2017/05/13 のログ
■セイン=ディバン > 身体にまとわりついた汚れもきれいさっぱり落としてしまえば、疲労も一緒に吹き飛んでしまったかのような感覚に陥る。
実際は、未だに体力は減っているが。多少回復したと感じる辺りやはりフロはすばらしいな、と。
「ハッ、らしくねぇセリフですこと。ん……。
あぁこりゃいいな。果糖は疲労回復と、美容に効果があるというしな」
男も席に付き、フルーツを摘み、食す。新鮮なだけあり、口の中に奄美が広がる。と同時に、脳に糖分が回る感覚がした。
「あぁ……。ま、冒険者にはよくある話だ。宝の地図を手に入れて行ってみたら、既に発掘されたあとだった、てのはな。
そう考えれば、はした金でも収穫は収穫だな。
そう言ってもらえると協力した甲斐があるね。こう見えても、罠と鍵の解除看破は自信あるし」
相手からの言葉に饒舌に語るも、やはりどこか言葉のキレは悪い。
普段応酬していたような減らず口などは出ず。それでも男なりに普段らしく会話を進めようと、なんとか努力をする。
「ま、次があるだろ。今回のルートも、奥にまだ道は有りそうだったしな。ほい、乾杯」
相手からの言葉には、掌を振りながら応える。報酬がいくらしょぼくても、命があるのが一番の報酬だ。
命があれば次に繋がる。
「普通に買ったんだってぇの。あぁ、その噂は当たりだぜ。
この間、貧民地区の路地裏で寂れた酒屋を見つけてな。そこに一本だけあったから、即金で購入って訳よ。いつか特別な日に飲もうと思ってな」
相手の反応が予想以上に良い物だったため、男はニヤニヤと笑いながら応える。決して安い酒ではないが、その分味は間違いなく美味い。芳醇なオークとラベンダーにも良く似た香り。口に含めば、程よく酸味と甘みが合わさる味。そのワインに舌鼓を打っていれば……。
『で、実際お客様とご主人様はどういう関係なんですかにゃ?
仕事仲間? セフレ? それとも恋人?』
アホネコ、再襲来であった。
■ノア > 妙に素っ気なかった貴方が、 こうして会話に応じてくれることに一安心。それでも何処かぎこちないということに.. 女は気付いていないのか、 はたまた気付いていないフリか。とにかく遺跡の探索は女にとって、 とても充実した時間だったようで
「 ほんとは技術も盗んでやろうと思ってたんだけど、 速くて全然見えなかっ..... ぇ、 あそこが最深部じゃないの ?! 」
目の前の罠に掛からぬよう必死だった為、 他のルートを確認する余裕なんてなかった様子。更に奥がありそうだったと聞けば「 あそこまで行くのだって、 あんなに大変だったのにー 」と、 己の未熟さを痛感し ぼやいたけれど.. そんな気持ちも吹き飛ばす程の美酒によって、 直ぐ様テンションも上がる単純さで。
「 信じられない、 まさかそんな所に眠ってたなんて... てゆーか、 即金て.. この大きな家や二人のメイドも..... セイン、 随分潤ってるのね。」
ちょっぴり悔しげに つんと唇尖らすも、 ひとたびグラスに口を付ければ.. また自然と口元が弛んでしまう。口の中に上品な香りが残る、 何とも舌触りの良い上質なワインにご満悦。不意に付け足された一言には、 照れてか 湯上がりのせいか.. ほんのり頬を染め
「 特別な日、 って......... 」
続く言葉が見当たらず、 沈黙が流れる。いつまでも忘れたフリは続けられない。けれど、 何て言えばいい.. ? いっそがらりと話を変える ? それとも...
── そんな静寂を破ったのは.. 女でも、 貴方でもなく。まさかの
( 出やがったな悪ニャンコ !! )
「 ...............っ、 関係って.. それ は... 」
唐突に投げ付けられた凶悪な球。素早く打ち返せずにいた女に直撃、 見事強烈なダメージを与えた。今、 貴方はどんな表情を浮かべているのだろう と。ちらり.. グラスから対面の貴方へと、 恐る恐る視線を上げ。
■セイン=ディバン > 男自身とは違い、女性はすっかりいつもの調子。その様子に男自身は安堵半分、呆れ半分と言ったところ。
「ハハン。これでメシ食ってんだ。そう易々と盗まれてたまるかっての。
なんだ、気付いてなかったのか? 最後の行き止まり、あれ壁に仕掛けあって奥行けるぞ?
あぁ、一人で行こうなんて思うな? あの先は多分誰も行ったことないエリアだからな」
相手の反応に笑いながら言い、クラッカーをつまむ。そうして相手が驚けば、解説を入れ。最後の行き止まりの壁。隙間から流れていた空気。床の埃の積もり具合。男の観察眼は、道を見逃してはいなかった。
「ワインはそういうところ便利だよな。保管さえしっかりしてりゃ飲めるし。あん? 潤ってはいねぇよ。黒字も赤字もデカイ仕事してるから金があるときはあるだけだ」
相手のワインへの知識、確かな味覚もたいしたものだな、と感心しながら、男もワインを飲み進めていく。
結局、冒険者たる男は貯金やらとは無縁な訳で。こんな生活もいつまで続くのやら、だ。
「……あぁ、いや。なんだ。信頼できる仲間との初仕事、ってのは。
特別っちゃ特別だろ」
思わず口から出た言葉に、女性の頬が紅く染まり、男も慌てて言い訳めいた言葉を口にする。
気まずさが場を満たす中、ネコの一言に男はワインを誤って飲み干し、盛大に咽る。
「げほっ、ゴホォッ!!
お、おま、ネコ!! なんてことを言いやがる!!」
言葉をなくす相手同様、男はなんともいえず、ただただネコへと怒りを向ける。
女性を見れば、互いの視線が交錯し。さらに気まずさは増していくことになるのだが。
『……いや、意識しあってるのバレバレですにゃん。
てかご主人様はお客様の湯上り艶姿に机の下でボッキしちゃってますし?』
メイドネコ、下克上真っ最中。男の醜態をわざわざ暴くという謀反であった。
■ノア > 貴方の観察眼に感服、口も半開きで説明を聞き入った。大きな収入があれば溜めずに使ってしまう金銭感覚には、くすくすと肩を揺らして
「 そこは、 似たようなものね。」
他愛もない、 無難な会話。普段通りを装った、 ぎこちない二人。其の生き方から、 嘘だけは巧くなってしまった二人だから尚更.. いつ終わるのかもわからない、 不安定な時を過ごしていた ── 其処へやって来た下克上ニャンコの、 謀反。まだ酔う程呑んでもいないのに、 頭はぐるぐるとショート寸前で
( そう、 仕事仲間。シちゃったけど..... あれは、 前提があっての事だし.. うん。でも.. あの日、 )
考えないよう無意識に蓋をしていた あの夜の記憶が溢れ出て、 光景も声も感覚も.. 全てがみるみる蘇る。当然、 貴方の言葉も。
( セインのもの、 に..... )
ちらりと視線を上げた先では、 盛大にむせた貴方がニャンコを怒鳴り付けていた。落ち着きを取り戻さなくてはと、 女もワインを煽るも.. 其れで止まるニャンコ、 ではなかったようで
「 .....っ、 !?( そうなんだ.. )」
結果、 割と盛大にむせた。それこそ、 ローブに紅い染みが出来てしまう程に。
■セイン=ディバン > 得意げに、上機嫌に説明をしていれば、相手の視線に気付きしくじった、という表情になる。
自慢など、他人が聞いても面白いものでもない。
「ま、俺らはそういう稼業だしなぁ。
宵越しの銭は持たねぇ、的な」
相手の同意には苦笑いしつつ答え。しかしてどこか微妙な空気のまま、食事と酒だけが減っていく。そんな中に現れたネコの余分な言葉により、場の空気は一変し。
「あの、なぁ。お前等みたいなガキには判らんだろうが。
大人には色々とあんだよ、色々と!!」
相手の方をちらちらと伺いながらも、そう言い、酒を呷る。
とはいえ、男としてもあの夜のことはハッキリとさせておきたかったという思いもあるにはあるのだが。
そこで特大の爆弾がネコから投げられれば。
「おまっ……!!
いい加減にしろよネコオオオオオオオオオオオ!!
ちが、違うぞ、ノア!! いや確かに息子は反応はしてるが!!」
もはや頭の中は大混乱。何を言っているのか男も自分自身判らない状況だ。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 とある一軒家」にノアさんが現れました。
■ノア > まっさらな白が、 雫によって所々紅く染まる。女の頬もまた、 どぎついニャンコの指摘を喰らう度 みるみる紅く染まってゆき
「 ............... 」
ニャンコを怒鳴り付ける貴方、 怒鳴り付けられてもなお『 にゃははははー♡ 』と下克上ニャンコ、 そしてあわあわと困り顔のワンコ。何とも混乱状態の中、 俯き赤面していた女は遂に ──
「 .....っ、 セインの部屋は何処 ? 」
テーブルに両手を付いて、 勢いよく立ち上がり。貴方の部屋でも何でも、 とにかく下克上ニャンコを撒けるのなら何処でもよかった。
こんな爆弾が投下されなくても きっと、 あんな時間は長く続かなかっただろう。あの夜委ねられた決断をしないままでは.. もう、 貴方に逢えない気がしたから。女の言葉に対して即座に反応したワンコに、ゆるりと手のひらを見せ
「 案内はいい、 セインにしてもらう。」
■セイン=ディバン > 決壊した空間は、崩壊を止められない。今や場は鉄火場のそれ。
恐る恐るみた女性の表情は、強張っており。あぁ地獄はここにあるぞ。
「ネコォ!! テメェは今月の給料大幅カットだ!!
イヌ!! ノアに新しいローブを出せ!!」
慌てて指示を出すも、どれだけの効果があるか。
そうこうしているうちに、場の喧騒を更なる喧騒が打ち貫く。
「!? ……あ、え、と。二階。二階の、一番、奥、です」
女性のあまりの剣幕に。男は、それまでにない無様を晒す。
いや、過去に何度か。この女性の前で、この女性を抱いているときに。
余裕の無さ。本心。そういったものを、何度か。
「……イヌ。料理は保存魔術で保存しとけ。後で食う。
……はぁ。こちらへどうぞ。マイフェアレディ」
男は女性の雰囲気を察知し、立ち上がると先導するように二階へと向かう。
頭を掻きながら。男自身、自分の選択を決めかねているかのように。
■ノア > 何だか申し訳なさそうに耳を垂らしローブを差し出すワンコには、 柔らかな笑みを向けて
「 ご馳走さまでした、 とっても美味しかった。ありがと♡ 」
と、 簡単に礼を述べ。次いで、 したり顔の悪ニャンコには..
「 やってくれるじゃない、 悪ニャンコ..
けど... 効いた、 ありがと。」
蛇の如く睨み付けつつ、 最後には小さな小さな小さな声で礼を付け足した。そうして、 貴方に続き食堂を出る。部屋までの廊下や階段.. 近付く決断の時に、 鼓動は速まるばかり。広いお屋敷の二階、 一番奥の部屋に辿り着くと、 貴方のエスコートに促され先に脚を踏み入れた。後方で、 扉が完全に閉まるのを待ち ──
「 あのね、 セイン.. あの日言ってたこと、 なんだ けど..... 」
ゆっくりと、 振り返った。其の表情は不安げで、 何とも弱々しく。
「 あれ、 本気 ? それから..... ちゃんと聞こえなかったことがあって、 結婚.. してん の ? 」
結婚と口にしながら、 室内をちらり見渡す。此処に脚を踏み入れてから目に付く女の気配といえば、 二人のメイドだけ。改めて、 恐る恐る問い掛けた。
■セイン=ディバン > イヌと呼ばれるメイドは、女性の声に深く一礼をする。
『いえ、その。本当に申し訳ありません』
同僚の非礼を詫びるイヌメイド。続いて、声をかけられたネコメイドはと言えば……。
『にゃにゃん。どういたしまして?
とはいえ、ご主人様があーも変な調子なのは私たちとしても美味しくないのでにゃ。
……フるにしろくっつくにしろ、早め早めがいいと思ってのことだからにゃん』
睨まれるも、どこ吹く風。相手の礼にはしたり顔で応えるネコ。
そうして、男は女性をエスコートし、部屋へとはいる。
男の部屋は……必要最低限のものしかない。ベッド。タンス。机。以上だ。
「うっ……ま、そこになるよなぁ」
振り返った女性の言葉に、まいった、という表情のまま大人しく言葉を待つ。
「……あぁ。あの時はお前余裕無かったもんな。
んじゃ、もう一回、一から説明するわ」
男は納得したように言い、女性にベッドに座るように促す。
男はといえば、机に寄りかかるようにして、細巻きに火をつけた。
「してるぜ、結婚。魔王様とな。まぁ式とか挙げてないけど。だから、婚姻、ってのが正しいのか?
んでまぁ、お前への気持ちも本気。そこはウソ偽りねぇよ。
他に質問あっか?」
■ノア > ベッドに腰を下ろし、 逸らしたくなるのを ぐっと堪えて真っ直ぐに貴方を見上げる。もしかしたら、 大半は ── 魔王と結婚、 其の言葉の意味を問いただすのかもしれない。そして.. その上で本気だと口にする貴方の真意を、 厳しく言及するのかもしれない けれど..
「 ......... 」
魔王だなんて、 余程鬼嫁なのだろう。式は挙げていない、 恐らく同居もしてはいない。黙って貴方の話を聞いていた女は、 こう捉えていた。そして
「 気に入らないくらいわかりやす過ぎて、 質問なんてない。てゆーか、 あたしも善人じゃないから.. 正直、 少し安心してる。毎日欠かさず幸せな結婚生活送ってる男と付き合うのって、 多分罪悪感とかハンパないし。」
改めて、 全てを曝け出してくれた貴方に.. 女は、 自分を少しでも正当化する汚さや狡さを曝け出す。醜いとはわかっているけれど、 そんな自分を吐き出さなければ続けられない。きっと、 この後もっと狡い事を言うから。
膝の上の真っ白なローブを傍らに置き、 ゆるりと立ち上がれば.. 紫煙揺らめく貴方の元へ、 ゆっくりと歩み寄り
「 セインのことは好き。けど、 きっとあたしは、 あたしが一番好き。だから前に言ってくれた通り自由で居るし、 自由でいて欲しい。恋人だとか身体だけの関係だとか.. そんな呼び方どうでもいい、 今日みたいに気まずい時間はもう うんざり。いつもみたいに馬鹿みたいな話して、 くだらない事で言い合ったりしたい。それに......... 」
貴方の口から火の着いた細巻きが離れた、 其の時.. 貴方に身を寄せた女は踵を上げて、 そっと唇触れ合わせ
「 欲しいモノは欲しい。」
離した唇で其れだけ告げると、 再び重ね合わせようと身を寄せた。
■セイン=ディバン > 素直にベッドに座り、話を聞いている女性を見ながら、ぷかり、と煙を吐く。
黙っている相手の様子をしばらく男も黙ったまま見ていたが。
「ふ、む。そうかい。善人じゃないのはお互い様だがな。
あぁ、それはあるかもしれんな。そういう意味では、オレはうん、家庭を持っている、とは言えないわけだ」
なにせ、妻たる魔王様は基本寝てばかり。時折起きて動いても、どこにいるのやらどこに行くのやら、である。
男は細巻きの味を味わうように目を閉じていたが、女性が近づく気配に目を開け、改めて女性を見据える。
「……ハッキリと言うね。まぁ、そこに関しては。
宣言したとおり、お前が他の男に抱かれようとかまわねぇよ。
そん中で、オレを少し特別な位置においてくれりゃ上等」
相手の言葉には苦笑いしつつ。もとより目の前の女性を束縛するつもりもなかったから、そこに関しては以前口にした内容を反故にするつもりもなかった。
さて、問題はこの後だよなぁ。そう考えて細巻きを口から離せば、いきなりその空いた唇を奪われ。
「……そりゃま、そこの所はオレも同じですけど。
て言っても、もしオレの妻の魔王様が本気で人類滅亡とか企み始めたら、下手したらオレとお前、敵同士だぞ? それでもいいのか?」
面食らっていた男だが、キスにはされるがまま、その合間を縫って、一応保険というか、先に宣言をしておく。
妻はそんなキャラでもないが。念のための、予防線だ。
そう口にしつつも、相手の身体を抱きしめるように腕を回し、既にヒップを両手でもみ始めてしまっている男。
■ノア > 先日酒場のカウンターで交わした契約話よりも、 寧ろ淡々と。自分自身の汚さも狡さも全て見せ、 その上でなお貴方が求めてくれるのなら.. 女は、 其れでよかった。初めは触れ合うだけの口付けも、 全てを曝け出したなら歯止めなんて効かなくて.. 思えばあの夜から、 ずっとこうしたかったのだと気付かされる。回された手に身体を撫で回されると、 もっと深い口付けを、 もっと濃密な触れ合いを求め。女の目も とろん.. と蕩け始める、 が ──
「 .........っ、 ん.. 」
( はいはい、 人類滅亡ね。人類滅亡......... 人類めつ..... っ、 人類滅亡.. ?! )
思わず はむ、 と貴方の下唇を噛んだ。本来より何テンポも遅れて魔王=魔族の王と理解した女は、 目を見開いて
「 魔王って.. ガチの、 魔王 ?! 魔族の王の魔王 ?! ちょっ..... 冗談でしょ、 魔族とか... あぁ" もうっ.. これ以上余計な事考えたくないのに、 馬鹿 !! 」
貴方は今まで一度も嘘はついていない、 女が勝手な変換をしていただけなのだけれど。文句の後は、 少し荒々しい口付け。そして
「 .........もういい、 わかった。もしそんな事になったらあたしが魔王の夫を殺してやるから。だから.. もう、 早くして。アンタんとこの謀反猫のせいで、 さっきから頭ごちゃごちゃしてるの。だから早く..... 何も考えられなくなるくらいにしてっ.. 」
漸く取り戻した本調子。女の琥珀色は真っ直ぐに、 紅い瞳を見詰めていた。覚悟を決めた、 それでも今、 貴方が欲しいと。
■セイン=ディバン > 【継続予定です】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 とある一軒家」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 とある一軒家」からノアさんが去りました。