2017/12/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にサナさんが現れました。
サナ > 錆びれた地を選び、渡り歩いて来た身には平民区の賑やかしさすら絢爛に映る。
何より人の多さに圧倒されて目の奥でちかちかと火花が散るんじゃないかと思う程。

ひとけの少ない方、少ない方へと歩みは流れ
気が付けば起点にしていた宿回りから大きく逸れる。

自分の等身の数倍もあろうかという高さの邸宅は劇場だろうかとぽかりと見上げるのに
平民区で見たような看板の一つも見受けられない。

例え劇場と思っていても、門戸を潜り正しい道を聞く等考えもしなかったけれど。

フードの裾からはらりと零れた銀糸の髪に所在なく指を絡め、
持ち主と思しき、馬車の帰宅にびくりと肩が揺れる。

脇を回るようにして路地に入り込み、一つ二つと角を曲がれば
益々方向が分からなくなり、当所無くとろとろと歩きはじめる。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にウィルバーさんが現れました。
ウィルバー > 彷徨うように歩いている後ろをいつのまにか一匹の黒い犬が付いてきていた。
足取りは急ぐでもなく、どちらかと言うとゆっくりとした足取り。
毛並みも良く、臭いもしないことから野良犬の類ではなさそうで。

ただ、魔力に耐性があるものからすれば微妙に違和感を覚える程度の魔力を放っていた。
雌の本能を露わにさせる、催淫作用のある魔力を。

そして、黒い犬はフードの下にある女の匂いを嗅ぎ分けると鼻を鳴らしてから少しずつ距離を詰めていく。
途中の家などはわき目もふらず、真っ直ぐに女の元へと向かって。

サナ > 見知らぬ地はまるで鬱蒼と茂る森の中のようで心細さが増していく。
歩めば歩むほど奥地に入り込むというのに。

いつの頃からか、気付けば薄い足音が自分のものに重なっていることに気が付く。
振り返ると、毛並の良い一匹の黒い犬

見目は黒犬、だったけれど、
薄く漂う魔の力に小さく眉を顰める。
良くない類の物だとちりと首筋が警鐘を鳴らすのは、ごく個人的な経験則から。

じわりと踵が地面から浮いて、指先に仄かな冷気を纏い寄せる。
迷いなくこちらに向かう足元を止めさせようと、地面から噴き出させるよう水刃を横切らせる。

「…止まって。貴方は何か、怖い。」

ウィルバー > 女が人気のない場所へと歩き続けていく。
犬はそれを好都合と後ろを歩いていた。

女がこちらの存在に気付くも、犬はまっすぐに近づいていた。
口を動かし、白い息を吐いていた。

「は、は、は、…。」
犬が呼吸のテンポを上げると、水の刃を身体を捩じらせ交わしつつ更に近づいていく。
漂う魔力はいよいよ濃くなり、耐性のないものならとっくに犬に心を奪われていることだろう。

犬は女の表情と、纏っている冷気に気を付けながらも歩き続ける。
女の後ろは袋小路。 いずれは追いつかれることであろう。

サナ > 言葉が通じないのか、聞く心算が無いのか、どちらかは分からなかった。
言いようのない不安を掻き立てられて、行くべき道を探す。

目に見えない、けれど絡みつくような圧に駆り立てられ
袋小路に行き当たる。
再び語りかけても、応えてくれると、聞いてくれると思えなかった。

白い足先を指が辿り多重の魔を纏う。
壁の向こうへ跳躍し、見ず知らずの豪奢な邸宅へと潜り込む。
間もなく強化の力も途絶する、
助けを求めた先にあるものが、光か闇かは分からないまま―――――女の気配は途絶える。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からサナさんが去りました。
ウィルバー > 犬の姿だったモノは、女が姿を消した次の瞬間、黒い闇に覆われる。
闇が晴れた時には何も残っておらず…。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からウィルバーさんが去りました。