2018/03/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にフラニエータさんが現れました。
フラニエータ > ここは富裕区に存在するとあるバー。カウンター席は12、テーブル席は6という、大層だだっ広い店だ。
料理の味は格別、酒の質も最良、お勧めは舌鮃のミルフィーユと香草チキンの姿焼きと富裕層向け。

そんな店の目の前にある噴水、その脇に並べられているベンチ。女はそのベンチに座って店を見ていた。
小さなメモと窓から見える客を交互に見ながら、先程露天で買った、小さな紙袋に入った干し棗を一つ口にする。

「…あの男、ね…」

女の目に入ったのは、たった今店から出てきた一人の小太りの男性。
煌びやかなアクセサリを纏っているその男性は、脇に女性を数人侍らせている。
その男性の数歩後には、4~5人の良い体格をした男達が控えていた。
所謂、名前すら分からない、いけ好かない何処かの金持ち、だ。

「ちょっと無理そうね…残念…。あの女の中に紛れ込む、それが無難そう…」

厳重な警備に肩を竦める女。どうやら今日は諦め、別の手で挑むらしい。
女は干し棗を一つ口に放り込むと、「これからどうしようかしら…」と溜息を落とした。

フラニエータ > こんな時間に一人きりの女である。暇潰しに、と扇情的な視線を辺りに撒き散らす、
そんな女に数人の男が声をかけるが、「ごめんなさいね」「人待ちなの」と全てを断り続けていた。
女の御眼鏡に適う男ではなかった様子。

…また声をかけられた。今度は小さな小さな声。今までの声とは全く違う、か細く甘えた様な声だった。
女はとても嬉しそうな笑顔で、その声の主を迎える。

「フフ…可愛い子…こっちにいらっしゃいな…」

女の突然の声にびくりと怯える声の主。何が起こったか判らない、そんな顔を女に向けている。
緊張感を和らげる為か、はたまた更に気を引く為か、
女は紙袋から棗を一つ取り出すと、声の主の口先にそれを差し出す。

フラニエータ > 女の指先から棗が無くなれば、女はそっと声の主の体に触れる。
撫でるとも擽るとも言えない、微妙なタッチで。
嫌がる素振りを見せない事に気を良くした女は、その黒毛に手を伸ばした。
優しく撫で、地肌を軟く掻く様に撫でると心地よさそうに体を震わせる声の主。

「もう大丈夫かしら、ね…もっと傍にいらっしゃい…沢山撫でてあげる…沢山甘えさせてあげる…」

女は優しくも艶めいた声でそう言うと、声の主を己に引き寄せようとその細い腰に手を伸ばした。

フラニエータ > いつの間にか声の主は、ベンチに座った女の膝の上に座らされていた。
女の手管に依って絆されたのか、目を細め、うっとりと体を預けて女に頬ずりをするに至っている。
女はそんな声の主を、更に優しく、甘く撫で続ける。

「好い子…それで良いのよ…心地いいでしょう…?」

ちらりと女の顔をみる声の主。女の質問に、声の主は一言だけ答える。

フラニエータ > ――にゃあ

察するにその声は、「いいからナツメくれ」なのだろう。もしかすると抗議の声かもしれない。
女の魅力なんてまるで通じていないのだから。
しかしヒトの言葉しか判らない女はそれを無視。ひたすら撫で、愛で続ける。

「ん~…とっても可愛い…ふわふわ…何処の子なのかしらね…フフ…」

ベンチに座って声の主と戯れ続ける女。
声の主は傍らに置いてあるナツメの入った紙袋に首を突っ込んでいた。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からフラニエータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にザールさんが現れました。
ザール > 夜の富裕地区。
暇つぶしがてらに男は歩いている。

なんだかいい女とすれ違った気がするもすでに姿はなく。

代わりに夜だというのに賑やかなその場所に異質な男が足を踏み入れる。

「やれやれ、なかなかいい酒と女に出会えんな。」

呟きを漏らしながらどうしたものかとしばらく賑やかな喧騒の中歩みを続ける。

ザール > いい店を探しながら男は広場を後にしていった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からザールさんが去りました。