2018/02/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 少しずつ暖かさを取り戻す王都の日々。富裕地区にリーズナブルな値段で美味しいケーキと紅茶が飲めるカフェが出来たと話を聞きつけて、物珍しさにやってきた遊牧民。店内で注文したイチゴフレーバーの紅茶とフルーツいっぱいロールケーキが載ったトレイを手に、屋外にいくつも並べられた猫足の白いテーブル席に座り。立ち込める甘い香りに頬を軽く上気させる。

「んー……っ!美味しそう!
それじゃ、いただきまーす……」

細い銀スプーンでケーキをメロンごとすくいとったら、頬張るとたんに緩む表情だった。

「あぁぁ……。幸せ……。
――、……?
ん……。春が近くて日差しがきついのかな……。
なんか……熱いなあ……?」

甘いものを与えられた子供の顔で頬をむにむにさせたのだけれども。そんな幸せは、ふいに熱くなる体温で少し小首をかしげる。
フォークを置き、襟元を手ではたはた、風を送っている。
――遊牧民は知らなかった。このカフェの店主が、客のケーキに媚薬を注いで、客の反応を楽しんでいるという事を。
事情を知っているらしき店員が、心なしかこちらを見て歪に口元を緩ませている。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にフォーコさんが現れました。
フォーコ > 珍しい恰好をした少女の隣のテーブルで一人食事を楽しんでいた。
テーブル上に並んでいる品はローズヒップにアップルパイ。

半分程食べ終えた所で隣に食べている少女が急に汗ばんだ様子なのが気になった。

店内は極端に温かくしているわけでもなければ、並んでいる物も激辛だのと言った
汗を出して身体を温める様な物でもない。

となると、風邪でも引いて熱っぽくなっているのか。

私は持ち前のおせっかいと発揮し、隣に座る少女に声をかけた。

「この季節に随分と熱そうだが、体調でも悪いのか?」

私は少女の額に手を載せ、体温を測ろうとする。

店員がこちらを意味ありげな表情で眺めていることなど露知らずに。

タピオカ > 「気のせい……、だよね……。うん……。
ん……っ。ふふ。やっぱり美味しいや。
富裕地区の静かな雰囲気もいいし……」

はぅ、と一呼吸を青空に浮かばせて。腰の裏に集まり始めた熱を逃した。
ほんのり赤い頬に揃えた手先で触れて誤魔化せば、もうひとくち。
開いた小口にちょうど良くカットされたトリュフチョコを頬張って再び緩んだ口元。……けれど、身体の高ぶりはとどまる事がなかった。

「えっと……。なんだか、ケーキを食べてから身体が熱くって。季節のせいかな?……あっ……」

隣に座ってローズヒップとパイを楽しんでいた、黒いパンツスーツも身なりの整った赤い髪のお姉さんが声をかけてくれる。恥ずかしそうに眉根を下げて頬をほの赤くすると、困った風に笑って。女性らしい丸みを帯びた体つきに、引き締まった戦乙女の空気を纏ったその相手の手が額に触れたとたんに頬紅がかああっと赤く広がっていく。
すぐ近くの相手、首筋から漂う良い香りにドキドキと心拍を弾ませ、熱っぽい視線を相手へ向けてしまう。
彼女の手先に伝うのは、風邪や病気とは違った、どこか浮ついた発熱。

フォーコ > 随分と美味しそうに食べているものだ。
歳は十代だろうか?
ただ、熱を帯びた様子は先ほどから変わらない。 むしろ悪化しているようだ。

「そうか。 少し熱っぽいが風邪と言うわけでもなさそうだな。」

額に手をあてて体温を測るもそう熱いわけでもなく。
それよりも下から見上げてくる少女の視線が突き刺さる。

…うん、間違いなくこの少女は熱を出している。
風邪とかそういうものとは違うタイプの熱を。

体温が高くなっている為か、それとも近づいた為か。
少女の全身から花か果実を思わせる様な甘い匂いが漂ってくる。

いかんな。 私も彼女の熱が感染しそうだ。

「とりあえず、そのままの状態で一人歩かせるわけにもいくまい。
この近くで私の借りている宿がある。
そこで少し休んでいくかい?」

私は額を触れていた手を滑らせ、彼女の弾力のある頬をなぞる。
私と違い女性らしい柔らかい肌。 触っているだけで気持ちよい。

タピオカ > 浅黒い褐色の肌。彼女の肌は、自分の褐色とは少し違って。磨き込まれた黒檀石の輝きが春先の気配がする日差しの中で浮かんでいる。無造作に伸ばした赤毛とのコントラストがよく映えて、顔立ちを凛とさせている。額に触れる何気ない動作も無駄がなくて、そんな相手にややうつむき加減にちらりと彼女の瞳を覗き込んでしまう。

「うん……。僕は風邪なんて、滅多に引かないから……。
ほんと……どうしたんだろう……」

相手のはっきりと響く声音に盛んに睫毛を弾ませて、困惑気味の笑顔を続ける。それは自分の体調に困っているというよりも、むしろ彼女の触れる手先の心地よさを誤魔化そうとするものだった。

「いいの……?……ありがと!
それじゃあ、お邪魔します。お姉さんは、とってもいい人だね……!
僕はタピオカ。お姉さんは……?」

相手の提案にぱあっと芽吹く花のような笑顔を綻ばせ。
明るい声音でお礼を告げると、自分を名乗ってから優しい彼女の名前を求めた。
頬をなぞられると少しくすぐったそうに肩を縮めて。
「あはっ」と子供みたいに笑って、彼女の手に憩うように、彼女のほうへと首を少し寄せて見上げるのだった。

フォーコ > トルマリンのような瞳が私を見上げる。 私の赤い瞳と視線が交わる。
彼女も褐色の肌であるが私よりは少し色が薄い。
同性にも異性にも好かれるタイプだろう。

「私も医師ではないのだが…恐らく風邪による症状ではあるまい。
では何かと言われるとここでは少し言いにくいのだが。」

恐らく、薬か何かを盛られたかそれともそういう類の魔術に当てられたか。
理由は思いつくがそれをそのままこの少女に注げていいものか。
私の眼には少女の笑顔は己の変調に戸惑っているように見えたのだった。

「ああ、それなら直ぐに向かうとしよう。
私はフォーコと言う。
よろしくな、タピオカ。」

年相応の弾ける笑顔を見せられると、私は邪な感情が芽生えてしまう。
彼女が私の手に顔を寄せると、私もそれに答えるように頭を摩っていた。

そして、彼女の腰へ手を回すとエスコートする形で宿へと向かうだろう。
無論、食事の代金は私の方で支払うことにした。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からフォーコさんが去りました。