2018/07/15 のログ
■月永遠花夕 > 「やるだばおーとえまぬえる教会ですか。」
最初は随分長い教会の名前だなと思ったけれど、そういえばそういう都市があったのを思い出した。というか一度、燭台の注文を受けていった事があったんだっけ。
「なるほど、ゲストの方なんですね。どおりで偉そうな人だと思った。」
言い終わってとんでもなく失礼な事を言ってる事に気づいた。
「ええ、えっと、い、今のはその高貴な方なのだなあという意味です。」
慌てて言葉を追わせてそう訂正した。あー、もう、駄目だ。このテンション空回りしまくるなあ。
それにしてもすごい言葉遣い。ボクなんかが同じ空気を吸う自体が奇跡のレベルの止ん事無き身分の人なんだろうなあ。きっと。
「あ、そ、そうですね。ありがとうございます。」
ボクは椅子を進められると彼女の好意に預かって彼女の示した椅子に座ることにした。あー、それにしてもすごい座り心地。業者に通すような部屋じゃないよね。ここ。うん、気づいてた。うっすらと気づいていた、けど、ここで移動できるような空気でもないし、うん、最悪ここの人がボクの事さがしにきてくれるよね。
そうボクは楽観的に考えると彼女を見た。さっきから、気づいてたけどこの子人間以外の匂いもするんだよね。なんだろ。この匂い。ボクは嗅覚が強いから間違いない。
「えっと、人間ですか?」
ボクは緊張のあまり、さっきの反省もなくまた失礼な言葉をはいてしまうのだった。
■リータ > 「………。」
気を悪くした風でもなく、少女はただ、にこっと笑顔を見せる。
おそらく聖職者と接したことがないのだろうと判断した。
そういった人々の生活は全く分からないのだが、つまりはお互い様である。
「いいえ。私もこういった所は慣れておりませんので…。」
腰を落ち着けたのを確認し、己もまた窓辺の椅子に座り直した。
長い司祭服に皺が出来ないよう整えて、彼から投げかけられた言葉に頷き。
「はい。両親は共に人間でした。貴方は異国の方でしょうか?」
王国では珍しい衣服だけではなく、言わなかったがミレー族の様な
特徴がありながら奴隷として扱われている様には見えない。
■月永遠花夕 > ああ、笑ってくれた。
気を悪くしたようではなさそうだけど、それにしてもやっぱり高貴な人は笑い方にまで気品があるんだなあ。
ボクはそう思うと少し気を落ち着かせようとゆっくり深呼吸したのだった。
「貴方も慣れていないんですか。なんか座り慣れてないとなかなか身体が沈んだりしてバランスとりずらいですよね。これ。」
ボクはそう口にすると子供のように椅子の上で身体をバウンドさせてみせた。
うわ、また変な事いっちゃったよ。と人間ですか?と問うてしまった彼女の顔を伺ったけど、怒った様子はない。さすがに聖職者の人って心が広いのだなあ。
「そうなんですか、すみません。変な事聞いちゃって。ボク嗅覚が強いので、あなたから人間以外の違う匂いを感じ取っちゃったんですけど、厨房で変なスパイスでも嗅いじゃったのかな。おかしいな。」
ボクはそう口にするとゴシゴシと鼻をこすった。きっと気のせいというか、さっき厨房に行って鼻をおかしくしちゃったんだろうな。
「ボクはシェンヤンの方から来たんです。留学・・・ですね。はい。うーん、やっぱりこの服目立ちますよね。」
彼女が衣服で判断したのだとそうボクは考えて口にすると、耳を少し揺らした。
■リータ > 「綿がたくさん詰まった椅子なのでしょうね。
私もこういった椅子より木の椅子のほうがよく馴染みます。」
合わせたわけではない。
実際に教会の長椅子も自室も、木製の椅子が基本で、普段は質素な生活をしている。
己と同年代かと予想した青年が、無邪気な振る舞いを見せるのを目を細めて見つつ。
「私も色々な人と接しますから、匂いがうつっているのかもしれません。
―――あぁ、そう。先ほどまでここにもう2人いたのですが、1人は精霊の血筋だと聞きましたし…。」
彼の指摘に関しては特に不審がるそぶりもなく。
ただ、獣の要素が入り交じる見た目通り、嗅覚が鋭いのだということには感心する。
「帝国の方でしたか。民族衣装でしたら誇るべきだと思います。
遠い国で暮らすのは大変でしょう。何もかもが違いますから。」
■月永遠花夕 > さすが高貴な人はボクと違って、椅子の上で身体をバウンドさせたりしないんだなあ。
ボクは目を細める彼女を見ながらそう思った。もしかして、品がないと思われてるかな?まあしょうがないよね。実際に品がないんだしさ。
「そうですよね。確かにふかふかしてるのはいいですけど、慣れないボクにとっては何か身体のバランスが取りづらいです。ああ、なるほど、だったら匂いが移る事もあるかもしれないですね。たぶんそのせいだと思います。あ、えっと、その無礼な事をしてすみません。ボク決してあなたの匂いを嗅ぎたくて嗅いでいる訳じゃないんです。自然に鼻が感じ取ってしまって」
と、ボクは一応弁明しておいた。だって今の話だとなんかボクは匂いをクンクン嗅いだみたいじゃないか。さすがに初対面の人に変態だなんて思われたくないね。
「そうなんです。特に着物は慣れるのに苦労しました。制服すら着るのがままならなかったですからね。ボタンとか最初はかけちがえてばっかりでしたし。」
ボクは頭をぽりぽりと書くて不思議そうに彼女を見た。
「あれ??そういえば、貴方はゲストなのにパーティには参加されないのですか?」
■リータ > 「構いません。獣人の方は嗅覚が鋭いと聞きますし、ご苦労もあるでしょう。
間もなく夜宴が始まれば、それこそ色々な人の匂いがするようになりますし…。」
匂いを嗅がれたという発想には至らなかったので、にこやかに首を振り応える。
ただ敏感すぎるというのも可哀想な話。
扉の外が騒がしくなってきたのを感じ、少女はひと時心をそちらに遣り、呟いた。
「あぁ…帝国の民族衣装はボタンがないのですか。
お衣装を見る限り、締め付けがなくて心地よさそうですね。」
逆にどうやって着るのか、少女には分からなかったが。
異文化交流とはそんなものなのだろう。
「―――ここのご主人、ウリセス様は敬虔なノーシス教徒でいらっしゃいます。
そのため、招待客のみなさまの前で説法をとのお言葉をいただきました。
ですから私達はあくまで開宴を見届けるだけなのです。
……それに、こういった場は不得手です。」
父の教えがなくとも、何を話したらいいのか分からないし、刺激の多い場は苦手なので出席はしなかったと思う。
最後は少しだけ年齢に合った、気まずい苦笑いを覗かせて。
■月永遠花夕 > 「いやー、そうなんですよ。それこそ数十キロ先の堆肥の匂いだって自然にはいってきちゃうんです。それを食事中に感じ取った時なんて最悪ですよ、ははは。」
ちょっと、笑いを取るつもりだったのだけれど、さすがに冗談が下品すぎたかな。ちょっと反省。
「朝とかはいいですよ。何か眠気眼でもスムーズに着替えられますからね。制服だとひどいものです。いちいちボタンの穴がずれてるか確認しないといけないですからね」
ぼくは彼女の言葉にこくりと頷いてみせれば、その面倒臭さを思い出して、額に皺をよせて耳をぺたりと頭にくっつけてた。
「へえ、そうなのですか。すごいなあ。ボクなんてとてもじゃないけど大勢の人間の前で話なんて無理ですね。固まって声が氷のように地面に落ちていくのが目に見えてます。 不得手っていうのは会話とかの話ですか?そうですよねー、なんか解りきったようなお世辞をいったりだの、絶え間なく人に挨拶したりだの面倒くさいですよねー。」
学校の関係でパーティーに行くことも多いのでよく解る。勝手に会話の事だと決めつけちゃったけどね。ボクは思わず前のめりになって彼女に身体を近づけてしまって、慌てて身体を戻した。高貴な人との会話にも慣れてきたと思ったけど駄目だな。今度はフランクになりすぎちゃってる。きっと、年が同じくらいだから話やすいのもあるのだろうけど。
■リータ > 「それは……ご苦労お察しします。
生きとし生けるもの、全て排泄することは自然の摂理ですが…。
その様な方は他にもいらっしゃるのでしょうし、今後堆肥の管理方法も考えなくてはなりませんね。」
真顔で、心の底から同情する。
教会の中で世間を知らず育った少女、冗談が分からない。
「それは早起きしなくてはなりませんね。
雄鶏を飼うと早起きしやすくなると教えられたことがあります。」
解決策を見出そうとするから、何だか話が逸れてくる。
説法を垂れている間はまだしも、こうして世間話となるといまいちズレた性格であることが露顕してしまう。
「――――そういったものなのですか?私は存じ上げないことが多くて…。
お話ししていると、お相手が不思議そうなお顔をなさることもあるのです。
そういう時、私は教会の外で暮らすことは出来ないなぁと思います。」
そもそも経験が本当に乏しいので、相手の経験談レベルまで至らず。
噛み合っているかはともかく、砕けた話題にも差しかかってきた時だった。
扉がノックされ、メイドがパーティーの始まり――ひいては生神女の説法が始まることを告げる。
修道女はメイドの背後に控えており、既に合流していたようだ。
少女は立ち上がると彼に向って一礼し。
「それでは、お先に失礼いたします。有難う御座いました。」
微笑みを残し、部屋を出て行く。
退屈なはずだった時間を埋めてくれたことに感謝し、静々と、廊下を歩き招待客の待つ広間へと――。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 貴族邸宅」からリータさんが去りました。
■月永遠花夕 > うーん、あまり受けなかったな。やっぱり、高貴な人には下賤な冗談なんてうけないよね。そりゃ。
想像以上に深刻に受け取られてしまって、ちょっと申し訳ないくらいだなあ。
ボクは彼女の言葉に「そうですね。」くらいしか言うことができなかったんだ。
「雄鶏ですか。そうですねー、今度、飼ってみようかなー。」
彼女の言葉に頷いてそう行ってみたものの、寮で雄鶏なんて飼った日には同級生から全力でリンチされる事になるだろうなあ。でも、庭に小屋とか作ったらなんとかなるのかな。ああ、駄目だ、変なふうに思考がそれてしまうや。
「はい、いろいろと気を使って喋らなくてはいけないので大変なんですよ。」
あれ??もしかしてこの娘、あんまりパーティーとかって参加しないのかなあ?そんな事をボクが思っていると彼女は呼び出されて扉の方へと向かっていった。彼女が一礼するとボクも礼を返す。しばらくすると扉の向こうから声がする。
『ちょっと業者のひと~帰っちゃったのー?』
「あっ、ボク!!ボクここにいます!!」
ここでお金を受け取らないとボクは借金する事になっちゃうからね。本当それだけは勘弁。ボクは慌てて立ち上がると部屋を後にするのだった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 貴族邸宅」から月永遠花夕さんが去りました。