2017/11/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にヘリオトロープさんが現れました。
ヘリオトロープ > 秋か、冬か、そんな問いを繰り返して仕舞いたくなる程冷え込む夜。
吹き荒ぶ風に幾度も拭われる内やがて本当に冬に衣替えを済ませるのだろう中途の一夜。

富裕地区の外れ、平民地区との境目。
民衆の憩いの場として与えられている公園の噴水の前で、
頭を下げる少女に、少し困った様子で背を起こして欲しいと狼狽える少女という一対が居た。

時折、此方が軍属の親戚の都合で伝書の役目を預かると知り、
想い人である幼馴染の戦場へ、恋文を預かったのは昨日のこと。
対して恋文を渡した想い人はと云えば悠長に文等認めている場合でも無く、
返事の代わりに身に付けていた束帯を代わりに預かって来た―――と、いうだけの隙間事。

年下の友人を数度撫でてから、控えていた侍女と去って行くのを見送って、
そうっと毀れる吐息が寒気を揺らした。

「 あんな恐ろしい場所に、ですか。普通はそうなのかもしれませんわね。 」

一頻りの己に取って聊か決まり悪い空気が途絶えれば改めて思考は廻る。
平常の、当り前の貴族の娘の思考であれば怯える彼女の方が
正しい反応と言えるのかもしれなかった。
―――で、あれば、其処への遣いを任されるということは。

其処迄遡って考える事が無かった彼女の素直な素質と真綿の様な環境に、
深く感謝を思い描き乍、乗馬コートの襟の陰ではにかむ様に微笑む。
顔を上げた矢先、鼻に触れる甘い温かな香り。

近く、何か屋台でも出ているのかと気を取り直して顔をあげ。

ヘリオトロープ > 「 林檎、肉桂、…後は…蜂蜜?
  ――帰り道に見つけられるかしら。 」

上向かせた顔で漂う香りを選り分けて、笑みの質を変える。
寄り道では無くて、帰り道の何処かで見付けられたら味わおうとの、
己の中だけの決まりごと。

少しだけ覚えた痛みは、風に晒して
公園の入口へと結わえた愛馬の許へと歩み寄り。

「 御待たせ。邸へ、帰りましょう。 」

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からヘリオトロープさんが去りました。