2018/02/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 貴族の邸宅」にヘンリエッテさんが現れました。
ヘンリエッテ > 祝宴開かれているホールから、バルコニーへと出て来るひとりの女。
よくよく見ればまだ年若いことがうかがえる貌だが、昨年爵位を継いで以降はこういった場は家長として出席している。
しかし招待された数だけ参加すれば、身が持たないほどに貴族は宴好きである。

「………残念ね。ホルスト侯は欠席かしら」

今回は滅多に会えないからこそどこかでパイプを繋いでおきたかった相手が参加する、との話に足を向けたのに。
一気に目的を失い、女は片手に持ったグラスを揺らしながらゆっくり、ゆっくりと柵へ近付く。
グラスの中の果実酒は赤黒かったはずだが、外は光源が乏しいため液体は真っ黒に見える。

「…………」

初めにひと口飲んだっきり。
不味いわけではない。ただ、アルコール全般が苦手なのである。
それを悟られまいと何度か飲んだふりをしていることに気付いている者はいない――だろう。

ヘンリエッテ > 「――――え? …いえ。戴いておりますわ」

退屈そうな公爵の背中を発見した誰かに声をかけられ、女は一瞬言葉を詰まらせたが、冷たい貌を和らげて応える。
相手は丁寧な物言いであったが、その表情から言葉の選び方から、若い女である己を見下しているところが透けて見える。
あわよくば…という下心も、である。

にこり、愛想笑いを浮かべたままの女は、こんな時どう応対すれば良いか祖母によく教わっていた。
故に、それ以上慌てるそぶりもなく当たり障りない会話をにこやかに続けるのだろう。
大した収穫もない夜に辟易しながら―――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 貴族の邸宅」からヘンリエッテさんが去りました。