2017/10/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/某サロン」にリュシーさんが現れました。
リュシー > ―――あっちの、奥のテーブル。青いドレスのお嬢さん、かな。

(そこはかとなく退廃的な空気の漂う、薄暗いサロンの片隅。
カードテーブルの四辺にはそれぞれ、いかにも暇を持て余した貴族のボンボン、
と思しき男が座っているが、そのうち一辺に陣取っているのが己である。
これが他所のクラブやサロンであれば場違いだと眉をひそめられ、
あるいは放り出されることもあるかもしれないが―――ここに限っては。
以前はちょくちょく足を向けていた場所でもあり、卓を囲むのは皆、古くからの知己である。
危険があるとすれば、―――勧められて酒を過ごすこと、ぐらいだろうが、
予防線として今宵、己はノンアルコールだけを頼んである。

ほの暗い照明の下、カードゲームに興じている、ようではあるが、
実のところ、テーブル上に置いた金貨や宝石を賭けている対象は、
カードゲームの勝敗、ではなかった。)

……おいおい、あの銀髪のお嬢さんだけはないよ。
ぴったりくっついてるあの護衛、絶対堅気じゃないよ、あの顔。
あの子だけは絶対に無理、……そんな命知らず、いくら何でも居ないって。

(己の左側へ座った男のベットの声に、ちら、と視線を向けた令嬢の傍らには、
体格こそさほどでないものの、一見して危なそうな空気が纏いつく。
あの令嬢を誘うのなら、恐らく命がけになるだろう、などと眉尻を下げて笑えば、
右辺と対面に座る男が、そうだそうだと同様の笑みを浮かべてみせた。

―――賭けの対象になっているのは、サロンのそこここに居る女性客。
彼女たちのうち、次に誰が「落とされる」か、という、いささか趣味の悪い賭けであった。)

リュシー > (賭けごとに費やす時間も、先立つものも惜しい、と思わなくもない。
ただ、うっかり以前からの知り合いに行き会ってしまって―――
彼の邸宅でもなく、貴族以外の客がちらほら訪れることもある場所、
令嬢や貴婦人たちの姿も珍しくない場所、ということで、
押し切られた格好で、サロンまで来てしまった。

それでもはじめは、賭けに参加する気はなかったのだが。)

―――――おっと、またぼくだ。
悪いね、……これで、三戦全勝、かな。

(己が先刻、次、と賭けた青いドレスの美女が、何処ぞの美丈夫に連れられて奥へ向かう。
その背中を細めた眼差しで見送ってから、溜め息と共に三方から差し出される金貨を、
手許へ積みあげてぱちりと片目を瞑ってみせ)

……けど、カードのほうはさっぱりだな。今日は、こっちのツキは全然ないらしい。

(ぱさり、場に放り出したカードを、左辺の男が集めてシャッフルを始める。
その手許をぼんやり眺めながら、ひと口、傍らのグラスの中身を啜って)

もうひと勝負したら、そろそろ帰るよ。
ここで夜明かしする体力は、さすがにないからね。

(勝ち逃げ、に対する不満が三方から上がったが、とりあえず黙殺の構え。)

リュシー > (最後、と決めた賭けの結果が出るまでに、もう1ゲーム。
カード運がない代わり、今夜は別のギャンブル運がついていた模様。

最初の元手にした、自前のカフスボタン1対と、まきあげた金貨のほぼ全額を、
懐へおさめて立ちあがると、己は最後に残した金貨を、卓上、中央へ滑らせて)

今日はありがとう、おかげで随分稼がせてもらったよ。
これで、自棄酒でも飲んでくれ。

(じゃあ、と片手を振って歩き出す己の背中に、もう帰るのか、
というかいったい、どこへ帰るんだ、などという声が聞こえてきたが、
―――曖昧に笑ってみせるだけで、答えはしなかった。

彼らのうちの誰かが、父親にご注進に行かないとも限らない。
遊び友達ではあるものの、そういう意味の信頼とは無縁の連中を残して、
夜更けの街をひとり、―――何処かへ、と。)

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/某サロン」からリュシーさんが去りました。