2017/01/21 のログ
リュヴィート > 「お手紙承りました。何時ものように迅速に内密にお届け致しますので、またご贔屓くださいませ……。」
ベレー帽をするりと脱いで胸に抱えると普段以上に丁寧に頭を下げて、ご贔屓のお屋敷に所属している執事さんに決まり文句と仕事を承った事を告げてから、顔を上げて相手の丁度首元に視線を置いてから人懐っこそうに「見える」営業スマイルと言うのを一つニコっと浮かべて、終りを軽い会釈でしめると、ベレー帽を被り直しその上からフードを被って屋敷へ背を向けて歩き出す。

富裕地区から平民地区を領域に手紙や諸々を届けて渡る配達人、寒くても寒くても寒くても寒くても笑顔絶やさず仕事は手を抜かず、誰であろうと確りと頭をさげてチップを狙って………兎に角働いている。

今はその帰り道、歩きなれた富裕地区をのんびりとした足取りで歩く、何度歩いても無数にある屋敷に圧倒されつつ、隙あらば面白そうな手紙と感情の潜んでいそうな屋敷に目をつけていく。

楽しいのは「悲恋」「哀憐」「秘密」「背徳」何て愛憎入り混じる手紙の配達、身分の差が阻む恋愛なんて特に美味、中身を読まなくても香りで感じるその美味なる感情を求めて仕事は止まらない辞められない

って事で夢魔から人に堕ちたのかあまりに人を愛しすぎてヒトに近づいてしまったのか自分も良く判っていないのだが、何時までたっても慣れない寒さ身を震わせつつ、ギュと防寒用のローブ越しに自分の身体を抱きしめ両手でスリスリと腕をすって少しでも暖をとろうとしながら、スタスタと富裕地区の舗装された歩きやすい通りを一人キョロキョロと辺りを見回しながら歩き続けるのだった。

リュヴィート > 暫く一人で黙々と歩き続けると、平民地区と富裕地区の境界線へとたどり着く。
振り返れば富裕地区の温かな明かり、前を向けばまたそれとは違うが温かくも騒がしい世界が広がっている。

「……帰ろう………。」
自分が住まうのは平民地区、温かくも騒がしい世界の方だ。
一つ溜息を大きく吐き出すと両手で自分の頬をパシンッと叩いて気合を一つ入れなおし、そのまま夜の闇へと消えていくのであった……。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からリュヴィートさんが去りました。