2016/12/26 のログ
ご案内:「富裕地区 /植物園」にノアさんが現れました。
ノア > 年越しムードに乗じ盛り上がる商店街、冬の寒さなどお構いなしに熱気溢れる歓楽街、冬至の祭りに賑わう住宅街。それらが特に色濃く見られる、華やかな王都富裕地区。その植物園でぼんやりと月明かりに照らされた、薄灰色の影が一つ。

「 .....っ、やば.. 」

植物園に逃げ込み、背の高い垣根で出来た迷路の中.. 乱れた呼吸は肩を上下させる度、白い息を浮かび上がらせて。フードの奥 琥珀色の瞳は忙しなく左右見渡しつつ、周囲の音を聞き逃さぬよう じっと耳を澄ませた。

ノア > 月明かりだけが頼りの暗い迷路にやって来たのは勿論、難易度を上げて遊びたかったから.. なんて訳ではなく。今年最後の大仕事に挑んだ結果、あと一息のところで見つかり.. 持ち主の雇ったゴリゴリの護衛達に追われているから。

( 猛獣飼ってるとか聞いてないしっ.. )

鍛え上げられた護衛達の まるで猛獣のような体格思い出し、あんなのとまともにやり合っては命がいくつあっても足りないと小さく舌打ち。

ローブの中.. モチベーションを上げるべく胸元にしまった大きな宝玉ひと撫でし、じっと、じっと息を潜めて。

ノア > 数日前、女達を侍らせながら得意げに自慢する男の横に.. にこにこと上品な笑みを浮かべ女は座っていた。娼婦に扮し酔った貴族から情報を引き出すのは、常套手段。酒が入れば口も軽くなり、自慢をしたがる男は幾らでもいる。更に、気に入られれば邸宅の下見だって出来る。これ以上ないくらい、イイやり方だと思っていたけれど..

( 護衛の体格までは聞けないって..... )

暫く続いた静寂に少しずつ警戒解きながら、深く長く吐息を漏らし。

今宵盗み出した青い宝玉は純度、輝き、大きさと、どれも完璧で美しく。更に宝玉を囲う装飾も、名のある職人が手掛けた一級品。思わず笑みが浮かんでしまいつつも落とさぬよう確りと胸元に収め直し、帰るまでが遠足の精神で唇引き結んだ。

ご案内:「富裕地区 /植物園」にノアさんが現れました。
ご案内:「富裕地区 /植物園」にノアさんが現れました。
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ご案内:「富裕地区 /植物園」にノアさんが現れました。
ご案内:「富裕地区 /植物園」にノアさんが現れました。
ご案内:「富裕地区 /植物園」にノアさんが現れました。
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ノア > 「 ............... 」

追っ手振り切ろうと全力で走り続けた身体もすっかり冷えきるくらいに時間は経った、筈。耳を澄ませても追っ手の声や足音は聞こえず、そろそろ此処を出ても問題ないだろうと脚を踏み出すも..

( .....ぇ、どっち.. ?! )

前後左右どこを向いても、背の高い垣根に囲われた同じ景色。必死で逃げ込んだ迷路の中うろちょろと、完全に迷っていて。

ノア > これが塀なら上に登って脱出も出来る事だろう.. けれど垣根では、登ろうとしたところで ろくな結果にならないのは明白。右に曲がって行き止まり、戻って曲がって行き止まり。何処を曲がって何処から戻って来たのやら、同じ景色の中を行ったり来たり..

( 寒っ、暗っ、怖っ !! )

夜風に吹かれながら一人泣きそうな顔をして、難易度MAX暗闇の迷路に挑む。

「 .........かえり、た ぃ.. 」

ノア > 数十分後 ── 寒さで血色を失った唇、夜風に吹かれ怪しく靡く薄灰色の長いローブ.. まるで幽霊のような姿で、垣根の迷路から脱出。

「 .........っ、」

口を開けば歯と歯がぶつかりかちかちとなってしまう程に冷えきってしまい、もう言葉も出ない。植物園を後にして、一応の警戒をしつつ住処へと.. 狭い歩幅で歩き出し

─── こうして、今年最後の大仕事を無事(?)終えたのだった。

ご案内:「富裕地区 /植物園」からノアさんが去りました。