2017/04/25 のログ
■ゼノビア > 「はい、執事ゼノビアは嘘をつきません。フリーの執事ですので断られるのも慣れております。ので、断るのでしたら哀れな野良執事の慰めにアルス様の唇を一つ。もし雇っていただけるのであれば唇一つにつき1日お試しと言うので如何でしょうか?ほら本採用が難しいご事情があるのであれば、そんな選択肢も良いでしょうし……。」
執事派遣協会から支給の肌さわりの良い絹手袋に包まれた人差し指、年上の少女の唇に触れる事が叶ったのなら、その唇をそっと指先でつついた後に唇より滑り下らせ、顎下までなぞってから名残惜しげに指先を引っ込めて、そのぬくもりの残る指先で今度は自分の唇の方をなぞって、それこそ意味ありげに指の軌跡にあわせて笑みを深めた。
そして眼差しは真っ直ぐに年上の少女のゼイスブルーの瞳を真っ直ぐに覗きこみ、答を委ね、返答を待つ……。
人を見る目があるとしても、主従関係を結ぶか否かの決定権は相手にあるのは当たり前であり、それが「お試し」であっても執事は答を受けて行動するのみ。
故に待つ、その柔らかい唇が答を紡ぐのをじぃっと瞳を覗きこみ待ちわびるのだ。
■アルス > 「流石に嘘をつくとは思っていないぞ。押し売りでなければ断られることもあるのは仕方のないことだ。……それはどちらにしてもゼノに得があるのではないか?」
唇をやたらと強請る事に呆れを見せはするが条件としては悪くはなく、唇で1日お試しと聞けば余計に考えてしまう。
質のいい手袋に唇をなぞられ顎先まで進めば一瞬身震いをしてしまい、その指で少年が自らの唇をなぞり笑みを深める姿に目を泳がせて。
「……まずは試してみるか…。だが本採用するとしても幾つか条件があるぞ。一つは同じ部屋に住むには広さが足りない。なので住居は自分で用意してもらう事になる。それとだ…時折客が来る、その時は席を外してもらう事になるぞ?」
賃金の話は正式に決めてから話し合おうと決め、まずは1日試すことにと決める。
その代価は既に聞かされていて…それを支払うためと頬を僅かに赤く染めて少年に顔を近づけていく。
■ゼノビア > 「ハイ、執事ゼノビアはこう見えても狼ですし、女性を喜ばせる術も勉強していますので……。」
性にも慣れている学んでいる事も包み隠さず言葉に変え、年上の少女の唇で紡がれる「得」はその通りでした心もちゃんとあるのだとこれも隠さずに言葉にしよう。
で、近づいてくる薄紅に染まる年上の少女の相貌にまず再び人差し指を伸ばして、先程も触れたように唇に触れて軽く推し留めた後に逆に自分の方からも相貌を近づけ唇を寄せる。
夜空の下、まだ寒さの残る風、その中で互いに熱を交換するほどの唇と唇との距離で唇が触れ合う前に返さなければいけない言葉を紡ぐ。
言葉に少しだけ林檎ジュースの甘い香りをのせて
「ハイ、お試しであれ本採用であれ、主が望むがままに。重ねて言えばあくまでも仮、なのでアルス様は気負わず就職活動中の家政婦を軽く雇ってみたとでも思ってくださいませ。」
仮初の主がだす条件は当たり前だが肯定を示し、一つ縦に頷くとも、これは仮だと言う事を重ねて言葉に明示し、何時でも本採用を断る事が出来るのだと、選択肢を預けておく。
今宵出会えたのも縁であれば、若しかしたら本採用叶わず途切れてしまう縁の可能性だってある。
それは主から己からかはわからないが、出会いと別れはなんにせよ存在するものだと、だから最初に「仮」を結び、仮初の主が執事を知るように、執事もかりそめの主が真に主に相応しいか知るのだ。
――と少し長い言葉を紡ぐ間に寂しくなった少し乾いた唇は人差し指をそっと年上の仮初の主の唇から退けてから、こちら側から強く押し付ける、背丈の差から少し背伸びする形と成るが、ふわりと……何処か情熱的に。
■アルス > 「……それはいう必要がないと思うぞ。少し不安になるな」
包み隠さずに伝えられた事に早まったかと考えるが今更なしとも言えず、少年の言っていた唇だけを信じる事にして。
経験は一応はあるが全く慣れない口づけの為に気が付けば瞳を閉じて近づいていくのだが、人差し指が触れると何事と瞳を開け少年からも近寄って来るのを近くで見て。
本当に近く、呼吸すら触れるような距離で止まってしまえばそれはそれで恥ずかしく感じてしまい。
少年の言葉と共に甘い香りがして。
「そう言ってくれるなら助かるし安心できる。軽く雇ったとは思えんが…ゼノの働きと…あとは報酬次第で長く雇うのも考えてみよう」
執事がいる生活は経験があるが雇用は両親が行っていたので少年の言葉、その当たり前な事もそうとは知らずに驚いてしまい。
この先はどうなるかわからないがこうして知り合った縁、そして少年を借りとはいえ雇う事でこの先を考えるもの悪くはないと。
唇を指でとどめられたまま少年の言葉を聞き、この少年なら信頼できそうだと緊張も抜けて自然な笑みが浮かび、指がのいたと思えば唇を強く押し付けられその身長差から思わず少年を抱きとめるようにふくやかな胸で受け止めるように。
■ゼノビア > 唇を重ねるのは数秒、少し長く重ねてぬくもりと少しだけ甘い香りを押し付けて、それからそっと……でも名残惜しげに唇と唇の距離をあけると、受け止めてくれた仮初の主人の胸元から離れ、改めて――今宵何度目かわからない挨拶をしよう。
「……有難うございますアルス。執事ゼノビア、この唇に誓いアルス様に尽くす事を誓います。……アルス様の方が良いでしょうか?矢張り御姉様や姫の方が……?」
押し倒したくなるほどにふくよかな感触とぬくもりへの情欲は一際意地悪な言葉を呼び戻し、熱の名残ある唇で紡ぎながら、左手を己の胸にそえ、深々と主の許しがあるまで頭を垂れる。
――浮べる表情は柔らかく仮初とはいえ主を得た喜びに緩い笑みを浮べていた。
■アルス > 唇を重ねる数秒だけでもやはり緊張してしまい少年のぬくもりと甘い香りを押し付けられ、距離が空けば恥ずかしくて瞳を逸らせてしまう。
「まだ仮ではあるがよろしく頼むぞ、セノビア。呼び捨てにしてくれは受け入れないだろうな…だから様でいい。他の呼び名が私には合わんよ」
様でいいと慌てて告げ歩名の呼び名はしなくていいと首を振って見せて。
頭を垂れる少年にもう構わなと頭を上げるように伝える。
そして見える表情、緩い笑みを浮かべているのを見ればつられるように笑みを浮かべ。
「では早速だが職場へ案内するとしようか。その前にゼノの宿を聞いておく方がいいか?」
■ゼノビア > 本来なら契約の証に特殊なベルを差し出すのだが、仮初なのでそれも略式である。
その事は今は口にせず深く縁を結ぶときに改めて契約の話をしようと、それまでの主人への最初で最後の隠し事とした。
そして言葉で与えられた通りに頭をあげると、ニコッと軽い笑みを返して。
「はいアルス様。えっと今借りている宿ですが、平民地区にある冒険者達が良く利用する酒場でして、若しかしたら存じているかもしれませんが……。」
言葉の続きはアルス様の職場への案内途中に続くだろう。
年上の主人が紡ぐ言葉に余す所無く返答し、時折ふくよかな胸元に視線を落し、何か誤魔化すように笑い、と今宵の縁に感謝しながら、足取りは軽く、半歩だけ主人の後ろについて歩くのだった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からゼノビアさんが去りました。
■アルス > さすがにもう隠し事はないだろうと考え、そして必要なら話してくれるだろうとの考えもあり聞きはせず。
唇で仮とはいえお試しが出来るのは得なのだろうと結論つける。
そうして頭を上げ笑みを見せる姿に照れながらも笑みを向け。
「もし場所が遠いのなら近場にするのも考えねばならないからな。…あぁ、あそこならば近くだ。それで……」
少年を自らの宿に案内をしながら話を続け。
話に余すところなく返答をしてくれる博識さに感心をするも時々にそれる視線が気になってしまい。
そうしながらも半歩だけ後ろを歩く少年を連れて歩くのであった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアルスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にノアさんが現れました。
■ノア > ずしりと重みのあるポーチ片手に小さく口笛吹きながら、 踊るような足取りのメイドが ── 正確には、 "メイドの格好をした女" が一人。
( 美味しいお酒、 美味しいお酒♡ )
依頼主は高貴な奥方。主人と、 屋敷に仕えるメイドとの関係を怪しんでいた奥方から.. メイドとして屋敷に潜み、 其の関係を探って欲しいという内容。不貞の証拠を掴んだ女は主人に全ての事情を話し、 口止め料を請求。奥方には "ご主人は心から奥様を愛しています" とだけ伝え、 約束の報酬を受け取った。二倍の額を受け取った女は、 外したヘッドドレスを人差し指に引っ掛け くるくると回しながら.. 今夜は贅沢が出来そうだと、 ポーチの重みに にこりと笑みを浮かべていた。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 冒険者ギルドから以前受けた依頼を終え、報酬の入った金貨袋を手に路地を歩く男が一人。
「はっ、ハァ!! いやいや、楽な仕事だったねぇオイ!!」
上機嫌に叫ぶ男。そのままくるり、と横に一回転。依頼内容は、違法な物品の取引を行っていた商人の悪事を暴くという名目。
男は、商人の経営する店に富豪を騙り、入り込み。大口の契約を結ぶフリをし……隙を見て、帳簿を見事に掠め取った。
後はそれをギルドに提出。近いうちにその商人は逮捕され、新聞の一面でも飾るだろう。
「さ、て、さ、て~。今日は贅沢に『黄昏の惰眠亭』でディナーといきますかぁ!! ……ん?」
高級酒場での晩酌を夢見ながら歩いていれば、道に見覚えのある人物を見かけた気がした。
……記憶違いでなければ。いわゆる同業。しかも男が副業としているシーフ絡みの人物だ。
「……おい、ノア!! なんだってそんな似合わないメイドみたいな格好をしてるんだ?」
男は声を張り、その人物へと呼びかけた。直接の面識はないが、男の知っている限り、メイド姿で浮かれている女性は、腕利きの盗賊だ。
その浮かれ具合から、どうやら相手も仕事上がりだと目星をつけ、声をかけた次第。
■ノア > ( 今日は贅沢しちゃおっかな♡ えっと.. 何だっけ、 黄昏の..... 黄昏、 の.. )
此方もなかなかの浮かれっぷり。とびきりイイ酒が呑める高級酒場を思い浮かべるも.. 名前が出てこない。細いヒールはご機嫌に、 かつかつと石畳を鳴らし歩いていた。すると ──
「 .....なぁに、 いきなり現れてその台詞。似合うね、 そそるよ、 くらい言えない訳 ? 」
呼ばれた声に其の主を探すと、 鋭い赤目を視界に捉え。琥珀色の目をじとりと細め軽い冗談を返しながら、 貴方の元へ歩み寄る。
「 今日は便利屋、 夫婦仲を修復するっていう.. まぁ、 世の為人の為的なお仕事。そっちは ? 」
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にノアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にノアさんが現れました。
■セイン=ディバン > 相手の姿は、メイドが着るようなドレス姿。対して男は富豪を装ったため、普段と違いタキシード姿。場所も場所だけに、呼び止めて言葉を交わしても、何処かの屋敷の執事とメイド、位にしか見られまい。
「ハッ、相も変わらず気ィ強ぇなお前さんは。
……や、服装としてみれば似合うとは思うがな? お前さんのスタイルと美貌じゃ、メイドってのは無理があるだろ。
ただでさえ色気が強いんだ、せめてスカートの丈をもっと伸ばせよ」
そうすりゃメイド長、で通せるだろうがな、と言いつつ。相手の姿を上から下までじろり、と見る男。
実際、似合っている似合っていないで言えば、似合ってはいるのだが。どうにもセクシーに過ぎるぞ、と。目線で訴える。
「こっちか? こっちも善行だよ。悪徳商人の違法取引を暴いた所だ。
これでまた、都の商人たちも全うな商売をするだろうさ」
言いつつ、くすり、と笑う男。おそらく相手はそんな言い仕事をしたわけでもないだろうな、とも思うし、男の仕事だって、悪徳商人の下で働いていた従業員たちにとっては不幸な未来が待ってる訳で。
とにもかくにも。男は金貨袋を相手に見せつけ、ウインクをする。
「今からメシでも、と思っていたんだがどうだ、一緒に。
黄昏の惰眠亭で、アスローン・モルトの年代物と、旬の黒麦酒でも飲もうかと思うんだがな」
■ノア > 「 そっちこそ、 随分珍しい格好しちゃって..... ん ? スタイル、 美貌、 色気.. ? ふふ、 何も奢んないわよ。」
タキシードとメイドドレスを纏っていても、 本質は何にもとらわれない自由な二人。互いに中身は普段通り、 スカートの丈を指摘されれば チラりと太腿を見せるくらいの冗談を交えたりしながら
「 お互い世の為人の為 大変ね、 お疲れ様。......っ、 あ.. そうそう、 惰眠亭 !! あたしも丁度行こうと思ってたとこっ 」
思い出せなかった店名が、 思わぬタイミングで出てきてスッキリ。此方もポーチを軽く揺らし、 互いの成果をかかげ合って.. 当然、 貴方の提案には
「 行こ♡ 」
喰い気味に即答、 貴方と共に高級酒場へと歩き出そうか。いつぶりかの再会、 目的地までの道中は互いの近況やくだらないお喋りをを楽しみながら
■セイン=ディバン > 「うっせ。この間色々とやらかしちまったから、ちょうどいい変装みてぇなもんだ。
あぁん? 世辞じゃねぇよ、本音だ。だから奢ってもらわんでもイイっつー」
同業者ではあるものの、元来シーフは群れはしない。あくまでも同業として、互いに互いの仕事を知っている、というだけの事。
仲間意識などはあれど、そう仲が良い訳でもなく、かといって疎遠な訳でもない微妙な距離。
埋めるには丁度いい機会か、と男は考え。
「何せ、王城に忍び込んでバレちまったんでな……。
まぁ、我々も正義の為に働く人ですからぁ~?
って、マジかよ。じゃあ行こうぜ。あそこ、最近サラダメニュー凝ってるらしいぞ?」
どうにも、同じ店に向かおうとしていたという偶然。こうなればせっかくだ、同業として、そして報酬を得たもの同士、パーっと騒ぐか、と言い。
「しかし、お前太腿ヤベェだろ。やっぱお前メイド無いわー。
お前みたいなメイド居たら、世のご主人様が狼さんばっかになるっつーの」
道中、ちらりと見せられた太腿に対してそう突っ込む男。無論冗談だが、ケタケタ笑いながら言えば、殴られたりするだろうか。
そうして、程なく、目的の店へとたどり着く事になるが。
中々道中の近況報告や、お喋りも思いのほか楽しく。
■ノア > 「 やらかしたって、 何 を......... っ、 王城 ?! ふぅん.. 随分デカい事してんのね。」
腕の立つシーフと認識していた為 やらかした、 などと聞けば一体何を失敗する事があるのかと首を傾げるも.. 次いで貴方の口から出たのは、 随分と大層なターゲット。何を目的としていたのかという興味と、 同業として ほんの少しの悔しさに。驚き見開いた目を、 つんと逸らした。
「 なぁに、 雇ってみる ? 高いわよー 」
ともあれ、 久しぶりに行く店の新メニューを心待ちに、 貴方との会話楽しみながら目的地へ。ぶっ飛ばしはせず、 寧ろ軽いノリ。そんなメイドネタ.. ふと、 改めて服装見下ろして
「 てゆーか..... あたしこんな格好じゃん。入れてくれる、 かな.. 」
今更気付く。高級酒場にメイドドレス、 果たして店側に受け入れられるだろうかと.. 不安げに貴方を見上げ、 首を傾げた。
■セイン=ディバン > 「あ~、ちっと、な。情報収集と根回し的な事をしてたんだがな。
最後の最後、しくじっちまった」
そもそも、最後に現れた相手が悪すぎたのだが。男が手順さえ間違えていなければ起こりえなかったことである故、つまりは男のミスだ。
幸い、未だ指名手配はかかっていないみたいだが。
「そういうソッチだって。腕なら俺より上だろ。つか、お前をお抱えの潜入要員にしたいって声、あちこちで聞くぞ?
ハハハ、残念、今俺裕福地区の家にメイド二人いますー」
相手の言葉には、いやいやお前さんの腕前には負ける、と素直に言い。そもそも男は本職が冒険者であるため、シーフの腕はまぁ、一流と二流の中間という所だ。名もそこまで売れてはいない。
しかして、相手の提案にはケラケラと笑い受け流していたが、相手が不安そうになれば……。
「……問題ねぇと思うがな。もしも何か言われたら、俺の付き人、ってことにすりゃいいだろ。
今更何不安に感じてんだよ。……ホラ、行くぞ」
自身の服装に気付き、それまでとは違う様子を見せる相手に、頭を掻きながらため息を付く男。
なるようになるさ、と言いながら、相手の手を引き、ゆっくりと店内へ。
近寄ってきた店員には、適当な家の名前を告げ、貴族であるかのように振舞う。
店員は疑いもせず、席へと案内してくれた。男は、女性に対しウインクをし、な? 上手く言ったろ? などと囁く。
■ノア > 「 その割には手配書見かけないし。結局、 うまいことやったんでしょ ? 」
流石、 の三文字は.. 何となく悔しいから口にしないけれど。貴方の仕事ぶりには前々から、 尊敬と嫉妬を抱いていた。自分に対しての評価には、 つんと不満げに唇尖らせて
「 実際はね、 "女だから" って理由が殆ど。純粋に腕を見込んでの話じゃない、 って訳。へぇ..... メイド二人も雇って、 富裕地区にお住まいと。ん.. 今日、 財布忘れた。」
潜入要因として、 そして女として。実際は二つの意味を持つ話なのだと、 溜め息混じりに愚痴を溢した。かと思えば貴方の豊かな暮らしぶりを聞き、 ポーチを後ろ手に隠して悪戯にバレバレな嘘を吐いてみたり。コロコロと其の表情を変える女は酒場の前、 不安げに貴方を見上げていたが
「 ゃ..... ちょっ、 と.. 」
手を引かれ、 貴族を装う貴方の斜め後ろを追う形で店内へ。お陰ですんなりと入店を果たせば、
「 .........ん、 ほんと だ。ふふ.. ありがと、 ご主人様♡ 」
悪戯に主人と呼びつつ案内に従い。店員の目がある内は斜め後ろを歩き、 貴方の着席を待ってから腰を下ろして
■セイン=ディバン > 「まぁ結果だけ見れば上々だわな。オレは手配されず、根回しも成功。
でもまぁ、とある女にコケにされて逃げたってのが真相だ」
妻から貰った指輪が無ければ、捕まり、処刑されていたかもしれない。背筋の寒くなる話だ。
そう考えていれば、なにやら相手が不満そうにしていた。何だかは判らないが、少し機嫌を損ねていたらしい。
「それも武器だろうよ。女だからこそできる潜入、盗みもある。ついでに、雇い主的には一発ハメられたりできればラッキー、ってな。
正直、盗みの実力ならお前さんの右に出る女はそうそういないと思うぞ?
って、ウソこけさっきポーチ見せてたろうがよ!!」
どこか不服そうな言葉に、苦笑いしつつフォローを入れる。次いで相手の実力を褒める言葉。これは当然本心だ。
同業だからこそ判る、相手の実力には、一目置いているし、ほれ込んでもいる。
そうして、相手が冗談を言えば、釣られて笑い、相手の隠したポーチのことを指摘する。
「……カカッ。どういたしまして、だ。
まぁ、黙っててもお前さんの美貌なら顔パスだったと思うがな?
店員さん。季節野菜のサラダに、バグフィッシュのムニエル。
タルキィ鳥のソテーも頼む。あと、黒麦酒と……」
しおらしい相手の言葉に、実に楽しげに笑いながら注文をしていく。
どうやら結構ガッツリ目に食べる気らしく、ぽんぽんと注文し、自身の飲もうとしていた酒を頼めば、今度は目線で相手に注文を促す。
指先では机を軽く叩きながら。どこか、自身が一目置いている女性を観察、あるいは、その美貌を楽しむように見ながら。
■ノア > どうやら貴方を追い詰めたのは、 大勢の騎士団でも腕利きの傭兵でもなく.. たった一人の女らしい。どうせ油断する程の美人だったんだろうと、 勝手な想像膨らませてみたり。財布については案の定ズバッと突っ込まれ、 悪戯に肩を揺らして。
そして店内、 小洒落たメニューに目を通しながら
「 女を武器にするって 相手の隙を狙ってるようだけど、 こっちも隙を作ってるって事になるし。便利なようで命懸け、 出来れば使いたくないのよね。」
最近は衛兵の巡回も厳しく、 腕利きの護衛も増え、 何かとやりづらい と.. 店内の音に紛れるくらいの小声で溢す。注文を受けに来た店員には、 貴方に続いて「 同じ物を 」と短く付け加え。店員が去るとテーブルクロスの中、 脚を組んで座り直した。
「 ん、 何か付いてる ? それとも.. やっぱこの格好、 そんなに違和感ある ? 」
顔を上げれば、 貴方と視線がぶつかる。こうまじまじと向かい合ったのは、 考えてみれば初めてか。向けられた視線の意味を訊ねながらも、 女は女で貴方の髪型や顔立ち、 赤い瞳を、 無意識に観察していて。
■セイン=ディバン > 正直、男にとってはココ最近の出来事の中では一番の失態だ。……当然。色香に騙されたという部分もあるので、なおさら恥ずかしい。
とはいえ、済んだ事だし、指名手配が回ればバレることだ。とりたてて隠す事でもない。
「あぁ、判るけどな。馬鹿な男を引っ掛けたりするには、それなりにリスクを負わなきゃならない。
とはいえ、お前さんの実力は同業の俺らも理解してるさ」
中には、その実力の高さを妬む男たちも多いが……。
男は、この女性のテクニック、運の良さ、そしてなによりも、仕事へのクレバーな姿勢を気に入っていた。自称盗賊、といったヤツらの様な、雑さが無いその仕事に、憧れを抱いている部分もある。
「あぁ? あぁいや、こうして間近で見ると。
……な。やっぱノアは美人だな、と再確認した訳だ。
さっきの話の依頼人、じゃあないが。叶うなら夜を共にしたい、って思っちまうほどの、な」
相手のことを見ていれば、視線が交錯し、尋ねられる。
ことこういった場にたどり着いて茶化すのも違うか、と思い。男は素直に胸のうちを言葉にした。
僅かばかり照れが交じり、思わず視線を逸らす。よくよく考えれば、まるで「今夜、オレとどうだ?」などと言っているようで、酷く自分が下品に思えたからだ。
そうして、届いた料理を前に、男はグラスを持ち、相手に向かって小さく、乾杯、と言い酒に口をつけた。
「~~ッッ。仕事明けの一杯はたまらねぇなぁオイ!!」