2017/07/17 のログ
ご案内:「富裕地区 とある邸宅の離れ」にベアトリーチェさんが現れました。
■ベアトリーチェ > ―――――昨晩もとうとう、一睡も出来ぬ侭に夜が明けた。
あの、おぞましい一夜が明けた、翌朝。
幾度目かの面会に現れた父に、いつものように反発する気力が湧かず。
母が己を身篭っていた頃、静かに暮らす為設えられたのだという別宅へ、
促される侭居を移して、既に数日。
決して豪華では無いけれど、選び抜かれた美しい調度に囲まれ、
日がな一日、テラスに面した窓辺の揺り椅子に身を置いて、
窓の外を行く鳥の姿などを、レースのカーテン越しに眺めて過ごし―――
夜になれば清潔に整えられたベッドへ、横たわりはするのだけれど。
どうしても眠れず、魘されては起き、寝付けずに天井を見つめ―――
其の、繰り返し。
今朝も朝食を断り、髪を結い上げもせずに、またいつもの揺り椅子に腰かけて。
両手がそっと、己の腹の辺りへ向かうのは、其処に巣食う違和感を、意識せずにいられぬ所為。
破瓜の痛み、其れ自体はもう、薄らぎ始めていたけれど――――。
ご案内:「富裕地区 とある邸宅の離れ」にウィルバーさんが現れました。
■ウィルバー > 彼女にとっては見覚えのある光景だろう。
部屋の一角で突然、黒い塊が現れ程なくして黒のスーツを着た男が現れる。
「やあ、元気にしてるかい?」
相手が誰かは分からないが、彼女の現在の居場所としてこの離れの位置を教えられた。
普通の人間なら屋敷の使用人などに案内してもらう必要があるのだろうが、闇に生きる僕は
場所を教わればほどどこにでも現れることが出来る。
さて、揺り椅子に腰かけている彼女にとってはさどかし驚くべき事であろう。
何せ己を犯しつくした相手が目の前に現れたのだから。
そして、僕は先日とは異なる装いの彼女と、この部屋に充満する彼女の匂いですっかりその気になっていた。
■ベアトリーチェ > ぞく、ん―――――。
覚えのある、出来れば忘れてしまいたかった感覚が、背筋を駆け上る。
はっと息を呑んで振り返った先、確かに先刻までは誰も居なかった場所に、
深い闇色の存在を目にして、全身の肌が総毛立つ。
「な――――、どう、…どう、して、此処が…、」
音も立てず現れた、其の事自体については此の際、どうでも良い。
ただ、何故此の家の存在が、此処に己が居ることが―――
此処へ己を連れてきた、父の関与を、また疑いたくなってしまう。
まさか、幾ら何でもそんな筈は――――嗚呼、でも、兎に角も。
「………だ、…誰、か……、
―――誰か、…ばあや、ばあや、っ……!早く、早く来て……!」
先日とは違うことが、ただひとつある。
扉一枚を隔てた次の間に、幼い頃から己の世話をしてくれた、
老女が控えていることだ。
幾ら叫んでも助けが来なかった、あの恐ろしい場所では無い。
ならば、とふらつきながら立ち上がり、声を震わせながらも人を呼ぼうと。
■ウィルバー > 「どうしてって、君の方が知ってるんじゃないの?
僕はあの後ここのことを教わっただけだよ。」
途切れがちに喋る彼女を正面に見据え、僕は聴かれたことを軽いノリで応えていた。
誰が関与したのかは分からないが、少なくとも誰かしらが彼女の事を売ろうとしているのだろう。
事実、ここに来るに当たり追加でそれなりの金額を支払っている。
「ああ、ダメダメ。 下手に周りを巻き込むと不幸になる人が出てくるよ?」
この家の使用人がどこまでこの件に関与しているのか僕は知らない。
なので、僕は金色の瞳を輝かせ、この部屋を暫くの間周囲の認識から外すことにした。
当然、ここでどんな物音をたてようが知覚されることはない。
正義感の強い使用人が居ようとそもそも認識できない以上手を出しは来ないだろう。
そして、魔力は彼女の方にも向けられる。
催淫性の、あの日浴びた物と同じ魔力を。
■ベアトリーチェ > 「そ、…そん、な……嘘、…どう、して……」
己の出自を知り、此の別宅の存在を知る者、というのは、そう多くない。
何でも無いことのように答える彼の前で、己の心の中には陰鬱な、
どす黒い雲のような疑念がますます広がりつつある。
其れなりに声を張り上げた心算だったのに、誰かがやって来る気配も無く。
窘めるような彼の口調よりも、誰も来ない、という現実が、己を打ちのめした。
「どう、…どう、して……ばあや、
私、……ばあや、……信じて、たのに……」
そう、なのか。
誰も、味方になってはくれないのか、と心を揺るがせた、其の隙をつくように。
ざわり、布地越しの肌を直接嬲られるような、悍ましくも艶めかしい感覚が全身を襲う。
腰が、膝が、唐突に力を失くして―――其の場に、呆気無く頽れてしまう身体。
咄嗟に両腕で己が身を掻き抱き、背中を丸めて防御の姿勢を取ろうとしたけれど、
魔力は己の身体のなかへ、頭の芯へ、直接働きかけてくる。
思考が、意識が、今にも霧散してしまいそうな感覚に喘ぎながら、
早くも潤み始めた双眸が、ゆらゆらと揺蕩いながら、彼を捉えて。
「……だ、れなの、貴方……いっ、たい、
―――――わ、たくしに、何を…なに、を、………」
■ウィルバー > 「どうしてって…。
まあ、君がとても可愛らしいから頑張りました。
これじゃ駄目かい?」
彼女の中で色んな考えがぐるぐる回っているのだろう。
そんな様子の彼女を僕はどうしたものかと思いつつ、眺めていた。
時折、動くたびに揺れる大きな胸に目を奪われる。
「そのばあやって人はあった事ないなあ。
実際、誰がどこまで関与しているかは僕にもわからないよ。」
嘘は言っていない。
仮に僕毎まるめて罠に嵌めるつもりだとしても僕自身はどうとでも切り抜けられるから。
故に、この件について深く調べるつもりはなかった。
「僕かい? 僕は平民出身の宮廷魔術師さ。
この近くに家を構えているから、言うなればご近所さんかな?
それより、お腹はどう? ちゃんと僕の子孕んでそうかい?」
亀のように椅子の上で丸まっている彼女の脇腹に手を伸ばし、優しく摩る。
もう片方の手は彼女の頭を愛でるように触れて。
そして、髪を掻き分けると頬か首筋のどちらかにそっとキスをしようと。
■ベアトリーチェ > 駄目とか、駄目じゃ無いとか、そんな問題では無い。
何故此の男がこんなに平然としていられるのだか、己には理解出来なかった。
揺れる椅子に深く身を沈めて、外の世界の何もかもを拒絶するように、
ぎゅっと身を縮めて唇を噛み締める。
どくどくと爆ぜる鼓動も、肌をちろちろ炙る熱感も、何もかも、
あの夜の悪夢を思い出させるばかり。
此の侭では――――此の侭では、また。
「―――っさ、わらな、いで……!」
脇腹へ触れる掌を嫌がって、鋭い声を放ちながら身を捩る。
彼の掌の、其の温度だけで肌が粟立ってしまったことには、決して気づかれたくない。
激しく左右に頭を振り、頬に、あるいは首筋に、吐息が掛かる気配に気づくと、
片手で首筋を覆い隠し、もう一方の手で、彼の身体を押し遣ろうとした。
「やめて、…いや、触らないで、ったら……!」
押し退けられないことは、あの夜、幾度と無く思い知らされたのに。
其れでも――――抗わずにいられない。
抗わなければ、本当に今度こそ―――そんな思考を振り払うべく、また、ふるりと首を振って。
■ウィルバー > 「やれやれ、本当にお嬢様なんだね。
ま、そこが可愛いんだけどさ。」
侯爵家のご令嬢を前に無礼なことを口にする。
が、このままでは事が進まないので瞳から放つ魔力の量を少しずつ上げていく。
そろそろ知ったばかりの男を欲しくなる頃あいだろうか。
「触るなって言われてもこんなに綺麗な身体を触らないわけにはいかないでしょう。」
彼女の細い手が己の身体を押し出そうとする。
僕はこれ幸いとばかりに手首を掴み、己のズボンの前を触らせる。
「どう? 君の初めてを奪った時と同じ位熱くなっているでしょ?」
意地悪い問いをしている横で、小さな水晶玉がふらふらと浮いている。
僕が先日買ったアイテムで、今行われていることを記録し、保存するための物。
「そんなに拒まないで、早く僕の子供を作ろうね。」
首筋を塞がれたので、仕方なく耳元に息を吹きかける。
そして、あわよくば耳朶や耳の中に舌を入れることだろう。
■ベアトリーチェ > 可愛い、と男に言われて、普通の女は喜ぶのだろうか。
今、彼の口からそう告げられても、ちっとも嬉しいとは思えなかった。
だって此の男は、己の純潔を金で買って、あんな風に奪った男だ。
身体はあの、淫靡な悦楽の記憶に潤み蕩け出そうとしているけれど、
心では到底、彼を受け容れられる筈も無い。
押し退けようとした手首を掴まれ、彼の下腹へ宛がわれる。
―――脈打つ、硬い熱の感触。
ひ、と喉を引き攣らせて、捕えられた手を引き戻そうとし。
「いっ、いや……!!
け、がらわ、し……やめて、いや、いやあ、っ……!!
だれ、か、……誰か、お願いだから来て、ぇ―――!!」
喉が張り裂けんばかりの叫び声が、びちゃり、耳許で響く水音で途切れる。
耳朶をねっとりと弄られ、耳孔へ忍び込む舌先に犯されて―――
ぞくん、ぞくん。
椅子に座った侭の身体が、面白いように跳ねる。
ぎこちなく身をくねらせ、震える腕で宙を掻いて彼から逃れようとする、
そんな己の無力な姿を記録する水晶の存在など、気づくゆとりも無く。
■ウィルバー > どうやら、彼女は僕のことが心底お気に召さないようだ。
仕方がない、その辺も少し”調整”するとしようか。
僕は瞳から生じている魔力に、僕への恋愛感情が芽生える様な類の物も混ぜ込んだ。
彼女がどのような恋を求めているのかは分からないが、思い人に向けている感情が
少しでも僕の方に傾けば成功と言えるだろう。
肉棒に彼女の可愛らしい手が触れると、僕の肉棒は己の凄さを誇示するかのように脈打ち、
熱量を増していく。
だが、それは長くは続かない。
すぐに彼女が手を引き戻してしまうから。
「汚らわしいって…。 君もその汚らわしい行為の結果生まれたわけなんだけど?
ほら、いいかげん叫ぶのを止めて孫の姿を見せてあげなよ。
それに叫んでもいいけど、誰も来ないよ?」
実際は魔力で遮断しているだけなのだが、わざわざ口にすることはなく。
魔力で散々高ぶらせた身体は耳の中に入ってきた刺激で更に興奮しているようだ。
僕は耳元から頬へ舌を這わせていく。
ねっとり唾液を塗りたくるナメクジの様な舌は、彼女の口元を狙っていく。
そろそろ彼女にはいくら抗っても無駄だと言うことを教えてやるべきかもしれない。
そう思った僕は指を鳴らし、風の魔法を発動させる。
彼女の周囲に生じた無数の風の刃が、彼女の着ているネグリジェだけをズタズタに、
それぞれが端切れほどのサイズになるまで切裂いていく。
当然彼女の身体そのものには傷一つ作らない様に細心の注意を払いながら。
■ベアトリーチェ > そもそも己は、恋、というものを知らない。
近しい人々に其れなりの親愛の情を抱きはしても、其れ以上の、
何もかも奪いたい、或いは全て捧げたい、そんな感情には縁が無い。
たとえ婚約者に対しても、其れは変わらず―――そんな己に、
『恋』を芽生えさせようとする術は、ただ、混乱を助長させるばかりだ。
目の前の彼は、夫になる筈だった人とは似ても似つかない。
―――――いや、本当にそうだったろうか?
『あの人』の瞳の色は、髪の色は、顔立ちは、声は――――
「……ぃ、いや、……怖い、怖い、っ……
お、願い、こんな、………待っ、て、待って、いや、
――――きゃあああ、っ……!!」
分からなくなる、思い出せなくなってしまう。
怖い、やめて、お願い、待って――――己の胸の内を荒れ狂う嵐の正体など、
知る由も無いであろう彼が、頬へ唾液の筋を描き、そして、力を行使した。
風を切る音、そして己の着衣が、見る影も無く切り裂かれて、
襤褸切れと化していくて信じ難い現実。
一糸纏わぬ裸身を、細い両腕だけで乳房、そして下腹を、
可能な限り覆い隠そうとしつつ。
怯えと戸惑いとが綯い交ぜとなった涙に眦を湿らせて、
彼の金色をおどおどと見つめる。
「――――ぁ、…ぁ、…あ………、」
言葉が、出て来ない。
喉が詰まって、息が、出来なくなりそうだった。
■ウィルバー > どうやら、彼女の中で認識の混乱が生じているようだ。
魔力を放った時に帰ってきた感覚からそれを漠然と認識した。
それに至った原因はわからないが、どうやら僕の事を無理矢理愛しい人へと書き換えようとする形で
作用するようになったようで。
それならばと、僕の瞳は更に色を深めていく。
完全な書換は無理にしても、要は抗わなくなってくれればいいのだから。
「僕のベアト、そんなに頑なにならないで。 大丈夫、僕だけは君の味方だよ。」
産まれたままの格好で、大事な所を隠している彼女の頭に手を伸ばし、優しく撫でようとする。
輝きを増し続ける金色の瞳も細め、表情だけは愛おしいものに向けられる愛情たっぷりの物。
彼女が暴れたりしなければ、顔のどこか、または唇へと優しい口づけを交わそうとすることだろう。
彼女が言葉に詰まるのならば、何かを言い出せるようになるまで待っておくことにしよう。
■ベアトリーチェ > あの人、は、もう、居ない。居なくなった、きっともう、会うことも無い。
そう諦めながら隠遁生活を選んだ己にとって、彼の魔術はあまりにも残酷だった。
頭の中が、心のなかが、ぐちゃぐちゃに掻き乱されて―――身体が求める快楽に、
何もかもが蹂躙されていくような。
しゃらり、唯一首許に残された黄金色の鎖が、其処に通された指輪が、
場違いに涼やかな音を響かせる。
けれど其れは本当にささやかで、現在進行形で魔力を行使する彼の前では、
どう足掻いても、無力。
濡れた翡翠の瞳が鈍く、一度、二度と瞬くごと、其の瞳から光が失われていく。
身体のずっと奥、彼に繰り返し精を注ぎ込まれた子宮が―――受け容れてしまえ、と囁いた。
「……こ、わ…いの、……怖いの、………
貴方、…貴方、なの…?旦那さま、……わ、たくし、……もう、」
――――何も、考えなくても良いの?
何も考えず、疑わず、ただ、衝動に突き動かされる侭、身を委ねても良いのか、と。
触れる唇から直接伝えた問いは、いびつな甘えを孕んで。
彼がもし、良いのだ、と答えてくれたなら―――きっと己は此の場で、
思考を手放してしまう。
意識すら覚束無い侭、どろりと粘ついて濃厚な、
雌の快楽に支配された夢を、見ようとしてしまうだろう。
ご案内:「富裕地区 とある邸宅の離れ」からベアトリーチェさんが去りました。
ご案内:「富裕地区 とある邸宅の離れ」からウィルバーさんが去りました。