2016/11/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にリュヴィートさんが現れました。
■リュヴィート > 「ハイ、確かにお届け致しました。いえ、これも仕事ですから……有難うございます。」
例えば右手と左手、その二本の人差し指で頬を強引に引っ張りあげた笑顔、感情を表に出す事が苦手な人が背一杯浮かべる笑顔、今の自分はそんなぎこちない笑顔を浮かべているやもしれない……。
今夜は再び富裕層が暮らす富裕地区に手紙の配達の仕事があり、昨晩?迷子になって彷徨った甲斐あって目的のお屋敷が見つかって……今無事手紙を引き渡して、深々と頭をさげて駄賃として小額のお小遣いを貰ったところだった。
あまり堅苦しいものも苦手で、屋敷から手紙を受け取る為に出てきたコレぞ執事です!と言わんばかりの堅苦しい初老の執事が放つ覇気に気圧されて、ものすごくぎこちない笑顔を浮かべ終え、何で美人のメイドさんじゃないの?と内心悪態つきながら、屋敷に背を向けてお小遣いとして渡された銀貨をポケットに仕舞い込むと、早くこの場から離れたくて直ぐにも歩き出していた。
「……しっかし、旦那に先立たれた未亡人とかシンソウノレイジョウ?とかだったら、もっといい笑顔ができるんだけど、やっぱりダメだな男は……。」
生まれながらの性(サガ)でもあるのだが、男性、特に年上は苦手で、ぎこちない笑みを作った頬に手を添えて、丸を描くように頬を撫でて解し、何時でも素敵なレディ?に出合ってもいい様に、最高の笑顔ができるように準備をしておく。
まあ解しているのはぎこちない笑みの後遺症?以外にも今宵は先日よりはマシだが寒さ厳しい為に頬が引き攣っていると言う理由も有る。
あの執事がぎこちない笑みで頭を下げにも関わらずお小遣いをくれたのは寒さの所為で表情が凍り付いている、と勘違いした……おかげかもしれない。
まあ、兎にも角にも秋空よりも冬の夜空を寒い中を頬を自己マッサージしつつも、足音静かに歩き続け、さて貰ったお小遣いで傍観着を買うか、何か温かいものでも買うか……と考えていて。
すっかりと夢魔ではなく人間の思考になっている事にすら気がつかない元夢魔、現在も夢魔、但し半分人間に近しい少年。