2017/09/06 のログ
■コンスタンス > (―――結局のところ、己は未だ世間知らずの小娘である、と、
自ら、男に証明してみせたに過ぎない、のかも知れない。
傲慢な男、と彼を見極めたのならば、きっと挑発してはならなかった。
ごくごく軽く、とは言え、其の手を打ち据えるなど―――
然も、怒るかと思えば、男は可笑しげに笑い出した。
己の眉間に、初めて微かな曇りが生じる。
女に、其れもこんな小娘に叩かれて、笑う男、などというものは―――)
―――私を楽しませて下さるようなことを仰って、
貴方の方が余程、楽しんでらっしゃるようだけれど…、
――――――何、を、
(正式な客人、というのなら、己とて同じこと。
其の様な脅し文句は通用しない、と、今度は己が笑う番―――で、ある筈だったが。
不意に屈み込んだ男の腕が、素早く己の身体を捕らえる。
抱き上げられたのだ、と気づいたのは一拍遅く、然し気づけば憤然と、
男の胸を拳で叩き、脚をばたつかせて抗おうとするけれど。
ドレス姿では常の如く身軽に動くことも儘ならず、
短く切り揃えた爪では、男の頬に蚯蚓腫れのひとつも残せず)
こ…の、痴れ者、っ……!
離しなさい、何の心算で、こんな……、
聞いているのですか、離せ、と言って―――――、
(生意気な女が男に攫われる、など、ありふれた情景過ぎて誰の目にも止まらない。
己が男に浴びせる罵声も、此の場に揺蕩う『紳士』たちの耳には、
心地良い囀りのようなものなのだろう。
普段は携えている懐剣すら持たぬ己には、男の思惑を跳ね退ける術も、無く―――――。)
■エルバート > (抱き上げた娘は細い脚を暴れさせ、男の胸を叩いてなんとかこの場を逃れようとする。
そんな努力を涼しい顔で流し、抵抗ごと攫ったまま男は廊下へと進んで行った。
二人の得た『退屈しのぎ』が如何なるものか、今宵それを知ることが出来るのは月だけかも知れない――)
ご案内:「王都マグメール富裕地区 某公爵邸」からエルバートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール富裕地区 某公爵邸」からコンスタンスさんが去りました。