぁタダ働きする気はねぇけどな?」

相手の言葉と表情から、生粋のシーフ。同業者ではないと察する男。
貴族の屋敷でのお宝探しなんぞ、シーフにとっては実入りが良すぎる。
そこで手助けを求めるシーフなど、駆け出し位のものだろう。
男は、そう考えつつも、手伝うことを了承し、しかして、報酬は貰うぞ、と告げる。

リュシー > (相手が悪人でも、外道でも、とりあえず構わないのだが――――)

………いや、待って。
死ななくても、撃たれるのはヤです、痛いのキライだもん。

(どこが大丈夫なんだ、と、見知った相手だったらとっくにドツいているところだ。
さすがの己も、見ず知らずの、しかも銃を持っている相手に、そんな真似はしないけれども。
ただ、相手を見る目が一瞬だけ、とても剣呑な色を過ぎらせたかと。

相手の記憶がもし、少女の姿で夜会を引き回されていたころの己について、なら、
少なくともさほど不名誉ではない。
けれどいずれにしても、探られたくない部分には違いなく―――――
追及されない、となれば、えへ、と肩を竦めて笑い)

そうそう、こんなの、よくある顔だと思うよぉ。
……って、うん?シーフって、そういうもんなの?

(盗みを生業にしている者なら、同業者に手助けは頼まない―――
そんなもの、だとは知らず、きょとりと目を瞬かせて首を傾げた。
分け前云々のことには頭がまわらなかったので、純粋に、
助けてもらえるものならラッキー、ぐらいの気持ちでいたのだった。)

確かにシーフじゃないけど、探しものしてて、困ってるのはホントだよ。
できれば家の人には見つからないうちに帰りたい、とも思ってるし――――― 

(さっそく、探している財布の形状など説明しようとしたところ。
無報酬ではない、と聞いて、それはもちろん当たり前のことではあるのだが、
考えていなかった己は一瞬、ぴたりと固まる。
覗きこむように、窺うように、相手の目を見つめて)

えー、と。
おにーさん、おいくらですか?

(助け賃はいくらなのか、と訊いたつもりだった。
しかし、言い回しがだいぶ、アレ、だったかもしれない。)

セイン=ディバン > 「ま、そりゃそうか。
 オレも痛いのはキライだよ」

ちら、と変わった相手の声色に気付きつつも。
男は、飄々とした態度を崩さない。

「……ま、そういうことにしておこうか。
 いや、全員が全員そうとは言わないが。
 こんな美味しい状況で、わざわざ横槍入れさせるプロはいないだろ」

やはり、どこか、誤魔化すようにしているな。
そう理解しつつも、やはり追求はしない。
少なくとも、今はその時でないと思っているからだ。
そのまま、男は相手に、今この屋敷はシーフ的には美味しい、と告げる。

「そういうことを見ず知らずの相手にぽんぽん言うのとか。
 プロじゃねぇって言ってるようなもんだ……」

あまりにも簡単に情報を漏らしてくる相手に。
流石に男も色々と心配になってきたのか、額を手で押さえる。

「そうだな。……。
 ん~。一発、生ハメセックス、中出しつき。
 これで助けてやるよ?」

相手からの報酬への質問に。
男は、真剣な表情でそう告げる。無論、冗談ではなく本気だ。

リュシー > …痛くされるのは嫌いだけど、痛くするのは好き、とか言うなよ?

(ぼそ、と呟き落とした台詞は、相手の耳に届いたかどうか。
もちろん己としては、届いていないほうが都合が良い、のだが。

なるほど、金に飽かせて集めた調度品に囲まれた部屋である。
泥棒サン的には美味しい空間であり、美味しい仕事であり、
できれば他人と分け合いたくはないものなのか―――――
その部分に関しては、ふむふむと頷くしかできない己である。
―――――そろそろ、頭の足りないところが露見している、かもしれない。)

ふーん、そういうもんなのか……。
いや、だって、本当にプロじゃないんだからさ。
そんなこと、嘘ついたって仕方ないじゃ―――――…… は?

(そこで思わず、まじまじと、真正面から、相手を凝視してしまう。

いま、このヒトなんておっしゃいました?
え、このヒトとぼく、確か初対面だったよね?
初対面の相手に、いきなりソレっすか?

いろいろと言ってやりたいことはあったが、すぐには言葉が継げなかった。
暗い天井を仰ぎ見、己の足許を見降ろし、それからもう一度、
相手の顔をじぃ、と見据えて。)

……いちおう、訊いとくんだけど。
それって、先払い?後払い?

セイン=ディバン > 「冗談。女性に乱暴するのも、趣味じゃねぇよ」

ぽそ、と相手が漏らした小声に、男は耳ざとく反応を返す。
無論、多少そういう趣向になった時もあるが。
基本的には、この男は女性にはある程度優しい。ある程度は、だが。

「ま、プロじゃないってのは、一目見て分かったけどな。
 そもそもプロなら、オレに会った瞬間即逃げてるだろうし……」

プロでないならこの屋敷で何をしているのか、と。
そこもまた疑問に思う男だが。それも、相手が探している物を聞けば分かるか、と。
しかし、相手が自分を見てくれば。ん? と首をかしげ。

「あん? そりゃあ後払いで構わんが。
 先にすることして、後になってタダ乗りでした、なんて言われたらたまったもんじゃねぇしなぁ」

無論、男は報酬を貰いさえすれば仕事には全力を尽くす。
報酬だけもらって逃げる、などということはする気はないのだが。
その上で、男は相手に、報酬は後払いでいい、と。
そう宣言した。いわば、矜持の問題だ。

リュシー > ………そ、ですか。

(聞こえていたらしい。
少々ばつの悪い思いで短く返したが、頭のなかでは更に、
生まれついての女でなくても、乱暴しないでくれるんでしょうか、なんてことを考えている。)

ていうか、プロならきっと、おにーさんに見つかる前に逃げてたよねぇ。
ぼく、声かけられるまで気づかなかったもんねぇ…。

(なんというか、もう、はじめから勝負なんかついていたようなものだった。
あはは、と乾いた笑み声など洩らしつつ、こめかみのあたりをぽりぽりと。

初対面の相手にいきなりカラダなど要求する相手だから、
報酬が先、とか言われると思っていたので、
あっさり返された答えには、やや意外そうに目を瞠った。
そうして一拍、思案げに目を伏せてから)

……そ、か。
自信たっぷりだねぇ、おにーさん。
んじゃ、助けてもらっちゃおうかな……。

(いやいや無理です、やっぱりけっこうです、とならないところが、
己の考えの足りないところだ、と言えるかもしれない。
とりあえずとっとと探して帰りたいので、助けてくれるというのなら甘えよう、という、
実に軽々しい考えのもとに―――――探している財布の色や形などを伝えて、
多分この部屋のどこかにあるはず、なんて、ザックリした推測を付け加えることに)

セイン=ディバン > 「……」

相手の短い言葉に、男は無言で視線を向けるだけだ。
別に、聞きとがめる気も無かったが。
つい、言い返した言葉が刺々しかったか、と。内心だけで反省。

「ま、それもそうだ。
 まぁそこに関しちゃ、オレもプロだから気配を消してた訳だが」

気付けなくても仕方ない、と。軽く相手を慰める男。
こう見えても、気配遮断に関しては得意中の得意。
素人にそう簡単に気配を気取られては、商売上がったりだ。

「まぁ本職だからな。
 どれ、じゃあとっとと済ませようぜ。
 あんまり時間かけてっと、家主たちがこっちに来るかもしれねぇ」

相手から探し物、財布の情報を聞いた男は、早速行動を開始する。
音を立てず、部屋の中で、財布が入りそうな場所を次々に漁る。
その手際は、まさしくプロというもので。

「んで? な~んで財布なんか、こんな屋敷に落としたのよ。
 もしかして、キミ、ここの貴族どもに買われたとか?」

小声で、時間つぶしにそう尋ねる男。
その間も財布探しはやめない。

リュシー > (実際のところ、相手に反省してもらう要素など皆無である。
なにしろ、女性の扱いに関しては、己のほうがきっと悪かったはず、でもあるし。)

気配、消せると便利だろうねぇ……。
ぼくも昔よりはずっと、いろいろ警戒するように、なったつもりではあるんだけど…

(警戒しているわりには、あっさり他人さまの申し出を受け入れているわけでもあるが。
所詮、生まれついての女性と同等の警戒心は、己のなかには生じ得ないものかもしれない。
それより何より、ここのお坊ちゃまに見つかる前に、とっととずらかりたいのだ。
相手の言葉にもこくこくと忙しなく頷いて、己は己で探索を再開する。
相手に比べれば、あちらへ躓きそうになり、こちらで物音を立てそうになり、という、
なんともおぼつかない探索ではあったが――――)

なんで、って、そりゃ…昼間、ちょっとね……、
―――――……いや、いやいや!なんでそーなる!?

(ぐりん、と勢い良く振り向いて、相手を睨みつけてしまう。
ぎゅっと眉間に縦皴まで寄せて、くちびるを不機嫌そうに尖らせ)

ぼくは売りものじゃありません、ていうか、気色悪いこと言うなっつの。
ここのお坊ちゃまとムニャムニャするとか、考えただけで鳥肌立つわ。

(ごしごしとマントの上から、己の二の腕を擦る仕草。
想像するのも嫌だ、と本気で思っていることが、充分伝わることだろう。)

セイン=ディバン > 「ま、その辺は修練の賜物ってやつだ。
 オレも冒険者生活、シーフ生活は長いんでね」

相手の言葉に返答しつつ、男が首をかしげる。
ぼく。ボク。僕? よくよく考えると、この目の前の女性は。
なんだか、部分部分で喋り方が、違和感があったような。
男性的、とでもいうのか。見た目にそぐわない喋り方をしていたようにも……。

「昼間? はぁん。昼間忍び込みでもしてたのか?
 ……ばっ、静かにしろ!」

ザックザックと、ベッドシーツの中を漁っていれば、相手が声を荒げ。
思わず、静かにしろと男も小声で叫ぶ。

「そうなのか? オレぁてっきりここの家主に買われたのかと思ったぜ。
 貴族ってのは、人の心がないやつ等が多いからな……」

本気で嫌がっている相手の様子を見て、男は苦笑する。
そこで、男の手に何かが触れ。ごそり、と引き抜いてみれば。
それは、財布であった。男はそれを、無言で相手に見せる。

リュシー > 修練、かぁ……。
そりゃあ、ぼくには縁のなかったコトバかなぁ……。

(相手がそろそろ頭に疑問符を浮かべているかもしれない、などとは、
考えもしない己の口調は、相も変わらず女性らしさに欠けるまま。
これが年端も行かぬ少女であれば、まあ、可愛らしい、で済まされたかもしれないが、
現在、見た目はいちおう、成人女性に見えているはず、である。
――――傍目にはものすごく、違和感ありまくり、なのではないかと。

ともあれ、探索中の大声が禁止であるのは間違いない。
静かに、と言われれば、慌てて両手で口を押さえ、こくこく、と首肯で応じ)

………ご、ごめ……。
けど、あんたも悪いんだぞ、妙なこと言うから…、
ま、ここの旦那さんが女好きだってのは否定しないけど、も、
―――――… あ。

(悪友の父親ではあるが、己の知る限り、毎晩どこぞの女をとっかえひっかえ、
している、という噂は聞き及んでいるし、現場に遭遇したこともある。
貴族、とひとくくりにされると、ほんの少しだけ心が痛まないでもないけれど―――

相手が引っ張り出してみせたのは、確かに己の財布、であった。
さすがに、つい今しがた叱られたばかりなので、大声はあげなかったが。
その代わり、無言でびゅっと飛びついて、相手の手ごと両手で財布を握り締め)

……よ、かった、ぁ……これで、帰れる……。

(こころなし、眦に涙すら滲ませつつ。
見るからに嬉しそうに、満面の笑みで相手を見あげ)

ありがと、ほんっとに、助かったよ。
これ、ぼくの全財産だからさ、…なかったら、帰れないところだったんだ。

(ぶんぶんと、相手が抗わなければ相手の腕ごと上下に振り回してしまいそうな勢い。
全力で安堵していて、喜んでいて―――――この瞬間、たぶん、謝礼のことは頭から抜け落ちている。)

セイン=ディバン > [継続予定です]
ご案内:「王都マグメール富裕地区/某邸宅」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール富裕地区/某邸宅」からリュシーさんが去りました。