2017/11/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にグラスシエルさんが現れました。
■グラスシエル > 【お約束待ちです】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「……なんとまぁ」
少女はそこで声を切る。流石に面と向かっては、らしくないだの。
似合ってないだのとは言いづらい。それに。
自己犠牲の極地のような少年の言葉には、少女も思わず敬服し、感服し、そして。
なぜか、無性に腹が立っていた。
「そう言う風な表情は、可愛らしいのにねぇ」
照れた様子の相手に気付き、くすくすと笑う少女。
からかう意図は無い。率直な感想だ。
「……裂けて無くても。気は使うわよ。
この身体になってから、男も喰うこと増えたし……」
言葉のままの意味。そして、逆も然り。少女自身、アナルをおかされる経験を何度もしてきた。
故にわかる。アナルセックスは、とても慎重に行わなくてはいけないのだ、ということを。
「キスくらい、させてよ……。
じゃないと私が惨め過ぎる……。
ん、ぁ……っ……。娼婦を買うのと、こういうのは、また違うでしょ……?」
こうして繋がり、一度達してしまえば。少女は自身の罪を告白しないといけない。
そうなれば、恐らくこの天使は少女を許さないだろう。ならばせめて今だけは、と。
そう願ってのキス。甘く、緩やかに。でも情熱的に繰り返す。
そんな中、相手に指摘されたことに関しては、小さく囁くのみ。
つまり、この行為は、少年を娼婦扱いしているのではなく。
純粋に、好意を抱いてのことだと、そう言いたいらしい。
そうしている間にも、少女の腰の動きは、少しずつだが、早く、強くなっていく。
■グラスシエル > 屈辱とか、恥辱ではなく、普通に恥ずかしい――
男が、キャンキャン鳴いたり喘いだりとかねーから
なんて思ってる少年にとっては、こんな顔を見られるのは嫌だった
可愛い、なんて言われると、ビクンっと震える
お腹の奥がきゅぅ、っと締まって
「――ば、馬鹿ッ!可愛く、なんか…」
桜色が濃くなる。真っ直ぐな口調に嘘はないだろう
だからこそ、恥ずかしいしこそばゆい
自分とはなんかかけ離れてるような気がする
「いいから、さっさと、だせって、言ってんの
これぐらい、なんともない、からさ」
ちょっと、呼吸が苦しい。お腹の奥から、圧迫感がある
我慢してる声が漏れぬように、呼吸を深く、深く取る
むしろ、乱暴に扱われたほうがまだマシとさえ思える
自分が、みっともない道具だと思えるから
でも
「ひゃ、ぅ。だからキス、は…あんっ、ちゅ、ちゅる――♥
キスしちゃ、ダメ――声出ちゃう、ぅ」
甘いキスに、トロンと目の光が濁る
んぅ、チュ、ちゅと口づけを拒む仕草が薄れる。むしろ、キスに悦びを感じるように、舌をだし、唾液をすする。
キスを、好意を受け入れれば、少年は転がるように喘ぐ
アナルへの圧迫感はきつそうだが、それ以上にキスに蕩かされたように
「あん、っく、んぅ。キス、だめだって、頭、溶けちゃうぅぅ」
いつの間にか、背に両手が回る。情熱的に、背をひっかくように、だいて
■セイン=ディバン > おおよそ根っこまで遡れば、男性であるところの少女としても。
この少年が、可愛いといわれるのを拒む理由については想像もつく。
だがまぁ、実際可愛いと思うのは確かだし。行為の最中にベラベラと喋り、相手を褒めたりするのは少女の性分だ。
少し、イジワルかもしれないが。
「可愛いわよ。……グラちゃんは、可愛い。
本当に。囲って娶ってってしたいくらい」
更に照れる少年の様子に、少女もまた、頬を紅く染める。
ここまで自分勝手なことをしておきながら。
少年に隠し事をしておきながら。実に都合のいい話だが。
少女は、この少年を本当に愛おしく思ってしまっている。
「……そう、ね。うん。わかった。
……ちょっと、激しくするからね?」
少年の言葉が、少女の心を抉る。早く終わらせろ。
それはつまり、迅速にこの行為を終了させて。繋がりを断ち切れといわれてるようで。
実際、少年にしてみればいい迷惑。ビジネス以外の何者でもないのだから。
少女は、寂しさと悲しさを感じながらも。それを隠し、腰を強く、深く打ちつけ始める。
「あ、はっ♪ シェル、女の子みたい……。
いいのよ、声。聞かせて? もっともっと……。
もっと蕩けて? 解けて、溶けて、私に堕ちて……?」
重ね続けるキスは毒か呪いか。少女は、相手がキスを拒まなくなったのを見て、更に口付けを激しくする。
舌を絡ませ、唾液を啜られれば、一度口を離し。覆いかぶさる姿勢のまま、相手の口内、そして舌へと唾液をたらす。
夢でもいい。幻でもいい。この一瞬の過ちでもいい。
ただこの子が堕ちて、自身に心酔してくれたのなら。
少女はそう願い、穢れない存在である天使を地に引き摺り下ろそうとする。
いつしか呼び方は、からかうようなあだ名から、信愛をこめた呼び方へ。
「痛っ……! あ、ぁ。でも。……私を抱きしめてくれるのね。
ん、くっ……! 出る、出るぅ……♪ 受け止めて、シェル……!!
私の子供、孕んでっ! ケツマンコで孕んでぇっ!
~~~~~っっ♪ あ、あぁっ♪ んううううっ♪」
背に回される手。微かに、爪が皮膚を裂く。それでも少女は、その抱擁を嬉しく思い。
いざ、甘い時間は終わり。夢は覚める。そしてそれを仕方ないと思いながら。一際強く。
肉のぶつかる音を部屋に響かせ、少女の股間は、少年の純粋なる腸内へと、汚液を注ぎ込む。
全身を痙攣させながら。アナルで妊娠なんてできるはずないと知りながら。
涙を流しながら。少女は、少年を強く抱き。大量の精液を、奥へ奥へと注ぎこむ。
何度も何度も震え、跳ねる肉槍は、腸壁を擦り。精を塗りつけるように。
■グラスシエル > 言葉だけなら、すぐに突っぱねただろう。
言葉なんていくらでも繕えるのだから
でも、繋がったまま、熱いキスを繰り返されながら、落とされる可愛いという言う言葉に、蕩ける、酔ってしまう。
恥じらうさまは、その肌と合わせて乙女のように、モジモジとしたもの
「や、可愛いとか、いうな、ボク、おかしくなる…あんっちゅ、んぅ」
頭が、蕩ける、沸騰する。肉体的な繋がりではなく、愛情という甘い、精神的な繋がりで。打ち付ける、腰の動きに、圧迫的な苦痛ではない、何か、ジンジンするものを感じる
「やっ、ちょ、まて――なんか…ひゃん、あっ、あ、あああっ
そんなに、言わないで、っ。おかしくなる、ボク、変になるよぉ♥」
ちゅ、じゅる、んく、コクン、と垂らされた唾液を飲み干す。
いつものプライドの高い少年なら絶対にしない行為。でも、今は明らかに快感に蕩けて、ゆっくり、強く腰を打ち付けるたびにゾク、ゾクと甘い痛みを覚えて
「んっ、もう、出る?でちゃ、ぅ?
出される――ボク、だされちゃ…ぅ
んぁっ、んっああああっ!!」
熱い――熱い!
アナルに射精される感触、熱い何かが注ぎ込まれる感触に背を反らした
心地よく、甘い熱さ――モノや道具では感じない何か
それをお腹いっぱいに受け止める。
「しゅご、おなか…熱い、熱いよぉっ、あん、あああっ♥」
ぎゅう、っと背に強く両手を回し、抱きつく
恋人のように、愛し合うように、ぎゅうっと、強く、強く
顎を上げ、口を開き、快感をしっかりと、刻み込まれて
■セイン=ディバン > 少女もまた、ある程度意識してそう言ってはいたものの。
急変と言ってもいいような様子の変化には、逆に戸惑ってしまい。
「……ボク? ……ふふふ、それが、本当の地なのかしら。
可愛い、あぁ、可愛いわぁ……」
先ほどまでの毒と棘ある口調と言葉はどこへやら。
すっかりと蕩けた様子の相手に、更に愛おしいという感情は強まり。
少女は、唇を重ねたまま、ぐぐぐっ、と腰を持ち上げる。
貫く動きは、前後から上下へ。まさに串刺しにするという表現がにあうような動きだ。
「可愛い♪ 好き♪ 愛してる♪ 大好き♪
大切な人♪ 愛おしい♪ 側にいて♪
おかしくなってもいいのよ♪」
一突きごとに、囁く。相手を揺らすために。自分を見てもらう為に。
少年の思い人から。この少年自身を奪い取る為に。
そう、この少年が探していたもう一人の天使に行ったような。
行為に乗じた、卑劣な愛の鎖を。ぐるぐると、少年の身体へと絡ませていく。
「あっ♪ あ゛ぁっ♪ 出てるっ♪
ショタ天使ケツマンコにっ♪ 生ザー汁中出しっ♪
着床っ♪ 絶対、妊娠させちゃうんだからっ♪」
相手の甲高い声にあわせ、ゾクゾクとした快感と背徳感が少女の背筋を一気に駆け上がる。
射精しながら、腰を突き出す。既に薄紙一枚も入らないほど密着しているのに。
ぐりっ、ぐりっ、と腰を捻りながら更に突き出す。
最後の程走り。その一滴が出る瞬間。一際強く捻りこむ。
ぐりりぃっ、と。それにあわせ。その一跳ねが、少年の肉体の中で、ぶびゅりっ! と溢れ出た。
「……は、あ、ぁぁぁ……。
……んっ……ちゅっ……。
ぷはっ……は、ぁい……これで夢はお終い、ね。
ゴメンね、グラスシエル。正直に言うわ」
抱きしめられる。嬉しい。開いた口にキスし、唾液を流し込む。嬉しい。
舌を絡ませる。嬉しい。相手の舌を吸い、唇で食む。嬉しい。けど。
少女の自分勝手はここまで。断罪のときは来た。
少女は、ゆっくりとペニスを引き抜き。瞳を閉じ、ベッドに正座した。
「私はアナタを騙していました。アナタとの契約に、すれ違いがあるのを承知の上で、利用した。
私は、シャルにあなたからの伝言を伝えた。契約を果たしたのはそこの部分だけ。
行為には、誘いこそしなかったけど。私から手を出し、肌を重ねた。
帰るように促すことなんて、しすらしなかった。
……グラスシエル。アナタには、私を裁く権利があります。
この身。この心。この魂。アナタのお好きなように。
望むなら。命すら捧げましょう」
その言葉。告白は。少女がこれまで生きてきた中で、一度も出したことの無い声であった。
身動き一つせず。少女は相手からの沙汰を待つ。
■グラスシエル > 「あひ、や、声でちゃう、っ、我慢できない…♥
変、なの、変になる、おかしく、なるぅ…ッ!」
腰が持ち上げられる。ゆっくりと、しっかりと支えられ、抱かれる。
さっきよりも、お腹はきついはずなのに、心地良い。気持ち、いい。
「や、駄目、駄目駄目っ!言わないで、狂っちゃう!おかしく、なっちゃうよぉ…ボク、そんなに言われたら、感じちゃう、キモチヨクなっちゃうっ♥」
口を半開きにし、蕩けた表情でがくがくと頭が揺れる
すっかり、快感に酔った表情で、突かれる。腰を打ち付けられる
苦痛では屈しなかった少年も愛をささやかれると、とてももろく、弱い
「あひっぃぃっ♥孕む、こんなの、妊娠しちゃうみたいっ♥
熱い、ざーめん、熱いよぉ♥♥♥
あん、おなかいっぱいに、なるっ、ホントに妊娠しちゃうっ♥」
最後の一滴まで、受け止める。ビジネスといってたが、それすら忘れてしまうぐらいに、喘ぐ、狂う、愛しく、想う。
ちゅ、ちゅぅ、っと、中にまだ入れられたまま、キスをする
少年も、素直に受け入れる。むしろ、甘えるように、おねだりするように口を開き、舌を絡ませて。
少女の、舌が離れる。身体が、離れる
それを、寂しそうに、少年は見上げて
少女が、謝った
少年は、見上げる、静かに
そして…その言葉を聞く、表情は無い
「……要は、契約の齟齬っていうか、スキマを利用したのか」
顔を降ろした。うつむく少年の顔は見えない
しばし、時間が流れる。1分か、10分か
うつむいたまま、少年は言った
「お前は、魔王の旦那なんだろ、ちっぽけな幸せぐらい、見逃してもいいんじゃないのか?やっと、やっと、アイツが、あのガキと一緒にいられる時が来たのに…」
シーツを、強く握ったまま、睨みあげる。ひどく悲しそうに
「…アイツは、なんて言ったんだ?あのガキンチョは」
■セイン=ディバン > 「くっ、は、んっ……♪
ふふ、すっかり、アナルほじられて、メス声出ちゃってる……♪」
相手の声が、少女の精神を揺さぶる。オスとしての支配欲が呼び起こされ。
その相手の声を、もっと欲してしまう。
「あ、はははっ♪ いいのよ♪ おかしくなって♪
せっかくのセックスですもの、気持ちよくなきゃ損じゃない♪」
遂に相手が限界を迎えたか。恐らく平時ならば少女相手に見せないであろう弱み、懇願。
それが垣間見えたことが、少女を更に興奮させてしまう。
付け入る隙。弱点。そんな風に見えたからこそ。少女は笑い、肌を密着させる。
「ん、ふっ……んむっ……。
炎のような美しい瞳が好き♪ 細い身体が好き♪
アナルで感じちゃう所が好き♪ キスに弱いところが好き♪
……強くて、脆くて。儚いところが、好き……」
注ぎながら口付けを。そして、言葉を。それらが少しでも。
相手の気持ちに届けばいいのに。そう願いつつ、そうならないことを知っている。
ちゅぽんっ、と音をたてて抜けるペニス。室温以上に、寒さが肌を襲う気がした。
「そういうことです。本当にごめんなさい。
契約は必ず果たす冒険者、と言っておきながら。
私は、あの子と離れたくない一心で、アナタを騙した」
うっすらと瞳を開いた少女は、俯く相手の姿をただ見る。
この後、何をされようと。全て受け入れる為に。少年をまっすぐ見る。
「……そう、ですね。そうあるべきなのでしょう。
私は既に、多くを得ている。ならばこそ、他人の幸せをジャマしてはいけない。
……それがあるべき道。人としての。でも、それを私は享受できなかった。
親に捨てられ、一人で生きてきた。そんな私が貪欲に愛を求めるのは、私にとっては当然のこと。
間違っているのも、それが言い訳なのも承知の上です」
睨まれるまま、少女は表情一つ変えずに言う。覚悟は決まっている。
ならばこそ、みっともない言い訳はしない。罪があるのなら。裁かれるべきなのだ。
「……? なぜ、そんな事を? アナタが私を裁くのに、その説明は必要無い……。
……いえ、お答えしましょう。それをアナタが望むのなら。
帰ることに関しては。悩んでいたようです。私の存在が、重荷になっているようで。
……行為の最中。私は彼を強姦しかけました。ただ、彼はそれを受け入れてくれた。
……最後に。彼は。私に、堕としてくれ、と。これからはずっと一緒だと……。
以上です。嘘偽りはありません」
再度目を閉じ、少女は僅かに顎を上げる。首を刎ねるなら、刎ねやすいように、と思ってのことらしい。
■グラスシエル > 「やん、こんなの、ズルぃぃっ!
ほんとに女の子になる、お尻で、感じちゃうぅ♥」
相手にしがみついたまま、初めての快感を、アナルで感じる、声で、言葉で感じちゃう快感を味わう。流される。狂わされる。
密着する肌。胸の柔らかさが感じられる。密着したまま、ささやかれると
「あん、や、はぁんっ♥ らめ、狂う、狂っちゃうっ♥
ホントに、妊娠しちゃう、女の子みたいに、はらんじゃうっ♥」
夢のような時間、苦痛でしか無いと思ってたのが、ここまで心地よいのを、教え込まれた時間。その時間は短く、儚い
シーツを、強く握る
嗚呼、クソッタレの神様、本当に最高にクソッタレの神様
なんでテメエはこんな時に誰も救ってくれないんですか?
心から呪った。自らの神を。
もう一度、俯く。項垂れたように、力が、抜けた人形のように
「嗚呼、ああ、アァ…どうするべきなのかね、こういうのって」
大好きな天使は、ガキを望んで、ガキはこの女を望んで、この女は、きっと悪いやつじゃなくて、こいつを殺すのはきっと簡単で――でも
「お前を殺しても、誰も喜ばねぇんだよなぁ
なぁ、返してくれないか?黙ってここに連れてくるだけでいいんだ
後はこっちで適当に何とかする。
たのむよ…頼むから、返してくれよ」
堕とせとまで言わせたか
いや、そこまで言わせて、堕ちてないことが異常か、この場合
「お前を殺しても何も解決しないんだ
俺が怒っても、狂ってお前を殺しても
ガキの傷が増えるだけなんだ、わかるだろ?
それともあれか?
お前の愛する妻、魔王か?そいつのために、今生きなきゃいけないんじゃないのか?」
ずるい言い方である。選べと
最愛の魔王と、天使の子を天秤にかけろと
■セイン=ディバン > 「く、はっ♪ 結構いいでしょ、お尻で感じるって……♪」
耳元で囁くものの。少女としては、正直アナルを抉られるのは好みではなかったりするのであるが。そこは言わない。
というか、少女を犯した男たちの中の一部の面々のアナルへの攻めは。
少しばかり、過ぎる、というか。正直苦手なのである。
「う、んっ♪ 孕んで孕んで♪
私の子供、産んじゃって♪」
溶け合う体温。叶わない夢。いや、叶わないからこそ、いいのだろう。
夢が夢であったからこそ。少女は、溺れられた。
しばしの間の後。脱力した相手を見る。
心にあるは、罪悪感。そして、悲哀。あるいは。
行為によって、この少年の心意気、信条が崩れてくれれば、と思ったのだが。
そこまでチョロく、たやすい相手ではなかったようだ。だからこそ。
愛おしいと思ったのだが。
「どうする、べき? 知れたことです。私を殺すか。
あるいは……そう、私を人質にでもすればいい。
そうすれば、シャルをおびき出せるかもしれませんよ」
相手の言葉に、淡々と応える。それこそ、少年がその結末を望んでいないとわかったから。
だからこそ、そうしたほうがいいよ、と後押しをするのだが。
「……あぁ、グラスシエル。アナタは本当に優しい子。
でも。それはできません。いえ、意地悪などではなく。
以前も言った通り。私は、シャルに対して能動的に連絡を取れないのです。
だから、アナタとシャルをめぐり合わせてあげることが出来ない」
少女は、少年に対して残酷に告げる。事実なのだから、仕方ない。
コンタクトが取れるなら、是非とも取りたいのだが。
少女もまた、世界中を歩き回って修行しているし。たまに家に帰ってもあの天使の少年と会えるかなんて判らないのだ。
「……優しい子。優しすぎて。見ていて悲しくなる。
自身の想い人を想うからこそ。自分の気持ちを殺すなんて。
……当然。私は、死にたくない。死ぬわけにはいかない。
でも……私は、アナタに償わなくちゃいけない」
それまで、正座のまま動かなかった少女が、ゆるり、と動く。
少しずつ、少年に向かって近づいていく。
涙を流したまま。その涙の意味する所が何なのかは、相手には判るだろうか。
少女は、ゆっくりゆっくりと、少年に近づき。
「……グラスシエル。アナタの気持ちを。私にぶつけてはくれませんか?
アナタの好きな人の、『代わり』として、使ってくださってもかまわないのです。
私は、アナタが愛おしい。愛しています。だから。少しでも、アナタを癒してあげたいのです」
頬は上気し。瞳は、涙と別の理由で潤む。少年からは見えるだろうか。
慎ましい胸の先端は、硬く尖り。内腿を、愛蜜が垂れる。
表情は、被虐を求むメスの貌。犯して欲しいと願う、浅ましき色気を漂わせている。
■グラスシエル > あーあ、こうなっちゃうかぁ…なるよなぁ。
正直、殺したいぐらいにはらわたは煮えくり返ってるはずで
でも、感情的にここで殺すほど、幼稚でもなく
そして、簡単に諦めるような話でもないのだ
「人質、かぁ…悪くはないが、ガキを捕まえる前に、お前の嫁――魔王にバレてバトりそうなんだよねぇ。魔王級に勝てるかどうかもわからんしなぁ…はぁ」
僅かに、その案似乗りそうになったが、頭の何処か冷静な部分がしっかりそこらの損得を計算してる。冷酷というか、機械的というか、冷静というか、感情に流されるのを良しとはしないのだ。
と、いうより
「なぁ…お前はこの国で魔王の奥さんとかとハッピー
こっちは天使同士でハッピー
これでいいじゃん…いいじゃん」
そう――傷つく世界を望んでないのだ
傷つくなら、それこそ自分で良い訳で
天使も、ガキも、それこそ、目の前の少女も、幸せであれば良いと思う
だから、うまくいかないこの現実がひどく恨めしい
「嘘つけよ」
冷たく言った。それは嘘だ、愛し合う二人が出会わない訳がない
「ガキンチョが来た時に、きちんと落ち合う場所さえ連絡できりゃいいっすよね?アイツを指定の場所に「いつか」つれてこれるっすよね?」
あーもー…と少年は頭をかく
どうすりゃいいんだろうか
下を向いたまま…少年は手を振った
「いいよ、約束は半分果たしたし、アイツの意思で帰らないなら俺が見つけて強引に連れ帰るだけだし」
そう、結局はこうなるのだ。手打ちである
自分は自分のやり方で天界に連れ帰ることにする
こいつの手元に常時いないんであれば可能だろう
「要は、あのガキに関しては完全に敵対って事でいいよな?
――って、おい!?」
にじり寄る相手にようやく顔を上げて、慌てた表情を見せた
色気に騙されるタイプではない、無いはずなのに――心臓がドキドキいってる。先程までの行為のせいか、率直に愛してる、と言われたせいか
ずる、ずる、と後ずさる、が、ベッドの縁、壁に背中が、トン、と当たる
「いいいいい、良いから!そういうの良いから!これから敵同士ってことで!」
顔をこれ以上無いぐらいに赤くしながら、両手を振る
目の前の空いてが艶かしくてまともに見られない。
声がやけに頭に響く
あれ、これってやばくないですか?
■セイン=ディバン > こうして、契約を果たそうとしていた時から。
お互いがこうなる可能性は、考慮はしていたのだ。
だが、それでも。行為への渇望を、誤魔化すことができなかった。
「そう、ですね。それは考えていませんでした。
私の妻は、最近私には少し冷たかったりしますけれども。
それでも、愛してくれてはいるはずなので」
案外、人質にとっても妻は助けてくれないかもしれませんね、などと薄く笑う。
そうでないことを祈るけれども、断言できない。情けない夫の姿がそこにあった。
「……えぇ。先ほども言ったように。それがあるべき姿です。
でも、イヤです。というか、ムリです。
だって、愛してしまったんですもの。あの子を。
そして、アナタのことも。えぇ」
少年からの言葉を、ばっさりと一刀両断する。自身のそれまでの言葉も打ち捨てるように。
それはそうだけど。そうしたくない。と。
究極のわがまま。自己中心的。でも、非道に染まりきれない。
「……。…………。あぁ」
少年の冷たい声、そして次の提案に。少女は、沈黙。
首をかしげ……。なんと。ぽん、と手を打った。
「あぁ、そういう方法もありましたね。確かに。
それは、失念しておりましたわ」
などと、間の抜けた発言。どうやらこの少女。その方法を本当に考えていなかったらしい。
というか、愛する人は自分が求めたタイミングで来てくれるもの、と信じている節がある。
「そう、ですね。そこに関しては構いませんよ。
もしアナタの説得や力づくでシャルが帰るというのなら。
その時は、身を引きましょう。彼が不幸になるのを見たいわけではないのですから」
言いながら這い寄る少女。口内で何かを唱えたかと思えば。
その姿が変わる。服装が、異国の服である、『キモノ』と呼ばれる物に。
かと思えば、ボンテージ、バニー、鎧姿に吟遊詩人めいた格好まで。
少女の服装が、クルクルクルクル変わる。何のことは無い。
物体転送呪文の応用で、さまざまな衣装に着替えているだけだ。
「えぇ、そうですね。シャル絡みの事では、敵です。
アナタ言いましたもの。『あのガキに関しては』って。
だったら、それ以外なら、敵ではないのでしょう?」
すとん。再度、キモノという服になった少女。服は肩からずり落ち。
しかして、腕や胸を僅かに隠す煽情的な姿のまま。
少女は、追い詰めた少年の胸へと、とんっ、飛び込み。
潤んだ瞳のまま、見上げ、首筋へと息をかける。
「ですから、グラスシエル様。どうか、どうか私を犯してくださいまし……。
それが叶わぬのなら。どうか、拒まないで。私に、慈悲を……」
するり、と。少女が少年の股間に手を伸ばす。
■グラスシエル > 契約等、すべきじゃなかった
まあ、あの時感情に任せていたぶらなかったのは正解だった
魔王を敵に回す気はないのだ、そんなリスクは要らない
自分は自分の仕事をこなすだけ、それで良いのだ
「お前も抜けてるなぁ…
嫁さんいるんだから、テメエ一人の命じゃないんだろ
それに、言ったろ、あのガキに傷をつけたくない、って」
乾いたように笑う。愛してる、かぁ
まあ、分からないでもない。愛は理屈じゃないのもわかってるのだ
愛情から一歩引けば、自分のようになる
エゴを押し通す根性がなきゃ、愛なんて無理である
「説得しても無駄だろうなぁ。あいつに理屈通じないだろうし
まあ、力づくと言うか、手八丁口八丁ってやつでね
邪魔はするな、とはいわねえけど、邪魔したらその時は容赦しないからな?」
と、釘を刺す。天界に一度連れ帰れば勝ちだ、二度とこの国にコレないようにするだけである。
相手も、納得した。
後はガキが堕天使になるか、こっちが捕まえるか、早い者勝ちだ
と、目をぱちぱちさせた
様々な容姿――服装か、それが変わる。
扇情的な、生めかしい格好での早着替え、その格好の変化にドキドキする。感情が高ぶる。ゴクン、と生唾を飲み込む。
どうやら――そういう意味では、「着衣」は好みのようで
「いや敵だろ!これからあのガキを奪う相手だぞ、俺は
てめえの愛するやつを奪う敵、分かる?わかってるよな?おいてめえ答えろ!」
でも、首筋に息がかかるだけで、声が漏れそうになる。喘ぎ声を殺しながら…股間に触れる手首をつかもうと
■セイン=ディバン > これを運命というのならば。なるほど、俗に言う運命の女神やら神様やらは。
なかなか趣味が悪いようである。……少女自身は、そういった存在を軽視しているが。
「む。心外ですね。こう見えても、仕事においては知略謀略。
詐称術に人心把握を得意としていますのに。
……ふふ、ふふふ。えぇ。やっぱりアナタは優しい人」
抜けている、と言われれば、むっ、とした表情を見せるが。
すぐに相手の言葉に笑う。どこまでも、ぶっきらぼうで。でも、優しいのだ。この少年は。
「ふふ。いつの時代も、子供の理屈は大人の理屈を蹴飛ばしますものね?
……ジャマ、しそうに見えます?」
説得しようとしても、駄々をこねる天使の姿が容易に想像できた。
ころころと笑うものの。少女は、続いての言葉に、ちょっと不服そうに頬を膨らませる。
ジャマをするな、とこの少年に言われれば。当然、邪魔をするつもりなどないのだから。
そうして、まるで愛を求める惨めな娼婦が縋るように。
相手にしなだれかかり、息を吐く。
自身の中で昂ぶる熱を示して見せるように。少年の股間に伸ばす右腕とは別に。
左手を自身のクレパスへと伸ばし、少年に見えぬ様に、自慰を始めて。
その、くちゅくちゅという音だけが相手に聞こえるようにしていく。
「……いいえ、違います。違いますグラスシエル様。
今この場では、私とアナタは一人の男と女。他の人物のことなど、持ち出さないでくださいませ。
もしも。もしもお嫌なら。私を突き飛ばし、こう仰ってくださいませ。
『貴様など愛しているものか、この淫売め。寄るな汚らわしい。
貴様に触れられるだけで虫唾が走る』と……」
手首を掴まれ、少女は悲しそうな表情になる。だが、腕を伸ばすことをやめようとしない。
それどころか。首を伸ばし、少年の美しい肌。胸元から首にかけてろ、長い舌で、ねろぉぉ……、と舐めあげていく。
ここで拒まれるのなら、身を引くつもりだが。抵抗が無いのなら、ムリヤリにでも。
女として、少年を犯すつもりであった。
■グラスシエル > 「詐称術は向いてないなお前、だって甘いもん」
と、突き放すようにいう。詐称術というはもっとこう、ド外道がやることである。人の心を知りながら、人の心を笑顔でへし折るのがそういう連中だ、そこまで、この少女は落ちぶれてない。まあ、正直に全部白状するあたりは、嫌いではない。
「まあ、アイツがびーびー泣こうと喚こうと連れて帰らなきゃ不味いってことはわかっただけ良いや。アイツの「鎖」ってなんだろかね、やっぱ神様か。」
と、独り言。普通、堕として、なんて頼む前に、堕ちてると思うのだが。まあ、それはこっちに都合がいいので黙っておく。
「だから、良いから離れろって…離れろ――ひ、ぅ」
声が漏れそうになる。思わず、唇を噛んだ。
さっきの情事を思い出す。やば――こいつのペースじゃん、なんて思いながら。キツく睨む。やけに響く淫猥な音を無視しながら
「まてっ!?そもそも俺ら愛し合ってねえし!
俺が愛してるのは――きゃんっ!?」
女の子みたいな声が溢れた。首にかけて、ぬらりとなぞる舌に声が上がったのだ。声が震える。やばいこれ――突き飛ばさないと
そう思ってるのに、思い出すのは先程の情事
愛された、あの情事を思い出してしまう。手首を掴む。でも、突き飛ばせない。視線を泳がせながら、コクリ、と息を飲んで
■セイン=ディバン > 「あらそれも心外。私、悪辣で辛辣でゲスなのには自信ありましたのに」
胸元と口元を押さえ、ケラケラと笑う少女。事実。少女がその気になれば、どこまでも外道になりきれる。
だが、少なくとも親交ある人間の前では、それをしない、ということ。
「? なにか仰いまして?」
相手の小声は聞こえなかったか。首をかしげ尋ねる少女。
しかして、その実相手を犯そうとしているのだからタチが悪い。
「イヤです。イヤですね」
離れろという声を無視し、ぴとり、と肌を寄せる。
睨まれるのも、無視だ。少女自身、火が付いてしまったのだから、と。
入り口をかき回すだけだった自慰は、指を出し入れするものに。
二本、三本、と。指の本数を増やし。水音に空気の混じる音まで足して、聞こえるようにしていく。
「私は、愛しておりますわよ?
……えぇ、えぇ。ですから。代わりでいいと言ったじゃあありませんか。
グラスシエル様だって男性。想い人への熱い欲望の一つや二つ、おありでしょう?
ですから。私の肉穴を、どうぞご使用なさってくださいませ、と言っているのですよ。
普段隠している情欲の猛り。私の陰に捻じ込んで下さいませ。
……あぁ、それとも。
こういった格好が、お好みで?」
強く拒まれぬをいいことに、少女が言葉で誘う。聞き様によっては、相手の恋心を愚弄しているのだが。
それでも少女は、誘惑をやめない。そのまま、遂に少女は、服装をまた変え。
身を布一枚で包み、背中に、天使の羽根を生やすに至った。
口内で呪文を連続で唱え、発動せずに、魔力を羽根の形にしているだけの、フェイクの翼だが。
決してバカにしているわけではないのに。どこか棘のある行為だった。
■グラスシエル > 「あー、お前はゲスじゃないわ
天界きてみ?ゲスがいっぱいいるぞー、つか、そのゲスがいないと俺ら生まれてないんですが。まあ、それはともかく、外道ってのはなんつーか、人を愛することすらできないからあいつら」
愛情を知ってるだけましだというものだ。
世の中には自己愛しかないやつだっていくらでもいるのである
「ん、いや…ん、なんでもない」
と、背中をべったりと壁に押し付ける。
生唾をごくんと飲み干す。
「あーもーそういうの良いから!俺そういうの趣味じゃないの!
犯したりとか欲情のはけ口とか嫌いなの!」
と、悲鳴のように喚く。少年は甘い、故に、欲情のまま犯したりとかそういう趣味がないのだ。だから、劣情に押し流されそうになりつつもなんとか自我を保ってる。というか、押し倒したとこでどうしたらいいのかもわからないし!
「俺だって好きな奴ぁいるよ、愛してる、愛してるけど――ガキの方を選んじまってるからしょうがないじゃん…」
膨れたように言う。すると、相手は天使のような姿に
フェイクの翼、衣、思わず、手を伸ばそうとして、それをひっこめようとする
■セイン=ディバン > 「嬉しいお言葉ですこと。ふふ。
まぁ、では。そういうことにしておきましょう?」
せっかくの相手からの言葉、わざわざ否定することも無い、と。
少女は笑いながら言う。とはいえ、その笑顔はニヤニヤとした、不快なものではあるが。
「そう。ならいいんですけれども」
囁きへの追求はしなかった。なんというか、してはいけない気もしたし。
今は、目の前の少年との行為に溺れたかった。
「……趣味ではない、と。それは。
なんと言いますか、奇特ですねぇ。男たるもの、女の肉を喰らい、貪り。
そうして、強くなっていくものですのに」
少年の告白に、少女は目を丸くする。世の男が皆そうだとは言わないが。
この国にいる多くの男性は、女性へと欲望をぶつけるのを望んでいる。
少女だってその一人なわけだし。そんな中で、この少年は。
なんとまぁ、ウブで穢れていないことか、と。少女は驚く。
「……だ~か~ら~。一時でも、私をその相手だと思えばいいじゃん?
私の事は、ただの肉便器だと思ってさ。なんなら相手さんの名前呼んでもいいよ? 私、そういうの今は気にしないから。
ちょっと悲しいかも、だけどね~」
それまでの言葉遣いはどこへやら。突き飛ばすでも、犯すでもない。
煮え切らない相手の様子に我慢ができなくなったか。少女は、自慰を止め。
少年の上へと跨るようにして、ひくつくクレパスを見せ付ける。
「ってか、拒まないなら、このまま逆に犯してあげる♪
グラスシエルのチンポから、ザーメンびゅるびゅる搾り取っちゃうんだから♪」
気安い言葉のまま、わざわざ小陰唇を広げ、膣口までも開いて相手に見せる少女。
だらだらと蜜垂れるそこは、少年のモノを欲しがるかのように、ぱくぱくと収縮している。
■グラスシエル > 天界とは言えど利権が存在するところにはいるのだ、本物のゲスが
自分と利権以外信じられない存在が
そういう連中が幅を利かせてる世界を知ってる分、まだ目の前の少女の方がマシに見える。まあ、敵同士になってしまったのは残念なぐらいには
「俺は肉食系じゃないの、そういう方には草食系というか…その…だ」
言いかけて、言いよどむ。自分の欲求、要は、趣味嗜好はそういう方向ではないのである。だから、相手を欲求のはけ口にしたりはしないというか、できないのだ
「バッ、馬鹿か、てめーはてめーで、あいつはあいつだろ
てめーはダッチワイフじゃねーし、つか、いいの、性欲処理は自分ですますんだよ」
と、さっきまでの口調に戻った少女を睨む。
胸はドキドキしてるけど、さっきよりはマシだ
「もうビジネスは終わり!つかさっきのほうがムードあるってなんだよ!敵同士のてめーとセックスとかするわけねえだろ」
股間は固く勃起してる。興奮はしてる
でも、なんというか、さっきみたいな溺れ方ではない
少年らしい噛みつき方である
「犯されたいなら愛しのシャルにでも抱かれてろって
あーもう、さっきのビジネスのときのお前にときめいた俺を返してくれ。なんでこんなのにときめいたんだ俺…」
愛してると言われて嬉しかった
好きと言われて、ドキドキした
故に、嫌悪する尻でもある程度は感じた
満たされた、と言ってもいい
なのにこれでは
「あーもうめんどくせえ、俺は犯すより犯される方がいいの
セックスそのものよりねっとりした前戯とかそういうのがいいの
女性にそういう妄想抱いてるから、そういうの崩したくないの
ね、だから離れて?」
なんか泣きそうである。
■セイン=ディバン > 少女を、この場にいない第三者が評するのならば。
小物。愚者。そして、無意味、という言葉こそが正しい。
凡庸を嫌い、冒険者になり、そして、冒険者らしくあろうとする凡庸。
ゲスを演じもしよう。外道も演じもしよう。だが、その本質は。
酷く人間的な人間である。そう、いっそ面白くないほどに。
「偏食はいけませんよ? 両方食べないと」
自身はがっつり肉食系のくせに、忠言をもたらす少女。
くすくすと笑うさまは、意地の悪い魔女の様でもある。
「……っ。
グラちゃん、それ反則……」
相手の言葉に、ぼしゅっ、と少女が赤面する。
ダッチワイフ扱いでいい、と言ったのに。そうしなかった少年。
その優しさと言葉が、酷くうれしかったのだ。
「うん。ビジネスは終わり。ムード? ムードが欲しいの?
私は、それは一番不要だと思ってる。だって。
一皮向ければ、セックスは愛があるだけの、行為だもの」
この契約の代価の最初。語り合った愛とセックスについての論議。
そこに立ち返るような会話をしつつ。少女は、少年にさらに近寄る。
ぴとり、と。腹部の肌同士をくっつけるように。
「何度も言わせないで。シャルなんて、今はどうでもいいの。
そりゃ、シャルは大事。愛してる。でも、今、今この場では。
私とアナタの問題でしょ。話をそらさないで」
自身の行為が招いた言葉だというのに。ずいぶんな言いようである。
だが、少女の目は本気だ。するり、と。相手の首に腕を回したかと思えば。ゆっくりと腰を沈め。少女のヴァギナと、少年のペニスの距離が少しずつ縮まっていく。
「ときめいてくれたんでしょ? 犯すとか、犯されるとか。
もうそんなの、どうでもいい。私を愛して、シェル。私も、愛するから。
妄想なんて、捨てちゃって? 女は、浅ましくて、エロい生き物なの。
あなたがほしい。今ここで。私を味わってほしい。今ここで。
だから……ごめんね?」
その瞳は、少女が男だったとき。女を犯すときには見せなかった色。
潤み、揺れ。求めつつも、ここから先の行いを、間違いだとは微塵も思っていない。
短く謝罪したと同時に、少女は腰を強く沈め。
じゅぶりっ、と。少年を自身の中に導き入れた。
対面座位の姿勢になり。その挿入と同時に、少女は少年に、何度目かのキスを。
「愛して、シェル。愛してよ……。
好きなの。自分でもどうしようもないくらいに。
こんな身体になってから芽生えた、私の中の『女性』が。
アナタを大好きだって言ってるの……。
愛して……お願い……」
キス。願いごと。キス。傍から見たら、滑稽なほど、哀れなほど。
少女は少年の存在に縋りつつ、腰を振り始める。既に溢れるほど蜜を分泌していた膣は、少年のペニスを実にスムーズに受け入れ、滑り。行為を進めていく。
それは、先ほどまでの少年へのアナルセックスとも違う。
ビジネス抜きの、本当の意味での、求め合う性行為で。
■グラスシエル > 悪手を取って、悪手を晒し、謝り、首を差し出す
悪者ぶってはいる。がそこまでだ
そもそも、本当の悪人ならシャルティアは見抜いてなつかないだろう
アレの直感は動物のそれに匹敵する
あれが愛してるといったのだから、信じるに値する相手ではある
なんでこんな回りくどい態度をしてるのかはちょっとわからないが
「…金も情報もビジネスもないセックスには興味ないの
それって、俺が自分でスんのとなんのちがいがあんの?
反則も何も…ってなんでお前が顔赤くしてんだよ
愛する相手だからこそムードがいるんだろうが…わかってないなーやっぱオッサンだわお前。愛があるからムードがあるし、ムードや気分があるからそういう風俗だってあるだろうが」
呆れたように、そう言う。ずい、と寄られれば左右どっちに逃げようかと。でも、その前に肌が触れ合う。腹部が、屹立したペニスがふれあい、跳ねた。
「そうじゃねーって、俺はセックス行為そのものよりも、なんつーか、その、あるじゃないっすかね、なんかそういうの
だからシャルティアのほうがそういうのは向いてる…のか?」
いや、あのガキが女を犯すとか想像もできないが
具体的な話がうまくできずにもやもやする、面倒くさい、突っぱねたほうが良かった、なんて思いながら
でも、相手の動きの方が早い。首に手を回されると、ドキッと鼓動がひどく跳ねた。心の鼓動をさとられぬように、目をそらす。
瞬間
「ああっ!!?っく、おま、ちょ…」
身体が大きく跳ねた。思わず体をこわばらせる。
自分の手とは全く違う感触。秘裂に差し込まれるペニスに、快感に、震える
「ぅ、ぁ…っ おい、だからビジネスは終わりだって――っ」
でも、キスに、甘い言葉に、頭がしびれる
膣内のペニスは、もうはちきれそうに膨らんだまま、膣内をえぐる
「あ、ぅ、だからそういうのは魔王やシャル、とだな…っぁ、っ」
声がどうしても漏れそうになる。それを必死にこらえようと、もがく、あがく
■セイン=ディバン > 自身の手札を晒し、自身そのものを隠すタイプ。故に。
慧眼鋭いタイプや、この少年のように、知人の感覚による二重判定を行えるタイプには、本質を見抜かれやすい。
「いいじゃん。意味のないセックスもたまには。
……え? えっと、右手が疲れない?
……あれよ。その。それは……。
む、ムードがありすぎると。は、恥ずかしい……」
どうしても乗ってこない相手を、なんとかその気にさせようとするものの。
いまいち色よい反応は返ってこない。そうしている中にムードの必要論に至れば。
少女は、顔を背けながら、ぽそぽそと呟いた。
「……わかるけど、わかんない」
なんとなく。感覚的な部分で、相手の言いたいことはわかる気がした。
それは、何が、とか。どこが、と言われると説明しづらいのだけれども。
ただ、少女は、それを判った上でわからないという。だって。今自分がしたいのは事実なのだから。
「んっ♪ んぅぅぅ~……♪」
ぞぶり、と。侵入される感触。招き入れたのは自分だが。
その肉の杭が入ってくる感覚。こればかりは、女性でなければ味わえない。
膣を擦る感触。熱さ。硬さ。それらにゾクゾクと震えつつ、少女は快楽を貪っていく。
「イヤ、なら……言ったでしょ。突っぱねて、私を嫌ってよ……♪
私は、今アナタが好きなの、シェル。アナタとしたいの……っ♪
ほら……もうチンポ、ガチガチだもの……♪
ね、シェル。気持ちいい? 私は、気持ちいいし、嬉しいよ……?」
少年の上で踊る少女。水音と肉打つ音を奏でながら、笑う少女。
だが、少女は手の甲を自分の口元に当て、顔を微妙に隠しながら行為に及ぶ。
良く良く見れば判ってしまうことだが。もはや少女は茹でられたかの様に真っ赤で。小さな乳首も、これ以上なく尖っている。
腰の動きだって激しい。そう。改めて繋がれて。本当に嬉しいと思っているのだ。
■グラスシエル > 「…お前、自分で悪女のふりしてるけど、本物の悪魔とか魔王にはコロッと籠絡されるわ、多分だけど」
顔を背ける相手に、ため息をつく。こいつ絶対口説かれたりしたら弱いわ、なんて思う。多分だけど性欲と口説きが混じったらコロっといくわーチョロインだわーだなんて思う。
少し、余裕ができたか、はあ、とため息をつく。
別に萎えたわけではない。
逆に、よっと、押し返す。突っぱねるのではなく、繋がったまま自分が上に。
ぐい、っと腰を深く挿入する。別に童貞ではない。性経験ぐらいはある
慣れてるほどではないが、子宮にキスさせようと、腰をくねらせながら押し込んで、身体は完全に覆いかぶさるように
「かわいい♪ もうクチュクチュしてる♪
ね、きもちいい?もっと声聞かせて、可愛い・こ・え♪」
天使のようなソプラノボイスで囁く。言葉を紡ぎながら、ゆっくりとピストンして
「感じて?もっとおちんぽ、グチュグチュに貪って?ほら、きもちいいの、どんどん強くなってる。気持ちいいよ?」
きもちいい、きもちいい、と難度も囁く。少女をあやすように、しつこいぐらいに
■セイン=ディバン > 「かもね。てか、されてるからこんな目に遭ってるのよ……」
鋭い指摘に溜息一つ。実際、この少女が男に戻った際、容易に頼みごとを聞かせる手段があるのならば……。
女の涙。これ一つで事足りるのである。
「ん、ぁ……?
あ、あああっっっ!!」
自身が主導権握っていた中。ぐい、と押され。奥までを犯される。
急なことだったからか、少女の声が一段高くなり、少女は両手で顔を隠してしまう。
「かわ、かわいいとか、言わないで……っ。
き、きもち、いいっ……。シェルとのセックス、気持ちいいです……♪」
いよいよ両手どころか、両腕で顔を隠してしまう少女。先ほどまでとは、正に逆転した立場。
ゆるやかな、しかししっかりとしたピストンに、少女の腰が、ぴくぴくと小さく跳ねあがる。
「んあ、あっ、はぁっ……♪
んくっ……♪ 気持ち、いい。きもちいい……♪
すき、シェル、好き……。大好き……っ。
側にいて、私を愛して……あなたも、ここにいて……♪
アナタも、元の居場所に、帰っちゃ、やだ……♪」
顔どころか。体中を火照らせ、朱に染めながら。少女は犯され。
心の声を隠すことすら出来ず、気持ちを吐き出してしまう。
蜜の溢れる勢いは増し、ベッドに水溜りまで作ってしまっている。
子宮は下り、少年の精を求めてしまっている。
「あ、はっ。うれしい……♪ シェルと、やっと普通につながれた……♪
うれ、しっ……♪ うれし、い……♪」
少女の声色に、快楽以外のものが混じり始める。愛する人と結ばれた悦び。
それこそ、恋に恋する少女が、夜中星でも見上げながら出しそうな声。
■グラスシエル > ちゅ、ちゅうっと、キスマークがつきそうなぐらいに首筋を吸う
「いっぱいキスマークつけたげる。オレの証ってやつ
気持ちよくなっていいよ?狂っちゃお?いっぱいキスしてあげる
いっぱい愛してあげる。いっぱい気持ちよくしてあげる
好き
好き、大好き♪」
耳元で、首筋にキスを貶しながら囁く
ゆっくりと、子宮口に先端が触れれば、ぐりぐりと子宮口をキスするように押し込んで、離して、コツコツ、とキスを繰り返す
「もっと、声聞かせて?可愛い声、聞かせて?
もっと、大きな声で、大好きって言って?オレのこと、好き?
ちゃんといえたら、もっと気持ちよくしてあげる♪ さん、はい?」
子宮口がくっつくと、ごりごりと先端でえぐる。
激しくえぐりながらも、表情は優しい、狂ってしまえ、と言うよりは
「いいよ?おかしくなっちゃお?狂って、メス犬になっちゃお?」
と赦すように。腰は激しく、言葉は、甘く優しく。
腰を、パンパンとうちつけながら、耳を甘噛して
「あは、きもちいいね、きもちいい、きもちいい、狂っちゃう。
おちんぽも、いっぱいきもちいい、大好きな気持ちいいことでいっぱい幸せになっちゃうね?」
手のひらで、ぬるぬると亀頭を扱く。腰はとどめを刺すように、パンパンパンパンっと激しくピストンして
「いいよ、堕ちちゃえ、堕ちちゃえ♪」
甘く、優しく、蕩かすようにイカせようと
■セイン=ディバン > 首に唇が触れれば、少女は怯えたようにびくり、と身体を震わせた。
腕で顔を隠しているから、見えなかった、というのも大きいが。
「あ、ゃ……。首、だめ……♪
みんなに、バレちゃう……♪
シェルのペットになったって、バレちゃうからぁ……♪
んううぅ、ああぁぁぁぁっ♪」
流石に首筋のキスマークは、妻に見られたりしたらマズい、と思い。
なんとか拒もうとするものの。実際にキスされ、更に囁かれてしまえば、すぐに抵抗は弱まってしまう。
更に子宮を攻められれば、全身を硬直させ。
「んはぁ、あっ♪ ひっ、いぃぃぃ……♪
らめっ♪ らめぇっ♪ しきゅーごりごり、らめぇ♪
……すきっ♪ シェル、大好きっ♪ あいしてるっ♪
うにゃあああああああああっっっ♪」
声を殺そうとするのに。恥ずかしいから、気持ちを隠そうとするのに。
愛されてしまえば、蓋ができなくなる。気持ちと声を漏らしたまま、子宮口を抉られれば、甘い声が出てしまい。
「あっ、あっ♪ らめっ、はげし、ぃっ♪
らめええぇぇ……♪ ほんとに、くるっちゃう♪
メス犬になっちゃううぅ……♪」
いよいよ腰を激しく動かされ、中をかき回されれば、少女の声から余裕が消える。
耳を噛まれれば、ふるふると頭を振るものの。痙攣し始めた膣壁から、少女の絶頂が近いことはばれてしまうだろう。
「あっ♪ らめっ♪ きもちいいっ♪ あぁぁ♪
しあわせっ、れすっ♪ シェルが、愛してくれて♪
うれしい♪ うれしいっ♪
あ、ああああっっっ!! らめぇ! チンポ、しこしこしちゃ……!!」
このまま、気持ちいいまま女性側の絶頂を迎えられる。そう思った瞬間。
猛ったままのペニスの先端を扱かれ、少女は、顔を隠していた両腕を、相手の胸元へと這わせる。やめてもらおうとしてのことだったのだろう。
だが、そのせいで少年と目が合ってしまい。恥ずかしさと快楽。幸福感が一気に少女の中で混ざり合ってしまう。
「っ!!??
あっ、あああああああああああああああっっっっっ♪」
瞬間。少女は大きく仰け反り、絶頂へと。少年のペニスを咥えたままの膣は、ぎゅうぎゅうと収縮し。
ペニスは、少女自身に向かい、白濁を吐き出していく。
自分の精液で肌を汚しながら、貫かれたままの少女は、びくり、びくり、と。大きな痙攣を繰り返していく。
同時に。子宮は、少年の肉茎の先端にちゅうっ、と激しく吸い付き。
その精液を求めるように。
■グラスシエル > 「ダーメ♪
いっぱいいっぱいつけたげる。
いいんだよ、いっぱいキウで気持ちよくなろ?
あは、自分からペット、って言っちゃうんだ?ペットにしたげるね。
オ・レ・の・セイン?」
わざと、オレの、を強調する。
腰は激しくゆすり、ラストスパート。耳朶を甘噛したり、耳元で「もっと喘いで?」と囁いたり。
しゅこ、しゅこっっと手のひらでくるむようにして、水道の蛇口をひねるように、扱く。前後のピストンではなく、横への回転。
「いいよ、イっちゃお?
ほら、イっちゃう、イッちゃう、イッちゃう、イクイクイク♪
狂って、イキ狂っちゃえ」
声で、支配する。気持ちよくする。
愛するフリ
でも、その言葉は、甘く、どこまでも優しい。
目が合う、顔が向き合うと、ニッコリ、と微笑む。まさに天使の微笑みで
「ホラー―イッちゃえ♥」
ズン!と子宮にペニスを叩きつけた
同時に、イっちゃった少女に、精液を吹き出す。
ん、、んっと喘ぎはしないが、顔を伏せてる
繋がったまま――意地悪そうに笑って
「はい、これがムードというか、雰囲気ってやつです
お前ほんっとチョロインだな」
自分が会いするのが嬉しい、と言うのには照れる。が、まあそこは隠しつつも、ペニスをゆっくり引き抜く
「お前も突っ込む突っ込まれるじゃなくてこういうのでしっかり愛する相手を縛っとくと良いぞ…って縛られちゃ駄目だろ、シャルのガキはなしな」
■セイン=ディバン > 「あ♪ やっ♪ きもち、いいけど♪
ああぁぁ♪ その言い方、ズル、いっ♪」
言葉だけでなんとか抵抗はしているものの。
少女の身体と心は、間違いなく喜んでしまっている。
中を、そして、耳元を。さらに、ペニスまで攻められては、気持ちが昂ぶってしまっている少女には、抵抗など無理な話であった。
「あ、っ、い、くっ♪
らめ、らめっ♪ ほんとに、ほんとにイっちゃうから♪
らめなのぉ♪」
もっと。もっと繋がっていたいのに。イかされてしまう。
それは、イヤだ。そんなことを考えていれば。少年の笑顔が目に飛び込んできてしまい。
「~~~~~~~~っっっ♪」
絶頂の中、射精され。さらに連続絶頂を呼び起こされてしまう。
どくどくと注がれる熱に、少女はうっとりとした表情を見せていたが。
「……ぁ」
途端に。それまでと違う言葉をかけられ。少女は、困惑したような表情になる。
ペニスを引き抜かれるのを見ながら、呆然としたような表情のまま。
「……っ。……っく~。
うぅ、うっ。う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛っっ!!」
そのドライな言葉が。今までの優しい声を、演技だと知らせる。
少女は、近くにあった枕を掴み、思いっきり振り上げると。
天使の少年に向かって、めちゃくちゃな勢いでもってぶつけていく。
オマケに反対の手にはクッションを持ち。クッション・枕の二刀流で攻撃である。
呻きながら。怒りながら。少女の表情は。これまで見せたことも無いような。
本当に、ぼろぼろと涙を流していて。綺麗な泣き顔、ではなかった。
■グラスシエル > ケラケラと笑う、愉快である。
悪女ぶってた少女がこんな面白チョロインだったとは
まあ、蕩ける顔も、素直に感じる様も、可愛いと思う
でもまぁ、少年にとってはそこまでだ
愛しい相手は別人なのだから
いきずりのごっこ遊びとしては上出来だろう
「まあ、これにこりたら――っていたっ!?いたいいたいいたい!」
枕とクッションでボコスカに殴られる。まあ、怒る気持ちもわかる、分かるので――しばらく素直に殴られてた
その表情は、ドライで、どこか冷たい
しばらく、結構長い時間、素直に殴られてその後、冷たく言い放った
「お前――これでもムードが要らないとか、肉欲と愛情があればいいとかいってんの?あのガキに愛想つかされるか、俺いなくても誰かに奪われんぞ?」
少年は、たしかに愛情はなかった、だって、少年の愛情は一方通行の大天使向きなのだから
代わりに、性欲を満たし、ムード、言葉やら優しさで埋めた。
それに溺れたと言うなら…チョロイン以前だ
「お前さ――もしかしてだけど」
両手が伸びた
ゆっくりと、背に回し
ぎゅ
と、優しく抱きしめる
愛情でも、性欲でもない、ただただ、柔らかい抱擁
「ガキの時にこうやって、愛してる、って言われたことないんんじゃね?」
と、聞いてみる。愛情と、性欲と、恋心の区別がついていないんじゃないかと。なんとなくそう思った。だから、もしそうなら――
「お前は、愛されてるんだぞ?もっと、自信持てよ」
■セイン=ディバン > 目の前で少年が笑う。こういう、人を食ったような笑いは少女の得意分野だが。
逆にやられると。なるほど、腹が立つものである。
「んう゛う゛う゛っ!!
う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛っっ!!」
なんか。野良猫みたいに鳴きながら殴る殴る。
でも、相手が抵抗しないし、起こったりもしないから。
すぐに、少女のクッション枕ツインアタックは、ぽしゅん、と。止むことになる。
「……う゛う゛う゛。えぐっ、ひぐうっ……
う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
ぽつーん。と。ベッドに突っ伏し泣いていれば。そこに少年からのトドメの一言。
ぴくりっ、と。身体を震わせた後。少女はけたたましく泣き始めた。
そりゃあもう。ブッサイクな顔である。というか、子供の泣き方である。
「乙女の恋心弄ぶなんて、最低だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
乙女でもないんだけれども。恋心は、あとから発生したものなんだけど。
盛大に泣き散らかす少女。音波兵器の如き叫びが部屋に響くが。
抱きしめられれば、またびくり、と震え。一度泣くのをやめる。
「……んぅ゛」
肯定の意味の頷き。そう。少女は、愛を知らぬまま成長してしまっている。
家族に売られそうになり、逃亡生活。そこからはただただ生きるためのみに生きた。
故に歪んだ恋愛感情を見抜かれれば。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっ!!」
再度、盛大に涙声シャウトオンステージ。相手に振り向き、抱きつき、泣く泣く泣き喚く。
なお。相手が抵抗しない限り、鼻水が付着するオマケつきだろう。
「……あの。大変、お見苦しいところをお見せいたしました……」
盛大に泣き散らかした後、ベッドに正座し、ワイングラスを持つ少女。
赤面を通り越して、もはや皮膚全体真っ赤。気まずそうにワインをすするのが精一杯、である。
■グラスシエル > なるほど、これはあれだ。と抱きながら思った
多分、愛情を知らずに育ったのかもなー、なんて勝手に思う
気持ちはわかるのだ。自分だって、シャルティアだって
望まれずに生まれた、造られた天使だから――
だから、子供のような、独占欲と恋心と愛情がごっちゃになってる
愛しの魔王とやらも大変そうだ。これでは旦那といえるのか
いや、少女の呪いのせいか、まあそこまでは分からないが
「…よしよし、大丈夫だから。
お前は愛されてる。
魔王にも、恋人にも、シャルティアって天使にも、愛されてる」
ゆっくりと、心の鎖を解いてやる
自分がやれるのは、ほんの少しだけ、鎖を軽くしてやるだけ
それしかできないし、それ以上は自分の管轄外である
だけど…それぐらいの、天使らしいことぐらい、許しちゃくれませんかね神様?
「ほら、泣いていいぞ?
辛かったな、寂しかったな?悲しかったな?
それを全部、肉欲とかに代えて
そんなこと望んでないだろ?ホントは…
愛されたくて、愛して、ホントに満たされたいのは、心だよな?
大丈夫だから、お前は愛されてるから――
不安にならなくて良いんだぞ」
鼻水を垂らし、赤子のようになく少女を、ずっと抱く。ぽんぽんと背中をさする。慈愛に満ちた天使のごとく
ゆっくりと、ゆっくりと、心を解してやる
「ワイングラスをもたなきゃまだマシにみえるんですがね」
どこまでも、ドライに言い放つ
まあ、あれである。心の傷というのは、こんなもんで癒える程生易しくないのも知ってる。応急手当に過ぎない
「まあ、ビジネスのアフターサービス程度にうけとっときゃいいよ」
■セイン=ディバン > 実際の所、この天使の少年の年齢、という点においては。疑問が残る部分もある。
なにせ天使だから。人間とは違って、凄い長生きでも驚かないわけで。
となると、年長者だとすれば少女の心を解きほぐすのもまあ、合点はいくわけで。
「ぶえ゛え゛え゛え゛え゛……」
盛大に泣くことはしなくなったものの。今度はぶっさいくな犬みたいになった。
心の中が暖かくなる感覚。あぁそうだ。やっぱりそうなんだ。
この少年は。凄く、優しいんだと。再確認する。
「ひぅ、あ、あぅ……。
~~~~~~~~っっ」
撫でられる背中の感触。掛けられる言葉の優しさ。
それらが、じわり、と心にしみこんでくる。
そのまま少女は相手に抱きつき。ただただ、声が枯れるまで泣き続けた。
「いや、はい。面目ないんですけど。
飲まないと、もう恥ずかしくて死ねそうっていうか」
再度の鋭い指摘に、少女は小さくなりながら、ワインに口をつける。
「……うん。決めた。シャルについて、グラちゃんの邪魔はしない。
あと、何か困ったことがあったら言って? 冒険者として手助けするからさ。
それと……」
ワインを飲み干し、少女は立ち上がり、服装をいつものものに変えた。
そのまま少年へと指を差し、にかり、と笑う。
「決めたよ。グラちゃん。いつか。
……いつかアナタを。私の虜にしてあげる。
アナタの想い人から、アナタを奪っちゃうんだから。
……覚悟しててね♪」
唐突にそう言い。少女は少年の頬にキスをする。そのまま少女は部屋を後にしようとして。最後に、少年に投げキッスを投げた。
その表情は自身に満ち溢れた冒険者のそれで。
どうやら、少女は本気でこの少年に恋してしまったようだった……。
■グラスシエル > ぶさいくだろうがなんだろうが、みっともなく泣けば良いのだ
ここはどうせ自分たちしかいないのである
心の隙間を、傷痕をちょっと塞ぐぐらいは神様も許してくれるだろう
泣け、泣いてしまえ。すべて涙で洗い流してしまえ
ぽむぽむと、背中を撫でながら泣きつかれるのを待つ
少年はどこまでもドライだ。手をシッシと振る
「まーだ勘違いしてんな女ぁ?
ここを出たらお前と俺は敵同士、お前の愛しいシャルティアを奪う敵、お前はオレの邪魔な相手、それだけなんだけど?」
情に流され安すぎる。こんなことでは簡単に騙せそうだ
騙してシャルと会えるようにしようか、とも思ったが、まあ止めとく
そこまでするのも酷だし
「あーはいそうですかーコワイナー
惚れさせるとか無駄なこと言ってねえで消えろ」
顔も向けない、ただベッドに寝転ぶ
頬のキスはあえて無視
自分があの女位外に惚れるなんて想像もできない、と言った風
そして、ドアが閉まる音を聞いてから
「っち、サービスしすぎたかね」
と、舌打ちするのであった
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からグラスシエルさんが去りました。