2018/06/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/噴水のある公園」にフローリアさんが現れました。
フローリア > 月の綺麗な夜のこと。
普段ならばこんな時間に外に出ることはないのだけれど、
明るい光に誘われるように夜の散歩に出かけてみた。

何度か来たことのある街とはいえ、ひとりで出歩くこと自体が少なければ
大通りから外れるのは即ち迷子になるということで。
富裕層の多いこの地区は夜にもなると開いている店もない。
自然と足は木々の緑が見える公園へと向かうことになる。

園内へと入ってすぐに涼しげな水の音が耳へと届き。
続いて微かな風と共に、木々の緑とは違う香りが鼻先を擽った。

「―――香木の香り…? こんなところで…?」

香を焚くにしても、こんな野外でなどと珍しい。
不思議そうに首を傾げてから、そっと道の向こうを窺うように顔を覗かせ。

月永遠花夕 > 噴水の近くで水と戯れておれば、自らの引いている行商用の荷車にかけてある行灯の火が弱くなっている事に僕は気づいた。手を着物で拭う。まあ、手拭きなんて気の利いたものはもってないから仕方ないよね。行灯に油を足すと火はまた煌々と燃え始めて行灯に書かれた”圓屋”の文字がくっきりと現れた。

「これでよし。気を抜くとすぐに少なくなっちゃうなあ。油。」

行灯用の油は自分で生成してる薬の残り滓だからお金はかからないけど、あんまりつけっぱなしにしておくと足りなくなっちゃうかも。
そんな事を考えていたら、視線を感じたんだ。こんな夜分にどこからか猫でも覗いてるのかなとか思ってたら、なんか人のようだ。

もし、ここが貧民街の裏通りとかだったら即警戒して、荷車の中の脇差なんかに手をかけちゃうんだろうけど、場所が場所だけにそんな事はありえない。

「お客さん??よかったら見ていきなよ。いろいろあるよ??」

そう声をかけながら僕は人がいるらしい。(匂いもするしね。)ところへとゆっくりと近づいていき話しかけてみた。

フローリア > 「――――っ!!」

覗いた先には、銀色の髪を持った青年の姿。
こっそり覗いていたのに、急に声を掛けられてしまうと吃驚してしまう。
そのまま反射的に首を引っ込めてしまったけれど、それではあまりに失礼だと気付いて。

「………こ、こんばんは。こんなところで、お店――をされているんですか?」

居住まいを正してから、深呼吸して。そうしてから挨拶を。
辺りの闇に溶け込んでしまいそうな黒衣を摘まんで、丁寧に頭を垂れる。
けれど露店というのに、立ち寄ったことはないけれど、もっと人通りの多いところでするものだったように思う。
事実、お客様どころか、冷やかすような通行人さえ見かけられない。
まずはそんな疑問を口にして、近づいてきた相手へと改めて視線を向ける。

――と、そこには柔らかそうな狐耳。
もちろん、そうした種族を見たことはあるけれど、立派なふさふさ感に視線が釘付けになってしまい。

月永遠花夕 > 「ああ、ごめんごめん驚かせちゃった??」

思わず軽く両手を上げて手のひらを彼女に向ける。何も持ってないよっていうそんな感じでね。貧民街で覚えた礼儀。うっかりでちゃったや。

「うん。これでも数時間前くらいまではそこそこ人が来ていたんだよ。もうすっかりお客さんもいなくなっちゃったや。」
 僕はへらりと笑うと、着物の袖へと手をしまうような格好をする。
「だからもし君がそうなら君が今日の最後のお客さんになるかもね。どういうものが好き?あ、そうそういいお香が手に入ったんだよ。山奥でちょうどよく手に入ってね。それとも女の子だったら香水とか化粧品が好き??いい顔料も手に入ってるーーよ??」
勝手に話を進めちゃってたら、彼女の視線に気づいて、耳をひくひくと動かした。

「あれ??僕の顔になにかついてるかな??それとも何か生き別れの兄弟に似てるとかそんな感じ?」

この距離だと、顔を見られてるのか耳を見られてるのかわからない。もしかしたらこの耳が珍しいのかな?後者はまずないだろうし。

フローリア > どうやら、本当にここでお店を出していたらしい。
この辺りではあまり見ない服装の青年は、そこはやはり商人らしく。
立て板に水の如く売り込みをしてくるわけで。

「え…えぇっと……どういう、と言われましても……」

まず何のお店なのかもわからない。
そう答える前に立て続けに商品を紹介される。
困ったように微笑を浮かべつつ。
やっぱり視線が向くのは、立派な耳であったりして。

「………兄様はいらっしゃいますが、残念ながらそんな立派なお耳はお持ちじゃありませんね。」

相手の言葉を冗談だと受け取ると、淡く微笑みを浮かべ。
何かを思い出すかのように、視線をほんの少しだけ遠くへと。
けれども、それも一瞬のこと。
あまり耳ばかり見ているのも失礼だと、頭を下げて。

「失礼しました。……そうですね。お香も嫌いではないのですけれど……やっぱり花の香りの方が好きです。」

香や化粧品のお店なのだろうか。
この辺りに住む人たちならば、そういうものも買えたりはするのだろうけれど。
教会で使うくらいで、自身としては縁の遠いそれらの品物よりは、ポプリとかそういったものがないかと尋ねてみる。

月永遠花夕 > あ、いいな。この娘。ここで立ち去らない。こういう娘はぐいぐい行くに限るよね。ちょっと困ってそうだけど、僕だってほら、生活とかあるじゃない。まあ、少し人恋しかったりそういうとこもないとは言い切れないけどさ。
え??立派な耳??そうか、確かに人間はそんなに耳は大きくないしなあ。でもこれはこれで変な場所に引っかかったり逃げてるときに掴まれたりといろいろと大変なんだけど。

「そうなんだ。お兄様がいらっしゃるんだね。君みたいなかわいい娘が妹だなんてうらやましいなあ。」
そう冗談口をたたくと、彼女の尋ねた言葉にこくりと頷いて。

「ポプリ?あるある。とりあえずそんなとこにいないでさ、こっちの方にきなよ。」

そう言って彼女の手首を強引に掴むと手を引いて露天の荷車がある方へと向かっていく。さにげなくというとこからはかなり遠い営業行為だけど、こういうのが大事だよね。遠慮してても仕方ないし。

「こういうのでよかったらうちの店にもあるよ。」

そういうと小さな瓶に入ったものと、小さな猫の柄の布袋に入ったポプリを出して彼女へと見せた。女の子だから猫の柄っていうのも安易だから小瓶にはいったシンプルなものも出すところがやっぱり僕って商売っ気あるよなあ。なんて思うのだけど。自画自賛が過ぎたかな。

フローリア > 「可愛いなんて……そんなこと――」

相手のそれがお世辞だとは分かっていても、それでもはにかんでしまう。
お兄様も元気でお過ごしなら良いのだけれど。
特に実家から便りもないということは、問題などは起きていないということなのだろう。

手を引かれ、やや―――かなり強引にお店の方へと引き連れられる。
護衛が付いてきていたなら、結構ややこしいことになっていたかもしれないけれど。
幸いにも今日はお忍びで抜け出してきたから大丈夫。

並べられた品物の中から店主が取り出したのは、小瓶と布袋
猫の柄の入ったそれは可愛らしいもので、いかにも女の子が喜びそうといった感じ。
一方で小瓶の方は、そっけないほどのシンプルさが、かえって品良く感じられる。

「開けてみてもよろしいですか?」

売り込みは強引ではあったけれど、出された品物には興味を惹かれた。
小瓶を手に取ると、くるくると月の光に翳して覗き込み。
蓋を指さしながら、相手の顔色を窺って。

月永遠花夕 > 「もちろん。開けていいよちなみにどっちも50ゴルド。安いだろ?」
 子供。。。らしいし、ちょっと安くしすぎたかな。ここの相場に合わせた値付けだからそもそもが高く設定してるしね。

「他にもあったかなあ??」

そう口にすると僕は彼女に背を向けて尾をゆっくりと揺らしながら荷車の下のあたりの箱をさぐってみた。もう少し品数揃えてたはずなのにな。ポプリ。今度仕入れておかなきゃ。そういう事を考えながら指先に触れたのは白い鳩の形を形どった飴細工。あーでもこれ、端の方が少し欠けてて売り物になんないや。この子にあげてしまおうか。

「あ、いいものみつけたよ。これよかったら食べて。初来店のサービスみたいなものだけど。」

そういうと僕は彼女へと微笑みかけて棒に刺さった白い鳩の飴細工を彼女へと差し出して、そのまま言葉を続ける。

「そういえば君って何してる娘なの?治安が良いとはいえ、こんな夜更けに出歩くなんてさ。格好はなんか、魔術師??って感じだけどさ。よくわかんないけど。」

そう、彼女の司祭服を見て受けた印象で尋ねてみた。

フローリア > 「ありがとうございます。それじゃあ、失礼して……」

小瓶の蓋を外して、扇ぐようにして香りを確かめる。
華やかな香りが鼻腔を擽り、辺りに広がる。
やっぱり香木よりも、このくらいの香りの方が落ち着く。
実家の関係者には、当然香水などを付けている者もいるのだけど、
そうしたキツさのない香りを瞳を閉じて楽しんで。

「……? 良いんですか? ほんとに貰ってしまって……?」

差し出された飴細工に、売り物なんじゃ…? と、首を傾げる。
こういうものこそ富裕層にしか売れないものだろう。
手にしたままの小瓶よりも、よっぽど高そうに思える。
とは言え、ほとんど自分で買い物をしたことがない少女に相場など分かるはずもなく。
せめて小瓶の方はちゃんと買おうと、小さなお財布を取り出すと、言い値で支払った。

「えぇっと……教会のお手伝いを……」

これでも一応、役職だけなら司祭という立場。
権力も発言力もないに等しいけれど、神に仕える身で嘘を吐くわけにもいかないわけで。
とは言え、抜け出してきた身の上ならば、そんな感じに誤魔化すのが精いっぱいだった。

月永遠花夕 > 香りを嗅ぐ彼女の行灯の光で少しオレンジがかった彼女の顔を僕は満足気に見つめる。そりゃあ、安いとはいえ、入れ物以外は僕の作ったものだしね。そりゃあ少しくらいは自信があった。

「うん、もらってしまっていいよ。どうせ売れないものだしね。だからそこまで気にしないで。」

犬歯をのぞかせながら僕は笑うと彼女からもらったお金を荷車についているお金をしまうための引き出しの中へと入れた。

「へえ、教会の手伝いなんてしてるんだ。若いのに偉いんだね。」

 へえ教会の人なんだ。てっきり魔術師かなにかかと思ったけど、この格好だとお偉いさん。。。なわけないよね。どうみてもまだ10代そこそこっていった感じの年齢だし。そう言うと僕は彼女の頭を緩く撫でた。
あ、撫でたあとに気がついたけどこう見えてまさか30歳超えてますって事はないよね。ここだとそういう事も珍しくないし。まあ、人間の匂いもするから思い過ごしなんだろうけど。

「お手伝いならちょっと化粧っ気があってもいいんじゃない?いい口紅にがあるんだけど試してみない?」

そう問えば僕は小さなハンドクリームのような入れ物を箱から取り出した。

フローリア > 購入した小瓶と、貰った飴細工。
甘いお菓子にも当然興味はあるものの、鳩を象ったそれを食べてしまうのは少し気が引ける。
小瓶をくるくると手の中で弄んでから、大事そうにポケットの中へと仕舞い込む。

「ありがとうございます。大事しますね。」

ふわりと微笑みを浮かべてお礼を言うと、何故だか頭を撫でられてしまった。
若いのにとは言うものの、完全な子ども扱い。
それには少し思うところがないわけではないけれど。
そんなことは表情には出さずに、擽ったそうに首を竦める。
その仕草は、外見相応の少女らしいものだと見えるだろう。

「そうでもないです。みんなに喜んでもらえますし。」

偉いことなんて何もない、と首を横に振る。
続いて再開される商品紹介。
これはキリが無くなる流れだと、世俗に疎い少女でも分かってしまった。
2,3歩後ろへと慌てて下がると、先ほどと同じように首を垂れる。

「あ、あの……口紅とかは良いですから。その、飴細工ありがとうございました。
 そろそろ帰らないと、見つか……えぇーっと、その…心配されると思うので……」

しどろもどろにお礼と言い訳を口にする。
再度頭を下げると、小走りに大通りの方へと去っていく。
途中で振り返って何度も頭を下げながら―――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/噴水のある公園」からフローリアさんが去りました。
月永遠花夕 > 「うん大事にしてもらえるとうれしいな。」
ん?でも飴はさっさと食べてくれないとだめだと思うけど。まあ、飴だし、それなりに日持ちはするんだけどさ。

「うーん、まあそうだね。じゃあまたのお越しをお待ちしてるよ。」
 そう言って僕はへらりと笑うと何度も頭を下げる彼女に向かって手を振った。うーん残念。口紅の一本くらいは売れると思ったんだけどな。まあ仕方がないか。
そう思ったところで、ジジと行灯の方から音が聞こえて行灯の灯りが消えて辺りに闇が戻る。香炉のお香も火が消えたみたいだし、店の閉め時かな。
僕は、荷車を引く用意をするとそのままあるき出した。さて、ちょっと空模様も怪しいし、雨が降り出す前に家までつく事ができるといいのだけれど。
そういうと僕は荷車を引いてその場をあとにしたんだ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/噴水のある公園」から月永遠花夕さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にユッカさんが現れました。
ユッカ > 帰宅途中の道をてくてくと帰っていく。
馬車などではなく徒歩、こうやって外を歩くのが好きだった。

「さあ、帰りましょうか」

家には早く帰らないと母が心配する。
歳を取ってからできたことは言えちょっと過保護なんじゃないかと子供事炉には思うが母は大好きなのであまり心配をかけるわけにもいかず。

「今日のご飯は何だろうな~」

と、子供らしいことを考えていた。

ユッカ > 自宅は富裕地区の中ではちょっと入り組んだ道が多い先に会って、帰り路は自然と人通りが少ない道を進むことになる。

「静かなことはいいんだけどね~」

危険なのかもしれないが、一応馬車も通れる程度の広さの道ではあるし、逃げようと思えば十分可能な道ではあった。

ユッカ > 「ただいま戻りましたわ~」

家につくとメイドたちが迎えにやってきて。
そのまま家路にたどり着いたらゆっくりと食事を楽しんだ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からユッカさんが去りました。