2018/03/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 オペラハウス」にニコルさんが現れました。
ニコル > 紅い絨毯が敷かれたエントランスは今宵の演目を観終えたばかりの客で賑わっていた。
場所柄的にも盛装が多く、華やいだ場がより一層様々な色で溢れている。
その中で、黒一色を纏う女の姿は黒子のように溶け込んでいるか、或いは逆に目立っているだろうか。
何れにせよ人の目を気にする風も無く、大きな窓から外を眺め遣る。
車寄せには馬車が並び、まだ当面は混雑は続くことが窺えた。

「どうしたものかしらね…?」

呟いてみたところで急ぐ気配は微塵も無く。
軽く辺りを見回した後、空いている長椅子を見付けると、人の間を縫うようにして其方へと歩を進めた。
時折人と肩を接触させてしまったりもするが、都度微笑を滲ませた軽い会釈を相手へと向けて。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 オペラハウス」にジュンさんが現れました。
ジュン > 「んーっ偶にはああいうのもいいもんだな」
演目を終えた会場から一人青年が出てエントランスへ来る
周囲の年齢層からは少し浮いているかもしれない

「しっかしこれどうすっかなぁ…ここまで混むとは」
別段帰る分には問題はないが、人の壁により外に出られないでいた
そんな状況に早く人波が引かないかと辺りを見回すと一人の女性が目に入り
そしてそのままその人に魅かれるようにふらふらと近づいて行けば

「どうもお嬢さん、貴女もこの混雑にお困りですか?
よろしければ少しお話でもいかがでしょうか」
と話しかけに行った

ニコル > 人波を避けようとして、声を掛けられた。
その言葉が自分に向けられているのだと気付くまでに数秒ほどを要し、それから更に数度の瞬きが続いたお陰で、実際に返事をするまでには少々時間が掛かってしまった。

「混雑もそうだけれど、車寄せに私の馬車が来るまでどれくらいかかるか、見当もつかないのが困るわね。
……それに、残念ながら『お嬢さん』ではないのだけれど
それでもいいかしら?」

くすりと小さく笑いながらに肩を竦める。

ジュン > 「そうそう貴女です…成程迎えが」
追えをかけてから少しして気付いて貰えたことに少し安堵し

「えぇえぇ女性はい何時だってお嬢さんです、それに見た目も十分そう言えるかと、ではその迎えが来る間までですかねでは…少しあの辺りに」
お嬢さんではないの言葉にもはっきりとそう告げればくすりと笑い
少し辺りを見渡せばほとんど帰ろうとする人ばかりの膣内に空いている席を見つけそちらにエスコートしようとする

ニコル > 相手の応えに対し、無意識に首を竦めるようにして笑ってしまった。
ともあれ、長椅子に向かおうとしていたのは此方とても同じ。
促されるままに歩を進め、壁際に並ぶ長椅子の一つへと腰を下ろした。
黒いドレスの裾を捌くと、エントランスの賑わいの中に衣擦れの音が微かに交じる。

「お上手なこと。私がよぼよぼのおばあちゃんでも、同じことを言ってくださるのかしら?」

事実人の生よりも長い時間を生きている。
含んだ笑みを浮かべる口元を、取り出したレースの扇子で軽く隠して。

ジュン > 彼女が先に座るのを確認すると自身も腰を掛けて
「よいしょとんーそうですねぇ女性には変わりないですし言うと思いますね、あ、でもご婦人…と言ってしまうかもしれませんねぇ」
貴女の方に顔を向けつつ顎に手を当てて言葉を考えつつそう答える

「しかしそこまで言うということは中々の生を過ごしたのですかね…よろしければその辺りも聞いてみたいものですが…
その前に自己紹介が先ですね、俺はジュン、と申します」

ニコル > 「……ニコル・ヴァリスと申します」

名乗る相手に対し、僅かな沈黙の後に返す。
夫の姓となって久しいが、口にする度にいまだにどこか馴染まぬような、或いは照れ臭いような表情を覗かせ。

「そうね、いつでも幸せな生き方をしていると思っているわ。
でも幸せって退屈なときもあるのよ」

だからこそ此処に来ているのだと暗に告げる口調。
それから軽く小首を傾げるようにして相手を見遣り。

「あなたは退屈を持て余す年ごろにも見えないわね。
オペラがお好き?」

悲恋物語がテーマとなることが多い歌劇の世界。
悲恋そのものに無縁そうな相手へと問い、応えを待つ間、楽し気に目を細める。

ジュン > 「ニコルさん、ん、よろしくお願いしますね」
照れくさがる様子に少しだけ首を傾げるも気を取り直し

「えぇ、幸せなのは良い事です…しかし退屈ですか…ふぅむ」
再び顎に手を当て考える、もオペラが好きかと聞かれれば

「あー悪くはないとは思いますね物語を見るのは好きなもので
た今回はたまたまと言いますか…まあ私依頼を受けて暮らしているのですが
ちょっと前に報酬のおまけとして券をもらったもので
あ、でも今日のは普通に楽しめましたよ、ええ」
と、そんな答えを返す

ニコル > 「お仕事に熱心なのは良いことですわね。
殿方が精勤する姿というのはその方の新たな一面を見る思いで、改めて惚れ惚れとするものですもの。
私も夫が仕事に励む姿を見るのが好きでしたわ」

屈託なく過去形で告げて微笑む。
と、そこで車寄せの方角から声が聞こえた。
ヴァリス様、と名を呼ぶのはこのオペラハウスで車寄せを預かる担当の従業員の様子。
漸くに自分の馬車が車寄せまで到着したのだろう。

「お話にお付き合い下さり有難う御座います。
今宵はこれにて失礼しますわね」

告げればゆるりとした動きで椅子を立ち上がり。
優雅な仕草で腰を屈める一礼を向け、馬車の待つ車寄せへと去って行った。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 オペラハウス」からニコルさんが去りました。
ジュン > 「はははそんなそんなたいそれたものじゃ…でしたって…」
最後の過去形に気付くも迎えが来たことに気付き

「あぁ、もうお時間ですか、では、今宵はこれで…またお会いできるといいですね」
そう言葉をかけながら去る貴女を見送った

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 オペラハウス」からジュンさんが去りました。