2017/12/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にセシリア・ローズさんが現れました。
セシリア・ローズ > いわゆる貴族と呼ばれる人々と、富裕層に属する人々の、夜の楽しみといえば様々である。
今宵、この劇場で開かれているのも、そうした人々が好む歌劇の宴であったが―――

幕間を狙って桟敷席からそっと抜け出し、ロビーの片隅にあった
『関係者以外立ち入り禁止』の表示がされた扉を潜ってふらふら歩くうち、
何故だか劇場の裏手に伸びる細い通りへ出てきてしまった。
振り返れば見覚えのある豪奢な建物があり、その向こうにはきっと、
先刻、馬車で乗り付けた正面玄関と、それに面した大通りがあるはず。
対してこちらの通りは、といえば、街路灯のたぐいもほとんど無く、
うら寂しい、ひと気も無い、何とも寒々しい有り様だった。

「………思ったより、つまらない所に出てしまいました…。
 仕方ありません、中にもど、り、――― あ、ら…?」

たった今、出てきたばかりの扉に手を掛けて、押し開こうと試みる。
―――びくともしないそれを前に、不思議そうに首を傾げて。

「何でしょう、これ……さっきは、すんなり開きましたのに……」

もしかして、こちら側からは決して開かない扉なのだろうか。
だとしたらどうやって戻れば良いのだろう、などと、ゆるい頭なりに思考を巡らせる。
何よりも、鮮やかなブルーのドレスとレースのショールのみ―――
たとえ頭のゆるい娘でも、寒いものは寒かった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にクリルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からクリルさんが去りました。
セシリア・ローズ > ―――遠くから、己の名を呼ぶ声が聞こえる。

如何やら娘の不在に気づいた父が、誰かを探しにやったものらしい。
慌てた様子で駆け寄ってくる男に、令嬢はひらひらと手を振ってみせる。
寒かったの、助かったわ、などと微笑む娘はちゃっかり、
男の街頭をせしめて羽織り、劇場へ戻って行ったとか―――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からセシリア・ローズさんが去りました。