2017/09/24 のログ
ご案内:「王都マグメール富裕地区 某貴族のサロン」にローズマリーさんが現れました。
ローズマリー > 然程広くはないサロンの中には、甘ったるい香りが充満していた。

恐らくは何か、怪しげな薬が混ぜ込まれているのだろう。
点在する長椅子、テーブル、果ては床の上にさえ、目隠しを施された女たちが、
身形の良い紳士たちの慰み者にされ、淫靡な啼き声を響かせている。

此の会合のシステムは、至極単純だった。
サロンの最奥部に設えられた小さな円形舞台へ、次々に女たちが上げられ、
紳士たちが彼女に『入札』する。
そして落札されれば、彼女たちは今宵一夜、落札した紳士のものだ。

目隠しをされ、人によっては猿轡さえ噛まされて、女たちの素性は知れない。
中には己のように、何処かの屋敷から拉致されてきた貴族の令嬢も居るかも知れない。

己の前に舞台へ上げられた娘が、誰かに落札されたらしい。
後ろ手に嵌められた手錠、目隠しの為に視界は閉ざされており、
腕を掴まれ引き立てられれば、覚束無い足取りで舞台へ上がるよりなく。
傍らに立った司会進行役の男が、身も心も清らかなシスター、などと己を評するのを、
悪夢の中に居る思いで聞いていた。

―――どうか誰も落札しないで、お願い、誰も私に気づかないで。

そんな願いが、果たして天に聞き届けられるものかどうか。

ご案内:「王都マグメール富裕地区 某貴族のサロン」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 「ほう、シスターねぇ……」

進行役の紹介で出てきた女を見て男は口の中で呟いた。
もし本当だとしたら、見習いだろうがすぐに彼は素性を調べられるだろう。
思い当たることもあるかもしれない。まあ、どちらにしても。
イイ身体をしているのは間違いない。

舌なめずりをして男は動いた。入札のために。
まだ後が控えている、ここで追従してくる者は少ないだろう。
提示したのは普段の二倍の額だった。今回は構わないだろう。
上から金も出るかもしれないなどと、含み笑いを漏らした。
引き渡すのは、犯し尽くしてからになるが。

ローズマリー > ―――誰かが、己に高値をつける声がした。

知らない男の声だ、けれど前の娘から比べれば、相当な値であることは己にも知れる。
落札されてしまう、と覚悟を決めた、次の瞬間―――

別の声が、其れこそ法外な価格を口にした。
恐らく、己の素性を見抜いた上で、何が何でも落札する心算なのだろう。
先の男がどれだけ値を吊り上げようと、一歩も引かぬ構えだった。

そして、落札者を決める木槌の音が高らかに鳴り響く。
結局、己の一夜はとんでもない値段で買い取られ、新たな男の手が己の腕に掛かる。
引き摺られるようにサロンから連れ出された己の行方など、誰も気にも止めぬ風。
舞台にはまた別の、美しい女が引き立てられて―――宴は、続く。

ご案内:「王都マグメール富裕地区 某貴族のサロン」からローズマリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール富裕地区 某貴族のサロン」からグスタフさんが去りました。