2018/06/24 のログ
紅月/コウゲツ > はた、と気付く。
いかん、また暴走した。

「わ、す、すみません!
…あはは、どうも職人ってのは夢中になっちゃうと止まらなくてダメねぇ?」

慌てたかと思えば、恥ずかしげに薄く頬を染めて。
スッと人差し指で魔方陣を石に向かって押し下ろせば、全ての術式が石の中に戻っていった。

「ありがとう御座いました、とても興味深かったです!
……あの、もしよろしければ…お時間があれば、ですが、御礼に一杯奢らせて頂けませんか?」

時間をとらせてしまった御詫び、と言うのもアレなので、敢えて『御礼』と表現してみる。
にこやかに首を傾げて。

ヴィンセント・ミラー > 「もういいか?」

魔方陣のような光が消えると、男は石を起動させどこかにテストコールをしていた。
そして、音声が聞こえることを確かめるとスーツの中に入れる。

「役にたったなら良かったな。
なら、あんたが知ってる店でも連れて行ってくれ。
どうせなら気を使わないで済むような店が良いな。」

丁度暇を持て余していた男は女の提案に飛び掛かった。
異国風の女が普段どんな店で飲んでいるのかも興味がある。

紅月/コウゲツ > あまり他人にイチオシをオススメしたことがない紅月、夜空を見上げて首を傾げる。

「ん?…んー?
私が知ってる店、かぁ…楽器弾きに行ってる平民街の大衆酒場か、近場なら東国お座敷の米酒が美味しい店?
どっちも料理も美味しいし、奥まった席や座敷があるからゴロゴロし放題だけど」

男の舌を満足させる程に隠し玉と言えるオススメといえば、この2店が安心かと提案してみる。

はてさてどちらを選ぶだろうか…物珍しいのは座敷だろうか、畳の小上がりとかあまり見ないし。
酒の種類の豊富さなら大衆酒場が圧倒的だが。

ヴィンセント・ミラー > 「近くの店にするか。 今から歩くとなると溜まらんからな。
別に寝転がる気はないがな。」

男は近いか遠いかだけで店を決めてしまった。
女の知っている店は話を聴く限りでは北の帝国領にあるような店のようだ。
酒が上手いのならば尚更都合が良い。

「なら、早速行くとするか。案内してくれ。」

見ず知らずの相手とは言え、綺麗な女と酒を飲むのは楽しいもの。
男は顔にこそ出ていないが、どことなく機嫌が良さそうであった。

紅月/コウゲツ > 「ふふっ…なら、こっち!
好き嫌いある?
肉も魚もあるけど…ほら、こっちの人って生魚あんまり食べないでしょ?」

元々人懐っこい紅娘…男の袖をちょこんと摘まみ、笑顔で嬉しげに軽く引き。
異文化交流は大好きだと言わんばかりに、とりあえず食の好き嫌いを訊ねてみる。

「米の酒にも清酒と焼酎とー…っふふ!
私としては清酒が一番かな?」

今にも鼻唄でも歌い出しそうな上機嫌さで酒語り。
表情から、酒好きなのだろうな、というのが滲み出ている。

ヴィンセント・ミラー > 「俺は育ちが悪いから大抵の物は食えるぞ。
生魚も喰えるな。 健康に良いんだろう?」

スーツの裾を摘ままれると驚いたが、笑顔を浮かべているので咎めないで置いた。
男は異国の料理=ヘルシーだとどこかで聴いたようだ。
根拠もなく信じている。

「セイシュだのショウチュウだのはあまり聞いたことがねえな。
あんたが好きなのなら俺も今日は飲んでみるか。」

どうやら店に向かうまではもう少しかかるようだ。
この辺で自己紹介でもしておこう。

「俺はミラー。 騎士だ。
あんたは何て名前だ?」

紅月/コウゲツ > 「わ、嬉し!刺身をオススメ出来るなんて!
そうねー…こっちのご飯は肉や油を使った物が多いでしょ?
和食…故郷の料理はサッパリしたのが多いから、自然とヘルシーになるんだ!」

男の認識もあながち間違っていない。
…ので、根拠を付け足す形で説明してやる。

「ああっ、申し遅れました…
私はコウゲツ…東の果てにては紅の月、と書きまする。
職としては…冒険者かしら?
たまにタナール砦で臨時治癒術師もしておりますが」

魔族との戦が激化しそうな昨今、騎士であれば人手不足の噂も耳にした事くらいはあるだろう。
そこで『冒険者による臨時』である。

「あ、見えてきた…いつ見てもいい和風建築」

行く先に青黒い瓦屋根と白い漆喰壁の小料理屋が見えてきた。
中は木造、畳の小上がりやテーブル席…幾つか種類はあるが、全てがしっかりと区切られている。

ヴィンセント・ミラー > 「なるほど。 それを喰えば俺も今日からヘルシーと言うわけだな。」

赤い髪の女は詳しく料理の内容を説明してくれた。
自国の料理に自信があるのか言葉に熱が入っている気がする。

「コウゲツさん…ああ、たまに砦で働いている人か。
腕の良い治癒師らしいな。 評判は聴いたことがあるよ。
俺の所属している部署は規模が小さいから砦にはあまり関わりがなくてな。」

男の上司から砦の情報は聴かされていた。
女の名前と説明ですぐにピンときた男はなるほどとばかりに女の顔を見ていた。

「凄いな。 俺一人では入らなかっただろうな。」

随分と本格的な店の様だ。
入って直ぐの玄関で靴を脱ぐと店の奥へ。
こういう店は勝手が分からないが今日は詳しい相手が居るので安心して入ることができる。

店の中は広く、席も色々タイプがあるようだ。
男は空いているならば個室か、区切られた席を希望するだろう。

紅月/コウゲツ > 「ふふっ、食はちゃんと習慣にしなきゃダメよ?」

今日だけじゃダメ、とキチンと訂正を入れておく。
健康は一日にして成らず。

「評判、なんてあったのか…あ、いや、私は目の前の急患を片っ端から治してるだけだからなぁ」

顔をまじまじと見られ『腕のいい』などと誉められれば、照れ臭そうに顔の前で手を振って。

「えへへ、イチオシなんですよー?
ここの女将さんと飲み友なの!
お座敷はこっち、折角だから一番眺めのいいトコ占領しちゃいましょうか」

店員さんに一言二言話して、慣れた様子で個室に案内する。
小さな中庭があり、円い窓を明けると確かに眺めは良好…夜露に濡れるハイドランジア(紫陽花)が美しい。

ヴィンセント・ミラー > 「気を付けるとしよう。」

釘を刺されると、頷いた男。
ただ、この男は割といい加減な所もある。

「砦のことは騎士団にとって重大事項だからな。
情報はすぐに入ってくる。
もうじき大きな戦いがあるそうだ。
コウゲツさんも参加するのか?」

照れている女と一緒に案内されたのは窓際の席。
窓を開けると涼しく、花が夜露で照らされていた。

「なかなかいい席じゃないか、流石だな。
で、何を喰うんだ?
こういう店は今日のおすすめとかあるんだろ?
ま、今日あんたに任せるがな。」

花にあまり興味がない男でもこの席からの景色が素晴らしいものだと実感する。
机を挟んで互いに向い合せに座っては外の風景を眺めている。

紅月/コウゲツ > 「そうねぇ…騎士さん目の前にして言うのもなんだけど、あくまで流れ者だからなぁ。
魔族に恨みもないし、まだ中立冒険者として静観中かしら…いやはや、頭が痛いわ」

正直、本当に悩んでいる所である。
大きな戦いとなれば、荒事も御座れな冒険者は前線に出される可能性がある…それは本意ではない。
けれど、戦況次第で本意も糞もなければ、やはり最初から不参加が妥当だろうか…でも、今既にてんてこ舞いの救護室を放置するのも気が引ける。

しかし席につけば、そんな悩みも何のその。

「えぇ!やっぱり刺身の盛り合わせは外せないわね、その日あがった上物ばかりを料理人が自ら選んでくれてね?
お口で蕩けるんだから!
後は天ぷらと…あっ、だし巻き食べたい」

ひとまず魚・野菜・卵と、バランスよく頼んでみる。
足りなければ後から足せばいいか、くらいの気持ちで。

「それからお酒は…あっ。
店員さん、女将か板前さんに『秘蔵のアレ』って伝えて?そしたらわかるから」

今日は思いっきりもてなして自分も飲むと決めたらしい紅娘。
程無くして運ばれて来るのはお通し小鉢の塩枝豆と、メニューに載っていない銘柄の升酒…言うまでもなく純米吟醸酒である。

「こっちにお通し文化ってあったかしら…料理が出来るまで先にどうぞ、ってやつなの」

ヴィンセント・ミラー > 「まあ、コウゲツさんの好きにすればいいだろう。
俺も参加するかどうかは未定だ。
うちの部署は軍と言えるほどの規模ではないからな。
ただ、ボスは立場上そうも言えないようでな。
さっきも俺単独での参加を言ってきている。」

木製の机の上で肘をついている男の口からはため息が漏れていた。
向かいの女も浮かない顔をしている。

女の口から飛び出す料理名は知って居たり知らなかったりだが、
熱の入り様から相当美味しいのだろうと期待している。

「秘蔵の酒があるのか。
盛大に持て成してくれるのはありがたいがあんた支払いは大丈夫か?」

腕の良い冒険者なら財力も余裕があると聴いているが、
多少気になってしまう。
こういう店では足りないから働いて返しますとはいかないだろう。
男も半分は持つつもりであるが今はまだ今月分の金が入る前であった。

「席代として出てくる所がはあるな。
で、これはどう飲めばいいんだ?」

枡酒は飲んだことがない男。
困った顔を浮かべては女に助けを求めていた。

紅月/コウゲツ > 「うわぁ、単独かぁ…そんな人身御供じゃああるまいし」

顔に『引くわ~』と書いてある…そんな表現を浮かべ、次いで何事か考え始めて。

「食事前にする話じゃないんだけど…患者の傷を見る限り、こう『荒事だぁい好きー!』ってタイプと切り合った感じなのよね。
毒だのの搦め手じゃなく、闘争は愉悦~って集団と見た。
撤退戦の時に見掛けたのはデーモン系の魔族だったかな…戦場、出ることになったら気を付けてね?」

悩んでいたのは、情報を提供するかどうか。
やはり軍事関連となればポンポン話すのは憚られる…が、黙っていて目の前のダンディーが大怪我しようものなら悪夢に魘されそうだ。
という事で…個人的に経験した事だけ話してみる。

「…んー? あぁ、大丈夫大丈夫!
既にボトルごと買い上げてあるから。
メインのトレジャーハントに魔道具作成、採取に治癒術師…使う暇がなくて貯まるのよね」

さすがに、たまに仕事ついでに山籠りして魔獣肉をご飯にしてます、とは言えず。
宿代食費、ついでに炎術でランプのオイル代も浮くから使い道が酒くらい…とも言えず。
結局『働き者なんだぜ!』といった風な説明になってしまった。

「あぁ、これはまず並々注がれてる縁から軽く啜って…っん、したら、次はこの小さなグラスをとって、グラスが空いたら升のお酒に手をつけると」

穏やかに笑んだ後、自分のグラスに口をつけ…伏し目がちにぺろりと軽く唇についた酒を舐めとると、グラスを手に持ってみせ。
実践で手本を見せると、笑顔で相手に勧めてみる。

ご案内:「大通り 富裕地区」からヴィンセント・ミラーさんが去りました。
ご案内:「大通り 富裕地区」から紅月/コウゲツさんが去りました。