2017/04/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にシュカさんが現れました。
シュカ > 月が天上で輝く頃。富裕地区の一角、豪奢な屋敷が並ぶ裏路地に佇む一人の男。
背を預けている壁は、どこぞの貴族の屋敷を囲むそれで、数歩先にはその屋敷内に通ずる通用門があった。

人の出入りはここ2、3時間なく、手持無沙汰に得物の脇差の鞘口に手を掛け、鍔を押し上げては、
重みでそれがカチリと無機質な金属音を立てて鞘に収まると、再び鍔を押し上げて、を繰り返していた。

「…まだかねぇ…」

つい5分ほど前にも呟いた言葉が零れ落ち、ため息も零れた。
この屋敷までの護衛、が本日ギルドから預かった依頼。
とはいえ、特段危険があるわけでもない富裕地区でのこと、何かあるわけでもなかったし、
屋敷にさえ送り届けてしまえば、依頼は終了と言ってもよかったのだが。
その依頼主が出てこないのだから、帰るべきか、留まるべきか、悩ましい時間を過ごしているわけで。

シュカ > カチン。
何度目かの鍔が鞘に収まる音がした後で、ついに鞘から手が離れ、脇差を再び腰へと下げる。
空いた手が、もそもそと懐、尻ポケそのあたりを弄る。
そして。

「お駄賃ねぇと、今日は休肝日決定じゃん…」

ここで「お駄賃」ならぬ依頼の報酬の一部でも頂かないと本日は無一文決定、となれば酒にありつけない。
思わず肩を落として、ため息ひとつ。
肩越しに屋敷を見上げてはみたものの、よほど広い庭なのだろう、
敷地を囲む塀越しでは、屋敷の屋根部分は見えるが、屋敷の中の状況までは見るに至らないから、依頼主の状況は不明のまま。

シュカ > 依頼主を屋敷に届ける、という依頼はこなしたし、お帰りの護衛、は依頼に入っていなかったはず。
となれば。
塀に預けていた上体を起こし、ふあ、と欠伸を一つ。
ぼんやり時間を潰す合間に凝り固まった身体を伸ばすように、ぐっと両腕を頭上に上げてストレッチ。
腕を下ろすと同時に、首を回しながら足を踏み出す。
路地を出れば賑やかな通りへと出る。喧騒包む人混みの中へと消えて行く…。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシュカさんが去りました。