2017/12/20 のログ
ご案内:「ディバン邸」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 【待ち合わせ待機中です】
ご案内:「ディバン邸」にフェゴールさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「……ふむ」
珍しく、家に居座った冒険者。時計をちらり、と見て。
愛しい妻はそろそろ眠る時間だろうか。そう考えてナイトキャップなんて用意したり。
妻の好みは判らないから。ハーブティ、ホットミルク、ココア、ブランデー。それらを抱えて妻の部屋へと。
男は、忘れていた。
自分の姿を。そして、最近仕事が忙しくて家にあまり居れなかったことを。
この姿を相手に見せるのは……少なくとも、半年振り以上。それくらい間が空いていたのだが。
「……フェゴちー、入るぜ~。
ナイトキャップお持ちしたけど、何飲む~?」
妻の部屋。扉をノックし、返事も聞かずに部屋へと入る。
その姿は。まごうことなく、妻への愛を囁いた男の姿そのもので。
■フェゴール > 『……ん~?…お水…』
(ふかふかのベッドの枕に背もたれ、分厚い本に目を落としている様は。何気にアロマのお香まで炊いてあり。あとはもう寝るだけと言った風情だ。)
『?……なんだ、セイン君。呪いは解けたのかい?』
(一度チラッと見てからすぐに本に視線が落ちる。なんだか、素っ気ない)
■セイン=ディバン > 「……水は持ってきてないなー。ちょい待ち。
ていっ」
まさかの注文に、男は目を丸くするが。パチン、と指を鳴らせば。
空中からポットに入った水が出てきて、男の手中に納まる。
そのままカップに水を注ぎ、相手に差し出しつつ。
「うん? あぁ、そういえば、か。
残念ながら呪いが解けたわけではないんだけど。
こうして元の姿を見せるくらいはできるようになりました」
えへん、と胸を張りつつ、ベッドへと進入。まるで添い寝するような形になりながら、男は相手を見る。つれない様子だが。
いつもそうだ、といえばそうかも知れず。
「どうよフェゴやん。前は『顔は正直……』とか言ってたけど。
改めて見ると格好いいっしょ?」
本当に不機嫌なのか、それとも読書に夢中なのか。それを判断するため、男はそう言いながら、相手の頬に触れようとする。
■フェゴール > 『それは解けてるのとは違うのかい?
姿がいくつもあると、自我がおかしくなるから気を付けて……
ん~……うん、そだね……。』
(目線を合わせずに、顔に関して言われるとチラッとだけ見て、なんだか歯切れの悪い返事。少し視線を泳がせて本を閉じれば水のカップを受け取って一口)
『結婚式終わった?……』
(唐突に思い出したように問いかける。さほど怒っている様子もない。ルインにあんまり叱るなとも言われているし元々怒っていない。そうじゃなくて、何かソワソワと、気まずそうなのだった。)
■セイン=ディバン > 「ちょい違う。……って、一発看破かよ。さすが我が愛しの君。
ん。気をつけるよ。まぁお察しの通り。
今の俺には男の俺、女の俺、フタナリの俺が同居している状況です。
……って、どしたん?」
怒っているのかと思えば、そうでもなさそうなご様子。なんだか変だな? と思えば。意識の外の言葉に、男の顔が引き攣る。
「……それ、誰から聞いたん?
まさか、バルジリスの手紙読んだ?
……いや、そんなことはどうでもいいか。
答えは、まだ、です」
頭を掻きながら困った様子の男。相手の顔を真っ直ぐ見ながら。男は正直に物を言う。
「つっても、女の俺もあの求婚は嬉しいみたいだけど。アイツなりに迷ってるみたい。
ほら、女のオレって、『元々は居なかった』オレじゃん?
もしかしたらいつか消えるかもしれないのに、結婚、ってなると不安みたい」
他人事のように、自分の中の他人について語る男。正直、今のこの男の状況は複雑怪奇に過ぎる。
■フェゴール > 『その元々いなかった彼女もセインディバンとして私と接していたはずだが、それを別個の自我として認めてしまっているのか……』
(何やら思う所がありそうだが。単純な話で、精神的に分裂が起こってもおかしくない。要は、危険極まりないと思うのだ。それに合わせて)
『まぁ、この話題を念頭に置いて次の私の意見なんだけど……』
(堅苦しい喋り方ではない。以前の子供っぽいのとも少し違うけれど、そっちよりの口調になっていて。それはとても、個人的な話をしている証明なのだが)
『結論だけ、先に言っちゃうけど……別れよっか?』
(少し困ったような笑みで。なんだか申し訳なさそうに。さっぱりと、告げてしまった)
■セイン=ディバン > 「この間までのオレは、独立してフタナリのオレになって変化した感じだね。
女のオレは……正直、俺自身見てて頭が痛くなる。
ビクビクオドオドしてて、なんっつ~か……」
フタナリのセインは、かなり自由奔放になった。男に犯されるも、女を犯すも大好き。
ある意味、男と似ている部分もある。だけれど、女のセインは……。
はっきり言えば、別人そのもの。そんな按配だ。
「……? はいはい。意見、ね?
なんでございましょ」
そこで気づく。相手のしゃべり方に少し変化がある。これは何かあったな、と。
そう考えた男は、相手の頬に触れるのは本当に軽くだけにして。神妙な面持ちで言葉を待つ。
「ヤダ。……と、ここで言うだけじゃ会話の意味がないね。
どうしてそうなったのか。考えを聞かせてよ、ベルフェゴール」
突然の離縁発言。男は、それを驚きもせず受け止める。
もちろん、ここで素直に『ハイ別れましょう』などと言うつもりはない。
だがまずは相手の考えを聞かねばならぬ気がしたのだ。
■フェゴール > 『………君は、きっと僕が居なかったら元のセイン=ディバンには戻らなかっただろうね。更に3人目の人格が出てきたとなれば。本当の君はどこにあるのかな?』
(頬に触れる手を、そっと離させる。今はスキンシップという気分ではない)
『ほかに好きな男が出来た。』
『君に愛想が尽きた。』
『ていうか、君に辟易している』
(淡々といくつかの理由を投げるが、とってつけたような適当な理由で)
『あと、昨日ハーフジャイアントのお兄さんとエッチしたんだけど……そこで、彼専用の女の子になるって約束しちゃって。気持ちよ過ぎて勢い余っちゃったんだ。けど約束は守らないといけないからさ~?……なんかごめんね?』
(両手を頬に当てて、饒舌に、最後は舌をペロっと出して。一応、最後は本当の話なのだけれど。所詮は情事の際の口約束だ、拘束力があるわけでもない。というか、とても口調が軽くて饒舌なのだ。)
■セイン=ディバン > 「……恐ろしいことを言うね。あぁ、でもそうかもしれないな。
フェゴたんが居てくれたから。こうして戻ろうとできた。
……本当の俺、ねぇ……」
触れる手を離されるも、男は特に反応をしない。そういう雰囲気でないことくらいは、男にもわかる。
そして……本当の自分、と言われれば少し考え込んでしまう。
よくよくに考えれば。本当の自分、という単語に当てはまる自分など。
とうにいなくなっているのだろうから。
「……。ふむ。
……ふむふむ。
……ふむ~」
相手の上げる理由を、男は黙って聞き、頷くのみだ。
そこには、怒りも悲しみもなく。驚きすらないようであった。
「……ふむふむ。なるほどね。
つまるところ要約すると。魔王ベルフェゴールは、人間セイン=ディバンに飽き、愛想が尽き、辟易するほどの状況であり。
そんな時にハーフジャイアントの男に抱かれてあまりの気持ちよさにその男専用になると約束した。
なので俺はお役御免。とっとと失せるなり、どっかでのたれ死ね、と。
そういうことでいいかな?」
確認するように、相手の言葉を纏める男。持ってきたトレイからブランデーを手に取り、ぐいっ、と軽く呷る。
男はそのまま、真っ直ぐ相手の瞳を見る。言葉の真贋を見極めようとするかのように。
■フェゴール > 『………ん、駄目だ……やっぱり。魔王に気遣いが出来るわけなかった……。』
(泳いでいた視線、困って頭をワシワシとしてから。何か諦めた。まるで信じて貰えていない。そのあたりはまぁ付き合いの長い旦那なのだ、そりゃそうだろう。気遣って嘘の理由で逃げてみたのだけれど。それをあきらめる)
『まぁ、ハーフジャイアントの彼の話は本当だけどね……あれもまぁ、一夜のベッドでの勢いみたいなものだから、言い訳の一つにしかならないんだけど……』
(今更浮気を咎められる言われもない。そもそも、目の前の旦那がすでに恋人の数人くらいは作っているし、その内二人目の妻もできるかもしれない。元々のことだからそこを怒っているわけじゃない)
『……だって、あの時のタナール砦で会った。ばっくんは、セイン君は……どこにもいないじゃないか。』
(結局は、そこなのだ。客観的に観ているふりをして言い訳に混ぜていたのだけど)
『僕の旦那様は、どこにいっちゃったのかな?』
(首を傾げたその顔は。ほぼ完全に表情の無い。素の顔。最初の頃の、魔王の顔。)
■セイン=ディバン > 「気遣いする魔王とか怖いわなぁ」
相手の言葉に苦笑する。まぁ、魔王でもそこまで悪鬼羅刹なタイプじゃない。
穏やかな魔王も見てきたから。気遣いできる魔王とかもいてもおかしくないんだろうけど。
「そもそもそのハーフジャイアントの男のことが知りたいねぇ。
お礼参りしなくちゃかもしれないし?」
はっはっは、と笑いながらも、ちょっと眼が据わってる。
どうやら、妻のそういった浮気行為的なものは許せるけど、妻を抱いた男自体は許せないらしい。
「……ん。……そう、ねぇ。そうさねぇ」
ぽん、と呟かれた言葉。さすがにこの一言には男も困惑し。
少し考え込むような仕草を見せる。
だが、僅かな時間の後。
「ここにいるよ。ベルフェゴール。俺は俺だ。変わらないさ。
少なくとも。男の俺は、キミを愛してる。キミが一番大事だ。
キミこそ俺の光で、救いで。大切な大切な、愛しい妻だ。
……それとも、こんな人間を半分以上辞めちまってるバケモノの言葉は信用できない?」
へらっ、とした笑顔でそう言う。その姿は胡散臭いことこの上ないだろう。
だけれども。その言葉は本心からのものだった。
まるでお互い。初めて出会ったあの日の様に。
タナール砦周辺を撃滅していた少女魔王と。
命乞いの為、口からでまかせで愛を告白した腑抜け冒険者と。
そんな状況に戻ったみたいで。