2017/09/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアラミルさんが現れました。
アラミル > もう深夜と呼べる時間帯。また散歩と称して、富裕地区までやってきた少女
ゆらゆらと、まだ暑さが少し残る中をひらひらとしたスカートを揺らしながら歩いて
行きつく先は、昼は貴族の子などが幼少を見守られながら過ごし、夜はお忍びの逢瀬や、夜風に当たりに来た貴族が使う、広場
貴族同士の静かな鍔迫り合いなどが起こる場所でもあるのだが、少女には関係がない

「…………」

特に目的もないが、ただ歩いているだけ、というのも飽きてきたので
無駄に装飾の施された椅子に座り、ぼう、と様々な装いの貴族たちを眺めている
傍から見れば、いいつけを守らず勝手に外に出た令嬢に見えないこともない

アラミル > (また夜が明ける頃には貧民地区に戻り、ごみを枕にして、眠ったそうで)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアラミルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール富裕地区 某公爵邸」にコンスタンスさんが現れました。
コンスタンス > (豪奢な貴族の邸宅、大広間で催されているのは華やかな夜会。
色とりどりのドレスを纏った姫君や貴婦人、煌びやかな宝石を身に着けた紳士。
広間に流れる音楽に合わせ、優雅に舞い踊る人々を横目に、
テラスへ通じる両開きの扉の傍らで、己もまた、着たくも無いドレスに袖を通し、
上機嫌とは程遠い表情で人々を睥睨していた。

壁の花、と称するには、少しばかり色艶も足りなかろうけれど、
己としては気の進まぬ義務を果たしているに過ぎない。
新たな知り合いを増やす心算も、知己との親交を温める心算も無く、
只、早く時間が過ぎてくれることばかりを願っていた。)

―――――未だ、か。

(肩越しに振り仰ぐ角度でテラスの方へ視線を遣るも、月の位置は未だ低く、
もう遅いから、と退散出来る時刻までは、未だ大分ありそうだった。

メイドがどうしても、と聞かなかった為に着けさせられた長い髪のウィッグが、
ドレスと同じ色のリボンと共に、首筋やら肩やらに纏いついて鬱陶しい。
誰にも気づかれぬよう、ほんの少し開いた唇の隙間から、そっと溜め息を洩らした。)

ご案内:「王都マグメール富裕地区 某公爵邸」にエルバートさんが現れました。
エルバート > (栄耀の限りを尽くした大広間で、同じように飾り立てた人々がステップを踏んでいる。
人波から伝うのは何らかの欲望を孕んだ男の熱、媚びるような女の笑い声。
それらをかいくぐり壁際に辿り着くと、ふと自分と同じように気配を潜める若い娘に気が付いた。
控えめな淡いブルーのドレスに、晴天を思わせる鮮やかな青い瞳。しかし眼差しは享楽とは程遠い。
誰ぞ好いた男でも目で追っているのかと思ったが、
彼女の視線を辿ってみても、そこにあるのは夜空の月だけ――。
この場において異質とも言える娘になんとなく興味を惹かれた男は、
彼女のそばまで歩を進めると、愛想の良い笑みを浮かべ、出来る限り柔らかい口調で声を掛けた)

――そのように見つめても、月とダンスは出来ませんよ。

(私が魔法使いなら叶えて差し上げたのですが、とわざとおどけたような言葉を付け加えて)

コンスタンス > (此れ見よがしに男に媚びる女も、歯の浮くような台詞で女を舞い上らせる男も、
普段から城内でも見慣れたものであり、態々目を向ける価値も無い。
寧ろ、絡みつくような煩わしさが無い分、月の方がずっと愛おしかった。

いつの間に近づいて来たものか、明らかに此方へ投げかけられた声に振り返ると、
見目麗しい男の姿が其処に在り)

―――そうね、とても残念だわ。
あの月をパートナーに出来たなら、こんな場所、直ぐにでも連れ出して貰えるのに。

(本気で残念がっているかのよう、大仰に肩を竦めながら、深い溜め息をもうひとつ。
己が普通の令嬢であれば、きっとひと目で恋に落ちていただろう端整な容貌の男に、
意地悪く双眸を細めて微笑み返し)

……貴方、とても綺麗に笑うのね。
私の為に、其の笑顔であの月のひとつぐらい、落としてみせて下さらない?

(ちょうど退屈していたところだ、戯れには戯れで返してやろう。)

エルバート > (振り返った娘が紡いだのはあまりに意外な答えだった。
わざとらしく落胆のポーズを見せながら、こちらに向けた挑戦的な表情。
改めて見れば、思っていたよりも随分若い。
陶器のように白い肌と細い四肢、それらが描く身体のラインは美しく、
あどけなさの残る面立ちはわずかに中性的だったが、それさえ魅力的に映る。
よほど高貴な家の令嬢だろうか。秘められた品のある美貌は隠し切れていない。
彼女の戯言のような問いにくすりと小さく笑うと、男は自身の胸に片手を当て軽く礼を取った)

お褒めに預かり光栄です。
綺麗と呼ぶなら貴女の方が、と言いたいところですが、
そのような陳腐な言葉では、貴女をますます退屈させるだけでしょうね。

――しかし困りましたね。
月を落とすとなると、やすやすと出来ることではありませんから。
ですが……

(そう言い一歩前へと詰め寄る。彼女が逃げないのなら、その華奢な手を片方掬い上げようとして)

月を落とすよりも退屈しのぎになることなら、この愚かな男の胸の中に……。
貴女が望むなら、如何様にも。

(新しい玩具でも見つけたかのように、細められた紅い瞳にちらと熱が灯った)

コンスタンス > (此の場に招かれて来ているのだから、何れ名のある家の主人か。
其れとも、何処かの貴族の御令息、といったところか。
何れにせよ、此の男の表情も、立ち居振る舞いも、こうした席に―――
そして何より、我が儘な女の扱いに、慣れていることを窺わせた。

仕立ての良さそうな着衣の胸元へ宛がわれた手指すら、
いっそ嫌味なほど整って見える。
形の良い唇から零れ出す甘やかな言の葉を、口端を僅か、綻ばせるのみで受け止め)

そうね、見え透いた御世辞なんて聞くぐらいなら、
本当に月と駆け落ちでもした方がマシというものだわ。

―――――、

(更に、一歩。
近づいた男の手が、余りにも滑らかに己の手指を捉えるものだから、
刹那、軽く瞠目して言葉を失うも―――

一拍の後、彼に攫われたばかりの掌を翻し、ぱしりとごく軽く、
彼の掌を叩いてやろうとしつつ)

………貴方が月の代わりに、私を此処から連れ出して下さるとでも?
砂糖菓子のように甘い笑顔をなさる癖に、随分と、傲慢な方なのね。

其れとも、私のような小娘なら容易く御し切れる、と、己惚れてらっしゃるのかしら?

(男の瞳のいろが、ほんの少し変わったように感じたのは、気の所為か、どうか。
遊び慣れた貴婦人ならば、きっと敏く感じとるであろう危険信号に、
己は未だ気づかない。
先刻までの戯れを、未だ、続けていられると―――ささやかな毒を混ぜて微笑む儘。
いっそ無防備なほど至近距離に、己が身を置いて。)

エルバート > (試すつもりでわずかに詰め寄った距離は、肌を打つ乾いた音に制される。
小さな平手が、硬い骨に覆われた己の手をはたいたのだ。
傲慢で、己惚れている――。己と言う男を形容するに最もふさわしい言葉を選ぶ様は、
彼女の勇敢さと聡明さを示していた。同時に、無鉄砲さも。
男の動作がほんの一瞬停止したのは、そんな新鮮な驚きの所為もあったが、
見開かれた宝石のような青い瞳に目を奪われた為でもあった。
彼女の方から距離を詰められると、男は打たれた片手で自身の口元を掴むように押え、肩を震わせて笑った)

ふふ……っ。ははは……。
すみません、貴女があまりに真剣に怒るもので……。
見た目以上に生真面目な方なのですね。

(――面白い。煌びやかなパーティーにのぼせ、猫なで声で媚びる短絡的な女より余程。
ますます好奇心を、そして笑顔の奥に潜む嗜虐的な衝動を刺激され、男はカチリと奥歯を鳴らした。
この強気な娘を組み敷いたら、一体どんな顔を見せてくれるのだろう。そう考えただけで胸が躍る)

貴女こそ酔っておいでだ。
その美しさがあれば、公爵様の正式な客人に手を上げても構わない、と。
――失礼。

(先ほどとは違うどこか冷えた笑みを浮かべると、男は屈み込み娘の身体を強引に抱き上げようとする。
それが叶ったなら、月を隠す雲の如く、未だ宴の続く広間から彼女の存在を盗み取るだろう。
きっと暴れられる、引っかかれるかもしれない――などと、どこかそれさえ楽しみなままに)