2017/07/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からチェチリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 劇場の楽屋」にアリアンさんが現れました。
アリアン > 喝采と拍手のうちに舞台の幕が下り、高揚感とわずかな疲労を感じながら楽屋に戻り、椅子に座って一つ大きな息を吐きだす。

「ふう――!」

敵対する勢力に属する男女の悲劇的な物語を演じた夜。
主演予定だったプリマが体調不良で降板し、そのピンチヒッターとして舞台に上がったが、なかなか好評だったように思う。
急な代役だったので、楽屋には花も殆どないけれど、次の舞台ではきっと気に入ったファンからの花が、鏡の周りを飾ってくれるだろう。
ぽいぽいと衣装に合わせたサンダルを脱ぎ捨てて、行儀悪く足をメイク台に乗せ、劇場主から差し入れられたワインをグラスについで傾ける。

「んー、今日のワインは格別に美味しい……」

ぴょこぴょこと白い足を動かしながら、ご機嫌でワインを味わう。

アリアン > グラスを傾けながら、ゆっくりと目を閉じる。
光にあふれた舞台、雨のように降ってくる拍手と称賛の声。
数々の舞台を踏んできたけれど、今夜の舞台は特別だった。
歌劇のヒロインを演じたのだから。

「ああ!この夢心地の中に酔ったまま
 生きていたいわ!
 この日がもっと続きますよう
 甘い炎よ、お前を私の心の中に抱き続けるわ
 大切な宝のように」

今夜歌ってスタンディングオベーションを浴びたアリアを、そっと鼻歌で歌う。

アリアン > しばし目を閉じて記憶を噛みしめていたが、そろそろ派手な舞台化粧を落とさないと、お肌によろしくない。
あまり汗をかかない体質とはいえ、それなりに汗もかいている。
グラスをメイク台の上に置き、鏡に向かって、ぺりぺりと付け睫毛を剥がしはじめる。

「…ん…よしよし……」

綺麗にはがれた付け睫毛をぺろんと指先にぶら下げて、満足げにうなずく。

アリアン > コットンに愛用のメイク落としを含ませて、ぺたぺたと顔を拭き始める。
たちまち素顔が現れるが、目元が少々地味になったぐらいで、実はあまり変わらなかったりする。
何度かコットンを取り替えながら、太くアイラインを引いた目の周りは特に念入りに。

「すっきりした」

ぺちぺちと指先で軽く頬を叩いてにっこりと笑う。
ワインも入って、かなり上機嫌。
と、楽屋のドアの外に気配を感じたように思い、振り返って呼びかける。

「どなた?」

アリアン > 気のせいか。誰かいたように思ったのだけれど。
少し興奮しているせいか、過敏になっているのかもしれない。
軽く肩をすくめると、髪飾りを外し、結い上げた髪を下ろす。
次いで立ち上がり、衣装を脱ぎ始める。
動きやすいように作られた舞台衣装は、さほど込み入った構造ではないので、1人で着脱は可能。
ぱっぱと思い切りよく脱いで衣装掛けにかけると、自分の服に着替える。
大役を終えた解放感から、うっかり裸足で帰りそうになって、慌てて靴を履き。

「今度、温泉なんか行ってみたいものよねー……」

そうひとりごちながら、関係者用出入り口から家路につく。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 劇場の楽屋」からアリアンさんが去りました。