2017/08/08 のログ
ご案内:「王都マグメール富裕地区/とある邸宅」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (豪奢な邸宅のなかにも、庶民的な空間というものは存在する。
使用人たちのための部屋は、勿論清潔だけれど家具調度は簡素だし、
水回りもごくごく小さなスペースに、必要最低限の設備が備わるのみだ。
男だったころの己は本来、そんなエリアには縁がない筈だったが、
子供時代から両親の目を盗んでお気に入りの女中の部屋を訪ね、
おやつをもらったりしていたものだった。

昨晩、もうそろそろ夜も明けるかというころになって潜りこんだのは、
ちょっとした顔見知り、の屋敷の、勝手口。
朝早くから働き始めていた人の良さそうな年嵩の女中に、
「酷い目に遭って逃げてきた奴隷の子ども」と思いこませることに成功し、
一日、キッチンやら庭先やらでのどかに過ごした。

小さなかまどや水場、粗末な木のテーブルと椅子が並ぶキッチンで、
彼女のくれた蜂蜜パンを頬張っていると、なにやら母屋の方が騒がしいような。
暢気に椅子に座った格好のまま、ねえねえ、と通りかかった別の女中に声をかけて)

どうしたの、……なにか、あったの?

(心なし青ざめた顔の女中がもごもごと語ってくれたところによると、
どうやら当家のあるじ殿が主催する「紳士の宴」で、トラブルが起こったらしい。
花を添える筈の少女が一人、逃げ出したのだとか、なんとか。
―――――ほんのり嫌な予感はするけれど、とりあえず、ふぅん、と頷いておいた。
もし火の粉が降りかかるようなら、すぐに勝手口から逃げ出してやろう、と)

リュシー > (今夜3つめの蜂蜜パンに、図々しくも手を伸ばしかけたとき。
いったんは静かになっていた母屋の方角が、また騒がしくなってきた。
もう何でも良いから、どこかで調達してこい、とかなんとか、
怒鳴っている声が聞こえたので、そろそろ潮時か、と立ち上がる。

そろそろ行くね、と言い置いて出ていこうとしたのだが、
あの女中が手早く紙に包んだパンを差し出しながら、
これを持って私の部屋に隠れていなさい、と言ってくる。

ほんの少しの罪悪感はあったものの、ちゃんとした部屋で眠れるなら、
あくまで固辞して出ていくほど、己は逞しくない。
ありがたくパンを押し戴いて、そそくさと女中の居室へ逃げこんだ―――。)

ご案内:「王都マグメール富裕地区/とある邸宅」からリュシーさんが去りました。