2018/04/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/図書館」に竜胆さんが現れました。
竜胆 > マグメールの富福地区の一角にある図書館
 そこは、基本的には貴族や裕福なものが使う為の書籍がたくさん置いてある場所。
 そこに一人の少女が来ていた……鮮やかな真紅の髪の毛、青い瞳の色、東の国の色鮮やかで重ねて纏う服、竜の翼にしっぽ、即頭部には竜の角。
 竜胆(ジャンシアヌ)・トゥルネソル、トゥルネソル商会の次女である。
 こういう所は本来姉の竜雪が喜んでこもりそうな場所ではあるが、珍しく用事があり足を運んでいた。
 しゃなり、しゃなりと優雅に歩き回り幾つかの資料を手にして、閲覧用のテーブルへと移動する。
 手にしている書籍はいずれも軍のものである。

「やはり、軍ということでもありますし」

 小さく呟くのは場所TPOを弁えての言葉。
 先日姉が軍人に誘われて、その返答を自分に丸投げされたから、少女は誘ってきた軍に関して調べることにしたのだ。
 別に機密とかを知りたいわけでもない、見たこともない相手ではあるが、将軍と名乗っていたからにはデータはあるだろう。
 一般的に公表されている部分でいいので、調べることにしたのだ。
 という事で、少女の手元には第五師団に関する記録や将軍のデータの記載された資料が置いてあり、それをパラパラとめくり、読み込んでいる。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/図書館」にナナカマドさんが現れました。
ナナカマド > 街を実際に見るだけでなく王都の書物もたまには読んで賢くならねばと
思い立ったナナカマドが訪れたのは王城近くの図書館。
王都にまつわる観光名所や歴史書、はては食べ歩きマップや行楽地などの載った
書物を数冊書架から選び出して閲覧用のテーブルを探す。

丁度、一人の少女が何らかの本を読んでいる場所に出くわしてここでいいのだろうと言う風に隣の席に座った。
と、ちらりとのぞき見てしまった少女の手元の資料、その中に見知った名前と自分の所属する師団の情報を見つけてしまう。

「フォーコ、さま……?」

思わずその部分を一部口に出して読んでしまい
慌てて図書館では静かに、という教えを思い出して自分の口元を押さえた。

竜胆 > すい、と視線が横に移動する。
 隣に座った少年とも少女とも言えない、中性的な顔の子供が何やら零した言葉に興味を持ったからである。
 自分の手元に有る書面には確かに第五師団の将軍の名前、フォーコと書いてあり、確かに、自分の姉を軍に誘った人間と同じ名前であるのだ。
 『彼』はなにか不味いことをしたかのように、口元を押さえている。
 少女は口元にえみを作り上げてみせる。

「こんばんは、大丈夫ですよ。
 他人の迷惑になるような大声を出したりしなければ。
 小さな声での会話くらいは。」

 何かを誤解しているのかもしれない『彼』に軽く言葉をかけてから顔を向ける。
 軍の関係者にしては、若い気もする。
 もしかして、将軍はそういう少年少女を集めているのではないだろうかと考える。
 自分の姉も、自分も未だ年若く、人間で言えば赤ん坊とほぼ変わらないレベルであるし。

「はじめまして、私はジャンシアヌといいますわ。
 貴方は、第五師団の関係者でしょうか?」

 秘密にするような部隊ではなさそうなのは、手元の資料にあるので、軽く問いかけてみることにした。

ナナカマド > 少女が笑みをつくり、自分へと話しかけてくれば
少し恥ずかしそうに、しかしフォローしてくれたことに感謝しつつ
こちらもにっこりと笑みを浮かべる。

「こんばんは。ごめんなさい、覗き見るつもりじゃなかったのですが
 つい知っている名前がその本に載っていたものですから……」

彼女の隣の椅子をひき、座ると彼女へと向き直る。
何故彼女が第五師団を調べているのかまでは頭が回らないようで
とくに疑いなく竜胆と小さい声で会話する。

「ジャンシアヌ様……、わたくしナナカマドと申します。
 ええ、第五師団でお手伝いをさせていただいている巫女見習いです」

ぺこりと小さく頭を下げて自己紹介。
自分がどんな風に見られているかは全く気にせず、むしろ竜胆の方に
興味があるようで大きな目を珍しそうに輝かせた。
赤い髪に青い瞳、それに竜に似た角や翼、尻尾。
着ているものは自分が着ているものとも王都で他の人が着ているものとも違う。
独特な色合いと形の衣服だった。その綺麗さにほぅ、とため息をついてしまう。

竜胆 > 第一印象は、可愛らしいという所に落ち着いた。
 あと、丁寧な正確で、しっかり者なのだろうという感想。

「いいえ、誰しも知っている人の名前があれば思わず口にしてしまうものですから。
 第五師団長のお知り合いの方ですか?」

 向き直る『彼』に質問を投げかけてすぐに返答が来た。
 見習いの巫女らしい、『彼』ではなくて、彼女だったようだ。
 そう思うと、華奢で確かに女の子だな、と思えてきた。

「第五師団の方でしたか。
 よろしくお願いしますね、ナナカマドさん。
 私、姉が今フォーコ将軍にお誘いを受けておりまして。
 返答を任されてしまいまして、どういった所なのか、と調べさせていただいていたのです……私、軍には疎いもので。」

 そう言いながら、彼女に見せるようにもち上げる資料
 軍事機密を抜いて一般の人にも判るような広報的なそれである。
 軽くいたずらをするときの子供のような表情を見せて、彼女を見やる。
 その視線が自分の服に向いてると知り、くす、と笑ってみせる。

「ナナカマドさんが、言える範囲でいいので、教えてくださるなら、この服、どこで手に入れたか教えますよ。」

 年頃の女の子、自分もそうだけどおしゃれはしたいものである。
 なので、彼女に提案をしてみた。

ナナカマド > 「はい、フォーコ様のことはわたくし存じております!
 なにせわたくしフォーコ様に第五師団へ誘っていただいたものですから」

話がフォーコのことに及ぶと一際嬉しそうに顔を輝かせて頷く。
どうやらフォーコのことを尊敬しているらしいのが態度から分かるだろう。
と、竜胆の姉もまたフォーコに誘われたと教えられれば驚いたように目を見張る。

「まぁ、ジャンシアヌ様のお姉さまも誘われたのですか?それもフォーコ様から直々に。
 ええ、私でよければお教えできる限りのことはお話します。
 ……あ、ごめんなさい。とても珍しいお洋服でしたからつい不躾に眺めてしまって……」

恥ずかしそうに頬を赤らめ自分の物欲しげな視線を恥じた。
だがどこで手に入れたのかについてはとても興味があるようで
嬉しそうに続きを話し始める。

「ええっと、第五師団はとってもいいところですよ!
 毎日ちゃんとお食事も出ますしお部屋も個人のお部屋をなんとお城に用意していただいてますし。
 お風呂もとっても広くて100人入っても大丈夫!」

などとあまり軍には関係ない住環境の良さを話してしまう。
実際王城に備わっている設備を使わせてもらっているのだから
その豪華さは田舎エルフにとってはすごいものなのだろう。

「あっ……ごめんなさい、わたくしったら一人でお話しすぎちゃって……。
 ジャンシアヌ様は具体的にどんなところが知りたいか最初にお聞きすればよかったのに。」

竜胆 > 「将軍様直々……ナナカマドさんはすごい方なのですね?
 そして、その才を見抜いた将軍の恵眼。」

 目の輝きが一層深まるのが見えた。彼女は、将軍を尊敬しているようである。
 尊敬できる人格なのだろうか、見知らぬフォーコという将軍に関するメモを一つ。

「ええ、お母様の使いで直に届け物をした時に誘われたのです。
 ありがとうございます。では、お言葉に甘えていくつか聞かせてもらいますね。

 いえいえ、むしろ、私のセンスを認めてもらっているようで嬉しく思いますわ。」

 恥ずかしそうに瞳を伏せる彼女に、気にしていませんよ、と笑いかける。
 彼女の言葉がその先に続くので、先に聞きに回ることにする。
 三食に関しては、軍なのでちゃんと出るのは分かっている、しかし、城に貴族でもないのに個室を貰えるというのは確かに破格であろう。
 お風呂広いのもいいけどまあそれに関しては好みというか城にもともとあるお風呂を使わせてもらえてるのだろうと推測。

「いえいえ、楽しそうにお話されているの見て和んでおりましたわ。
 そうですね、聞きたかったのは、此処に書いてあるのは突撃部隊という文言ですが、隊員たちはやはり血の気の多い人ばかりです?
 あと、フォーコ将軍の人となり、ですね。」

 男所帯に、女の子が居るとほら、襲われそうでと、扇子を取り出し口元隠して少し困った表情を。
 この国の性は乱れきってますし軍もそういうところあると聞いたことありまして、と。

ナナカマド > 自分がすごい、と言われてもピンとこない様子できょとんとする。

「いえ……わたくしは半人前の世間知らずですから……。
 まだ王都に来たばかりでわからないことも多いです。
 でも、フォーコ様はおっしゃる通り慧眼をお持ちのお方で、
 だからジャンシアヌ様とお姉さまをお誘いしたのもきっとすごいことなのですよ!」

どうやらフォーコの能力を疑うこともなくスカウトされたことも
きっと二人の何かを見極めて誘ったに違いないと思っているらしい。
着物をじろじろ見ていたことを咎めること無くにこやかに話しかけてくれる
竜胆をフォーコのこともあってかナナカマドも気に入り始めていた。

「突撃部隊……。ごめんなさい、ナナはお手伝いをすると言っても
 具体的にお仕事をしているわけじゃなくて後方支援とか雑用とかを
 ちょこちょこやらせていただいているだけなのです。
 他の隊員の方たちについてはあまり詳しくは存じ上げておりませんが……
 でも、フォーコ様が大雑把な指示を出してそれに異を唱えずきちんとお仕事をする方たちばかりですから
 能力やフォーコ様への支持はすごくあるのだと思います」

と、まずは一つ目の質問について答える。
血の気の多さと言われても皆良い人ばかりで、悪い人ではない、としか言えない。
そして二つ目の質問に関しては目を輝かせ息巻いて答える。

「フォーコ様は……そうですね、とても綺麗で強くて、壁がないといいますか。
 どなたにも寛容ですし将軍という偉い立場でも気兼ねなく接してくださいます。
 あと、炎の技をお持ちですがその腕前もとってもすごいんです!
 以前貧民地区で助けられたときもとてもお強かったです!」

後半の竜胆の含みのある言い方に対しては首をかしげる。
どうやら性的な物事には疎いようで想像がつかないらしい。

「うーん……、確かに女の方が男所帯にいらっしゃると肩身が狭いかもしれません。
 けれどもそれを言ったらフォーコ様も女性ですから、女性なりの気遣いもあると思いますよ」

竜胆 > 「私、誘われてませんの。」

 はい、その場にいたのは姉だけで、自分はいませんでしたから、勘違いを先に修正。
 そして次にすることは、しぃ、と人差し指を立ててジェスチャー。
 図書館です、感極まってしまうのはありますが、お静かに。「!」付きのお言葉は怒られてしまいます。
 ほら、司書さんが見ています。

 見習いとしても、軍に招き入れるぐらいだから、本当に先の伸びる有能な存在なのか、もしくは特殊な能力があるのだろう。
 そこに関しては、良く判らないし、今は触れるつもりはなかった。

「ナナカマドさんは後方支援、素晴らしいじゃないですか。
 この資料見た限りでは、後方支援はあまり多くなさそうですし、皆前に行きたがっているようにも見えますし。
 寧ろ得がたいのではないでしょうか?

 なるほど、人望に篤いのですね……。」

 調べている内容にある文面、彼女の言葉は凄く大事な情報である。
 悪い人ではないという言葉にふむふむ成る程、と感心したようにうなづく。
 部隊内は、それなりに仲良くやっている模様。

「成る程、成る程。
 素敵な方ですのね、将軍としての実力もあり、気さくな女性。
 フットワークも軽い方なのですね。」

 興奮している模様。崇拝してるようにも見えるほどの力説。
 場所が場所だけにもうちょっとトーンダウンして欲しいかしらと思ったり。
 でも、それだけ力説出来るぐらいの相手、の模様。
 そこはちゃんとメモをしておこう。

「そう、ですね。
 とりあえず、ぱっと不安に思っていたところは解消されました。
 という事で、先ほどのお礼に、この服を手に入れた場所をお教えしますね?」

 男所帯、まあ……姉ならば何とでもなるだろう。
 彼女に手を出せるのはレアリティ高いほうだし、いくら精鋭でも一般の人間に負けることはないはずだ。
 色々縛られなければ。と考える事にする

ナナカマド > あっ、ごめんなさい。と、勘違いしたところと、声を大きくしてしまったところを詫びる。
慌てて口元を押さえて声を小さくするが、ばっちり司書に睨まれてしまった。
慎重にソロソロと話を続ける。

「はい、皆さんお強い人が多いので正直わたくしなどでは足手まといになってしまいますが
 手練の皆様を纏め上げるフォーコ様の手腕はすごいと思います」

何度もそこは強調して話しておく。
その熱のはいりようといったら、確かに竜胆の見立通り崇拝の域にあたるかもしれない。
あるいはもっと別の、特別な思いを抱いているように見えるかも知れない。
彼女の質問にうまく答えられた様子でほっと胸を撫で下ろすと
いよいよどこで着物を手に入れたのか教えてもらえる段になって
自然とわくわくそわそわしてしまう。

「はい、ありがとうございます。
 あの、わたくしそのお洋服の着方を知らないのですが、そういうのも一緒に
 教えていただけますでしょうか?」

少し不安そうに尋ねてみる。折角着物を手に入れても着方がなっていなければ
洋服がいくら綺麗でも見劣りしてしまうだろう。
それは教えてくれた相手にも着物にも悪い。

竜胆 > 「いいえ、いいえ。
 素敵な方のお話になれば熱が入るのは当然です。
 本当は、喫茶店とか、そう言うところでお話するべきでしたわね。」

 移動を提案できなかった自分の落ち度でもありますわ、申し訳ありません。
 彼女に頭を下げて謝罪を。
 声を落としたからだろう、司書さんの視線が逸れて行きました。

「でも、求められて必要とされているのですし、ナナカマドさんは足手纏いと自分を卑下する必要はないと思います。
 役割が違うのですから、ね。」

 強調に関しては、うなづいて、理解を示す。
 特別な思いに関しては、竜胆自体がまだ経験がないので見抜くことはできなかった。
 ワクワクしている様子に、くす、と喉の奥で笑ってみせる。

「平民地区と、富福地区の中間の大通りにあるトゥルネソル商会の衣服売り場で売ってますよ。
 特殊な着方の服なので、説明とかもやっております。
 そうですね……。」

 そう言いながら、懐から一枚の紙とペンを取り出し。
 さらさらと紙に文字を書いていく。
 そこには、半額にするという文言、着付けの仕方の教育無料化といくつか着物に合う小物の提供、ジャンシアヌのサイン。

「はい、どうぞ。
 これを持っていけば、大丈夫。」

 いろいろいいお話聞けたからお礼、とにこやかに。

ナナカマド > 「喫茶店……そうですね、ここの近くの喫茶店パンケーキが美味しくて……
 お茶も色んな種類があってスウィーツもたくさんあって目移りして……
 ってわたくしったらまた変なほうに話がそれてしまいました」

喫茶店という言葉についつい近くの店を思い出し、そこの店の味を思い出して口の中に涎が溢れてしまう。
はしたない、などと照れつつ何故か竜胆とは話が弾んでしまう。
彼女が聞き上手なせいもあるのだろう。

「ありがとうございます、ジャンシアヌ様はお優しいのですね。
 そうですね、わたくしはわたくしにできることを……頑張ればよいのですね」

理解を示してくれる相手についまた笑みが溢れてしまう。
胸に手を当て、フォローしてくれた竜胆の言葉をそっと胸にしまった。

「とぅるねそる? まぁ初めて知ったお店ですわ。
 この紙は……」

そう言って竜胆が書き付けてくれる文字を眺める。
なんと彼女は自分のために割引を一筆書いてくれたのではないか。
差し出された紙を受け取り、

「よろしいのですか? お礼と言ってもこんな半額だなんて……。
 ジャンシアヌ様……そういえばジャンシアヌ様は一体どこのお嬢様だったのでしょうか?
 こんなことをしたらお店にご迷惑、かからないかしら?」

少し不安げに尋ねてみる。

竜胆 > 「今度。一緒に行くのもいいかもしれませんね。
 私も興味とてもあります。
 ふふ、そういう話の方が、私は嬉しいですけど。」

 そういうおいしい店は自分も知りたい。
 彼女の軍人とは思えない柔らかな雰囲気や空気はとても心地がいいと思える。
 おそらく、彼女だからこそ引き入れられたのではないかなと思うのだ。

「優しいというよりも……そうですね、そういう風に生きてきたとも。
 あとは、ナナカマド様の受け取り方次第、言葉はいつでも同じですもの。
 ええ、努力する人は素敵ですから。将軍もそういうところはちゃんと見てくださっているはずです。」

 なんとなく分かる気がする。
 自分の姉は自分よりもいろいろ出来る前衛、自分は足手纏いの後衛。
 そう思えば、彼女の感覚は自分に似ているのだなと思えたのだった。

「ふふ、覚えておいてくださいまし。
 ダイラス本店、マグメール支店、奴隷市場支店、ヤルダバオート支店他……
 何かあれば、たくさんの店舗や品揃えでお出迎えしますよ?」

 受け取ってくれた相手に、扇子を口元に。
 コロコロ笑ってみせる。

「フルネームは、ジャンシアヌ・トゥルネソルといいますの。
 そこは、お母様のお店ですから。
 将来は、私達姉妹の店にもなりますし、未来のお得意様への投資とか、お母様なら言うでしょうけど。

 お友達にサービスするくらい良いと思いません?」

 不安げな相手に、軽く片目をつむって、ウインクしてみせる。

ナナカマド > 自分の話がそれたのを咎めること無く楽しそうに聞いてくれる。
あまつさえ喫茶店に興味があると言われると嬉しくなってついまた話し出してしまう。

「ええ、今度ぜひ一緒に行きましょう。
 他にもまだまだ行ってみたいお店がいっぱいあるんです。
 アイスクリームが美味しいお店とか、ワッフルが美味しいお店とか……」

そう言って先程選んで取ってきた本の一冊を見せる。
女の子に流行りのスウィーツのお店を色々取材した本のようだ。
どうやらこのナナカマド、色気より食い気らしい。

自分が言った言葉と竜胆が置かれている立場が似ていることなど知らずに、
少しだけ陰りを見せた彼女の表情や言葉から首を傾げる。
とはいえ竜胆が優しいのは変わりがない。
それにフォーコが見てくれていると言われれば努力するに決っている。

「だいらす、やるだばおーと……」

次々に出てくる都市の名前に慌てて地図を探し出す。
地図をテーブルの上に広げ、各々の店を指で探しながら数えると
すごい、と声を上げた。

「そんなにたくさんのお店をお持ちなのですね。
 ……ジャンシアヌ様がお店のお嬢様だったなんて。
 本当の本当にお嬢様だったんだ……」

なんてちょっと失礼なことを言いながら笑う相手をまじまじと見つめた。
確かに仕草といい態度と言い洗練されていて品がある気がする。
と、ウィンクとともに言われた『お友達』という言葉にナナカマドは目を見開いた。

「と、友達っ……! わたくし、ジャンシアヌ様のお友達で、よろしいのですか?」

世間知らずの田舎エルフと大商会のお嬢様、とてもじゃないが釣り合いが採れるようなものではない。

竜胆 > 「いいですよ、今度、一緒に行きましょう
 プディングにも興味がありますし、もっともっと、甘いもの、食べたいですもの。
 あ……こちらのお店も美味しそう。」

 彼女が本を取り出したので、自分は軍に関する資料を一度閉じる。
 そして身を乗り出して、彼女が指し示してくれる本に視線を落とす。
 流行りのスイーツ、クレープとかも食べてみたいかも、と食い気全開にする竜胆は、確かにナナカマドと同じタイプかも知れない。

 立場、というほどの言葉ではないかもしれない、姉に対する劣等感と言うものがほとんどを占めているから。
 今はこれはふさわしくない、と表情を改めて。
 寧ろ今は目の前のスイーツのお店……!!!

「ええ。この国の色々な所に出店してますから。
 武器防具、食糧、服装、日常に必要なものなら当店へ。」

 ありがとうございます、凄いという素直な賞賛にお礼を一つ。

「今更、かもしれませんが……様、なんて要りませんから。
 だって、私は自由にさせてもらっていますの。
 身分で言えば平民ですし?」

 お嬢様と言われてもピンと来ない。
 自分は自分だし、ドラゴンだし。

「名前名乗り合って、一緒にあそびにいく約束して。
 お友達になるのは、それでいいと思いますけど。」

 ドラゴンはお友達になれませんか?ちょっと涙目で見つめる。

ナナカマド > 「うふふ、ジャンシアヌ様も甘い物すきなのですね。
 わたくしも甘い物大好きです。一緒に沢山、食べ歩きましょう」

本を二人の間に置いて開きながらあれも食べたいこれも食べたい
あっちに行きたいこっちに行きたい、などとかしましく話し出す。
またぞろ司書さんに睨まれてしまって小さく身を縮めた。

こともなげに友達だと言われてしまうとその寛容さにびっくりしてしまう。
どこか自分は自分、と分かっている態度は泰然自若というべきか
竜胆の魅力でもあるように思えた。

「ドラゴン……?」

そういえば彼女の竜翼や角、あまりに自然としているものだから気にしなかったけれど
そう言われてみれば他の誰とも違う。個性的な特徴だ。
涙目になる竜胆にそんな顔してもらいたくなくて慌てて彼女の両手を握り強く語りかける。

「そ、そんなっ!ドラゴンだとか、そういうのじゃなくてっわたくしジャンシアヌ様……
 ジャンシアヌ……っとお友達になれるのとっても嬉しいです!」

思わず一角に響くような声を出してしまったのでまたまた司書さんに睨まれてしまった。
反省しつつ声のトーンを落とし

「王都にきて初めて、お友達ができました……」

こっちこそ感動に目をうるませて強く相手の手をにぎる。

竜胆 > 「ええ……甘いものは幾らでも食べられますわ。物足りなくなる時ありますけど。
 約束、よ?お暇なときに一緒にしましょう。」

 あれも美味しそう、これも美味しそう。
 世の中にはこんなにも甘いもので溢れているのね、と目を輝かせ。
 今度は、こちらも一緒に小さく身を縮める。
 それも楽しいことではあるのだけど。

「正確に言えば、ドラゴンの血を引いているハーフ。
 人竜と名乗っております。
 純粋なドラゴンではありません、残念ですけど。」

 角と翼。忘れないでとばかりに、しっぽも振りふり。
 地面叩くと怒られるから持ち上げてます。
 両手を握られて、じっと彼女の目を見ましょう。

「じゃんぬ。」

 司書に睨まれて。
 それから小さくポツリ、と。

「ジャンシアヌ、は長いでしょう?
 縮めてジャンヌ、もしくは、竜胆とよんでくださいまし。
 ちなみに家では、竜胆と呼ばれることが多いの。」

 両手を握られてるので涙を拭うことできない。
 だから、笑顔を作りながら、そう言葉にして。

「生まれて初めてお友達ができたわ。」

 まだ一歳になっておりませんドラゴン。
 初めてのお友達。

ナナカマド > 「ええ、ええ! 約束。 このトゥルネソルのお店に行けばジャンシアヌ様にお会いできますよね?
 いつかお時間のある時にきっと行きましょう」

にこにこと二人で本のページを繰りながら今後行く予定のお店を品定め。
竜胆が一緒に叱られて、でも楽しそうにおしゃべりしてくれるだけで喜びは二倍になる。

「人竜……わたくし、竜もご本で読んだだけなのでよくわかりませんけれども
 ジャンシアヌ……とは、違うし残念なこと? なのですね……」

改めて翼と角と尻尾を眺め、それから竜胆の目を再び見つめる。

「ジャンヌ……、えぇ、これからはジャンヌとお呼びします。
 わたくしのことはナナと呼んでくださいまし。親しい人はみんなそう呼ぶのです」

竜胆、ともう一つの名についても森でその花をみたことがあると付け加える。
釣鐘型の綺麗な青紫色の花を思い起こすと、確かに彼女にぴったりの名前だと思った。

「お互い、初めてのお友達ね」

そんなことを言いながら二人してくすくすと笑うと遠くで時刻を告げる鐘の音が鳴り響く。
はっと顔を上げたナナカマドがその音で残念そうに首を振った。

「そろそろ行かないと……、名残惜しいけれどまた会いましょう。ジャンヌ。
 今度は二人で甘いものを食べに行きましょうね」

そう強く約束をして両手を一握りし、それからそっと手を離した。
テーブルに広げた自分の分の本を片付け、それじゃあね、と手を振って席を離れる。
出入り口に向かう間ちらちらと何度も竜胆を振り返り、手を振ってやっと帰り道につくのだった。

竜胆 > 「お店よりも家の方にいますの。
 家は、富福地区にありますから、此方に書いておきますね。」

 先ほどと同じように紙を取り出して地図を簡単にサラサラりと書いておく。
 富福地区は直ぐにわかるであろうと、思って。
 友達と話しながら、甘いものの店を探るのは、とても嬉しくて、怒られたあとに二人して笑い合って。

「竜としては半端、ですからね。
 ほら、ハーフは迫害されやすいというのはありますし?」

 どこの世界にもと、自分を見る相手に笑いかける。
 今は、両親も祖父も祖母も受け入れてくれているから、幸せなのと言葉を続けて。

「よろしくお願いしますわ、ナナ。
 ジャンヌは、今のところナナだけの呼び名ね。」

 ふふふ、と笑ってみせる。
 母親は何を思って竜胆にしたのかはわからないけれど。
 でも、個人的にはリンドウもジャンシアヌも気に入っているのは確かだ。

「ええ、不束者ですがよろしくお願いいたしますね。」

 お友達とどう付き合えば良いかわからない所一杯あるので。
 そもそも、常識もちょっと疎いかもしれませんと先に言っておこうトラブルメーカー。

「また、お会いしましょう。ナナ。
 約束、ですからね?破ったらひどいですわ。」

 軽く笑いながら、立ち上がり、手を振って見送る。
 そのあと、自分も本を片付けて上機嫌に翼としっぽを揺らし、家に戻るのだろう――――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/図書館」からナナカマドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/図書館」から竜胆さんが去りました。