2018/06/23 のログ
ご案内:「大通り 富裕地区」にヴィンセント・ミラーさんが現れました。
■ヴィンセント・ミラー > スーツの男が一人、通りの隅で石を手に話していた。
魔法に詳しくない者からすれば独り言を言う怪しい奴に見えるかもしれない。
「だから、そんな戦力はうちにはないだろう。
俺が一人で行った所で向こうの邪魔になるだけだろう。
じゃあな、もう切るぞ。」
石を通しての会話の相手は男の上司。
タナールの砦の向こう側、つまり魔族との大きな争いが近付いていることを知った上司が
男に戦争への参加を命じようとしてきたのだ。
上司であるボスの持つ戦力は精々小隊が一つ出来る程度だ。
それも有象無象をどうにかかき集めてのもの。
とてもじゃないがこれから起きるであろう争いに貢献できるとは思えない。
石の向こう側で唸るボスとの通話を一方的に終えると、男は石をスーツの中に仕舞う。
ご案内:「大通り 富裕地区」に紅月/コウゲツさんが現れました。
■紅月/コウゲツ > ーーーからころ、からころ、しゃら…
民族衣装を身に纏い、下駄と簪を涼しげに鳴らし…夜の街を、のんびりと。
目的もなく、あてもなく…ただただ気儘に。
…いつもの、月夜散歩。
ふと、視界に入った…青。
街灯の橙とのコントラストが綺麗だな、なんて、目を引かれたのだが。
「……、…?」
きょとん、とした目を向けて首を傾げる。
魔道具の類いだろうか、姿なき何かと会話している様子。
パッと見は普通の紳士なのに、魔道具持ちとは珍しい。
すぐポケットに仕舞っちゃったからよくは見えなかった物の…興味は湧く。
ぶわり、風が吹き紅の髪を踊らせて…しゃらりと簪が鳴った。
■ヴィンセント・ミラー > 「…たく。」
まだ何か言ってそうであったが先に切ってやったので今は聞こえない。
明日以降居合わせた時が少し楽しみである。
通話を終えると周囲の音がよく耳に入る。
時刻も遅く、静かである。
そんな中で下駄と簪の音が鳴り響いた。
男は音がした方へと視線を向けた。
着飾った女性がこちらを眺めている。
どうやら向こうの方が先にこちらの存在に気付いていたようだ。
石を使った通信が珍しかったのだろうか。
「通信機が珍しいか?」
男は口の端を伸ばしては微かに笑みを浮かべる。
■紅月/コウゲツ > お、話し掛けられた。
不躾と言っても過言では無いだろう、思いっきりしげしげと眺めてしまっていたのだが…富裕層の地区に出入りする人のわりには『この無礼者!』だとかって威張り散らしたりしない人らしい。
近付いても大丈夫そうだとわかれば、ぱぁあっと表情を明るくして近付こう。
「えぇ!というより、趣味で魔道具を自作してるから、魔道具そのものに興味が!
…あの、もしよろしければ、見せていただく事って出来ませんか?」
彼の正面まで近付きつつキラキラと目を輝かせて楽しげに語り…けれど初対面の方に頼むには少々アレな頼み事に、困ったような笑みで首を傾げようか。
…魔道具は決して安くはない。
会ったばかりの、それもあからさまに異国の女に見せてくれるだろうか。
■ヴィンセント・ミラー > 追い払われるとでも思ったのだろうか。
一目でわかる程に破顔して近づいてくる。
「自作しているのか。凄い話だな。
まあ、見せてやってもいいが壊したりするなよ?
特注品ではないらしいが、単純に高いんだ。」
男は唇を一文字に閉じ、微妙な表情を浮かべていたが
ポケットから石を取り出し、女の目の前に見せた。
石そのものは機密でもなんでもない一般的な品だったので見せても構わないだろうと判断した。
拳の中ですっぽり収まる程度に小さくて軽い石。
男はどういった構造かまるで知らないで使っているが、自作までする女性が見ればどういう反応を示すだろうか。
■紅月/コウゲツ > 「…っ、わぁあ、ありがとう御座います!
勿論壊したりしませんとも、魔方式を見るだけですから!
では、早速…」
ほくほく、知的探究心の満たされる予感に満面の笑みでこれから何をするのか端的に言い。
通信機を、男の掌ごと掬い上げるように両手で軽く包むと…
【術式、展開】
古代語でそう唱えれば、通信機の上に薄緑に発光する小さな魔方陣が幾つも現れる。
男か異界人である事を考慮すれば、立体ホログラムの様だと言った方が適切に伝わるかもしれない。
万人にわかりやすく言うならば、時計の中身をわかりやすく立体に浮かせて見せているような…そんな具合である。
「ん、一般的な術式かな…端末を通して地点1と2を繋ぐモノ。
…処理が少し軽減されてるか、な?」
魔方陣を見て興味深げに何事か呟いている。
■ヴィンセント・ミラー > 「良く分からんが何でも好きに見てくれ。
大量生産できたらあんたも儲かるぞ。」
言わんとすることは多少理解できたので詳しく聴くことはしなかった。
男は面倒くさがりであった。
掌の石の上に魔方陣が展開される。
魔法で仕組みを確かめているようだ。
「特注品でもねえからな。
金さえあれば誰でも用意できるぞ。
メンテナンスが面倒臭いらしいけどな。
…それより、これはあとどれくらいかかるんだ?」
石の構造を表しているらしい魔方陣は男の眼にはキラキラ光る不思議な映像にしか見えなかった。
ちなみに今はボスからの着信が来ない様に出力を落としてある。