2017/09/27 のログ
ご案内:「富裕地区・市民公園」にカシムさんが現れました。
カシム > 富裕地区にある市民公園。時は昼下がり。
マロニエの並木道の傍らにあるベンチに居士は腰掛けていた。
黄褐色に色づいたマロニエを見上げるその顔は、悲哀に満ちている。

「……今年も薄着のギャルが街を歩く季節が過ぎ去ってしもうたのう」

今年の夏は暑かった。おのずと女子たちの肌の露出も多くなっていた。
すでに年齢を忘れてしまう程の人生経験を積んだ居士だが、さすがに興奮を隠しきれず、観光地に顔を出しては人生を愉しんでいた。
しかしそんな暑い夏も、すっかりと鳴りを潜め、今は涼しい秋風が居士の白髭を揺らしていく。

ふと、熱いものが頬を流れた。
涙だった。
過ぎし夏を思うあまり、居士はいつの間にか泣いていたのだ。

「いつになっても泣き虫は直らんのう、儂」

居士は照れくさそうに細い手首で涙を拭った。
太陽が柔らかい光で、居士を包む。

カシム > 「ほうかい、儂の方が年上じゃのう」

のんびりと日向ぼっこを楽しんでいた居士。
さすがに退屈になったか側のマロニエに命を与え話相手になってもらった。
植物、特に樹齢が長い木は精神的にも成長しているので暇な時の話相手にはもってこいなのである。
しかし居士が命を与えた生き物の声は、基本的に魔術師にしか聴こえないので……。

呆けた老人がマロニエに話しかけているようにしか見えないのである。

「いやいや、んなことはないわい。お主もまだまだ現役じゃろ。ちゃんと実をつけとるし」

意外と話が弾んでいた。

カシム > マロニエとお話するのも飽きたので、今度は並木道を通る人々を観察することに。
手には温かいチョコレートドリンクが。通行人の一人に、自分が居士の従者だと『認識』させて買ってきてもらったのだ。

「うむ、やはり秋はチョコドリンクが一番じゃわい」

居士は甘いものが好きだ。あまり甘いものを摂りすぎると体調が悪くなるかもしれないが、心配は無用だ。
居士の体調は毛ほども変化はしない。肉体の時間を固定しているからだ。実質、寿命は無限であり不老である。
なので本当は食事も排泄も必要ないのだが、それではあまりにも寂しいではないか。
天地と同じ寿命を持つ居士は、人生を愉しむことに貪欲である。