2018/09/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 とある邸宅」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > [待ち合わせ待機中]
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 とある邸宅」に紅月さんが現れました。
セイン=ディバン > 「……ふむ」

随分と放置していた自宅の掃除。基本的には雇った二人のメイドがしっかりやっているものの。
来客を迎えるなら、完璧な状態にしておきたい、と。
男は自ら掃除をしているわけなのだが。

「……そもそも、あのメモに気付いてもらえなかったら。
 俺、相当滑稽だよな」

一通りの掃除を終えたところでそう呟く男。
招いた客が来るかどうかは、こればかりは運次第、という所であり。

紅月 > ーーーかつ、かつ、しゃら…

恋人に"家に遊びに来ないか"と誘われたから、お気に入りのワンピースを翻しながら来てみた…のだが。

「……、…あっるぇ~…?
何かこう、富裕地区って辺りで予想はしてたけど…家、家って……コレもう御屋敷じゃん」

邸宅前の道にて、メモを片手に間抜け面。
そういえば普段何してる人なのか突っ込んで訊かなかったな、なんて、今更になって気付けば…ひょっとしたら凄い人なのだろうか、と首を傾げる。

「えぇと…どうすればいいんだろ。
呼び鈴とかあるのかな?」

オロオロ、きょろきょろ…閉め出された仔猫よろしく、珍しくさらりと下ろした紅の髪を揺らしながら門前で狼狽えている。

セイン=ディバン > 「お」

家の中に響く警戒音。そういえば防衛機構は生きてたっけか、なんて思いつつ。
警報を消し、玄関へ。ドアを開けて来客を迎え入れようとすれば。

「お~っす、いらっしゃ……」

そこに、いつもと違う服装の恋人が居た。
普段は東の地の服装を貴重としているその女性。
本日の装い。見事にマグメール風というか。
清楚なワンピースに、装飾の数々。決して華美ではなく、かといって清楚なだけではない。
単純に言って、美しかった。

「……いら、っしゃい。
 あ~……あぁ。入って入って」

見とれていたものの、男はすぐに頭を切り替え、中へと相手を誘う。
微かに赤面しながらも、男は相手をゲストとして、しっかりともてなそうと。

紅月 > ガチャ、と扉から音が鳴る。
そちらの方を見れば夏の間にすっかり見慣れた着流し姿。
初めてのお宅訪問というのもあり些か緊張気味だったのだが…ついついホッとして、ふわりと緩く笑顔を向ける。

「あぁ、セイン…本日はお招き頂きありがとう御座います。
……ふふっ、お邪魔しまーす」

ワンピースを軽く摘まみ裾を軽く引き上げて一礼を…幸い、男が見とれていた事には気付かなかったようで。
迎えられれば嬉しそうに歩を進め。

「…あら?もしかしてセイン、ちょっぴりドキドキしてくれてる?
実は紅も、朝から緊張しちゃってて…うふふっ、やぁねぇ」

扉を押さえてくれる男のもとを通り入室する際、なんだか彼の頬が染まって見えた気がして。
まさかその原因が自分自身だとは思いもよらず、クスクスと笑いながら話して。

セイン=ディバン > 扉を開け、目にした恋人の姿に完全に虜になってしまうが。
相手が笑顔を見せれば、逆に男は気を引き締めなおす。

「あぁ、うん。メモに気付いてくれてよかったよ。
 あい、ど~ぞ」

他愛も無い会話をしつつ、相手をリビングへと案内する男。
しかし、そこで声をかけられれば。

「……そりゃあ、まぁ? 恋人が家に来るんだから。
 緊張だってするさ。……えっと、どうするかね。
 一応、料理の用意もしてあるし。それか……。
 いきなりベッドイン、でもいいんだけど」

指摘されれば、さらに赤面を強くし。視線をそらす男。
そのまま、男は考える。
料理は下準備まで終わっているし、風呂も用意はできている。
と、なれば。来客たる相手のして欲しいようにするのがいいか、と。
男はそう考えた。

紅月 > 「ふふっ、お揃いお揃い!
ん…? ……んもうっ、せっかくセインに見て欲しくてお洒落してきたんだから…もう少し、このまま可愛がって下さいませ?」

笑いながらも少々拗ねた様ないいかたで。
やんわりと、いきなりのベッドインを回避しつつ…けれどもその声には少々甘さを含めつつに。
さて、なにをしようか。

「じゃあ、ごはんかな?
何か手伝える事ある?紅も頑張るよ?」

セイン=ディバン > 「お揃い、ね。ハハッ。
 ん……そう、だな。せっかくの二人っきりだし、な」

相手の言葉に、男は苦笑し。そのままリビングにあるテーブルを示し。

「おいおい。ゲストに手伝いしてもらった、なんて噂になったら。
 ウチの家の名折れだぜ。そこに座って待ってな。
 もう準備は出来てるから、さ」

相手にそう言いつつ、男は厨房へと入る。
さて、と一息はきつつ、男は下ごしらえしていた食材を、料理の形へと仕上げていく。
ほどなくすれば、リビングには食欲をそそる匂いが漂うことだろう。

「あ゛っ!! ……聞くの忘れてた。
 お紅~。お前、食えないものとかある~?」

にょき、と顔だけを出し尋ねる男。来客の苦手なものを出すわけにはいかない、と。
いつもと違い、その辺りはしっかりとしているモードなのだ。なのだ。

紅月 > 相変わらず西の作法に疎い紅娘。
きょとりと目を丸くして「そうなの?」と首を傾げる。
厨房へ向かう背を見送れば、示されたテーブルに近付き…ちょこん、と椅子に腰掛けて。

さて、他人様のお宅で暇になってしまうと、こう…不作法だとは思えど、調度品等々が気になり始めるもので。
お腹の減るイイ香りに包まれながらソワソワしていたものの、やはり好奇心には勝てず…見回そうとしたところで聞こえる男の、しまったとでも言いたげな声。
ビクンッと盛大に肩が跳ねる。

「……っと、特にないよ~?
強いて言うなら、辛いモノと苦味野菜、魚介のワタはイマイチ…って程度かなー?」

スパイシーなのは結構好きなんだけどねぇ…なんて、付け足しながら笑う。
まがりなりにも"喰らう"性質を持つ魔導生物、嫌いなものは少ない方だろう…けど。
辛み苦味はどうにも刺激物と認識してしまい、イマイチ好きになれなく…あれば食う、程度で。
…それなのに若干偏食気味なのは、単に"好き"に寄っているから、なのである。

セイン=ディバン > 「そうなの。っていうか、東だって、客人をもてなす時は家人ががんばるもんだろ?」

恋人ではあれど、今宵はゲスト。しっかりともてなそうと、男は奮闘するが。
相手の食の好みについて尋ねようとすれば、相手が何か、興味深そうに周りを見ているのが分かり。
男は、ニヤリ、と笑いながら顔を引っ込める。

「あいよ、それなら良かった。
 幸い今夜のお食事はそれらはありませんので。
 ……興味あるなら見たり触ったりしててもいいけど。
 後で家の中を案内しようか?」

くつくつと笑う声を隠そうともしないまま、男はそう言う。
そうして、それから数分後。テーブルの上には男が運んだ料理が並んだ。
新鮮な野菜のサラダ。シンプルなスープ。鮮魚の『オサシミ』に、ふっくら炊き上げた『コメ』。
マグメール原産黒耀ブタの肉のフライ。お気に入りであるタルキィ鳥で作った『カラアゲ』など。
男が学習した、東の国のメニュー多目のディナーであった。

「できりゃあミソスープってのを作りたかったんだが。
 どうにも作り方が文献に無くってなぁ」

男は笑いながら言う。この男、とある魔王様の修行により、料理:EXのスキル持ちである。
おおよそ、学んだ味は再現可能だし、東の国の料理とて作り方を覚えればお茶の子さいさい、という感じである。
さてさて。このメニューは恋人の舌を満足させることが出来るだろうか?

紅月 > 「そりゃあまぁ、そうなんだけど…
…なんか、こう、自分がもてなされる側になると……いやまぁそれだけじゃないけど、ちょっぴり落ち着かなく」

そわそわ、そわ…
家からはほんのり彼の香りがして気恥ずかしいし、彼の趣味だとかも気になるし…あっちもこっちも、色んな"気になる"がいっぱい過ぎて落ち着かない。

「……っ!! …やっぱり、バレた?
えへへ、うん…セインのコト、もっと知りたいし」

なんだかちょっぴり恥ずかしいけれど、彼が楽しそうだからいいや…なんて。
後で見られるなら、今は眺めるだけにして色々と楽しみに取っておこう。
何かの焼ける音や煮込まれる音を楽しみながら、のんびりと待てば…並ぶ料理は、故郷のそれと違わぬもの。

「……、…えっ、セイン、これって…!
えぇっ、いつの間に…レシピ探すの大変だったでしょうに」

まさに感心しきりとばかりに呆けた表情。
思わず男と料理を交互に、じっと見詰める。

「…い、いただきます……っはふ、美味しいっ!
うわぁ凄い凄い、カツだカツ!ごはんもふっくら、炊き加減も丁度いいし!
セインってこんなに料理上手だったんだ…!!」

手を合わせて…ぱくっ。
懐かしい味にほっこりと…そりゃあもう緩みきった笑顔がこぼれる。
味噌汁がない?…いやいやむしろ、よくぞここまで再現を。

「……今度お味噌汁、一緒に作ろうか」

一瞬、真顔で呟く…この紅娘、作らせる気満々である。
東の調味料は一通り入手ルートを確立してあるし、そういう意味でも…彼ならひょっとしたら、毎日味噌汁を作って欲しいってレベルまで育つかも知れない。

セイン=ディバン > 「そりゃあ困るなぁ。これからはこうして俺がもてなすこともあるわけだから。
 今の内、慣れておいてくれ~?」

言葉通りに落ち着かない様子の相手を笑いながら見るが。まぁ、気持ちは分からないでもない。
自身ももてなされるのはイヤだからなぁ、なんて考えつつ。

「そりゃあ、借りてきた猫みたいにきょろきょろしてたら分かるわい。
 ……う~ん。嬉しいこと言ってくれるなぁ。照れちゃうじゃないか」

この相手の正直なところというのは、なかなか好ましく思っているのだが。
男としては、真正面からそう言われると恥ずかしさで死ねるのだ。

「いやぁ、そうでもないぜ? 探せば文献や、食べた感想なんてのはあるから。
 あとは、材料と味から作り方を想像すればこんな感じで、な?」

えへん、と胸を張る男。実際作るにあたってはかなりの試行錯誤もあったのだが。
今では簡単な物なら、東の国の料理も作れるようになった。なった、のだが。

「そりゃあよかった。俺も食うかね。
 えっと、なんだっけ? カラアゲ? トンカツ?
 これってこのコメってのに合うよなぁ」

もっしょもっしょと男も食事をするのだが。
男は、オサシミだけには手を付けない。
理由は簡単。店などで食って、慣れてはいるのだが。自分の作ったサシミには、少し不安があるのだ。
魚を生食。結構不安。

「お、いいのか? 資料で読んだが。
 オミソシルは家庭の味、なんだろ?
 だったらお紅の家の味を再現できるようにしないとな」

何でも、家庭ごとにまったく味が違うスープらしい。
相手の思惑など気付かぬまま、男は安請け合いする。
当然、東の国の有名なプロポーズの一節なんて、知るわけもない。